ガオな野獣は大会近い!   作:ほろろぎ

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第三カイ

「クダーッ!!」

 

 バァン!(大破)

 

 ステイシーが引き連れてきた数十体のクダックを、ものの数分ですべて片付けたゼンカイジャー。

 敵がいなくなり、変身を解除した介人たちは、昏睡中のガオーンのもとに駆け寄った。

 

「う、羽毛……」

 

 タイミングよく、ガオーンも意識を取り戻した様子。

 真っ先に声をかける介人。

 

「おっ、ガオーン大丈夫か? 大丈夫か?」

「まぁ大会近いからね、しょうがないね」

「え? 料理大会が近いことと、なにか関係があるんすか?」

「おそらくまだ混乱しているのでしょう。おちんちんしゃぶらせて下さい、とか言わないだけヘーキヘーキ」

 

 心配する介人の声に、意味不明な返答をするガオーン。

 つながらない会話にマジーヌは疑問符を浮かべ、ブルーンが理由を説明した。

 

「介人。こいつ、いったん家に連れて帰ってやれよ。しょうがねぇなぁ(悟空)」

 

 普段はいがみ合うこともある仲でも、いざとなったらガオーンのことを心配するジュランはキカイノイドの鑑。

 

「うん、そうだね。みんなはどうする?」

「俺らはステイシーの奴を探してみるわ。マジーヌ、ブルーン、ほら行くどー」

 

 そう言ってジュランは、マジーヌとブルーンを連れてステイシーの捜索へと向かう。

 残された介人はガオーンに肩を貸してやり、ゆっくりとした足取りでカラフルへの帰路に就いた。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 ガチャン! ゴン! トン!

 

 カラフルのドアくんを開けて中に入る介人たち。

 まずはフラフラのガオーンを椅子に座らせてやる。

 

「……あれ?」

 

 ふと介人が、ある違和感を覚えた。

 ガオーンの顔をマジマジと見やると、その正体に気づく。

 

「どうしたの、介人?」

「ガオーンの顔って、そんなに汚かったっけ? なんか、黄色い肌がウンコみたいに茶色くなってるよ。それに、鼻の横に醜いイボまでできてるし……」

 

 そう、ライオンを思わせるガオーンのカッコよく整った顔が、まるで排泄物を擬人化したかのようなクッソ臭そうな、不潔な顔面へと変貌してしまっているではないか。

 だが当のガオーン本人はそのことに気づいていないのか、それとも気にしていないだけなのか、話をそらす様なそぶりを見せる。

 

「そんなことより喉渇いた……喉渇かない?」

「あー、のど渇きましたね」

「なにか飲み物持ってくるね。ちょっと待ってて」

 

 介人が止める前に、ガオーンは台所に入っていった。

 

「…………」

 

 ジョロロロロロロ……ドンッ……カッ! サッー!(迫真)

 

 冷蔵庫から飲み物を取り出し、コップに注ぐ。

 さらに、どこからか取り出した謎の白い粉も注ぎ入れたガオーン。

 素知らぬ顔で二つのコップを持つと、介人の元へ戻る。

 

「お待たせ! アイスティーしかなかったけど、いいかな?」

「はいはい!」

 

 コップを受け取った介人はノドの渇きをいやすため、一息でコップの中身を飲み干した。

 介人がアイスティーを飲む様子を、ガオーンは野獣のような眼光で見つめる。

 

「う、羽毛……」

 

 コップを開けた介人は、瞬時に意識を失いその場に倒れこんだ。

 ガオーンが介人のアイスティーに注ぎ入れた粉末の正体は、強力な睡眠作用を持つ眠り薬、通称『ホモコロリ』だったのだ。

 強制的な眠りにつかされた介人を、ガオーンは野獣の眼光で黙って見下ろしていた……。

 

 舞台暗転。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 暗がりが晴れ画面が映ると、そこはカラフルの奥にある介人の私室だ。

 そこには驚くべき光景が。

 先ほどガオーンに眠らされた介人が、全裸の状態でベッドの上に横たわっているではないか。

 さらにその両手足は、タオルかなにかで拘束されている。

 布の端はベッドの柵に結ばれ、今の介人は大の字の姿だ。

 

「すっげえ白くなってる。はっきりわかんだね」

 

