ストライク・ザ・ブラッド ~暁古城が……~   作:天狐空幻

11 / 18
やふぉ。
十話完成なのだ。
では、続きをどうぞ。


暁古城。幼子になる。 第010話

 謎の人形に飲み込まれ古城と紗矢華の二人。

 だが、飲み込まれても沙矢華は握った手を離さず引き寄せる。握っていたのは古城の腕で、そのまま古城を胸元に抱きしめる。

 古城も自身が引き寄せたのが沙矢華なのが分かっており、そのまま為すがままに抱きしめられる。

 だが、そこで古城が紗矢華の何所に抱きしめているか理解して頬を桃色に染め、更に吸血鬼としての騒動に駆られてしまう。

 吸血鬼の特徴の赤目に沙矢華は気付いた。

 最初は怒りの表情を浮べさせるが徐々に薄れ、頬を赤く染める。そして、肩の曝し古城の口元に近づける。

 その動作に困惑する古城、だが衝動に耐え切れず鋭い牙を表す。そして、二人の影が重なる。

 

 

  ◆

 

 

 学校を早退して雪菜は行方不明な古城を探す。

 途中まではアスタルテと共に捜索していたが、手分けして探せば発見率が上がるとアスタルテの提案を呑み分かれ。雪菜は周囲の通行人に子供を見なかったと訊きながら探し回っていた。

 通行人の聞き取りには手掛かりらしき話はなく、途方に暮れる雪菜ではあったが決して足を止めずに走り続ける。

 

「古城……どこに……」

 

 不安が募り、顔に影が差す。

 もし、この様な状態で古城が襲われれば……最悪の想定が脳裏に走り、雪菜の心は締め付けられていく。

 探さねば。でも何処に……。

 雪霞狼を入れたギターケースのベルトを強く握り締め、古城は無事だと自身に言い聞かせる。そんな中、

 

「ッ、今の呪力は……」

 

 微かであるが攻撃性のある呪力。

 魔力を感じた方角に向かって走り出す。

 誰の呪力かは不明だが攻撃性のある術を使っている以上は、誰かが戦っているはず。もしかすれば古城が……。雪菜は、自身の出せる最大速で走り抜ける。

 狭い裏地を右に左にと走りぬけ、そろそろ呪力を感じた場所に到着しようとした瞬間、

 

「ッ!?」

 

 暴力的な魔力が南地区(サウス)を大きく揺るがす。

 雪菜はその暴力的な魔力に覚えがあった。いや、知らない訳がないのだ。何故ならこれは、

 

「第四真祖の眷獣!?」

 

 耳を刺す不愉快いな高周波。

 顔を顰めながらもギアーケースから雪霞狼を取り出し、戦闘態勢になり廃墟の建物に突入する。

 

「あれはッ!」

 

 緋色の双角獣(バイコーン)

 それは嘗て、黒死皇派が持ち出した古代兵器『ナラクヴェーラ』と戦う際に紗矢華の吸血で掌握して手懐けた眷獣。

 第四真祖焔光の夜伯(カレイドブラッド)9番目の眷獣『双角の深緋(アルナスル・ミニウム)』。

 高周波振動が廃墟を震わせ周囲に甚大な被害を齎す。

 

「紗矢華さん! 古城!」

 

 地面に倒れた二人の上に双角の深緋(アルナスル・ミニウム)が立ち、その前方に液体らしき物体に立ちはだかる。

 雪菜はその場の状況を瞬時に理解。自身の持つ槍を構える。

 

「――獅子の神子たる剣巫が願い奉る。破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

 雪菜の祝詞で七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)に施された"神格振動波駆動術式(DOE)"の術式が浮かび上がり煌く。

 術式が発動した雪霞狼を液体らしき物体に投槍する。

 雪霞狼が液体の物体に刺さると、液体は甲高い断末魔を上げながら蒸発していき消える。

 その物体が蒸発して消えると同時に双角の深緋(アルナスル・ミニウム)も蜃気楼の様に掠れていき消えていく。

 廃墟に静けさが戻ると雪菜は二人に駆け寄る。

 

「……二人とも命には別状はなさそうですね」

 

 外傷らしきものもなく呼吸もしているし脈も正常、それらを確認して安堵する。

 だが、紗矢華の肩部分が露出しており噛まれた跡が見受けられる。その跡を見た瞬間、雪菜の目が座り溜息をついた。

 

