熱く轟け、音速のその先へ   作:りおんぬ

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5cディスペクターの試行錯誤してるんですけどことごとく多色事故の擬人化みたいなデッキになって泣きそうになってます。
40枚中31枚多色とかどういう事や……ここまでくるといっそオーケストラほしい……


マナドライブはマナ武装みたいに色だけじゃなく量も必要としておけばあそこまで猛威を振るうことはなかったと思うの

──残り1000m。

 

「「おぉおおらぁああああッ!!」」

「ひええ……!」

「ちぃっ!」

 

背後からヴェルデの情けない声が聞こえる。ありゃダメだな、完全に圧されてる。

普通ならあんな密着してりゃペース合わずに一瞬で足がもつれてお陀仏なんだが、あいつら普通に走ってるどころか綺麗に加速までしてきやがった。変なところで馬鹿みたいに息ピッタリだな畜生が! 冗談じゃねぇ!

 

「「無理ぃ~っ!」」

「クソっ! テメェら次の殿堂レギュ更新覚悟しとけーっ!?」

『さあ猛追を仕掛けるぞアガサエルキュールとスターインザラブ! バイトアルヒクマを追い抜きミニキャクタスをぶち抜きトレジャーウェルスを弾き飛ばしてなおも加速加速加速っ! 怒涛の勢いで音速の侵略者に迫っていく!』

『見事に息があっているね。あそこまで足並みがそろっているのを見ていると逆に不仲な理由が気になってくるよ。お似合いの二人じゃないかな?』

『しかしこれは看過できなかったかアグネスタキオンブロックに入る!』

「邪魔だどけMAD! 薙ぎ払うぞ!」

「初対面だと言うのに開口一番随分なご挨拶じゃないかアガサエルキュールくぅん! どうやらその名の由来となった(アガサ・クリスティ)偉大なる先達たち(エルキュール・ポアロ)の知能までは引き継げなかったと見えるね!」

「あ゛ぁ!? テメェ言ってはならねぇ事を言ったなこのチビ白衣轢き潰すッ!!」

「ちょっ、急に加速しないでくれます!? 転んだらどうしてくれるんですか!」

「知るか!」

「ところでスターインザラブくん、一つ質問いいかい?」

「レース中なのに余裕そうですね光速の微粒子! 何を企んでいるのかは知りませんが私が聞き耳持つとでも──」

「……星々に溺れるような愛(Star in the Love)とはなかなかどうしてロマンチックだがね。良縁、見つかりそうかい? より具体的に聞くとトレーナーくんとはゴールインできそうかな?」

「──ぶっ殺すッ!!」

「オイコラテメェ急に加速すんじゃねぇ! 事故ったらどうするんだこの野郎!」

「うるせぇ勝手にくたばってろ! お前にゃ地べたがお似合いですよ魔天王!」

「ほざいたな堕天王ッ! やっぱりテメェから先に潰す!!」

 

アグネスタキオンの囁きでただでさえ火が付いているところに油を大量投下される形になり、押しつ押されつぐいぐいと無理やり加速する二人。

なんだかんだ綺麗に一致していた足並みがあっという間にぐちゃぐちゃになり、そのまま後続を巻き込んで大クラッシュ──するかに思われた、次の瞬間。

 

「「えぇい! 邪魔だどけこの駄バっ!!」」

「えーっそんなのありかいっ!?」

 

バコン! と互いが互いを全力で突き飛ばし、前につけていたタキオンを左右から抜かす形で双胴戦艦が2隻の戦艦へと様変わり。

そのまま再び合体はせず、突然のことに驚くタキオンを追い抜いてそれぞれが先へ進んでいく。

 

「あっこら待ちやがれ! どっちがゴールドの名にふさわしいか勝負しやがれそこの金ぴかーっ!」

 

さらにそこへ追いついたゴールドシップ、中距離ということもあって速度はあまり出ていないがそれでも十分すぎる速さで迫りくる。

マジに気が休まらねぇ! 冗談抜きにちょっとでも気ィ抜いたら一瞬で食われるぞこれ!?

