熱く轟け、音速のその先へ   作:りおんぬ

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キャンサー杯が間もなく始まりますね。
皆さん育成は間に合いそうですか? 私は高ランク育成が全くできないので諦めてBランク狙いで評価点チキンレースしてます。


エピソードシーズン、偽りから真実にたどり着く前にストーリー終わっちゃったクリーチャー大分いるけどみんな元気にしてるかな

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Training

デイガカラーズバトル

トレセン学園 2000m 

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『美しい青空のもとトレセン学園、絶好の良バ場となりました』

 

実況の声が聞こえてくる……ってちょっと待てや!

 

「誰だ模擬レースで勝手に実況してる奴!?」

『実況は私ジーニアスアンサー、解説はレディオローゼスでお送りいたします、よろしくお願いします』

『ん、よろしくお願いさせてもらうよ』

「クソ親父ィィィイイイイイ!!!」

 

コースの脇に視線を向ければ、そこにはいつの間にか長机と椅子2つがセットされていた。そして、椅子に座っているのは見覚えのある白衣の女医と青毛のドアホ。

っていうかあのクソ親父、タキオンの話だとお袋に追い掛け回されてるはずなのにこんなことしてる余裕なんて──いやよく見たら背中に思いっきり槍ぶっ刺さってるわ、すげぇハリネズミみてぇになってやがる。

お袋にひとしきりボコられた後かと思いきや、よく見たら刺さっている槍の一本は鎖がつながれていた。その先をたどっていくと、トレセン学園の一角に何やら赤いオーラで満たされた空間があるのがうっすらと見える。アレ多分まだ許されてねぇな、レース終わり次第折檻再開か。ってかあんな自他共に認めるメンタル瞬間湯沸かし活火山を一体誰が引き留めてんだ? たづなさんあたりか?

 

『1番人気はやはりこのウマ娘をおいて他にいない、しかしいつの間に参加していたのか1番ゴールドシップ。おっとここで5メガネの宣言です』

『なかなか見ないノリノリ具合だねぇ。しかしまぁあれだ、とりあえずやってしまいなさいジーニアスアンサー君、100点の答案だ』

「んなっ、シールドトリガーだぁ!? んじゃこのスマホカバーは使えねーぞ!」

『乾電池使います?』

『いや、ここは腕時計でいこう。煉獄ループと洒落込もうじゃないか』

「しゃーねぇ勿体ねぇがここでトイガンをぶっぱじゃー! 食らいやがれ!」

『馬鹿な、2丁同時使用!? レース前だってのに正気ですか!?』

『いやぁお見事、なかなかの機転だ。これで勝負は見えなくなったな』

『「ちぃっ、ワシントンDCーッ!!」』

「まーたなんかよくわからん事やってやがる……ん? ちょい待てゴールドシップだ!?」

 

トンチキなやり取りのせいでうっかり流しかけたが、明らかに無視しちゃまずいタイプの名前が耳に飛び込んできたオレは慌てて内枠の方に目を向けた。よーく見てみれば、さっきコース脇に目を向けた時は気づかなかったが枠の陰からチラリと不沈艦のシルエットが垣間見える……ゲートん中で麦茶かぶって何やってんだアイツ。

ちなみにレディオローゼスが言っていたがここでゴールドシップの野郎がトイガンではなくバスタオルを切っていたらオレたちが危なかったらしい。意味が分かんねぇけどたぶんそれ全くオレ達と全く関係ねぇ世界のデュエルじゃねぇの?

 

『2番人気は6番レッドゾーン、予想外のビッグネームの参加に驚いている様子』

『だがいい仕上がりをしている、好走が期待できそうだ。確か彼女はつい先日グレンモルト記念を楽々と制したと聞く──そこで慢心せずに己を磨けるのは彼女の中で明確な目標がある証拠だろう。実に喜ばしい』

『3番人気は飛び入り参加の2番アグネスタキオン』

『走りは一級品だが足回りに不安が残るね。他の子たちもそうだが、ほぼ確実におっぱじめるだろう2人組に巻き込まれないかどうかが心配だ』

『そして問題の2人組。4番人気は7番スターインザラブ、5番人気は8番アガサエルキュールとなりました。おっとここでスターインザラブ勝ち誇った表情、アガサエルキュールこれにはたまらず歯軋り。反骨精神とやる気はピカイチのようです』

『実力を考えれば双方ともに1番人気でも全くおかしくはないが、やはり普段からいがみ合っているのが人気に響いたみたいだね。スターインザラブのほうが上になったのは普段は丁寧な対応で通している分人受けがいいからだろう』

『そして6番人気から順に3番レインボーヴェルデ、4番ミニキャクタス、10番シズカナニチヨウビ、5番トレジャーウェルス、9番バイトアルヒクマと続きます』

『ここでの人気順はあくまでこの場での投票で出た簡易的な目安だ。各々気張らずにいつも通りの走りを見せてほしい』

 

スタート前からよくわからんコント見せられてそれは難易度高いだろ、いくら何でも。

 