「本当に目を放すとすぐに別の女性に手をだすんですから……紗矢華さんも満更じゃなさそうですし……」

 

 「これで三回目ですか。そうですか」っと内心、助かったのだが良いのだが複雑な気分になる。すると後ろから呪術反応がして後ろに身構える。

 

「南宮先生。それにアスタルテさんも……」

 

「ふん。どうやら暁も転校生も無事のようだな」

 

「無事でなによりです」

 

 敵でないことが分かった肩の力を抜く。

 その後の動きは速かった。

 管理公社に那月は連絡して特区警備隊(アイランド・ガード)の出動を停止、雪菜たちには帰れと言い残し空間制御の魔法で姿を消した。

 アスタルテと雪菜たちは一緒に二人を連れて暁家の家に帰っていった。

 自宅に帰るまで襲撃に備えるも襲われることもなく無事に帰宅。古城は自室のベットに寝かせ、紗矢華はソファーに寝かせる。

 

「ありがとうございます。アスタルテさん」

 

「いえ、気にしないで下さい。ミス姫柊」

 

 その後、アスタルテは無事に帰宅したことを那月に報告すると言って家から出て行き雪菜一人となってしまう。

 噛まれてしまった紗矢華の肩部分を手当てした後、古城の傍に座り頭を撫でる。

 特に抵抗もなく、逆に気持ち良いのか安らいだ表情を浮かべ眠る。

 

「これでは監視役失格ですね。もっともっと監視を強化しないと……」

 

 四六時中呪術で監視しようか。っと結構怖いことを考える雪菜。すると、リビングの方から物音がした。

 古城の部屋から出てリビングに向うと紗矢華が起き上がって驚いた表情を浮べていた。

 

「ここって確か暁古城の……」

 

「はい、古城の家ですよ。紗矢華さん」

 

「えっ雪菜!?」

 

 ソファーから起き上がり、自身がどこに居るのか疑問に思う紗矢華に答える雪菜。

 背後から急に答えられて驚くも知った声に、驚きと喜び半々の表情を浮べる。

 

「気分はどうですか紗矢華さん?」

 

「えっ……あっ、そっか。私、変な人形に襲われて……ッ、暁古城は無事なの!?」

 

 記憶の混乱しながらも自身に起きた出来事を思い出そうとする。

 そこで、自身を庇って飲み込まれた古城のことを思い出し雪菜に問う。

 

「古城は今ベットに寝てます。外傷もなく無事でした」

 

「そう。それなら良いのよ……」

 

「紗矢華さん。いったい何が起きたのか教えて下さい」

 

「えぇ、もちろん」

 

「それと、血を吸わせた経由も教えて下さいね。紗矢華さん」

 

「…………」

 

 冷汗が止まらない紗矢華。

 目の前には愛らしい雪菜が笑顔を向けている。だが、目が笑っていなのことは紗矢華はすぐに分かった。

 無論、言い訳ではないが事情もある。

 やましい気持ちもない。

 でも、何故この様に後ろめたい思いがあるのか分からない紗矢華は内心、全て古城が悪いのだと思うのだった。

 起きた出来事を紗矢華から聞いた雪菜は顔を顰める。

 

「今回のことで分かりました。古城を子供にした犯人と今回の襲撃犯、それらの犯人は同一人物か共犯者の可能性が高いですね」

 

「どういうこと雪菜?」

 

 疑問に雪菜は丁寧に答える。

 

「そもそも、第四真祖が誰なのかは一般的には知られておらず噂程度しか分かりません。それなのに古城は子供にされ、昨日を含めて二回も襲撃された。幼児化と襲撃、これらの出来事が一度に起こるなんて偶然と片付けるのは無理です。そして、犯人は古城が第四真祖と知って襲ってきています」

 

「確かに幼児化と襲撃が重なるなんて偶然にするには無理よね。でも、じゃぁ犯人は何が目的で暁古城を殺そうとするの?」

 

「そこですよ紗矢華さん。犯人はなぜ第四真祖である古城を狙うのか、そこが解らないんです」

 

 紗矢華の疑問に雪菜が声を上がる。

 

「絃神島を第四真祖が夜の帝国(ドミニオン)として治め、それを奪い取ろうというなら理解できます。ですが今現在の第四真祖を倒しても意味もなく、精々「第四真祖を討った」という名声しか手に入りません。それに、第四真祖は噂程度の存在で、周囲から信憑性はありません」

