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「宣戦布告ゥ?」
「そうカシラ!」
俺の問いかけに対し、チョココロネ——クロエと名乗った女子は得意気な表情で大きく頷いた。
………というか、発言の情報量が多すぎてイマイチ整理できてねーんだが、コイツ今五色中央学園って言ったか?
数秒間記憶を漁った後、五色中央、というワードとユラユラ揺れる金色のチョココロネを見てようやく気付く。
「あ、思い出した。お前、五色中央のフォワードだろ。ミミとマッチアップして抜かれまくってた」
「ぬ、抜かれまくってなんかないカシラ! ちょ、ちょっとあの時は調子が悪かっただけナノダワ………」
そう言ってクロエは憎々し気に顔を歪めた。
そうだ。どこかで見たことがあると思ったら、東京練習会の五色中央戦で向こうの選手として出てたわ、そう言えば。金髪を振り乱してミミの周りをやたらウロチョロしてた印象が強い。この容姿だし、そこそこインパクトはあったはずなのだがいかんせん色々ありすぎて記憶から飛んでいた。
「で? その五色中央んとこ部員が俺たちになんの用なんだよ。わりーけど取り込み中なんで、冷やかしに来たんなら帰ってもらっていいか」
「冷やかしとは失礼な奴ナノヨ!! ……というか、ヨウケンは既に伝えたカシラ! そこのミミ・バルゲリーにテンチューを下してやるっていっているノヨ!!」
そう言ってクロエは顔を真っ赤にして憤慨した後、ミミをビシッ! っと指さした。
「ミミの知り合いなのか?」
「フランスのクラブの元チームメイトナノヨ! かつては同じポジションをめぐってしのぎを削りあった、いわばライバル………といった関係カシラ!」
そう言ってクロエは得意気にニヤリと笑みを浮かべた。
へー、ミミの地元の奴なのか。まあ確かに外国人っぽい顔立ちだなとは思ったけど、まさかミミと同郷とは思わなかったぜ。
ミミの方をチラ、と見ると何やら苦々し気な表情を浮かべていた。……なんだ? 昔からの知り合いってわりにあんま歓迎ムードって感じじゃねーのはなんでなんだ。
……まあ、なんかよくわからんが、とりあえずこいつはミミに用があるみてーだし、当人同士で何とかしてもらうより他なさそうだな……。
「なあ、ミミ。お前になんかお前に用があるみてーなんだが」
俺が話を振ると、ミミは心底面倒くさそうな表情を浮かべ、ため息を一つつくと、
「ワタシの方はアリマセンので、お帰りクダサイ」
バッサリだった。
ミミの言葉にクロエは動揺したような表情を浮かべ、
「チョ、チョット……! わざわざ会いに来てあげた昔のライバルに対してそれはアンマリな言い草ナノヨ!」
「ライバルじゃないデス。クロエが一方的に噛みついてきていただけで、ワタシがずっとスタメンだった思いマス。後別にワタシは来てくれって頼んでないデス。………どちらかとイウト、ショウジキ会いたくなかった気分デス。お帰りクダサイ」
再びバッサリと切り捨てたミミの言葉を受け、クロエはガーン、と擬音が付きそうなほどショックを受けた表情で固まった。瞳にはうっすらと涙すら浮かべている。
なんだ? 昔のチームメイト、とか言ってたけど、どういう関係なんだ? ミミがここまで拒絶の意をはっきりと示すのもなかなか珍しい気がするんだが………。
好奇心をそそられたので詳細についてもう少し聞きたかったのだが、当のクロエが固まってしまったため話が進まなくなってしまった。参ったな……。
「あー……まあなんだ。用事あったのかも知んねーけど俺たち今から部活あるからよ。学校には連絡入れてやるから今日の所は大人しく帰って貰って——」
「おーい、クロ」
ヌッ、っと。
クロエの後ろから新たに表れた人影を見て、俺は思わず口を閉ざした。
——背の高い女子だ。
身長は香椎と同じか、下手したら少し大きいくらいだろうか。
浅黒い肌に、端の吊り上がった鋭い瞳。頭の後ろに掻き上げられた乱雑な黒髪は、野性的な印象を際立たせている。
クロエの時とは違い、俺はそいつの名前に心当たりがあった。
荒巻真琴。
五色中央学園のセンター。
容貌の通り、長身とフィジカルの強さを武器とし、ゴール下からのシュートとリバウンドを得意とする正統派プレイヤー。
