ロウきゅーぶ 下級生あふたー!   作:赤眼兎

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遅くなりました………。

意外と時間かかってしまった。
あまり深く推敲し過ぎずパッパと書いて粗あったら後から直すスタイルの方がいいのかなあと悩み中。
投稿頻度を改善したい……。


■第十八話 早起きは三文の徳…?

「ん………朝か」

 

 そう呟いて上体を起こし、あくびと共に大きく伸びをする。部活やら、女バスの練習試合の準備やらで疲れていたせいか、熟睡出来た気がする。さすがに寝起きなので頭の中にはややぼやけたような感覚があるが、気分はスッキリしていた。

 

 そして、いつもの朝と違って目覚まし時計が鳴っていないことに気付く。時刻を確認すると、セットしていた時間より三十分も早く目が覚めていることに気が付いた。五分とか十分早かったことはあっても、覚えている限りではこんなに朝早く目が覚めたことはなかった気がする。大幅に記録更新である。

 

 いつもなら起きて、顔を洗った後すぐミミ達を起こしに行くのだが、三十分も早いとなるとさすがに躊躇われる。そもそも直前にあれこれ練習するより、ぐっすり寝て体力温存した方が良いだろうしな。あいつらを起こすのは今日はやめとくか。

 

「………………しゃーねえ。とりあえず一人でランニングでもするか」

 

 そう思い、ベッドから立ち上がって洗面所に向かい、顔を洗ってわずかに残っていた眠気を吹き飛ばす。そのまま玄関へと向かい、靴を履き、扉を開けて歩道に出たところで、ふと足が止まる。

 

 ——テン。——テン。

 

 ガレージの外壁——普段俺らが練習に使っているバスケットゴールの方から、何かが弾むような軽快なリズムが聞こえてくる。

 

 ——というか、毎日聞いているから聞き間違えるわけもねえ。間違いなくバスケットボールのバウンドする音だ。

 

 不思議に思って音のする方に向かうと、銀髪の小柄な女子——我が家の居候、ミミ・バルゲリーがシュートを放っているのが目に入った。

 

「む………タケナカ。おはようございマス」

 

「………おう、おはよう」

 

 俺に気付き、ぺこりと軽く頭を下げて挨拶をしてくるミミ。つられて俺も挨拶を返す。

 

「随分と早起きだな」

 

「まあ、試合当日なノデ、軽いウォーミングアップデス」

 

「………オーバーワークにならねーよーにしとけよ」

 

「ウィ、軽いシュート練とレイアップの練習くらいにしておきマス」

 

 そう言って、ボールを拾ってシュート練を再開しようとするミミ。

 

 ………まあ、試合直前に両チーム軽くウォーミングアップする時間与えられるから、今やる必要あんまねー気するけどな。まあそこは個人の自由だし、好きにすればいいと思うけどよ。

 

 一方で、ふと疑問に思う。今まで朝弱くてまともに自分で早起きできなかったコイツが、どうやって自力で起きれたんだ?

 

 じっとミミの顔を観察する。そして、最初見たときは気が付かなかったが、目の下にうっすらとクマが出来ていることに気付く。………もしかして、コイツ。

 

「お前……もしかして昨日の夜ちゃんと寝れなかったのか?」

 

 ギクリ、とシュートを打とうとする体制で固まるミミ。そして気まずそうに俺から顔を背けたまま、

 

「ね、寝れマシタよ……?」

 

「嘘つけ、声震えてんぞ。そして目ぇ見て話せ」

 

 すっとぼけたような顔をして、ピューピューと口笛(鳴ってない)を吹くミミ。仮にもポーカーフェイスが自慢だというのに分かりやすすぎる。大丈夫かコイツ。

 

「あのなあ……練習試合の前だってのに何やってんだよ。ちゃんと休んどけってあれほど言っただろ」

 

「う………申し訳ないデス」

 

 少し咎めるように言うと、ミミはシュン、と肩を落とした。う………そう言う反応をされるとこっちが悪いことしたみたいな気分になってくるな………。

 

「………まあ、お前のことだから意図的に夜更かししたとは思ってねーけどよ。いくら何でも緊張し過ぎだろ。あくまで練習試合だぜ?」

 

「ン………それはまあ、そうデスが」

 

