作者の文章力の無さに呆れたわ!!
(バトルのあまりの軽さに作者ご乱心)
「にいちゃん」
ん……
「にいちゃん、朝だよ」
ああ、もう朝か……やっぱり昼まで寝かせてくれ
「今日はみんなでお出かけしようって約束したよね」
う、分かったよ
出るから揺らすな
徹夜明けで頭が痛いから
「よう、アニキ。準備終わっていないのアニキだけだぜ。母ちゃん達も待ってんだから」
まじか、そいつはまずいな
すぐ行くよ
「おう、先に出ているぜ」
ああもう、着の身着のままでいいか
待ってくれ
コツン
「アニキ?」
「にいちゃん」
あ、あれ
なんだこの壁は
「何言ってんだよアニキ、壁なんてないだろ?」
違う
違うんだ
見えない壁のせいで部屋の入り口から出られないんだ
「そんな訳ないよにいちゃん。私通れたよ?」
くそ、なんなんだ
開け、開けよ!!
「止めておけ、お前はまだこっちに来るべきじゃない」
親父、何言っているんだ?
「お前はきっと選ばれたんだ」
何の話だ?
冗談はやめてくれよ
「大丈夫よ、あなたは優しい子」
母さん……
違う、優しくない
俺はただ臆病なだけなんだ
俺は他人に敏感だから、他人の心に敏感だから
だから優しくするだけだ
「アニキ頑張れ」
俺はお前みたいになんでも出来ないんだ
「にいちゃん頑張れ」
俺はお前を助けられなかった
それなのになんでそんな顔が出来るんだ
「お前の事を信じているからさ」
訳が分からないよ!!
なんでそんな顔出来るんだよ!!
「時間だ、私たちは行くよ」
置いていくの?
待って……
「輪廻転生を経て、再び会う日を楽しみにしているぞ」
待ってくれ
俺を一人にしないでくれ
親父!!
「そうそうお前が楽しみにとっていた銀座の高級プリン喰ったの、あれわしな」
このくそ親父いいいぃぃいいぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
こんな時まで平常運転、見事なシリアスブレイクをかました男の父は
「もっと楽しめ、人生楽しんでナンボだ」と言い残し、世界に溶けていくのだった。
「………」
何故だか私はとてもむしゃくしゃしながら目覚めた。
例えるなら……そう、シリアスドラマのお涙頂戴のシーンの時にとてつもないシリアスブレイクを受けたようなそんな感覚だ。
私はそこから起き上がろうとして
ペタン
立てなかった。
「立つ?」
何故私に「立ち上がる」という動作が必要なのか?
空気の様な存在だった私に「立ち上がる」動作など必要ない。
ここに来て、私の今の状態の異常性に気づく。
何故私は地面を這っている?
何故私は重力の影響下にある?
何故私に身体がある?
私の疑問は尽きることない。
しかし今は「立ち上がる」という行為に専念する事にした。
まるで小鹿のように膝をプルプルと震わせながら立ち上がろうと試みるが、転んでしまう。
おおよそ100億年ぶりの身体と重力である。
中々自分の思うようにいかないのは道理なのかもしれない。
それから一時間程かけてようやく立ち上がることに成功する。
やったね、ク○ラが立った!!
冗談はさておき、今更ながら私は鬱蒼とした森の中で一人というあまりに拙い事状態であることに気づく。
「早くここから………えっ?」
今更ながら、自分の発声した声があまりにも高すぎる事に驚く。
まさかと思い、恐る恐る視線を下へと向ける。
穢れなき真っ白な雪を連想させる様な白い肌、綺麗な流線型を描くボディーライン、これはまだいい。
胸の位置には男に無くて女にあるものがあって、股の位置には男にあって女にないものが無くて………
ん?なんでそんなことが分かるかって?
今私が全裸だからだよ(涙)!!
女になっている事は別に大した問題では無い。
寧ろ前世は長年男だったんだから今度は女の身体になれてちょうどいいんじゃね?