五色中央との試合ではコイツに一番手を焼かされていた印象だった。同じセンターとしてマッチアップしたかげつを完全に封じ込まれ、チーム全体としてのゴール下争いで全く歯が立たなくなってしまったことが直接的な敗因と言っても過言ではなかった。
「てかクロ。私を置いて先行くな。体育館の場所分かんなくて困っただろ」
そう言ってそいつはクロエの頭にポン、と手のひらを乗せた。
クロエはそいつを見て、ぱああ、と安心したような表情を浮かべると、
「ま、マッキー! 聞いて欲しいノダワ! さっきから慧心の連中がワタクシに対しアンマリなことばかり言うノヨ! 一言言ってやって欲しいカシラ!」
「………フーン、なるほど?」
そう言って荒巻はこちらをジロリ、と一瞥する。う………デカいし、なんか威圧感ある見た目してるから迫力あんなコイツ。とても年下の女子とは思えねーんだが。
荒巻はポケットに手を突っ込んだまま、無言で俺たちの方にスタスタと歩いてくる。俺の後ろで五年生以下の後輩たちが怯えているのが伝わってくるのを感じ、俺は一歩前へと踏み出した。俺も正直荒事は得意じゃねーんだが、年下の女子を前に立たせるわけにはいかねーしな。正直怖えーが、いざとなったら大人の美星が居るし、何とかなるだろ。
俺がそう自分に言い聞かせ、竦みそうな心を奮い立たせ荒巻の瞳を真正面から見つめた。
俺の正面に立った荒巻は無表情のまま頭を下げ、
「うちのクロがご迷惑をお掛けしてすみませんでした」
………………………………。
因縁をつけられるのか? と思ったら、意外にも荒巻は礼儀正しい口調で俺たちに謝罪した。………なんかワイルドな印象あったから不良みてーなやつなんかと思ったが、意外とちゃんとした奴なのか?
謝罪した荒巻を見てクロエは驚きと同時に憤慨したような表情を浮かべる。
「ちょ、マッキー!? ワタクシの話聞いてたカシラ!?」
荒巻は困ったように頭をボリボリと掻きながらクロエを一瞥し、
「いや、だって慧心さん困ってるし……。クロがいつもみたく先走って暴走して一方的に因縁つけたんじゃないのか? どうせまだこっちに来た理由もちゃんと説明できてないんだろ。私あんま頭良くないけど、それはなんとなく分かるぞ」
「ぐっ………ちゃ、ちゃんと説明したノダワ!! ニックキ慧心学園に、ワタクシたち五色中央学園が宣戦を布告すると! そうちゃんと伝えたノダワ!!」
「ほらやっぱ説明できてねーじゃん。なんだよ宣戦布告って。ヤンキーの殴り込みかよ。ちゃんと正しく言葉使わねーとお使いもまともにできねーぞ」
「に、ニホンゴはフランス人のワタクシにとってチョット難しいカラ仕方ないと思うのダワ……」
「………前から気になっていたんだが、クロ。お前のその馬鹿みたいな口調というか語尾は何とかならんのか。つるんでる私まで馬鹿だと思われたらどうしてくれるんだ」
「今!? それ今指摘することじゃない気がするノヨマッキー! て言うか、チームメイトにそんな風に思われてたことが大分ショックナノダワ!」
そんな感じで、クロエはと荒巻は俺たちそっちのけでワーワーと言い合いを始めた。
………っつーか、いい加減付き合ってらんねーぞ。貴重な練習時間無駄にしたくねーし、こっちとしてはさっさと練習始めて―んだが……。
とりあえずなんか用事が済むまで帰る気はなさそうに見えるんで、さっさとこっちからアクションかけて話勧めるのが一番手っ取り早そうだな……。なんとなくだが、今までのこいつらの話を総合するに——。
「えーっと? 五色中央が慧心に対して宣戦を布告するって、つまり俺たちと練習試合がしたいってことでいいのか? 」
俺が遠慮がちに割って入ると、クロエは一転勝ち誇ったような表情を浮かべ、
「ホラ! 見るがいいカシラマッキー! ちゃんとワタクシの説明で伝わっていたノダワ!!」
「………クロのめちゃくちゃな説明をちゃんと汲み取ってやれるなんて、アンタいい人だな」
「マッキー! なんでワタクシじゃなくてこの男の方に感心しているのカシラ!?」
クロエが何回目か分からない憤慨の声を発した。一々付き合っているとキリがなさそうなので、スルーして話を進める。
「いや練習試合の申し出はこっちとしてもありがたいけどよ、見たところお前ら二人しかいないみてーだし、急に言われてもこっちとしては用意ができてねーんだが……」
「フン!! 別に逃げたいなら別に逃げてくれてもいいノダワ!! その代わり、ミミがワタクシの実力に恐れおののいて逃げて行ったことを、フランスのクラブチームのミンナに土産話として伝え——あいたっ!」