『さあ、各バゲートインが完了しました』

 

その言葉とともに、頭の中でスイッチが切り替わる音がした。

視線を尖らせ、前を見据える。体は僅かに前傾に、足に力を込めていつでも走り出せる態勢だ。

──ゲートが開く。

一斉に飛び出した瞬間、それは起こった。

 

「「死に晒せオラァッ!!」」

『デイガカラーズバトル、スタートです──おっとスターインザラブとアガサエルキュールがまさかのクロスカウンター! あろうことか模擬レース中で殴り合いにかかっています! 色々と大丈夫かこの二人!』

『予想よりも仕掛けるのが早かったね。しかし殴り合いながらでもきっちり好スタートを切っているあたり腐ってもチーム・ゼニスのメンバーといったところかな』

 

背後から聞こえてくる生々しい殴打音の嵐。チラリと後ろを見てみれば、案の定というかスターインザラブとアガサエルキュールの2人がもみ合いながらターフを駆けていた。密着しすぎて二人三脚みたいになってんじゃねぇか、お前ら普段どうやって競い合ってんの? 公式大会なら一発退場だろこれ。

他の連中もその衝撃映像に気を取られてうまく速度に乗れなかった奴が目立つ。きっちりスタートダッシュを決めたのはタキオンにヴェルデと……ゴールドシップあたりか? アイツ脚質が追込だからスタートでコケたのかそうじゃないのか判別付きづれぇんだよな。

 

『改めてスタートしましたがさあ行った行った行ったレッドゾーンやはり速い! 圧倒的な速度に物を言わせて後続との距離を一気に引き離しにかかります! だがそこにレインボーヴェルデ食い下がる! 今回のレースはこの2人が牽引する形となりました!』

「一人旅はさせねぇッスよパイセン! 今日は逃げの気分なんでしっかりばっちり参考にさせてもらうッス!」

「いいぜ、相手になってやろうじゃねぇか!」

 

一気に前に出るが、そこにヴェルデが追随してくる。相変わらずコース取り無駄に上手ぇな、きっちり後ろにつけてきやがった。

無理に引きはがしにかかってもいいことはないので、スピードを維持しながら少しずつ脚を溜め始める。これで最後に末脚出してぶっちぎるって寸法だ。

が、ここで予想外の事態が発生した。

 

「「待てやレッドゾォォオオオンッ!!!!!!!」」

「──は?」

「っちょうわぁっ!?」

『レッドゾーン逃げるがその後ろにレインボーヴェルデ、さらにその後ろからアガサエルキュールとスターインザラブが迫る! あの2人だけギッチギチのおしくらまんじゅうだぞ大丈夫か!』

『……一応後でトレーナーに報告しておくよ。いくら模擬レースとはいえあれはいかんだろう』

 

すぐ後ろから轟く二重の怒声に、ヴェルデが情けない声を漏らす。

後ろを一瞬見てみれば、相変わらずもみ合いながらもこちらへ向けて猛然と迫りくるアガサエルキュールとスターインザラブの姿。

マジかコイツら、後ろにつけて差し込みで走ろうとしてたはずなのに無理やり先行策に切り替えやがった! ンな滅茶苦茶な動きして脚残んのか!?

とんでもねぇオーラで咄嗟にブロックにかかったウマ娘やルート上にいたウマ娘をことごとく弾き飛ばしながら迫りくる様はまさしく戦艦。ほとんど二人三脚な状態なのも相まって、さながら双胴戦艦(カタマラン・バトルシップ)といった様相だ。冗談じゃねぇ。

 

「おいおいおいおいアタシを忘れてもらっちゃ困るぜ! レースメイクなんぞ知ったこっちゃねぇゴルシちゃん抜錨じゃー! 道開けろーっ!!」

『ここでゴールドシップがロングスパートの態勢に入った! 過去のレースから見てもかなり早いスパート入りですが大丈夫でしょうか?』

『彼女は長距離でも問題なく走り切れるスタミナの持ち主のようだからね、スパートが多少早くても問題はないだろう。ただ今回は中距離コース、最終コーナーまでに速度に乗り切れるかが問題だ』

 

さらに続けてドゴンズゴンとともすれば爆発音と勘違いしてしまいそうなとてつもない足音が響き始める──ゴールドシップだ。

逃げウマの宿命というか、これで戦艦3隻に後を追われる形になった。後ろから迫る3つの気迫に圧されてか、自然と足の回転が早まっていく。いやマジで模擬レースで感じていい圧じゃねぇだろこれ!?

──残り1000m。




1 :ゴールドシップ   追込
2 :アグネスタキオン  先行
3 :レインボーヴェルデ 逃げ
4 :ミニキャクタス   先行
5 :トレジャーウェルス 先行
6 :レッドゾーン    逃げ
7 :スターインザラブ  差し→先行
8 :アガサエルキュール 差し→先行
9 :バイトアルヒクマ  先行
10:シズカナニチヨウビ 追込
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