ウマ娘クエスト RPG 作:無し
「起きろ、テイオー」
「んぅ? って! 会長ッ!?」
ガバッと起き上がり、会長の額に強く激突する。会長も一瞬何があったのか分からないと言いたげな顔をしながら、額を手で押さえながら悶え転ぶ。
正気に戻り周囲を見渡せば、そこは見知らぬ地であった。チュンチュンと小鳥がさえずり、窓からはのぞかな街並みが垣間見える。
「え、え? ここ、どこ? あ、会長ごめんなさいっ!」
「ど、どうした急に……それに私は会長という名ではないぞ?」
「……え?」
痛みが治まったのか、ようやく顔を上げた会長は何食わぬ顔で平然と告げる。
「今日はお前の旅たちの日だろう? 早く城に行くといい」
「……」
城!?
家を出ると、すぐ目の前には大きな城が聳え建っていた。名をメジロ城と言うらしい。どっかで聞いたような名だ。
そこへ向けて歩き出すと周囲の人間が何やらボソボソ呟きながらボクの事をじっと見つめている。何何? 何なのだこれは。
城に到着すると、執事のおじさまが丁重に出迎えてくれた。
そのまま玉座の間へ通されると、そこには大層素敵な椅子に座るマックイーンの姿があった。えーと、これはどういう状況なんだ?
「マックイーン!?」
「女王様と呼ばんか!」
「女王様!?」
「構いませんわじいや。私とテイオーの仲ですもの」
「しかし……」
「下がっていなさい。ここから先は二人でのお話です」
「……了解しました」
「会話?」
執事さんがそのまま部屋を退出すると、マックイーンはスクッと玉座から立ち上がり、ボクの前へとやってくる。
そして神妙な面持ちで、この世界(?)に起きている事を淡々と告げる。
「この世界は、魔王によって滅ぼされる未来のようですわ」
「魔王?」
「ええ。魔王ゴールドシップ、彼女の手によって……」
「ゴルシ!?」
「ええ、しかし先日、神から啓示を授かったのですわ。そう、テイオー。貴方が勇者となって魔王を討て……と」
「勇者!?」
もう何から突っ込んでいいのかわからなかった。えーと、世界はゴルシによって滅ぼされようとしていて、ボクは勇者となってそのゴルシを倒しにいけ、という事でいいのかな?
お遊戯会か何かか!? しかし、そういった冗談を言っている様な顔ではなかった。これはマジな話らしい。
えーと、夢? と思い、頬をつねってはみたが、目覚める気配はなかった。一体どういうことなんだ?
「ええ、何でも貴方は仲間を集める力、そして魔王を討ち果たすことのできる諦めない根強さがあると聞きましたわ。どうか、我が世界の為に、力を貸していただけないでしょうか?」
「マックイーンが頭を下げると何か寒気走るんだけど!?」
「ど、どういうことですの!?」
夢であってくれないかな。というかあってほしい。何なのだこれは、地獄か? 生き地獄に等しい。
でも勇者と呼ばれる事に悪い気はしなかった。何なんだこの矛盾は、ボクですらも分からない。
「えーと、魔王云々よりもまず、ここがどこなのか説明してほしいんだけど……」
「あなた、大丈夫ですの? ここはトレセンと呼ばれる世界の中にある王国の一つ、メジロ王国ですわ」
「えーっと……理解が追い付かないよぉ~」
「変なものでも食って記憶を失ったのかしら。世界の事が分からないなら、旅をしていくうちに理解する事をすすめるわ」
なんかもう魔王討伐しに行くみたいな流れになっている事に気が付き、あれっとなる。多分ボクに拒否権なんてないのだろう。
記憶を失ったといえば確かに、なんでボクがこんな目に合っているのかすらも分からない。確か昨日は普通に寝た筈なんだけど……気のせいかな。
未だ理解できないところはあるけれど、このままだと多分話は進まないだろうし、仕方なくその魔王討伐をやらを承諾する。行きたくないんだけど~。
「とりあえず分かったけれど……武器とか道具とか、そういうRPGご定番の物は?」
今口に出して改めて思ったけど、これ明らかにRPGゲームそのものの世界観だね?
「安心すると良いですわ、この私に不備はあり得ません。既にじいやに手配してあります、旅立つ時に渡してくれるはずですわ」
「へー。で、仲間とかそういうのは……」
「それは自分で探しなさいな!」
「だよねー!」
それは手配してくれないらしい。既に不備発生してるんですけどー!?
……果たしてこれからどうなるのか、幸先が不安である。
「やあやあモルモット君! 実験は成功だよ」
「何が?」
「先ほどテイオーにテストと称して『RPGゲームが夢の中で楽しめる薬』を渡したんだ。そしたらちゃんと寝言でそれっぽい事を言っている。成功と言わざるを得ないだろう!」
「ふーん、で、いつ起きるの?」
「それは知らないさ!」
「おい!!!」