タイトルはなんかもうネタ丸出しでいこうかな。そのほうが気負わなくていいし。
激動と因縁のメンバー加入を迎えた翌朝。
どういう訳か初手で同衾かましてきやがったドギラゴンの圧と詰問から這う這うの体で逃げ切ったオレは、激しく寝不足の状態で身だしなみチェックもままならないまま食堂にやってくることになった。
「おっす……」
「ウッス、おはようございま──うおっ!? 大丈夫ッスかパイセン! なんかもう見た目すごいカッサカサッスよ!? スルメみたいになってるッス!!」
「……百合だっちは嫌だ百合ぴょいは嫌だ百合だっちは嫌だ……」
「しっかりして下さいパイセンンンンンンン!!!!!」
「百合ぴょいは嫌──うおぉ馬鹿やめろ揺らすんじゃねえ! 分かったしっかりするから離せアホ!」
そんなオレの首元をつかんでがっくんがっくん前後に揺さぶるコイツの名前は
「(……実際問題マジで何かあったんスか? 自分でよければ相談のるッスよ?)」
「(……チームに新入りが入ったのは知ってるな?)」
「(……え? まあはい、昨夜顔合わせがあったんで知ってますけど……もしかして知り合いッスか? それもランド大陸関連の)」
「(……オレ、侵略者。新入り三人、革命軍。あとは、言わなくてもわかるな?)」
Oh...と察した表情を浮かべて首元から手を放すヴェルデ。
オレはガシガシと頭を搔きながら、
「……ま、ともあれそういう訳だ……あー畜生、マジでねっみぃ」
「なんというかこう、ご愁傷様ッス……」
「同情するなら重賞のトロフィー獲ってこい、皇帝から勝ち取ったヤツをだ」
「さすがに無茶ぶりがすぎるッスよパイセン! 自分まだハナ差一着で辛うじてG2獲ったばかりの超ルーキーッスよ!?」
「そんな悲観すんなってお前なら行ける行ける……そうだ。不沈艦でもいいぞ」
「勘弁して下さい! あんなのとまともにかち合ったら自分あっという間に墓地送りになっちまうッス!」
「ほー、そうかそうか。ところでヴェルデ、後ろ見てみな?」
はい? と言われるがままに振り向くヴェルデ。
チューブのカラシを片手にいい笑顔で仁王立ちする
「うぎゃーっ! 出たーっ!?」
「仮にも先輩に向かってとんでもない言いようだな……いや先輩か? 学年どころか高等部か中等部かすらも知らんぞオレ」
「よお赤チン! ちょっとコイツ借りてくな!」
「赤チン言うなレッドゾーンだ。貸し借り云々はまあ……ヴェルデだし好きにすれば良いんじゃねぇのか?」
「後輩の扱いとしてはあまりにも薄情!? ってか『ヴェルデだし』ってなんスか『ヴェルデだし』って!?」
「気にすんな。確かお前今月一杯休みだったろ、いい機会だし腹割って話してみ」
「確かにトレーナーに休むよう言われてるッスけど今日はプライベートの方でちょっと予定が──うわあ待ってください困ります! お客様! あーっ! お客様抜錨は困ります! お客様! 不沈艦は! あーっ!」
「大丈夫だって乾かす時のノリ程度には配慮してやっからさー! きゃーゴルシちゃんってばやっさしーい!」
「首根っこホールドされてる割に余裕そうだなお前。っておい待て待てその運び方はまずいだろアルゼンチンバックブリーカー持ちとか正気か……!?」
「おい」
そんな感じで馬鹿話をしていると、頭を後ろから軽くチョップされる。
後ろを見ると、眉間にしわを寄せて腕組みをする黒髪のウマ娘が。
「イテッ。……お前か、エアグルーヴ」
「お前か、とはなんだ。朝から、しかも食堂で不必要に騒ぎ立てるのはやめてほしい」
「ああ、それに関しては悪「そうですよ、いい加減にしないとそろそろ私の裁きが火を噴きますが」言いたいことはわかるが最低限人の言葉を遮るのはやめてくれオリオティス……」
さらにエアグルーヴの後ろには他と比べるとだいぶちんまりとしたサイズのウマ娘。メガネに反射した光がキラリと輝き、そしてその手には六法全書が携えられている。
コイツの名前は『