そんな程度にしか思っていない。
しかし流石に全裸は困る。
正直言って寒い。
それもそのはずで、地上はようやく氷河期を抜けて間氷期に入ったばかりだ。
「どうにかして服を作らな……!?」
彼……いや彼女がそう言いかけると突如脳裏にずらずらと化学式、それととある作業工程が浮かんでは消えて、次第に目の前に見覚えのあるものが創造されていく。
Tシャツとジーンズだ
彼女は恐る恐るそれらを着てみる。
ジーンズの方は問題ない………が、Tシャツの方は若干違和感があった。
疑問に思った彼女は自らが作ったTシャツを見、そして偶々視界に入ったものを見、彼女は理解した。
「麻で作られたのか、これは」
足元にある植物を材料として作られたそれら。
おそらく材料があって、工程を知っていれば私の力を使って工程をすっ飛ばし、結果だけを生み出す事が出来るようだ。
しかも化学物質を使って補強してあるので、そうそう破れることは無い。
「過ぎた力を手に入れたものだ」
彼女自身から溢れ出る力を感じ、そう思った。
それは嘗て龍神から漏れていた神気と呼ばれていたものだった。
しかし神気とは他者からの信仰が無いと得る事の出来ない力ではないのか?
しかも龍神が赤子に思えるほどの莫大な神気である。
誰が私なんかを信仰するのか?
力の供給源を探し、彼女は視線をそちらに移す。
そこにあるのは只の土、地面
しかし彼女はその奥、根源を見ていた
そして彼女は気づく、彼女を信仰する存在を
あまりの事に彼女は腰を抜かしながら呟いた
何故地球が私を信仰している、と
「笑わせてくれる」
今世紀どころか彼の人生の中で最大級のバットジョークだと思った。
私に権力云々を持たせたら、どこまでも凡愚な私では碌なことになりはしないだろうと自己分析している。
ここまでくれば分かるとは思うが、彼女は自分を過小評価し過ぎる面がある。
逆に他人を色眼鏡使うことなく公正に評価することに関しては他の追従を許さない程得意であるのだが、自分の事となると如何せん厳しくなる。
しかし自分にできて他人に出来ない事に敏感なところのある彼女は、だからこそリーダー的なポジションが適していると言えるのだがここで語ることではないだろう。
それはさておき地球という巨大な存在からの信仰は冗談抜きにしても不味いものがある。
現に信仰によって発生している神気が私という小さな器に収まり切れるはずもなく、しかもダダ漏れになっている膨大な神気は私の周囲の植物に多大な影響を与え、現在進行形で進化をしている。
これは拙い、非常に拙い
このままでは植物の生態系に多大な影響を与えてしまうと彼女は危惧した。
しかし流れ出す神気を抑え込むような事をすれば、私は水風船の様にはじけ飛ぶのは明白である。
ならばどうすれば良いか?
答えは思ったよりも早く導き出すことが出来た。
長年思考作業を繰り返してきた故に並行思考を可能とし、さらには並行思考を同時で使うことで脳の処理速度を加速させる事で先進国のスーパーコンピューター並とまではいかずとも並のコンピューターより早い思考が可能となっている。
話が逸れてしまったが、それらの要因によって彼女は素早く答えを導くことが出来た訳である。
端的に言うと、地球から受ける信仰を減らせばよくね?
無論地球に何らかのダメージを与えて信仰を減らすなんて愚かな事はさすがにしない、と言うより出来ない。
彼は少なからず、自然愛好心を持ちあわせている。
ならばどうするか?
それは、信仰を私という器に通す為のバイパスを細くすればいいという事だ。
例えバイパスを細くしたところで、信仰は源泉かけ流しの状態なので自分の神気が減ることは無い。
要するに携帯の充電をつけっぱなしで使用するイメージだ。
そうと解れば実行するのみ
そう意気込んでやってはみるが、理解していてもそれを実行できるのは話が別であり、これには苦戦を強いられる事になる。
しかしそれでも三日でやってのけるあたり、彼女の神気に関する才能を窺えるのだが……
取り敢えず早急に解決しないといけない事は解決した訳である。
次に彼女は、神気でどのような事が出来るのかを検証してみる事にした。
創りたい物質は、材料があれば創造できることは先ほど解った。
ではどこまで出来るのか?
