ストライク・ザ・ブラッド ~暁古城が……~   作:天狐空幻

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長らくお待たせしてすみません。
私用で色々としていたら執筆する暇が無くて投稿する事が出来ませんでした。
では、続きをどうぞ。


暁古城。幼子になる。 第011話

 深森という嵐が過ぎ去り、暁家に静けさが戻る。

 二人になった雪菜たちは仕方なく古城の面倒を見る事にしていた。

 そこで、雪菜がある事に疑問を浮べて紗矢華に問うた。

 

「あの、紗矢華さん」

 

「なに雪菜?」

 

「古城が襲われて助けたのは分かりましたが。何故、あんな場所にいたんですか? アルデアル公の監視の任務でしたよね?」

 

 紗矢華は外事課で多国籍魔導犯罪を担当している功魔師である。

 本来なら大使館に居座るディミトリエ・ヴァトラーの監視の任務をしている筈なのだ。

 

「それね。実は突然アルデアル公がオシアナス・グレイヴⅡで島から離れたのよ」

 

「アルデアル公がですか?」

 

「そう。急な移動で私もする事がなくなってね暇になったから雪菜に会いに行こうとしてたのよ。そしたら、団子屋の縁台に暁古城らしき子供が座ってて、気になって監視してたら急に女性らしき人物と一緒に裏道に走っていくもんだから追いかけたら事件に遭遇した訳なの」

 

 アルデアル公であるヴァトラーが絃神島から離れている。

 雪菜はそれは何か嫌な予兆に思えて仕方なかった。

 古城が子供になる。襲撃される。ヴァトラーが絃神から離れる。

 この様な色々な出来事が一度に起きる。そこで、雪菜は大きな流れが蠢いているのではないかと思ってしまう。だが、用心に越した事はないと思う。

 

「それで、紗矢華さんはこれからどうするんですか?」

 

「本来の目的の雪菜にも会えたし師家さまの所に戻ろうと思うの。それに、ほら、緊急時とは言え"煌華鱗"を無断で使用しちゃったし……」

 

「ああ……」

 

 空笑いして落ち込んでしまう紗矢華にどう答えたらいいか迷い、以前の事を雪菜は思い出してしまう。

 師家こと縁堂縁は気まぐれな人物で以前は罰ゲームとしてメイドの格好にされていた事を思い出し雪菜も頬を釣る。

 

「まぁ人命救助って事で酌量の余地はあるかと……」

 

「それでもあの人はやりかねないわよ」

 

「…………」

 

「今度はなにされるか……」

 

「げっ元気出してください!」

 

「……それもこれも全部が暁古城のせいよ!」

 

「まぁそうですね。古城が勝手に出歩かなければこの様な騒動にはならなかったですし……」

 

 同情を禁じえない雪菜は溜息をつくと、見られている気配をして視線を向ける。

 視線の先にいたのは古城だった。扉を少し開けて覗き込む古城に愛らしき思うが勝手に出歩いたことに怒らねばならない。

 立ち上がった雪菜は少しだけ開いた扉に握り全開にさせる。

 「あっ」と小さく驚いた声をもらす古城、そして視線を雪菜に向ける。

 

「うっ」

 

「こっちに来て下さい古城」

 

「えっと……」

 

「来なさい」

 

「はい」

 

 雪菜に連れられリビングに導かれる。

 そして、互いに向き合うようにソファーの上に正座して座る。

 硬い床でないあたりは甘々なのだが、今の古城が子供なのでしかたないのかもしれない。

 

「何故、勝手に出歩いたんですか?」

 

「…………」

 

「……黙っていても分かりませんよ」

 

「うっ……」

 

 少し涙目になる古城。

 自身が悪い事をしたのは判っているも、それを中々言い出せない。

 そのようなやり取りを紗矢華はハラハラしながら見守る。

 そして――

 

「ごめんなさい」

 

 涙声で確かに謝罪をした。

 

「もう勝手に出歩かないこと。反省してください」

 

「……うん」

 

「本当に反省してくださいね」

 

 ポロポロと涙を流すも声を上げない。

 それが男の子としての意地なのか分からないが、そんな古城を雪菜は優しく撫でて抱きしめる。

 それが引金のなり声を上げて泣き出してしまう。

 雪菜は泣きじゃくる古城の背中を擦りながら微笑む。

 