 

 現段階で無理して第四真祖を殺しても意味がない。

 それが雪菜の考え。その考えに沙矢華も同意する。

 では、敵はなぜそこまでして第四真祖を殺そうとするのか。

 二人は途方に暮れていると玄関から扉が開く音が聞えた。

 

「もしかして凪沙ちゃんでしょうか……。でも、まだ午後の授業があるはずですし……」

 

 昼を過ぎてまだ学生が帰宅するには早い時刻。では、いったい誰が帰って来たのか疑問に思う。

 

「あら、あなたたちは波朧院で古城君と一緒にいた……そうそう雪菜ちゃんと紗矢華ちゃんだったかしら?」

 

「おっおばさま!?」

 

 帰ってきたのは古城と凪沙の母親である暁深森だった。

 連絡しようにも連絡が付かなかった人物が突然帰宅してきたことに驚く。

 

「どうして雪菜ちゃんが家に……まさか、家族増えちゃうの、私もうおばあちゃんなっちゃうの?」

 

「いえ、増えませんしなりません。落ち着いてくださいおばさま」

 

 以前、波朧院で初めて会ったときと同じセリフに雪菜は溜息混じりに否定する。

 否定され少し詰まらなそうに唇を尖らせるが、いつもの元の表情に戻る。

 

「それで、古城君はいるのかしら?」

 

「古城でしたら部屋に……」

 

「そう」

 

 質問を聞いた深森は古城の部屋に入り布団を引っぺがす。

 子供の古城を見た深森は額に手を当てて目を瞑り意識を集中させる。

 

「……やっぱし、呪術的な何かがあるのは確かね。でも、何かしらこの呪術……見たことない呪術ね」

 

 子供のなってしまった古城に眉一つ動かす事無く冷静に分析する深森に雪菜たちは驚きを隠せない。

 暁深森には触れるだけで診察が出来る医療系の接触感応能力(サイコメトラー)過適応能力者(ハイパーアダブター)である。

 

「何があったか……って訊いても答えてくれないわよね」

 

「すっすみません」

 

 古城は母親に第四真祖になっていることは秘密にしており、今回の事件の経緯を説明するとなると古城が真祖になってしまったことを説明しなければならない。

 深森自身も深く追求する気はないのか少し微笑んだ後、部屋から出る。

 

「あの、おばさま。昨日、MARに連絡したんですけど所在不明と返事がきたんですが、今までどこに?」

 

「んっ……あぁそれね、少し野暮用があったのよ。ゴメンなさいね連絡できなくて」

 

「いえ、用事があるのでしたら仕方ないです。では、なぜ今になって帰宅したのです?」

 

「那月ちゃんに連絡が入ってね。自宅に帰る序に診察しようと思ってね」

 

「序ですか……」

 

 普通、逆じゃないだろうかと雪菜は思う。

 深森は自身の部屋に戻り、何か封筒らしき物を持って出てきた。そして、そのまま玄関に向かっていく。

 もう家から出て行くのかと思い慌てながら追いかける雪菜。

 玄関で靴を履き雪菜に振向く。

 

「雪菜ちゃん。一様は診察してみたけど、やっぱし何らかの呪術が施されてるわ。すぐに命に関わる物じゃないけど古城君のことお願いね」

 

「そっそれだけですか? 心配したりとか……」

 

 その態様は母親としてどうだろうと思うと、深森は微笑んだ表情を見せる。

 

「あの子ももう子供じゃないのだし、あっ今は子供ね。とにかく、古城くんの傍には雪菜ちゃんが居てくれるんだし心配はないでしょ」

 

「それは……」

 

 自身が古城の監視役なんて説明できずに口篭ってしまう。

 

「それじゃ、まだ用事があるから。古城くんのこと、お願いね」

 

 そう言い残した深森は家から出て行った。

 残された二人。

 嵐が過ぎた後の静けさに唖然としてしまう。




今回、暁深森が登場しました。
診察してさっさと用事で出かけていきました。どうやら色々としてるようです。

さて、一話前の話で紗矢華が使っている業なのですが原作9巻で出てきており、元は八将神がモデルみたいですね。何度か読み返したのですが……業の出し方合ってるか不安です。
間違ってたら指摘してくれたら幸いです。

それと、今色々なIFを考えてます。
もしかしたら投稿するかもしれませんのでお楽しみに……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。