まずは水を生成し、それを飲み水として精製出来るのかを検証してみた。
水は大気中にある水蒸気を利用し、そこから不純物を取り除くという作業で飲み水となった。
これで飲み水の問題は解決した。
次に住居の問題である。
これは神気を受けてしまった木々を伐採し、生前学んだ建築学を駆使して神気でちょちょいと出来たのが十五畳一間の簡素な日本家屋。
雨風を凌ぐ位にしか使わないので住居はこれでいい。
今度は化学式を使っての自然現象の再現を試してみる事にした。
これには色々な自然現象を、神気を使って再現するという事で色々行った。
検証は概ね成功。
一例を挙げるなら「氷晶と霰を互いにぶつけ合い、摩擦等で出来た静電気を云々……」という工程を脳内で行ってしまい、それらの結果である雷を作りだして神気で撃ち出したい方向に矯正して撃つという事を行ったりした。
最後にパソコンを創ってみる事にした。
こればかりは流石に無理じゃね?
そう思っていたが、必要な鉱物などは大半が地中にある事に思い至った彼女は、半信半疑で地に手を添えて、必要な鉱物を吸い上げるイメージを送った。
するとどうだ、彼女の思った通りに必要な鉱物を、しかも純度100%というあり得ない純度で吸い上げる事に成功し、パソコンを創ることが成った。
ここまできて彼女は思った
「これではつまらない」と
モノを創るのは、手ずから努力した上で創らないといけない。
そうでないと私は神気に溺れ、怠惰に過ごしてしまうのは自明の理だと彼女は考えた。
それに彼女は生前、色々なモノを一人で創作してきており、モノを作りだすという素晴らしさを身をもって知っていた。
必要な自然現象を起こしたり、どうしても手に入れる事の出来ない鉱物等は別として、彼女は自分で創れるモノは自分で創ることを心に決めたのだった。
そう決めたならそれを実行するだけだ。
彼女は手始めに、ついさっき出来たばかりのパソコンを神気を使って跡形もなく消滅させたのだった。
「実行するのはいいのだけど、やる事無いな」
そう、実行するにしても何をまず作ればいいのか?
悩んだあげく、彼女は周囲の散策に出る事にした。
彼女が建てた日本家屋から見て北西の方角に道なき道を進むと大きな湖に出た。
そこで彼女は一息つくことにする。
対岸まで一、二キロ程あろうその湖、覗いてみれば、まるで穢れを知らないかのように水は透明に透き通り、湖の底まで見通す事の出来るそれを見、彼女は思わず感嘆を漏らした。
続いて彼女は湖の水を掬い、口に含んだ。
彼女の口から体内に流れ込んだ水は僅かであったが、それだけでお腹を満たし、身体を満たし、心を満たした様な錯覚を覚える。
それ程までにこの水は美味しかったのだ。
何故これ程まで水が美味しいと感じるのか?
ふと視線を湖の中心に向けると、何やら人の様なものが浮かんでいる。
視力を強化してみると、人……よりもかなり小さな子どもが背中から羽を生やして複数の仲間と踊って……いや、あれは追いかけっこをして遊んでいるのか。
しかし傍から見ると彼らの遊びはとても優雅で、何とも微笑ましくなる。
そうして見ていると、彼らの身体から微弱な神気が湖に流れ落ちている事が分かった。
成程、そうして流れ落ちた神気を受けて、この湖は神聖を帯びていた為に水が美味しく感じたのか。
そう納得した彼女は彼ら……妖精たちに近づこうとするが、止めた。
彼らの脳波を読み取ると、どうやら彼らの知能は私と会話できるほど高くはなく、また彼らは総じて悪戯好きの様で、近づくのは得策ではない様な気がした。
………というのは言い訳で、彼らの遊びの邪魔をしたくないというのが本音だが。
彼女は再び湖面に視線を戻した。
水は透き通り、湖面はキラキラと光を反射して幻想的な光景を醸しだしていた。
そして極めつけは湖面の内に、見目麗しい女性が………
「誰!?」
彼女は思わず叫んでしまったが、湖面の中の彼女も同じように「誰!?」と呟いたように見えた。
「……?」
彼女が右手を挙げれば、湖面の彼女も右手を挙げる。
左手を挙げても、また然り。
「これが私なのか?」
大和撫子がとても似合うであろうその容姿
長くクセのない艶のある黒髪を垂らし、湖面を見下ろす瞳は淡いサファイア
街中を歩けば十中八九が振り返るだろう、その容姿には思わずため息が出る
しかしそんな彼女の顔はピクリとも動くことは無かった
「人の身を捨て幾億年、表情筋の使い方を忘れてしまったのか」
自分の顔をグニグニと弄る。
それでも動かない表情。
これは要練習だな
顔を弄るのを止めた彼女は、今度は自身の服装に目が行く。
無意識に創りだした男物のTシャツとジーンズである、どうして彼女に似合おうか?
