モモンガさんはナザリックでスローライフをおくるようです   作:名無しちゃん

3 / 7
モモンガさん、思いつく

 なんだかんだで一ヶ月が過ぎた。

 

 階層守護者を教官に魔法の使い方やアンデッドとしての心構え、ナザリック地下大墳墓とギルド アインズ・ウール・ゴウンの歴史等を学んでいった。

 

 記憶は相変わらず戻っていない。

 

 しかし……俺ってギルドマスターだったんだ。凄いじゃん。

 

 いろいろとややこしいのだが、このナザリック地下大墳墓は本来ユグドラシルの世界のひとつ、ヘルヘイムのグレンデラ沼地にあったらしい。それがどうやら異なる場所に変わってしまったようだ。

 

 守護者達の話から察するに『至高の御方がた』とはプレイヤーでユグドラシルというゲーム世界の話みたいなんだけど……うーん。

 

 現在のナザリック地下大墳墓がある平原、さらにその先に広がっている大森林の調査からアウラとマーレが戻ってきた。

 

 どうやら大して脅威になりそうな存在はいないようだ。

 

 アウラは巨大なジャンガリアンハムスターと蛇人間みたいなのを捕まえてきた。ハムスターは毛皮を剥いでコレクションにするらしい。

 

 ちょっともったいないな。どうせなら飼ってみたら良いかも。異形種動物園──脳裏に素晴らしい名前が浮かんできた。なんだろう、すごく魅力的なパワーワードだ。

 

 早速アウラとマーレに話すと大喜びで賛同してくれた。シモベの魔獣を動員していろんなモンスターをテイムすると張り切っていた。どんな生きものが集められるか今から楽しみだ。

 

 トブの大森林全部を使っての巨大な動物園──異形種動物園──どうせだから夢は大きくいこう。

 

 

 

 

 

 それから数日が経ち、アウラとマーレの案内で魔獣に乗り、トブの大森林を歩く。

 

「──ウォートロール位ですね。あとはゴブリンとかオーク、オーガとかありきたりな種類しかいないみたいです。以前はダークエルフの集落があったらしいですが」

 

「うん。ありきたりでもとりあえず確保しておきたいな。一角に集落を作って移住させたら面白そうだね」

 

「へー。集落ですか?」

 

「うん。なんとかっていうらしいけど、生態をわかりやすく展示するんだよ。リアルでは猿とかの展示につかうんだけどね」

 

「なんだか、あの、面白そうですね」

 

 ま、どうせスペースはたくさんあるからね。

 

 と、不意に人間の集団の気配を探知した。距離はかなり離れているので向こうは気がついていないみたいだ。

 

「モモンガ様。どうします?」

 

 たしかアウラ達の調査ではこの先にいくつか開拓民の集落があったはずだ。さすがに開拓民をさらって動物園に加えるのは……異業種じゃないしね……

 

「せっかくだから接触してみようか。この世界の人間とはいつかは触れあわなくてはならないだろうしね」

 

 かくして人間の集団に姿を見せる事にしたのだが……

 

 

 

 

「──こ、殺される! 死が!」

 

「──神よ!」

 

 フルヘルムにフルアーマーの兵士達の集団は俺の姿に半狂乱になり散り散りに逃げ出した。

 

 正直、ちょっとばかりショックだった。いやいやいや、いくらガイコツのアンデッドの姿だからって脅えすぎだろ? 仮にも兵士なんだし……

 

 冷静に振り返ってみると、どうやら俺の容姿に怯えただけではなく、死のオーラというパッシブスキルのせいでもあったらしい。

 

 困った。このパッシブスキル、切り方がわからないんだよね。どうやらしばらくは人と会わないようにした方が良さそうだ。

 

 仕方ないので開拓民の集落には行かないでナザリックに戻る事にした。

 

 パッシブスキルの切り方を早く覚えないとな。

 

 

 

 

 ちなみにアウラやアルベドもパッシブスキルを持っている。だけど切り方をうまく説明できないみたいだ。もしかしたら俺の理解力に問題があるのかもしれないけど……まあ、ゆっくり覚えていこう。アンデッドには時間がたっぷりあるらしいからね。

 

 

 

 

 

 

 

「……おかしい……静かすぎる……」

 

 開拓民が暮らす小さな村のひとつ、カルネ村の少女エンリ・エモットは違和感を感じた。彼女は一人で薬草を採りにトブの大森林に踏み入れていた。

 

 森林の手前部分に過ぎないが、それでもいつもなら感じる魔物の気配が全く無い。

 

 エンリは慎重に歩を進める。魔物がいないという事はなにか異変が起きているのに違いなかった。もしかしたら強大な魔物が現れたのかもしれない。

 

「──!!」

 

 エンリは思わず叫びそうになり、慌てて自らの口をふさぐ。一本の木の根本に一人の兵士が座りこんでいた。彼の眼は大きく見開かれており、顔には恐怖が貼りついていた。

 

 体からはかすかに腐臭がして、亡くなってから数日が経過していると思われた。

 

 

 村から応援を呼び、粗末な墓に弔う。死人の恐怖の表情に誰しもが無言だった。

 

 

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国戦士長ガゼフ・ストロノーフは数人の部下と共に馬を走らせていた。最近王国領内の開拓村が襲われる出来ごとが多発しており、巡回の任にあたっていたのである。

 

 襲撃者と思われるバハルス帝国兵の一団の足取りを追っているうちに開けた草原にぬけた。

 

「……こ、これは……」

 

 ガゼフは未知の大墳墓を発見した。

 

「……とりあえず陛下に報告しなくてはならないな」

 

 ガゼフにより、新たな墳墓の発見がリ・エスティーゼ王国にもたらされる事になった。




次回予告

未知の墳墓の調査に向かうアダマンタイト級冒険者チーム『蒼の薔薇』と儀典官アルチェル。彼女達の運命は……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。