さすがに不定期だと楽しみにしてくださってる方々に申し訳ないので、活動報告とかで進捗とか投稿予定の告知とかしていこうかなーとか思ってます。お気に入りユーザー登録とかしたら活動報告あげてるとかってわかるんですかね。登録したてで機能よくわかってないので、すみません。
なので、もし余裕があれば活動報告とかチェックしてくださればと思います!長々とすみません、本編へどうぞ!
四月十九日、皐月賞。中山レース場がまだ改修工事で使えないので、東京レース場での開催になっている。
『さあ最後に本日の一番人気が入場します!』
ターフの上に立ち、バ場の状態を確認する。
小雨が降ってはいるが、それほどターフは荒れておらず、状態は良。雨や不良バ場が嫌いな私だが、このぐらいなら問題なさそうだ。
『シンザン、本日は二枠六番での出走です!』
『スプリングステークスでは余力を残した走りで圧倒的強さでした。本日はどのような走りをするのでしょうか』
視線を落とす。そこに見えるのは、赤と黒の可愛らしい勝負服に身を包んだ自分。
視線を上げる。そこに見えるのは、東京レース場に押しかけた観衆が、私の体を叩くように大歓声をあげている姿。
視線を横に向ける。隣にいるのは黄色を基調にして、赤の差し色が入った勝負服に身を包んでいるウメちゃん。その奥にも、様々な色で彩られた勝負服を身につけているウマ娘が並んでいる。
クラシック三冠の初戦、皐月賞は、最も速いウマ娘が勝つと言われているレース。
もう、あと十分もしないうちに、このターフ上にいる同世代ウマ娘の最速が決定する。
『さあ、パドックでのアクシデントにより一名のウマ娘が出走取り消しになってしまいましたが、二十四人のウマ娘が今ここに出揃いました!』
一名欠けてしまったものの、全員の入場が終わり、ゲートへと向かう途中、いつもの位置にトレーナーを見かけたので、いつものように駆け寄る。
「よう、今日も牛みたいに落ち着いてんな」
「……それって褒めてるの?」
相変わらず、少し棘のあるトレーナーの言葉に、私は眉を寄せる。
ちなみに、今日はセカンドちゃんはいない。今日、東京レース場で六レース目に行われたレースに出場していたためだ。
「大舞台でいつも通りいられるってのも才能だ。あとはいつも通り、走ってこい」
「うん、行ってくる」
止めていた足を再び動かして、ゲートへと向かう。
皐月賞は、芝2000メートルのレース。東京レース場開催の今年は、一コーナー奥のポケットからスタートし、二コーナーを回ってからはスプリングステークスと全く同じコースを走ることになる。
ゲート前につき、いつも通り伸びをしているとファンファーレが鳴り始め、ゲートインの時間になる。
私は今日、二枠六番。ウメちゃんは二枠四番。今日二番人気のアスカは一枠三番。二十四人のウマ娘が出走する今回の皐月賞では、私は比較的内枠に位置しているが、私よりも内枠には力のあるウマ娘もいる。スタートして第二コーナーを目指すまでに激しい先行争いが起きるだろう。
『三冠の第一関門である皐月賞、いったい誰がクリアするのか!』
ガチャン、ガチャンという音を立てて、次々とウマ娘がゲートに入っていく。この音が鳴り止み、ファンファーレも終われば、レースが始まる。
不安も、緊張もない。ただ、ウメちゃんと走れる。他のウマ娘たちとも走れるという高揚にも似た感情だけが、凪のような私の心にさざなみを立てていく。
なんのために走るのか。何が理由で走るのか。小難しいことは私には分からないけれど。
今はただ、ありったけをこのレースに。
『ゲートが開き、各ウマ娘が綺麗なスタートを切りました!』
大歓声の中、綺麗な横並びでスタートを切る。
『さあ好位置を目指してそれぞれ二コーナーに向かいます!』
やはり、二コーナーまでは熾烈な先行争いになりそうだった。
私よりもインコースにはアスカ、ウメちゃん。外には四枠十一番のガルカチドリ、そして四枠十二番のバリモスニセイ。
私含め五人がほぼ横並びとなって二コーナーへと流れ込んでいく。