それどころか似合う似合わない以前にこれはダサ過ぎだ、と感じた。
「決まりだな」
まずは服を作りつつ、表情の練習をしよう。
服飾技術についての知識は十分にあるはずだ。
ならば試行錯誤で自分の作りたいモノを作ればいいだろう。
今後の方針を決めた彼女は、早速家に帰ろうと立ち上がると、後ろから唐突にポンッと弱い力で押される。
しかし彼女は立ち上がった直後で重心が前にズレており、しかも生まれたばかりの彼女の足腰がいまだに弱い事も重なって、顔から湖に落っこちるには十分の力だった。
犯人は誰ぞ?
ぐじょぬれになった彼女が湖から這い出ると、先ほどの妖精たちが笑いながら私を迎える。
そんな彼らのあどけない姿を見、彼女は
「あハハハ!!」
妖精たちにつられ、彼女も思わず笑い声を上げるのだった
その姿はまるで子どもの様に
それでも彼女の表情は動く事はなく、とても歪に見えるが
その時だけ、ほんの少しだけ、彼女は笑っているようにも見えた
湖の妖精と仲良くなった彼女はホクホク顔(しかし表情はやはり無表情なのだが)で帰路へとつく。
時刻は夕時
夜になると、鬱蒼とした森の中での活動は月の光や星の光があろうと困難である。
彼女は別に神気を使えば暗闇であろうと視覚し活動する事は可能だが、夜行性の獣が厄介な為、早めに帰る事にこしたことは無い。
先ほど妖精から貰った湖の近くにあったという大量の木の実を頬張りながら進んでいると、進行方向から何かが近づいているのを感じた。
まだ距離があるが、それでも腹に響くような振動が伝わるあたり、かなりの大きさがある事が窺いしれた。
それが近づくにつれて何故だかむかむかする感覚に陥る。
まるで身体の芯からそれを拒絶するような……
ふとその嫌な存在は、数百m手前の距離で止まる。
何故止まる?
視線の先には鬱蒼とした森が広がり、対象を見る事は出来ない。
今度はその気配さえも消え失せる。
その異常さに彼女は驚きながらも、彼女は構えに入る。
幸いに彼女は生前、少林武術を嗜んでおり、さらには有段者でもあった。
それに神気を合わせ、打撃を放てば、いかな獣であろうとただでは済まないだろう。
しかしそれは獣だったらの話である
「!?」
彼女は何とも言えない悪寒に晒され、本能のままにその場から後ろに向かって大きく跳躍、そしてつい先ほどまで彼女がいた所に大きな衝撃が走る。
奴はあの巨体で何百mと跳躍するというのか!?
土煙の向こう側にいるであろうモノに彼女は舌を巻く。
そんな跳躍を行う生物など聞いたことが無い。
ならばあいつは一体なんなのか?
そもそもこれは現実なのか?
「オマエ、トテモウマソウダ」
土煙の向こうから声がした。
彼女は驚きながらもその正体を見定めようとし
「な……!?」
真っ黒な四メートル級の巨大蜘蛛を見た。
いやあれは蜘蛛ではない。
蜘蛛の様なナニカである。
蜘蛛ならしっかりと八つの単眼があり口があり、さまざまな部位がある。
しかし奴はそれをなぞっているだけだ。
形は確かに蜘蛛だ。
奴はまるで身体全てを墨で塗ったくった様に黒々としている。
あれは本当に生物か?
身体がその問いを否定する。
あれは本当にこの世のものか?
