「クダーッ!!」
バァン!(大破)
ステイシーが引き連れてきた数十体のクダックを、ものの数分ですべて片付けたゼンカイジャー。
敵がいなくなり、変身を解除した介人たちは、昏睡中のガオーンのもとに駆け寄った。
「う、羽毛……」
タイミングよく、ガオーンも意識を取り戻した様子。
真っ先に声をかける介人。
「おっ、ガオーン大丈夫か? 大丈夫か?」
「まぁ大会近いからね、しょうがないね」
「え? 料理大会が近いことと、なにか関係があるんすか?」
「おそらくまだ混乱しているのでしょう。おちんちんしゃぶらせて下さい、とか言わないだけヘーキヘーキ」
心配する介人の声に、意味不明な返答をするガオーン。
つながらない会話にマジーヌは疑問符を浮かべ、ブルーンが理由を説明した。
「介人。こいつ、いったん家に連れて帰ってやれよ。しょうがねぇなぁ(悟空)」
普段はいがみ合うこともある仲でも、いざとなったらガオーンのことを心配するジュランはキカイノイドの鑑。
「うん、そうだね。みんなはどうする?」
「俺らはステイシーの奴を探してみるわ。マジーヌ、ブルーン、ほら行くどー」
そう言ってジュランは、マジーヌとブルーンを連れてステイシーの捜索へと向かう。
残された介人はガオーンに肩を貸してやり、ゆっくりとした足取りでカラフルへの帰路に就いた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ガチャン! ゴン! トン!
カラフルのドアくんを開けて中に入る介人たち。
まずはフラフラのガオーンを椅子に座らせてやる。
「……あれ?」
ふと介人が、ある違和感を覚えた。
ガオーンの顔をマジマジと見やると、その正体に気づく。
「どうしたの、介人?」
「ガオーンの顔って、そんなに汚かったっけ? なんか、黄色い肌がウンコみたいに茶色くなってるよ。それに、鼻の横に醜いイボまでできてるし……」
そう、ライオンを思わせるガオーンのカッコよく整った顔が、まるで排泄物を擬人化したかのようなクッソ臭そうな、不潔な顔面へと変貌してしまっているではないか。
だが当のガオーン本人はそのことに気づいていないのか、それとも気にしていないだけなのか、話をそらす様なそぶりを見せる。
「そんなことより喉渇いた……喉渇かない?」
「あー、のど渇きましたね」
「なにか飲み物持ってくるね。ちょっと待ってて」
介人が止める前に、ガオーンは台所に入っていった。
「…………」
ジョロロロロロロ……ドンッ……カッ! サッー!(迫真)
冷蔵庫から飲み物を取り出し、コップに注ぐ。
さらに、どこからか取り出した謎の白い粉も注ぎ入れたガオーン。
素知らぬ顔で二つのコップを持つと、介人の元へ戻る。
「お待たせ! アイスティーしかなかったけど、いいかな?」
「はいはい!」
コップを受け取った介人はノドの渇きをいやすため、一息でコップの中身を飲み干した。
介人がアイスティーを飲む様子を、ガオーンは野獣のような眼光で見つめる。
「う、羽毛……」
コップを開けた介人は、瞬時に意識を失いその場に倒れこんだ。
ガオーンが介人のアイスティーに注ぎ入れた粉末の正体は、強力な睡眠作用を持つ眠り薬、通称『ホモコロリ』だったのだ。
強制的な眠りにつかされた介人を、ガオーンは野獣の眼光で黙って見下ろしていた……。
舞台暗転。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
暗がりが晴れ画面が映ると、そこはカラフルの奥にある介人の私室だ。
そこには驚くべき光景が。
先ほどガオーンに眠らされた介人が、全裸の状態でベッドの上に横たわっているではないか。
さらにその両手足は、タオルかなにかで拘束されている。
布の端はベッドの柵に結ばれ、今の介人は大の字の姿だ。
「すっげえ白くなってる。はっきりわかんだね」
介人を裸に剥き四肢を縛り上げた犯人は、誰あろうガオーン。
介人の裸体を眺めながらガオーンは、その日に焼けていないまっさらな肉体に食い入る。
「今回調教する青年は介人っ。ハンサムなマスクと、均整のとれた体。まだ21歳のこの青年は、ボクの調教に耐ヱる事が出来るでしょうか? それでは、ご覧下さヰ」
画面の向こうに語り掛ける様に言葉をもらすガオーン。
一通り介人の肢体を目に焼き付け満足したのか、続けて彼の体を丹念に舌で舐め始める。
「ハァ……ハァ……キシュ! キシュン! キュイッ! チュパ……チュパ……」
無抵抗の介人の裸体に、一心不乱に舌を這わせるガオーン。
赤ん坊が母親のミルクを求めるように、男である介人の乳首を吸いだした。
「ガオーン!? なにしてんすか? やめてくださいよ本当に!」
乳首に感じる違和感で、介人が目を覚ました。乳首感じるんでしたよね?