 

『さあ背中を追われる形になりましたレッドゾーンとレインボーヴェルデ! 後ろに控えるは光速の微粒子、そして黄金の不沈艦に堕天と魔天の双王! このまま逃げ切れるか!?』

『全体的にかなりハイペースだ、ゴールするまでにスタミナが切れなければいいがね』

「面白ぇ、私も混ぜろよッ!!」

『ここでシズカナニチヨウビ上がってきた! これは思わぬ伏兵、あっという間の加速でゴールドシップの横につけたぞ!』

『ナリタタイシンやゴールドシップのインパクトが強いせいで忘れられがちだが、追込に適正のあるウマ娘は本来珍しい部類に入る。人気の低さと脚質の異質さ、この二つがかみ合って見事な地雷枠になったわけだね。さあ、模擬レースとはいえここは間違いなく彼女にとっての分水嶺だ──どんでん返しを期待しようじゃないか!』

「よおキンカン女! 私とダンスしようぜなぁ!」

「あぁ!? なんだクロスケどいたどいた! ゴルシちゃんは前に用があるんだっての!」

「いいご身分だぜ、もう勝った気分か!? 面白れぇや気張れよ不沈艦、今にその横っ腹食い破ってやるからよぉ!!」

 

ガツンガツンとぶつかり合う白黒2人。

そんな中、あちこちで勃発しているタイマンを他所にしれっと前に出る一人のウマ娘の姿があった。

誰であろう、光速の微粒子ことアグネスタキオンだ。

 

(まったく、どこもかしこもまるで世紀末じゃないか。こういうのには巻き込まれるだけ無駄だ、遠くから眺めてデータの確保に努めるかな。なーに、たかが模擬レースで本気になることもないさ……今回は情報収集だけで済ませておこう。しかしあのウマ娘……シズカナニチヨウビ、といったかな? うーん、見れば見るほどカフェにそっくりだ。あとで血縁関係について色々聞いてみるとしよう)

 

さて、後ろの方でタキオンがそんなことを考えているとはつゆ知らず、オレは後方の圧に負けて加速しそうになる足をなんとか抑えながら先頭を走っていた。

チラ見しただけで分かるくらいヴェルデのフォームがメタメタになってるが、ぶっちゃけオレもそこまで気にしてる余裕がねぇ。っていうかマジで圧がヤバい!

 

『さあ第4コーナーを抜けて最後の直線に差し掛かります! 中山の直線は短いですがここトレセン学園の直線は割と普通、後ろの子たちは果たして間に合うか! 現在トップは変わらず6番レッドゾーン、そのすぐ後ろに3番レインボーヴェルデ! 少し離れて7番スターインザラブと8番アガサエルキュール、すぐ横に2番アグネスタキオン! さらにその後ろ1番ゴールドシップと10番シズカナニチヨウビ、最後方で4番ミニキャクタスと5番トレジャーウェルス、9番バイトアルヒクマが固まっています!』

『どうやらレインボーヴェルデくんは掛かり気味のようだね、一息付ければよかったんだが、これは間に合わなさそうだ。しかしレッドゾーン、後方の圧はすさまじいものだと思うがそれでも掛からず走り続けているのはさすがの自制心と言うべきか?』

 

実況解説が何か言ってる気がするが聞いてる余裕ねぇ!

直線に入った瞬間オレは溜めていた脚を一気に解放した。ただ最初の予定より貯蓄が大分少ない、足りるかこれ!?

 

「無理ッス~! パイセンあとは任せました~……!」

 

ヴェルデが情けない声を上げながらズルズルと下がっていく。

そんなアイツと入れ替わるようにして、後ろから一気呵成に迫ってくる影が都合約5つ。

アガサエルキュールとスターインザラブとアグネスタキオンの三連単にゴールドシップとシズカナニチヨウビの二連荘だ。わけわかんねぇ。

そして、加速をかけてすぐさまオレは失策を悟った。

 

(クソッ!! やっぱ脚が足りねぇ! このペースじゃ逃げ切る前に追いつかれちまう!)