「……まるで母親ね」

 

「何か言いましたか紗矢華さん?」

 

「ううん。何でもないの本当になにも……ね」

 

 古城に好意を寄せている紗矢華は複雑な心境だ。

 すると、ある程度落ち着いた古城は紗矢華に向く。

 

「キラサカ」

 

「んっ何よ?」

 

「たすけてくれてありがとう」

 

「ッ!」

 

 泣いて瞳を赤く染めながら助けてくれた事に感謝の言葉をもらす古城に、紗矢華も心を鷲掴みにされる。

 「なによ暁古城のくせに、暁古城のくせに」と内心悶える。

 これが惚れた弱みなのだろう。

 

「良く言えました古城」

 

「……うん」

 

 すなおに感謝を述べた古城を褒める雪菜。

 古城はそれに良くし、一度離れて紗矢華の方に向かい抱き付く。

 急な行動に二人は驚く。

 

「ちょっ何抱きついてるのよ!?」

 

「ううん。だめぇ~?」

 

「いや、ダメって訳じゃないけど……」

 

 今は子供である為に引き離すことも出来ない紗矢華は困惑して雪菜に助けを求める視線を向ける。

 だが、雪菜は微笑んだ状態で助けようとしない。

 

「すみません紗矢華さん。古城のしたい様にさせて下さい」

 

「うぅ~……こっ、今回だけなんだからね!」

 

 そう述べるのだが内心「かっ可愛い……」と思っている紗矢華。

 飲物を用意した雪菜はテーブルにカップを広げて寛ぐ。

 本来ならよそ様の家で寛ぐなど駄目なのだが、古城の監視を優先しなければならない以上は暁家で居なければならない。

 それから古城は紗矢華の腕の中で眠る頃には夕刻になっていた。

 

「そろそろ、お暇しないと……暁古城の妹も帰ってきそうだしね」

 

「やっぱし苦手ですか?」

 

「まっ出会い方が悪かったしね……」

 

 紗矢華と凪沙の最初の出会い方は、お世辞にも良いとは言える物ではなかった。

 その頃の紗矢華は暁古城に殺意を覚えており、最も仲の良かった雪菜を奪った仇的存在でしかなかった。更に男嫌いも相俟って増加させてしまった。

 今ではあの様な出会い方をしなければよかったと後悔する紗矢華だった。

 

「それじゃまた会いましょ雪菜」

 

「はい。気をつける下さいね」

 

 眠っている古城を手渡し獅子王機関絃神島出張所に戻っていった。

 その後は凪沙が帰ってくるまで雪菜は子守唄を口ずさみ続けた。

 

 

   ◆

 

 

「任務失敗か……」

 

「まさかぁ、あの場所で獅子王機関の舞威姫にぃ出会うなんてぇ予想外にも程があるわぁ」

 

 闇に言霊する声。

 

「一人ニナッタ所ヲ攻メタンデスガネ……」

 

 沈黙が闇が支配する。

 

「それよりぃ第二段階の方はぁ大丈夫なのぉ?」

 

 少しボヤけて伸びた女性の声。

 その声が太い声の男性に語りかける。

 

「そこは大丈夫だ。"空隙の魔女"に悟られておらず、スポンサーのバックも十分機能している」

 

「デワ、次ノ段階ニ移行スルノデスカ?」

 

 片言言葉を喋る男性の問いに頷く。

 

「では次の段階に入るまで各自散開、別命あるまで身を隠せ。周囲の者どもに悟られるなよ?」

 

「了解デス」

 

「えぇ、またねぇ」

 

 女性と方言葉の男性の二人の気配が消滅。

 残り一人、男性だけがその場に居続けた。

 

「これで第二段階は終了しました」

 

「…………」

 

「はい、その辺りは手筈道理になっております」

 

「…………」

 

「分かっています。その辺りも手配済みです……では、失礼します」

 

 その言葉を残し、最後の一人は闇へと消えていく。

 




さて、実はこれと同時期にブラック・ブレットの二次小説を執筆しています。
一様はこちらをメインで書いておりますが、細々と書いて投稿しようと思います。
それと、ストブラのIFのプロット完成しましたのでこちらもぼちぼち執筆すると思いますので楽しみに待ってて下さい。
それでは、次のお話をお待ち下さい。
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