 俺と目線を合わせないようにしたままそう返すミミ。なんだ? なんか煮え切らない反応だな………。

 

 思い返してみれば、五色中央との練習試合が決まった時から今日まで、時折ミミがこんな風に意味深な態度を取ることがあった気がする。クロエとの関係について聞かれた時が特に顕著だった。やっぱあいつと何かあんのか? まあ、聞かれても答えねーんだろーけどよ………。

 

「まあ、何でもいいけどよ。………とにかく、コーチとして寝不足のままの選手を試合に出させるわけにはいかねーな。試合午後からだし、今からでも少し寝て来いよ。時間になったら起こしてやるから」

 

「………今から寝ても、あんまりちゃんと寝れる気がしないデス」

 

「そりゃそうかも知れねーけどよ………」

 

 寝れなかった原因が緊張なのかなんなのかは知らねーが、結局解消されてないから今のままじゃ寝れないと言いたいのだろう。まあ、言ってることは分からなくもねーが………。

 

「とはいえ、寝不足で勝てる相手じゃねーのはよくわかってるだろ………」

 

「………重々理解していマス」

 

 そう言って、再び肩を落とすミミ。しかし数秒後、ふと何かに気付いたような表情を浮かべた。

 

「あの………タケナカ」

 

「なんだよ」

 

「タケナカはワタシに眠って欲しいのデスよね?」

 

「まあ………そうなるのか……?」

 

 言い方はなんか気になるが、概ね間違っちゃいない。

 

「バンゼンの状態で試合に臨むにあたって、ネブソクは何が何でもカイショウすべきであると思いマス」

 

「さっきからそう言ってるだろ………」

 

「そして、タケナカにはコーチとして、選手のフチョウをなんとかする義務があるはずデス」

 

 そう言って、ずい、と俺の方に身を乗り出してくるミミ。

 

「お、おう………まあ俺に出来ることあるならするけどよ………」

 

 気押されつつもそう答える。つってもお前のメンタル面の問題な気がするから、俺ができることねー気がするんだが。

 

「ナノデ………」

 

 ミミは、そこで一旦言葉を区切ると、言いにくそうに目を逸らした。そして少し黙った後、意を決したように俺の目を真っ直ぐ見て、

 

 

 

「添い寝、してくれないでショウカ……?」

 

 

 

***

 

 

 

「………どうしてこうなった」

 

 ミミの部屋(元・俺の部屋)のベッドに腰かけ、一人そう呟く。

 

 ミミから求められた添い寝について、気恥ずかしさからフツーに断ろうとしたのだが、ミミの奴が、『もししてくれなかったら、タケナカが寝かせてくれなかったせいで寝不足デスってみんなに言い訳しマス』とか言ってきたのでそういう訳にもいかなくなった。……寝かせてくれない、という言葉の意味自体はよく分からなかったのだが、なんかそれが他の連中に知られた場合のことを考えるとモーレツに背筋が寒くなってきたので、恐らくロクでもないことに違いないのだろう。

 

 つか、折角早起きしたのに速攻寝ないといけないなんて微妙に納得がいかねえ………。

 

 そんな風に内心不満に思っていると、ガチャリ、と部屋の扉が開き、スポーツウェアから寝間着に着替えたミミが戻ってくる。ちなみにシャワーは余計眠れなくなるからと浴びずに、軽く体を拭くだけで済ませたらしい。

 

「お待たせしマシタ」

 

「お、おう……」

 

「デハ、時間ももったいないデスし、早速寝まショウか。よろしくお願いしマス」

 

 そう言って、ペコリと礼儀正しくお辞儀をしてくるミミ。その様子に、思わず毒気を抜かれて固まってしまう。その間にミミは俺の横をすり抜け、ベッドに横になり、体の上に掛布団を被せて就寝準備を整えた。

 

「………タケナカ? なにしてるんデスカ? タケナカも早く横になってクダサイ」

 

「あ、ああ………」

 

 訝し気な声でミミに呼びかけられ、ようやくフリーズが解ける。………そうか、うん、添い寝だもんな、俺も横にならないと、添い寝じゃないよな。

 

 そう思って腰を上げ、ミミに倣って俺もベッドに横になり、慎重に布団に入る。そしてそのままぎゅっと目を閉じた。

 

 

 

 ………………………………。

 

 

 