途中まで言い終わったところで、クロエが頭を抑えて蹲った。どうやら荒巻がクロエの頭に軽く手刀を入れたらしい。
抗議の声をあげるクロエを無視して荒巻は話を続ける。
「あ、別に今すぐ試合したいって話じゃなくて、今日は申し込みにきただけなんだよ。どこか適当な土日にでも練習試合をさせてもらえればってだけで。………あ、うちの顧問も了承してる話なんでその辺の心配は必要ない」
………なるほど、そういう話か。ようやくなんか見えてきた気がするぞ。
「まあ、うちとしても練習試合は積極的にやっていきたいと思ってたからとりあえず前向きに検討させてもらうわ。………でも、別に申し込みならわざわざ直接来ずとも電話なりメールなりでよかった気がするんだが………」
「いやー……クロが慧心さんとこのミミちゃんにどうしても会いたいって言って聞かなくて……」
「ちょ、マッキー!? 何を口走っているのカシラ!!」
荒巻の暴露を聞いて、クロエが慌てた様子で口を挟んできた。
「慧心と練習試合したいって言いだしたのもコイツだしな。どうしてもリベンジがしたいんだと」
「リベンジ? 練習会での試合なら五色中央が大差付けて勝ったはずだろ」
俺が訝し気な視線を向けると、荒巻は肩を竦めて、
「いや、クロがマッチアップしてて一度もそこのバルゲリーさんに勝てなかったって悔しがっててな。……それに私個人としても、なんか練習会で戦った時の慧心は違和感っつーか全力って感じしてなくて、イマイチ勝った気がしてなくてな。上手く説明できねーけど」
そう言って荒巻は気まずそうにボリボリと頭を掻いた。………一瞬皮肉言ってんのかと思ったが、表情みるに本心で言ってそうだな。
別に全力で戦ってなかったわけじゃねーが、確かに相性の悪さに翻弄されていた印象で本来の実力を出し切れていなかった側面があったのは事実だと思うので、荒巻の言っていることについては的外れだとは感じなかった。どちらかというと準備不足って感じだな。
「まあ、分かったわ。さっきも言ったが、練習試合って話なら喜んで受けさせてもらいたいと思ってる。………お前らはどうだ?」
俺はそう言って後ろの部員たちを振り返る。
皆一様に気合の入った表情を浮かべていた。………愚問だったみてーだな。
「もちろん、望むところだよにーたん!」
「絶対にリベンジしてやる!」
「………一度勝ったことに満足して勝ち逃げしておけばよかったのに、わざわざ倒されに来てくれるなんてもの好きな連中ね」
椿、柊、雅美は不敵な笑みを浮かべてそう答えた。
「私も、荒巻さんにはリベンジしたいと思っていたので、その機会を作っていただけるのなら挑戦するだけです」
かげつは、荒巻の目を真っ直ぐ見てそう答えた。荒巻はそれを受けて笑って頷く。
必然、全員の視線が残りのミミに向く。
ミミは数秒黙った後、一瞬俺の方を見た後、視線をクロエに向けた。
「……アナタは昔からそうデシタね。一方的に周りを巻き込んで、でもアナタの周りはいつも笑顔で。……毎回突っかかられるワタシの身にもなって欲しいデス」
ボソリ、とミミは小さな声でそう呟いた。
言われたクロエは言葉の意味が分からなかったのか、それともそもそも声が小さくて聞こえなかったのかは分からなかったが怪訝な表情を浮かべていた。
「言葉で言ってもわからないのナラ、実力で黙らせてやるだけデス。個人技でも、チームプレイでも、今はワタシの方が上だと証明してあげマショウ」
そう、静かに——でも確かに芯を感じる声でミミはそう言った。
クロエはそれを聞いて心から嬉しそうな表情で笑い、
「フフン! 望むところなのダワ! 返り討ちにしてくれるノヨ!!」
「いや、挑んだのは私らだから返り討ちだとどちらかというと負けるのは私らの方なんじゃ——」
「マッキー! 余計なことは言わなくていいカシラ!!!」
——こうして、なんやかんやあって俺たち慧心学園と五色中央学園との再戦が決まった。
第十四話でした。
オリキャラ動かすの難しかったです。キャラの方向性を固めるのに時間かかってしまった。
見返すとクロエがただの情緒不安定な子ですねこれ……。
魅力的なキャラってどうやって作るんや……。サグ氏すごいんじゃー
がっつり本編キャラ動かしたいなーとおもいつつ展開が許してくれないという悲しさ。
次回以降割と動かせそうなのでお楽しみに