再びその問いを否定し今度はそれを滅せと叫ぶ。
ソイツヲメッセ
ソイツハケガレ
コノヨノケガレ
シンダ、イキトシイケルモノノウラミ、ツラミ
ソレラガアツマッテデキタノガ
ケガレ
「イタダァァァァァァキマァスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
クモモドキは彼女に迫る
それでも彼女は動かない
動けないのではない
「チェスト!!」
最後の最後、クモモドキの牙がかかるか、からないかの距離で牙を右に弾いてクモモドキの左頬に移動し、蹴りを入れた。
居合蹴り
そう名付けられたその技は、相手が自分の間合いに入って攻撃を繰り出したのを見図って身体を半身ずらしながら攻撃を捌き、がら空きになった懐に回し蹴り等を入れるという初見の相手には必殺と成りうる技で
「初見の敵に相対した時、先手を取られても、後手の先手を取れば百戦危うからず」
という彼女の師範のその言葉より完成した技である。
無論技が決まったからと言って慢心するつもりは彼女に無く、神気で強化した手刀で地面に頭から滑りこけたクモモドキの頸を落とした。
「ふう」
クモモドキの沈黙を確認し、大きなため息を吐いた。
途轍もない禍々しい気を放っていたにも関わらず、あっけなく終わったものだと思いつつ、帰路につこうとするが
「……ガアァァァアアァッァァ!!?」
突如として彼女の身体に牙が立てられる。
振り返れば、クモモドキが頸だけで彼女に食い掛かっていた。
「ビミ、ビミビミ、ビミビミビミダァァァァアアアァァアァァ!!!!」
「痛っ、くっ、このぉ!!」
バイパスを開放して膨大になった神気を周囲に瞬間放出し、それによる衝撃波によって何とかクモモドキの牙から抜け出す。
それによって粉々になった頸だが、身体の方から新たな頸がぼこぼこと生えてくる。
「オレフジミ、ムダムダムダ、オマエモフジミ、デモヨワイ」
クモモドキはその風貌故に表情など分かる訳無いがニヤリと笑ったような気がした。
しかしこちらにはさほどの余裕は無い。
やはり神気の使い方が雑すぎて完成していない身体に多大な負荷が掛かっていた。
ならば短期決戦で勝負を決める。
「縮地!!」
一息で距離を詰めて相手の懐に入る為の移動術。
有段者でも出来る人はいるが、実戦で行うのは至難であるとされている。
どんなに初心者でも、懐はとても分かりやすく広い急所である為、最も警戒されるからだ。
ならばいつ縮地を使えばいいのか?
彼女の弟曰く「相手の呼吸を読む」だそうだ。
彼が言うには、人は吸っている時に攻撃を受ける時が、一番対応が遅れるらしい。
剣道で吸う時間が短く、息を吐き続けるのはそこから来ているそうだ。
しかしクモモドキは呼吸をしている訳では無い。
ならば縮地のタイミングはいつか。
それは攻撃直前にあった。
攻撃の予備動作を吸う動作に当てはめて、彼女は一気に距離を詰めた。
生前は一メートル前後しか詰められなかった距離も、神気のおかげで数メートルを詰める事が出来た。
狙うは奴の右脚全て!!
スピードに乗った右ストレートで一本目、振り抜いた右手を引き戻すように裏拳で二本目、そして裏拳で身体に乗った遠心力を用いて左回し蹴りを振り抜いて三本目の脚をへし折る。
今度は仕留める!!
右脚全てを失ってバランスを崩したクモモドキの頭に突きを入れるためにすぐさま反転して跳躍するが、クモモドキの左脚が三本ともあり得ない曲がり方をし、さらにはそれが伸びて彼女のお腹に突き刺さる。
「がっ……!?」
「ツカマエタァ」
放せとばかりに二度目の瞬間放出を放つ。
それによって再び拘束からは解放されたのだが、再び無茶な神気の使い方をしたせいで、完成していない身体の方は限界が来ており、膝から崩れ落ちる。
しかしクモモドキの方は既に身体の再生を完了していた。
「オマエヨワイ、チカラノツカイカタヘタ、カラダモアカゴ、オレニカテナイ」
逃げる方法は無いのか?
空を飛んで逃げるか?
駄目だ、あれは練習中だから上手くできるとは思えないし、こいつは跳躍力が半端じゃない。
ならば自然現象、雷でも撃つか?
駄目だ、あれも発動までに時間が掛かってしまう。
何か、何か手は残っていないのか!!
「オマエ、ココデシヌ」
死ぬ?
私が?
ここでか?
「アキラメテ、オレノハラニオサマレ」
死ぬのか?
本当にこんな所で?