 

かくなる上は、と一気に姿勢を低くする。限界ギリギリ、少しでも足を緩めれば即座に前のめりで大クラッシュするほどの前傾姿勢。

手の内明かすようで嫌だからあんまりやりたかなかったんだがな、正直舐めてた──あくまで模擬とはいえレースはレース。負けるくらいなら、全力全開でぶっ飛ばす!!

 

『レッドゾーンさらに加速! 凄まじい加速だ! 赤い弾丸、音速の侵略者が突っ走る! アクセル全開トップスピード、差を詰めてきていた後続を再び引き離して最終直線に乗り込んだ!』

『すさまじい末脚だ、まさしく全身全霊の速力。だがその分消耗は相当に大きそうだ、もし間に合わなければ後続にとっては千載一遇のチャンスとなるぞ』

 

(まだ手札を隠してやがったか! 面白ぇ、それでこそだ音速の侵略者ッ!!)

(ただ、それを読み切れなかった我々が甘かったのは事実、今回ばかりはそれを認めましょう)

 

(ふゥン、すさまじい加速だ。あれだけ姿勢を低くすれば普通なら早々にバランスを崩す、その分空気抵抗の低減と末脚による増速によって無理矢理にバランスをとっているのか。だがあれはそう、少しでも失速すればすぐさま盛大に転倒する諸刃の剣だ。普通であればそんな狂気じみたことをやろうとは到底思わない……いや、『だからこそ』か。なるほど面白い!)

 

((──ただ、それを差し置いても隣のコイツだけには絶対負けたくねぇ!!!!))

(えーっあんな乱暴な走りをしておきながらさらに脚まで溜めていたのかい!? こっちの二人はこっちの二人でどんなバカげたスタミナの持ち主なんだ!)

 

『しかしここで合わせるようにアガサエルキュールとスターインザラブも加速した! 横のアグネスタキオンは伸びない、ここで間を割ってゴールドシップとシズカナニチヨウビ!!』

 

「どけどけゴールドシップ様のお通りだーっ!」

「クソッ、どんなスタミナしてやがんだテメェ!?」

 

──強硬手段で再び開けた差が少しずつ縮まっていく。

そりゃそうだ、いくら速度が出るといっても当然その分だけスタミナは使う。さっきの一発でスタミナは使い果たした、あとは落ちていくだけだ。普通に失策だった、やらかしたわ。もうちょっと粘ってからやりゃ良かった。

 

『後続が差を縮める! レッドゾーンなおも先頭を走るが減速し始めた、ゴールまであとわずかだがどうか、これは苦しいか!?』

『どうやらさっきの末脚が正真正銘最後の一撃だったようだね。さて、このまま逃げ切るかそれとも後ろの誰かが差しきるか──いや』

 

レディオローゼスが言葉を区切る。

 

『どうやら時間切れだ。見事だね、結局最後の一瞬しか明確な隙を見せなかった──それを逸した今、後続にできることはない』

『ゴールイン! 1着はレッドゾーン、最後は詰められながらも見事逃げ切りました!』

「……ああ、くっそ」

 

二周目をランニング位の速度で流して体を落ち着かせながら、誰にも聞こえないように小声で悪態をつく。

……とても、納得のいかない勝利だった。




モブ娘は適当に名前考えたりゲームから引っ張ったりしてきました。
ミニキャクタスとバイトアルヒクマはアプリ版のレースに出てくるモブですね。どちらも中距離にある程度適性があります。
トレジャーウェルスはTresureWealth、"宝"と"富"ですね。まあつまりそういう事です。
シズカナニチヨウビは……元ネタ説明する必要あります?

本筋関係ない閑話で見たいもの

  • プレ殿クリーチャーたちは今
  • ジーニアスアンサーの天才的な一日
  • キングマスターズ、トレセン学園にて
  • ハルウララとデュエマ七英雄
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