『さあハナ争いがガルカチドリとバリモスニセイにかわりました。続いてインコースには手練れのアスカ、そしてファイトモア、デネブ期待の星ウメノチカラ。本日の主役シンザンは余裕を持って好位置をキープしています!』
向こう正面中間から、三コーナー手前の坂に差し掛かるが、基本的な位置関係はあまり変わらない。小雨で視界が煙ってすこし見えづらいが、依然としてハナ争いはガルカチドリとバリモスニセイの二人だ。
『さあニユーキヨタケが三番手にあがり、シンザンはその後方、余裕十分で追走しています。シンザンに食い下がるようにタケシ、アスカとサンダイアルが中団やや前方でカーブに差し掛かります!』
三コーナーに差し掛かると、後方集団や中団に位置していたウマ娘たちがだんだんとペースを上げ、先頭集団に食い込んでくる。
でも、仕掛けるのは今じゃない。
『さあダイセイオーが仕掛けガルカチドリ、バリモスニセイに続き三番手に上がりました!』
ちらほらと、仕掛けるウマ娘も現れてきた。レースはすでに三コーナー中間から四コーナーに差し掛かるところ。すでに終盤といってもいい。
つまり、逃げウマ娘の脚が鈍ってくる頃合い。
仕掛けるなら、四コーナーからだろう。
『さあバリモスニセイの脚がやや鈍ってきたというところ、シンザンが上がってきました! インコースにはやや詰まり気味でアスカ、さらにウメノチカラと続いて最後の力走となります!』
四コーナーを立ち上がり、最後の直線。先頭を逃げていたバリモスニセイに並ぶ。
『各ウマ娘が横に散らばりました。シンザンがバリモスニセイに並び、続いてウメノチカラ、アスカが今度は外から来ました!』
直線に入ってしばらく。私はバリモスニセイを競り落として先頭に立つ。
『シンザン先頭に立って残り400、ウメノチカラが懸命に食い下がり大外からアスカが迫ります!』
インコースにはまだバリモスニセイが粘り、後ろにはウメちゃんが、外からはアスカが急接近してくる。
でも、このペースなら。
『ゴールまであとわずか、シンザンがトップです! アスカとウメノチカラが並び、シンザン依然リード!』
後ろでアスカがウメちゃんをかわしたようで、外から接近するのが視界の端にチラチラと映り込む。
『シンザン勝利か! ゴール寸前、アスカが急接近しますがシンザンリード、シンザンリード、シンザンが今ゴールイン!』
ゴール板を過ぎたので、いつも通り立ち止まり、電光掲示板へ目を向ける。
『シンザン、無傷の六連勝で皐月の冠を戴冠しました!』
『今日も余力を残し、他のウマ娘を寄せ付けない走りでしたね』
少しすると、電光掲示板がレースの結果を知らせる。
勝ち時計は2分4秒1、3/4の着差だったようだ。思ったより迫られていたが、勝ちは勝ち。最後はあのペースで正解だったようだ。
「っはあ……やっぱり、息も、切らしてないのね」
「……ウメちゃん」
息を整え、小雨と汗を拭いながらウメちゃんが声をかけてきた。
ウメちゃんは直線途中でアスカに競り落とされ、着順は三着になっていた。
「あと、二バ身と少し……本当、遠いわ」
タン、タンと何かを確かめるように、叩くようにターフを踏むウメちゃん。小雨越しに見るその表情は曇っておらず、微笑んでいるようにも見える。
「ダービーで、次こそ勝つわ」
キッとこちらを睨んで言ったウメちゃん。まっすぐとこちらを見据える目に、私はたじろぎそうになる。
「うん、ダービーで」
パラパラと小雨が降り、レース場が揺れているのではないかという大歓声。終わってみると、実にあっけない。
露に輝く緑のターフで、私は皐月を戴冠した。
この年の皐月賞もスプリングステークスと同じで、東京競馬場での開催でした。ちなみにこの時出走取り消しになったのはサッポロホマレという馬で、レース前に騎手を振り落として甲州街道を爆走するという大胆な脱走をしました。
以上、補足でした。
書いててやっぱり、レース表現が難しいですね。今回実はレースのところ三人称で書いてて、んでシンザン視点も書いてみて、シンザン視点のほうがまだいいなってことで一人称の方を掲載しています。表現力が欲しいですねえ。
いつも感想、評価ありがとうございます! あたたかな感想が私の動力源なので、まだまだお待ちしてます!