キミの愛馬365   作:なちょす

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やぁやぁカ↑フェ〜⤵︎ ︎ほんっとすこ⋯⋯カレンチャン⋯⋯。

あっ、珈琲ぶちまけながら書きました。
珈琲ぶちまけながら読んでください。




Dreamer×Dreamer (1/2)

「しかし、存外馬鹿には出来ないもんだねェ」

 

 紅茶の入ったティーカップを口へ運びながら、アグネスタキオンはそう言った。その眼は何かを企んでいるようで、目の前に居るウマ娘をからかっているだけの様にも感じられる。僅かに眉間に皺を寄せながらも、視線を向けられている当人、マンハッタンカフェは何も答えなかった。彼女がこういう眼をする時、決まって自分が割に合わない思いをする事を、カフェは身を持って知っているからだ。

 

 そんなカフェの反応を意にも介さず、タキオンは淡々と話を続けていく。

 

「夢と言うのは、自分の中に抑圧された欲望や潜在意識を何らかの形で見るものらしい。一見何の関係も無い支離滅裂な内容であれ、そこには意味がある。無自覚の意識の奥底に仕舞われた自分自身が見えるのかもね」

「⋯⋯何の話ですか」

「ふふっ、随分とご機嫌なようだが⋯⋯余程良い夢を見たのかい?」

 

 先程とは違い、カフェは露骨に怪訝な顔をした。

 

 高笑いをしながら、タキオンはティーカップを置き、自らの実験スペースへと戻っていく。

 様々な色の薬品が染みた白衣がご機嫌に揺れている。こちらに背を向けながら黙々と作業を続けるタキオンの背を見ながら、カフェは薄ぼんやりとした頭で今朝の夢を浮かべていた。

 欲望───懐かしい過去の出来事を夢として見た場合、そこに自らの欲し、望んだ思いがあるものなのか。

 

「トレーナー君」

 

 カップを持っていたカフェの手が止まった。

 

「図星かい?」

「⋯⋯⋯⋯」

「もし君がそんな風にご機嫌になれるとしたら、君にしか見えない"お友だち"かとも思ったが⋯⋯ココ最近の君を見てると、恐らくはこっちかと思ってねェ」

「───だったら⋯⋯」

 

 タキオンと視線が合い、カフェの言葉は止まった。

 

 また⋯⋯あの眼だ。

 

 からかっている。探っている。そう見せ掛けておきながら、その奥底では何を考えているか分からない科学者の眼。レースにおいて未だ、アグネスタキオンというウマ娘を超えられた事は無い。スピードの限界、その果て⋯⋯そんな自分の欲望で満たされている筈なのに、どうしてか美しいとすら思えるその眼は、決して潰えぬ輝きを放ったまま最初にゴール板を駆け抜ける。

 そうして何度も敗北を喫してきた。自分にしか見えない彼女()にも、誰の目にも映る超光速の粒子(現実)にも。

 

「実は、モル⋯トレーナー君にも一つ心配事をされていてねェ。妹⋯⋯つまりは、君のトレーナーという訳だが。新人でありながら、マンハッタンカフェという可能性に満ちたウマ娘のトレーナーとしてやって行けるのかどうか⋯⋯君を君らしく、正しく導けるのかと」

 

 カフェは、黙ってタキオンを見ていた。

 

「君にもあるのだろう?見たい景色。追いつき、越していきたい者。或いはそうして手にした"夢の果て"。それが君の言う"お友だち"であれ、私であれ⋯⋯それを君は見れるのかい?あの気弱な彼女の元で。必要ならばこちらで───ふふっ、いや⋯⋯忘れてくれ」

「⋯⋯そうですか。では⋯⋯今日はもう、失礼します」

 

 いつの間にか空になっていたカップを残し、カフェは部屋を後にした。

 

 

「否定。賛同。共感。葛藤。選択肢は幾らでもあった筈。だが⋯真っ先に向けるものが"怒り"とはねェ。君は、君の思っている以上に自分のトレーナーに依存しているぞ、カフェ」

 

 

 静かに独りごちる彼女は、僅かに口角を上げ、自嘲気味に言葉を吐いた。

 

 

「人の事は言えないけどね」

 

 

 それからすぐに部屋の扉が開き、彼女のトレーナーが入ってきた。妹であるカフェのトレーナーと今後の予定やトレーニングの方針を話し終え戻ってきたのである。その顔は僅かに疲弊しているようにも見えたが、タキオンを見るなり普段の顔つきに戻っていた。

 

「タキオン。次のレースなんだけど、このまま菊花賞に出て三冠を狙おうかと思う」

「あぁ、構わないよ。彼女も出場するだろうしね」

「⋯⋯カフェに何言ったの?凄い剣幕だったよ?」

「なぁに、君の心配事を代わりに聞いてやっただけさ」

「えっ!?はぁ⋯⋯それで貴方までカフェとギクシャクしたら元も子も無いわよ」

「しないさ」

 

 トレーナーの心配を他所に、即答した彼女の表情はどこか嬉しげであった。

 

「あぁ、しないとも。"目は口ほどに物を言う"。君は見たかい?ずっとこちらを見つめながら、明確なまでの敵対心を滾らせていたあの凄まじい双眸を。彼女が望んでいるのは、私達が立つべき舞台での戦い⋯そして自分達の証明さ。もし関係が変わるような事があるなら、もっと前から変わっているよ」

「自覚はあるんだ」

「ハハハッ!!きっと強いぞ」

「随分と嬉しそうなんだね」

「感情が身体にもたらす影響、言葉や既存の原理で証明し難い"力"と言うものは、まだまだ未知数なんだ。それを証明してくれるのであればこちらも願ったりなんだよ。ましてや気心の知れた彼女ならね」

 

 冷めてしまった紅茶に口をつけて、タキオンはトレーナーの方を見た。それは今日初めて彼女が見せた、信頼の眼差し。

 

「それに⋯⋯私達なら勝つだろう?」

「当然。果てはまだ、ここじゃないからね」

 

 戦いの日(菊花賞)は、確かに近づいていた。




次回後編。
ここすこは纏めて次に。
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