想像だにしない現実に驚愕する介人。
そんな介人を意にかけることなく、ガオーンは冷静に言葉を発する。
「暴れるなよ……暴れるなよ……」
「カオマンガイさん!? ちょっと、まずいですよ!」
驚きのあまりガオーンの呼び名を間違える介人。
「助けてヤッちゃん! ……いや、ヤッちゃんにこんな所見られるのはやはりヤバい。助けてセっちゃん!」
「無駄だよ、ヤツデもセっちゃんも外出中。界賊ちゅわんたちも、今は世界の美味しいもの食べ歩き旅行に出かけてるはずだよ」
祖母もダメ、マスコットもダメ。
最近この世界にやって来た『世界海賊』を名乗る、ゾックス率いる『ゴールドツイカー一家』にも助けを求める介人だが、どうやらそれも無駄らしい。
「それに今のカラフルの扉は、僕の『どうぞ』という声にしか反応しないのさ。だからジュランたちが帰ってきても、家の中には入ってこれない」
残る頼みの綱であるジュランたちへの希望も断たれた。
ガオーンの用意周到な策からはあぁ逃れられない!
「誰も来ねぇよここ。すっげぇ山奥だからさ。(意味不明)誰も助けに来ないんだよ介人? えぇ? 絶対助からねぇよ?」
「ガオーン、やめロッテ!」
「介人のことが好きだったんだよ!」
「!」
迫真の告白をするガオーン。その流れで介人に熱烈な口づけをほどこす。
しかし、すれ違う二人の心にとってそれは、不幸せなキスにしかならなかった。
「いくら好きだからって、無理やりこんなことしちゃあ……ダメだろ!」
「介人は前からずっと、『世界初のことをやりたい』って言ってたよね? だったら、世界初の人間ちゅわんとキカイノイドのホモセックスを、しよう!(提案)」
「そういうことは両者の合意があってこそだって、それ一番言われてるから」
「じゃあ、介人は僕のことが嫌いなのかい……?」
「そんな訳ないだろ! 俺だってガオーンが好きだよ!!」
不安になったガオーンに対し、介人は即答する。
「だからこそ、今のガオーンはステイシーの攻撃でおかしくなってるって、はっきりわかんだね。普段のガオーンなら、俺が嫌がることは絶対にしないダルルォ?」
「そ、それは……」
介人の指摘を受けたガオーンに動揺が走る。
すかさず介人は、畳みかけるように声を上げた。
「ガオーン! お友達にな(った頃の気持ちを思い出して、元に戻)るんぜよ!!」
「ああああああああああああああああああああ!!!」
苦しむガオーン。
介人の言葉によって、インムトジルギアの呪縛が解けようとしてるのだ。
「僕は介人のことが好きだ……だから、介人ともっと仲良くなりたい……でも、好きだからこそ介人を傷つけたくない……」
柔らかい受肉を露わにした果実が、鉄屑の上を血を噴きだしながら転がる様に、明確に鋭敏にガオーンは絶望に侵食された。
二つの相反する感情の板挟みに、苦悶の声を上げ続けるガオーン。
その様を見て、介人はついに一つの決断を下した。