「……で、流石に要件がそれだけって事はねぇだろ。今度は何があった?」
「ああ、お前のチームに所属しているラスベガスダラーズのことなんだが」
「やっぱ言わなくていいわ、大体想像がつく」
「懲りずに学内で賭博をやっていた所を昨夜確保した」
「やっぱりかぁ~~~~~~~~」
最近また微妙に挙動不審だったから何か企んでんだろうなとは思ったが……まさか懲りずにギャンブルに手を出してやがったとは。出自が出自だから何とも言いづらいが、全くギャンブル依存症もいいとこだぜ。
「……で、今回の共犯は?」
「胴元としてラスベガスダラーズ、グランドダイス他7名とマチカネフクキタルをはじめとした参加者が多数です。賭博の内容はレースの着順予測による近隣のスイーツ店の予約チケットなどのやり取り。現金の取り扱いはしていなかったようですが、いい加減前科が積み重なってきたので前者には補講と反省文777枚を、後者にはトレーナーもしくは担当教員からの厳重注意がすでに課されています」
「そりゃまた」
「残念なことにトレーナーも何人か参加していたようですので彼らに関しては捕縛して駿川女史に引き渡しました」
「例によって胴元は全員がチーム・ランドの関係者だ……お前のところのあの、『奇天烈奇術団』だったか。どうにかならんのか?」
「ギャンブルで楽しむことをレースに勝つことと同レベルに、ともすればレース以上に重要視してる連中だぞ、言って止まると思うか?」
「仮にもウマ娘としてそれはどうなんだ……?」
「ところで反省文が777枚って微妙じゃね?」
「スリーセブンですよ、きっと彼女たちも縁起のよさに泣いて喜んでいることでしょう」
「あーまあ泣いてはいるだろうな……」
違う意味で。
ともあれそれはさておいて。
「トレーナーの方には報告は? もう済ませてあんのか?」
「それはもう、昨日のうちにしっかりとな」
「ならいいや、アイツらも罰則受けてんだったらまあオレからいう事ぁねぇよ」
「ところがこっちにはあるんだな」
「は?」
そう言って、エアグルーヴは懐からピラリと一枚の写真を差し出してきた。
オレはそれを受け取り、何が映っているのかを確認する。コイツは……壁の色的にウマ娘寮を外から撮ったやつだな? 一室にズームしてるな。窓越しに同じベッドで寝ている2人のウマ娘がいるのが見え、る……が…………
「……おい。おいおい、おいおいおいおい」
「新入生がチームに入って早々自室の、それもベッドに連れ込むとはいい度胸だ。当然覚悟はできているんだろうな?」
「誤解だッ!! 待て待て落ち着け話せばわかる! それに関しちゃオレなんもしてねぇぞ!? あっちから潜り込んできたんだっての!」
「犯人は大体そういうと相場が決まってるんだ。オリオティス、やれ」
「はい。午前7時49分、不純異性……失礼、不純
「貴様には黙秘権と弁護士を呼ぶ権利が認められるが……まあ、無駄な抵抗はしないことだ」
「オレは無実だーッ!!!!!」
必死の抵抗も虚しくオレはその足で生徒会室まで連行され、ため込んでもいない油をこってりと絞られる羽目になるのだった。やっぱり
──きっつい。
そんなことを思いながら、オレはただならぬ重圧をまとったエアグルーヴにネチネチと迫られて一日を終えたのだった。いや正座はいいんだけどオレの膝の上に六法全書積むのやめてくれねぇかなオリオティス。お前同じモン何冊持ってんだよ。
「でゅふふ……奇跡みたいな偶然ですけど、あの光景を見れたのはすごいラッキーでした……この分だとドギレドも流行りそうであたし未来への期待が止まりません……じゅるり」カシャッ
──
レインボーヴェルデ:虹速 ザ・ヴェルデ
芝:B ダート:B
短距離:B マイル:B 中距離:B 長距離:B
逃げ:B 先行:B 差し:B 追込:B
ルールオリオティス:制御の翼 オリオティス
芝:A ダート:G
短距離:A マイル:A 中距離:C 長距離:G
逃げ:B 先行:A 差し:C 追込:G