「それで、無事に交際がスタートしたのね」
「無事じゃなかったんだよ」
「比企谷君が豹変したとか?急に加蓮さんを襲ったとか?」
「しねぇよ」
「私としては、襲ってくれても…」
「加蓮もモジモジするな」
「話を戻すとね、八幡が事故にあったのよ」
「事故?」
「そう、入学式の日に」
「やっと私が出てくるかな」
「まだだよ」
「ちぇっ。では過去・高校編です」
………
……
…
ここは病院か…。しかも個室。
状況を整理しよう。
入学式に向かう
↓
犬が道路に飛び出す
↓
車が向かってくる
↓
犬を助ける為に飛び出す
↓
気を失う
↓
病室で目が覚める ←今ここ
なるほど。ここは、言ってみたいセリフベスト3に入るあのセリフを言うチャンス。
「知らない天じょ…」
「お兄ちゃん!!」
「ガフッ!」
妹のタックルで止められました。
「おう小町」
「よかった、目が覚めたんだね」
「おう」
「先生呼んでくる」
医者が来て説明を受ける。ふむ、骨折でしばらく入院か。
医者が出ていくと、両親にしこたま怒られた。でも、最後は誉めてくれた。くすぐったいことこの上ない。
両親の説教の後、車の運転手・所有者・弁護士が入ってきた。運転手付きの車とかブルジョアな…。
俺も両親も事を荒立てるつもりはないので示談成立。
次に犬の飼い主が来た。ウチの両親と同じぐらいの歳だろうか?謝罪と感謝の言葉をもらった。あと、結構高そうなお菓子。
ボッチの俺は、一日の許容量を越えるお話しをしたので疲れた。
「お兄ちゃん」
「なんだ小町。お兄ちゃん、お話しし過ぎて疲れてるんだ」
「電話が凄いなってたけど…」
ヤベェ。入学式終わったら連絡することになってたんだ。
「北条加蓮さんて誰?」
ふぇぇ、小町が恐いよ。
「それは、あれだ、ほら…」
説明(誤魔化そう)としたらノックが。これは天の助け。
「どうぞ」
入って来たのは…。
「八幡っ!!」
加蓮!!しかも、凄い勢いで抱きついてきた。
「お、おう」
「心配したんだから」
「すまん」
「アナタが北条加蓮さんですか?」
小町が話しかけると、加蓮のハイライトが消えた気がする。
「そうですけど、アナタは?」
加蓮、恐いよ。
「愚兄の妹の小町です」
「アナタが電話に出てくれた小町ちゃんね。八幡が溺愛するのもわかるわ」
「それで、兄とはどういった関係ですか?」
「ん?付き合ってるよ」
「え?そうなんですか?兄からは何も聞いてないので」
「八幡?」
やっぱり加蓮が恐い。
「小町はすぐに騒ぐから言いたくなかったんだよ」
「お兄ちゃん。小町に内緒なんてポイント低いよ」
「悪かったよ」
「それで、八幡。体は大丈夫なの?」
「骨折があってしばらく入院だとよ」
「そっか…。お見舞い来るからね」
「学校も始まったばかりだし、レッスンもあるんだろ?」
「けど…。八幡は私に会いたくないの?」
「うぐっ、会いたい…です」
「じゃあ、都合つけてくるね」
「わかったよ」
「小町は空気ですかね…」
「そうだ!小町ちゃんともお話ししたいから、連絡先交換しよう」
「はい、ぜひ」
さすがのコミュ力だな。