「タケナカ、なんでそっち向いてるんデスか? ちゃんとこっち向いてクダサイ」

 

 背中からミミの不満げな声が聞こえてきて、思わず目を開ける。

 

「い、一緒に布団に入ってるんだから文句ねえだろ………」

 

「ノン、それじゃ添い寝したことにならないデス。添い寝舐めないでクダサイ」

 

 お前は添い寝のなんなんだよ………と内心でツッコミを入れつつも、このままでは埒がが明かないと判断して渋々寝返りを打ち、体をミミの方に向ける。

 

「………っ!?」

 

「………」

 

 思ったより近くにミミの顔があることに気付き、息をのむ。ミミはと言うと相変わらず何を考えているんだか分からない顔でじっと俺の顔を見ていた。目のやり場に困った俺は再びぎゅっと勢いよく目を瞑る。

 

 そのまましばらく目を閉じて黙っていたのだが、視覚が遮断されたことで今度は嗅覚の方に意識がいってしまう。ふわり、と甘ったるいような、明らかに自分のものではない嗅ぎなれない香りで鼻腔が満たされ、落ち着かない気分になる。椿や柊に添い寝してやるときとは明らかに違う、なんというか『年の近い女子』がすぐそばにいるということを嫌でも意識させられるような感覚で——。

 

(ね、眠れねえ~~~~~~~~~~!!)

 

 心の中で絶叫する。妹達にもたまにしてやってるし、ちょっとハズいけど添い寝ぐらいまあいいか、ぐらいの感覚で引き受けた三十分くらい前の自分をぶん殴ってやりたい。いざやってみると緊張と胸のバクバクでとても落ち着けたものではない。

 

思えばここ三週間、同居に慣れ過ぎて正直ミミを女子としてあまり意識してこなかったという油断もあったのだろう。

 

『妹の友達』、『部活のコーチと教え子』、『バスケの仲間』、そして『うちの新しい居候』。

 

 俺にとってのミミを表現する単語は数多く有れど、そこに異性同士であることを意識させるようなものはあまりなかった気がする。

 

 あのこっ恥ずかしい恋人のフリみたいなのは例外かもしんないが、母さんを誤魔化すための演技だと割り切っているし、特にあれ以来それっぽいこともしていない。五色中央との練習試合の対策でそれどころじゃなかったし、ミミは特に気合い入ってたみたいだったしで何も要求してこなかった。

 

 そのまま悶々と思いを巡らせて、どのくらい時間がたっただろうか。

 

 ちらり、と。

 

ミミの様子が気になって薄目で様子を伺ってみると、既に眠っているようでスヤスヤと寝息を立てていた。と、とりあえず当初の目的は達成できたみてーだな………。

 

 やや緊張が解け、ふう、とため息が漏れる。思ったよりあっさり眠れたみてーだが、ホントに昨日眠れなかったのか? 添い寝したぐらいでそんな変わるもんなんだろうか。

 

そのまま何とも言えないような気分でミミの寝顔を見つめ続ける。………無防備な表情だ。目元はとろんと綻んでおり、口元にはわずかに笑みすら浮かんでいる。ミミは基本ポーカーフェイスであるため、普段は表情の変化が乏しい。そんなミミの笑顔の表情というのは新鮮であったため、思わずまじまじと見つめてしまう。………正直、凄く可愛いとすら思っ——。

 

(だああああああああ!!!! 何考えてんだ俺!!!)

 

 再び内心で叫び声をあげる。マジどうしちまったんだ俺は。スポーツマンとして、たるんでると言わざるを得ない。ミミはあくまで俺の教え子であり、妹の大事な友達だ。そういう対象、として見るのはなんかダメな気が……理由はよく分かんねーけど。

 

 

 

 そんな風に、悶々とした気分でウンウンうなっているうちに時間はあっという間に過ぎ、あらかじめセットしておいた目覚ましのアラームが鳴り響き、二度寝終了の時間を告げた。

………結局、俺が一睡もできなかったことは言うまでもない。

 

 

 




というわけで十八話でした。
何も話が進んでいないですね…。

ホントは試合前くらいまで書くつもりだったのですが、微妙に時間かかる気がしたのでここでいったん切りました。。。

三連休の間にもう一話投稿してせめて試合前までもっていきたいなと思っていますが、あまり期待せずにお待ちください……。
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