 介人を裸に剥き四肢を縛り上げた犯人は、誰あろうガオーン。

 介人の裸体を眺めながらガオーンは、その日に焼けていないまっさらな肉体に食い入る。

 

「今回調教する青年は介人っ。ハンサムなマスクと、均整のとれた体。まだ21歳のこの青年は、ボクの調教に耐ヱる事が出来るでしょうか? それでは、ご覧下さヰ」

 

 画面の向こうに語り掛ける様に言葉をもらすガオーン。

 一通り介人の肢体を目に焼き付け満足したのか、続けて彼の体を丹念に舌で舐め始める。

 

「ハァ……ハァ……キシュ! キシュン! キュイッ! チュパ……チュパ……」

 

 無抵抗の介人の裸体に、一心不乱に舌を這わせるガオーン。

 赤ん坊が母親のミルクを求めるように、男である介人の乳首を吸いだした。

 

「ガオーン!? なにしてんすか? やめてくださいよ本当に!」

 

 乳首に感じる違和感で、介人が目を覚ました。乳首感じるんでしたよね?

 

 想像だにしない現実に驚愕する介人。

 そんな介人を意にかけることなく、ガオーンは冷静に言葉を発する。

 

「暴れるなよ……暴れるなよ……」

「カオマンガイさん!? ちょっと、まずいですよ!」

 

 驚きのあまりガオーンの呼び名を間違える介人。

 

「助けてヤッちゃん! ……いや、ヤッちゃんにこんな所見られるのはやはりヤバい。助けてセっちゃん!」

「無駄だよ、ヤツデもセっちゃんも外出中。界賊ちゅわんたちも、今は世界の美味しいもの食べ歩き旅行に出かけてるはずだよ」

 

 祖母もダメ、マスコットもダメ。

 最近この世界にやって来た『世界海賊』を名乗る、ゾックス率いる『ゴールドツイカー一家』にも助けを求める介人だが、どうやらそれも無駄らしい。

 

「それに今のカラフルの扉は、僕の『どうぞ』という声にしか反応しないのさ。だからジュランたちが帰ってきても、家の中には入ってこれない」

 

 残る頼みの綱であるジュランたちへの希望も断たれた。

 ガオーンの用意周到な策からはあぁ逃れられない!

 

「誰も来ねぇよここ。すっげぇ山奥だからさ。(意味不明)誰も助けに来ないんだよ介人? えぇ? 絶対助からねぇよ?」

 

「ガオーン、やめロッテ!」

「介人のことが好きだったんだよ!」

「!」

 

 迫真の告白をするガオーン。その流れで介人に熱烈な口づけをほどこす。

 しかし、すれ違う二人の心にとってそれは、不幸せなキスにしかならなかった。

 

「いくら好きだからって、無理やりこんなことしちゃあ……ダメだろ!」

「介人は前からずっと、『世界初のことをやりたい』って言ってたよね? だったら、世界初の人間ちゅわんとキカイノイドのホモセックスを、しよう!(提案)」

「そういうことは両者の合意があってこそだって、それ一番言われてるから」

「じゃあ、介人は僕のことが嫌いなのかい……?」

「そんな訳ないだろ! 俺だってガオーンが好きだよ!!」

 

 不安になったガオーンに対し、介人は即答する。

 

「だからこそ、今のガオーンはステイシーの攻撃でおかしくなってるって、はっきりわかんだね。普段のガオーンなら、俺が嫌がることは絶対にしないダルルォ?」

「そ、それは……」

 

 介人の指摘を受けたガオーンに動揺が走る。

 すかさず介人は、畳みかけるように声を上げた。

 

「ガオーン! お友達にな(った頃の気持ちを思い出して、元に戻)るんぜよ!!」

「ああああああああああああああああああああ!!!」

 

 苦しむガオーン。

 介人の言葉によって、インムトジルギアの呪縛が解けようとしてるのだ。

 

「僕は介人のことが好きだ……だから、介人ともっと仲良くなりたい……でも、好きだからこそ介人を傷つけたくない……」

 

 柔らかい受肉を露わにした果実が、鉄屑の上を血を噴きだしながら転がる様に、明確に鋭敏にガオーンは絶望に侵食された。

 

 二つの相反する感情の板挟みに、苦悶の声を上げ続けるガオーン。

 その様を見て、介人はついに一つの決断を下した。

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