あっ、でも、もう身体が動きそうに無いな
もう十分生きたじゃないか
そう考えた彼女は四肢をどうにでもなれとばかりに放り出した
ここで終わっても誰も悲しむ人なんていないだろうし
嗚呼、本当に下らない人生だった……
そうして彼女は何もかもを諦め、抵抗すること無く、クモモドキに飲み込まれていくのであった
んな訳あるかぁああぁぁぁああぁあぁああぁぁぁぁぁ!!!
「終われない、こんな所で!!」
彼女はとうに限界の来ている身体を神気で無理やり叩き起こす
震える足には鞭打って立ち上がる
「ナゼタチアガル?」
今の彼女は服はボロボロ、身体はぐちゃぐちゃと、あまりにも無様な姿であった
しかし背筋はすらりと伸ばし、しっかりと前を、クモモドキを見据えていた
クモモドキはその視線に気圧されながら瀕死の獲物にとどめを刺しに一歩、また一歩と歩み寄る
「私は死ねない
私は未だに私が生きている理由を、意味を、目的を、何一つ示していない!!」
「理解していない!!」
「納得していない!!」
天まで届けとばかりに声を張り上げ
地に響けとばかりに声を張り上げ
自分を永遠に生かしている何者かに届くように
彼女は声を張り上げた
「もし、私の生に本当に意味があるというのなら………
故に私がここで死ぬ道理無し!!」
彼女は既にクモモドキを見据えてはおらず、もっとその先を、見据えて彼女は世界に高らかと宣言した。
「オマエノセイノイミ?」
そして世界がそれに応えるかのように、彼女の脳裏に文字が浮かび上がる
「ソンナノ……」
慌てて彼女はそれを理解するために得られた情報を並行思考と思考加速をアドレナリンで補強して処理する
「オレニクワレルタメダヨ!!」
襲い掛かるクモモドキ
しかし彼女は動じることなくそのクモモドキにただ
「『弾け』」
と告げた
パァアン
一体何が起こったのかクモモドキには理解が出来なかった。
女を獲ったと確信した次の瞬間、クモモドキ自身の身体は宙を舞っていたのだ。
一体何が?
その疑問を遮るかのように彼女は詩を紡ぐ
「『我が言は衆を教え導く神の言なり』」
「『悪人は我が言を聴きて、悔い改めよ』」
「『しかし我が言を聞き能わずこと無きにしも非ず』」
「『故に我が言よ、言霊と成りて千里を走れ』」
詩を告げ終わればここは彼女のテリトリーと化し、それから先はクモモドキに対する蹂躙でしかない
『弾け』
と告げれば身体は弾かれ
『圧せよ』
と告げれば身体は潰され
『捻じれよ』
と告げれば身体は雑巾のように絞られ
『燃えよ』
と告げれば身体は燃やされ
『凍えよ』
と告げれば身体は凍らされ……
そうしてクモモドキは不死故に死ぬこと出来ずに永遠の地獄を見せられ、ついに心が折れて、砂の様に消滅していったのだった。
「……勝った」
既に体力の限界が来ていた彼女は木にもたれながら腰を下ろした。
今回は土壇場で目覚めた能力
『言霊を操る程度の能力』
で勝つことが出来たが、今後も上手くいくとは彼女は思っていなかった。
「必要なのは身体強化と、あとは武器だな」
今後の方針に修正を加えた後彼女は
何あの詩!?
むっちゃ恥ずかしいんだけどぉ!!
私の並行思考何勝手に決めて、やらかしてくれちゃってるの?
あれなの?中二病なの?
そんなあほな事を考えながら、彼女は意識を手放すのであった。
またの日のbootyです。
やっとこ東方らしいものを初めて出せた気がして安堵したのが6000字あたりまででしょうか。
それから主人公の能力開花の為にバトル突入はいいけど、軽い!!
まるで羽毛の様に軽いわ!!
そんな読者の声が聞こえてきそうです。
説明垂れている暇があったらバトル描写もっと書けよ……
作者自身そうは思いましたが、主人公は考えてみれば新しい生を受けてまだ十日程度。
「このくらいの身体の弱さでいいんじゃね?」
と結論付けて投稿しました(明らかな言い訳です)
次こそ、次こそは東方キャラを……だせたらいいな~
(またかよ……)
それでは皆さん次回のあとがきで
9月9日本文訂正