TS転生したらラスボス扱いされた   作:コンソメ

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第6話

後輩の明立ちゃんが襲撃されてから3日後。昼に学校を休んでウィリアムと俺は情報共有をしている。

 

「確認が取れた…。お前の推測が正しいだろう」

 

「詳しく聞いても?」

 

ボイスレコーダーから流れてきたのはウィリアムと鴨崎の会話だった。ぐぐもってはいるものの聞こえないわけでもない。

 

 

『しっかし、参ったぜ。犯人の男は全く手掛かりを残していやがらねえ』

 

『自分が不甲斐ないばかりに、申し訳ないっす』

 

『お前のせいじゃねえよ。それに安心しろ。今日からは夜の時間帯は警備を厳しくすることなってる。出てきたら尻尾をつかんでやるぜ』

 

『ウィリアムさん自ら出るんっすか!?』

 

『あたりめえだ。必ず蹴りをつけてやるぜ』

 

『………上手くいくといいっすね!』

 

 

流し終わったウィリアムは自嘲気味に笑う。かみしめた唇からは僅かに血が滴っている。俺が前回話した推測は最後に襲われた彼こそが犯人だということだ。彼は自分のされたことを事細かに説明できるのにもかかわらず、犯人の顔や魔力の特徴、性別はわからないと証言していた。それはあまりにも不自然だが、疑うには少し足りない。確たる根拠はなかったが、それでも違和感があった。だから犯人は知っているが、報道はされていないことを混ぜてウィリアムに話させたのだ。

 

「フッ―――――まったく過去の自分をぶん殴ってやりてえぜ」

 

「君が責任を感じる必要性はないよ」

 

「………仕掛けた監視カメラにあいつが病室を抜け出して、傷だらけで帰ってきたのが映ってんだろうな………」

 

「君の言う通り、隠して仕掛けた監視カメラに彼が病室を抜けていく映像があれば確定だろうね」

 

鴨崎は公表されてない犯人の性別に何の疑問も挟まなかった。その上、夜の警備強化を教えたその日に犯行時間がズレた。

 

彼は犯人で間違いないだろう。だが、疑問点は山積みである。

 

「街の監視カメラに写っているものだけで推測した結果だけど、犯行に使用されていた道具はすべて魔術具だろうね」

 

「魔術具!?おい、その話聞いてねえぞ」

 

「言ってないからね。余計な混乱を生むと思って」

 

椅子から立ち上がり俺に詰め寄るウィリアムだったが、少し冷静になったのかすぐに席について俺に話を促した。

 

「鈴ちゃんからの話も加味するのであれば、少なくとも犯人が着ているローブと使用しているナイフは魔術具だ。それもかなり高度なもの」

 

「………魔術具の開発を行っている機関はごく僅かだろ?調べればこの事件の全貌がわかるんじゃねえのか?」

 

「君の言うとおりだけど、勘違いが一つある。許可されている機関の調査はすでに行わせた。だけど、引っかからなかった」

 

「こんな短期間の捜査でボロを出すわけ――――」

 

「有坂先輩を行かせた」

 

「マジか………」

 

黒猫に頼っていたら間に合わなかったなんて事態を避けるために、友人の自称探偵に依頼し調査をしてもらった。彼女は相手の嘘を見破る特別な魔術を使う。それを知っているため、ウィリアムは黙り込んだ。

 

「ってことは認可が下りてない研究所の独自研究か、外からの輸入か」

 

ウィリアムの言う通り外からの輸入だとすると、島の管理者たる上層部が関わっている。独自の研究だとしても支援者がいる。

 

「どちらにせよきな臭くなってきたね」

 

「ああ………あのバカを捕まえて終わりってわけにはいかないんだろうな」

 

「むしろ、利用されている可能性の方が高いと思うけどね?知り合いの研究者を脅して(100%の善意で)説明してもらったんだけど、仮に理論的に開発が可能だったとしても実際の開発にはバカみたいな費用が掛かるという話さ。確実にバックに大物がいるね。………頭の痛い話だね?」

 

「………まったくだな。割り出す方法はないってことか?」

 

「フフッ、愚問だね。裏に詳しいロールプレイの副産物(怪しいお友達たち)には困ってないんだ。関与している研究所くらいは、今日の夜までには割り出してみせるさ。無論、ウィリアムにも手伝ってもらうよ?」

 

流石に後輩に手を出されたんだ。強引な手を使っても許されるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒猫から調査の結果が来ました」

 

そう言って、鈴は一振りのナイフを取り出す。病院に存在する一室を会議室として、改造し鈴や十六夜を含んだ数人が今後の方針について話し合っていた。

 

「これは………」

 

「これは明立が刺されたナイフです。非常に厄介なことに黒猫からの報告でこのナイフは魔術具だということがわかりました。効果は接触している人間の魔力に反応して電撃を放出する。加えて、まともに電撃を受けたものは3日は目を覚まさないオマケつきです」

 

「えっと、魔術具………?」

 

十六夜が疑問に思ったのは強烈な効果ではなく、聞きなれないその単語であった。十六夜の疑問に鈴は少し困惑した後、納得した表情で淡々と答える。

 

「貴方たち一年生はまだ履修していませんでしたね………。魔術具とは魔術工学という学問を元に作られた道具のことを言います。魔術の行使を補助する目的で作られる媒体物とは異なり、魔術師でなくても使えるもののことを指します」

 

「それの何が厄介なの?」

 

これまで借りてきた猫よりもおとなしかった音々が口をはさんだ。

 

「魔術工学は他の分野と違って異質です。魔術工学の理念は魔術師以外にも魔術を使えるようにすることです。魔術師の迫害を止めるための学問であり、魔術師の人権を脅かしてしまう学問でもあります」

 

「?」

 

十六夜は首をかしげる。

 

「魔術師が一部で忌み嫌われているのは、魔術という強大な力を持っているからです。人は自分とは違うものを受け入れられないものですから。理解不能の超常的な力を振るう存在が怖いのです。ですが、それは同時にわたくしたちの価値を証明するものでもあります。魔術は、兵器にも医療にも、災害の救助にも、土地の開拓にも、あらゆるものに応用できる力でありそれ故に我々は、法律上では人権を得ています」

 

「…」

 

「………」

 

「裏を返せば、魔術を誰でも使えるようになってしまえば、我々は用済みとなり迫害される可能性があるのですよ」

 

「それは…」

 

「故にこの学問は研究が基本的には禁止されているのです。そんな学問から生み出された魔術具が犯人の武器に使用されていた。………ですが、あなた方が気にすることではありません」

 

「「え?」」

 

意外そうに声をあげた二人に鈴は静かに告げる。

 

「わたくしたちの目的は犯人の拿捕、ひいては事件の解決です。面倒ごとはそういうことが得意な人間がやってくれるでしょうから、あなた達は目の前の事件に集中していただければ問題ないのです。必ず…今夜で終わらせます」

 

鈴がつぶやいた言葉に十六夜たちは瞠目する。声を低くして眉を吊り上げる鈴にはそれだけの迫力と圧が存在している。気圧されたわけではないが、十六夜たちは気が付けば頷いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物のまとめもどきどのタイミングで出したらいい?

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