第七話をどうぞ。
暁古城が幼児になって翌日。
鳥の囀りが朝の訪れを奏でる。母親は子の為に朝食を、父親は仕事場に、子供は学校に行く準備をしている時間帯。
暁家にも朝食の香ばしい匂いが部屋を充満しており、その良い匂いに釣られて暁古城が目を覚まして部屋から出てきた。
「おはよぉ~……」
「あっお早う古城君!」
リビングに姿を現した古城に朝食の調理をしていた凪沙が気付き挨拶を交わす。眠たそうだが懸命に起きながらウトウトしている古城、その姿が可愛くて仕方ない凪沙。
調理を一度止めて古城の身支度を手伝う事にした凪沙は、一緒に洗面所に向かい手伝っていると家のチャイムが鳴る。
雪菜が来たのだろうかと思い返事をしながら扉を開く。
「今日は速いね雪菜ちゃんってアレ?」
「お早う凪沙ちゃん」
「浅葱ちゃん!? どうしたのこんな早くに!?」
最初はお隣の雪菜が来たのだと思っていた凪沙は、驚きながらも家に入れる。すると洗面所から身支度が終えた古城が出てきて浅葱の存在に気付いた。
「アサギ!」
「お早う古城」
走って抱きついて来る古城を受止め頭を撫でる。急な来訪に驚きながらも嬉しそうな古城に浅葱も嬉しいそうにする。
「ここでじゃ何だから家に上がってよ。コーヒー作るから」
「ゴメンね急に来ちゃって」
「良いよ良いよ。私も朝から浅葱ちゃんに会えて嬉しいし。そうだ朝食食べてきた? 食べて来てないなら準備するよ? 今日は普通の日本食なんだけどパンとかサラダとか準備できるから洋食も簡単に出来るし。流石に凝った料理は出来ないけど欲しいなら今からでも……」
「大丈夫だからストップよ凪沙ちゃん」
朝からハイテイションのマシンガントークに流石の浅葱も疲れてしまうのか待ったを掛ける。三人はリビングに向かい古城と凪沙は朝食を、浅葱は準備してくれたコーヒーで一服していると、また家のチャイムが鳴る。
朝食を取っていた凪沙は食事を中断して玄関に向かって出迎える。来ていたのは最初に予想していたお隣の雪菜だった。
「お早う御座います凪沙ちゃん」
「うん。お早う雪菜ちゃん」
朝の挨拶を済ませ家に入ろうと玄関に上がろうとして雪菜が見慣れない靴に気付いた。誰かが来ているのだろうか思い凪沙に聞く。
「誰か来ているんですか?」
「あっうん。さっきね浅葱ちゃんが来たの」
「藍羽先輩がですか?」
学校に向かわず態々このマンションに来るなど手間を掛けるなど雪菜は思ったが、一瞬で疑問が解けた。
昨日と今日の違い。暁古城が子供かそうでないかの違いだ。
リビングに向うと古城の隣で食事の手伝いをかいがいしく手伝っている姿が最初に目に入る、雪菜は少しムッとしてしまう。
「あら、お早う姫柊さん」
「……お早うございます藍羽先輩」
互いに挨拶を交わす。
だが、それは表面上の事で裏では互いの視線がぶつかりスパークさせている。
ともあれ既に古城の食事の手伝いは浅葱がしているので雪菜が出る幕はなく、朝食が古城たちの食事が終わるまで凪沙が用意してくれた
朝食を終えて古城と共に学校に向かう為に準備に取り掛かる。だが――
「私が手伝いますので藍羽先輩は休んで下さい」
「別に大丈夫よ。姫柊さんこそ直ぐに終わるから待ってて」
誰が古城の着替えを手伝うか揉めていた。
雪菜の主張は『藍羽先輩は食事の手伝いをしてくれましたし着替えは私が代わりにします』。
浅葱の主張は『食事も手伝ったんだから最後までするわ』。
どちらも言っている事は正論なのだが、裏では古城の手伝いをしたいだけだった。
互いに牽制し合っていると古城が着替え終えていた。
「どうしたの2人とも?」
「「えっ!?」」
着替え終えた古城が不思議そうに2人を見る。
だが、一番驚いているのは2人の方だった。
一体誰が?
「何してるの2人とも。遅刻しちゃうよ?」
2人は『凪沙ちゃんか!』っと思う。
そう言えば、先程から気配が消えていたと2人は思っていたが先を越されるとは思ってもいなかった。
思わぬ伏兵に2人は、凪沙を要注意人物としてマークするのだった。
朝から無駄なハプニングはあったが四人は無事にモノレールの乗り、彩海学園前の駅で降り学校に登校する。だが、やっぱし登校中は周囲の生徒達に注目の的になってしまう。
これを二度体験する雪菜と凪沙はある程度は耐えられるも始めての浅葱は表情を歪ませ嫌な顔をする。
「これは、くるわね……」
「あはは。凪沙たちも最初はそうだったよ」
「でも仕方ありません。それに、今は校内に広まっている噂をどうするかです」
視線が注目されるのは仕方がない。だが、校内に広まる噂はどうにかしないとっと思う雪菜に2人も同意する。
この魔族特区である絃神島では魔術のアレコレなど日常茶飯事で、何らかの魔術で子供になったとか獣人になったとか当たり前の出来事。
だが、それでも『古城の○○○の間の子供』などのデマが流れるのか意味が分からない3人。
誰だそんなデマを流した奴、ネットにある事ない事ばら撒いて社会的地位を失わせてやる。っと割と結構危ないことを考えている浅葱だった。
今日も古城をアスタルテに預けようと思っていると校内放送が流れた。
『中等部の姫柊雪菜。連れている暁古城と共に南宮先生の教員室に来るように』
「あれ? この声って……」
「笹崎先生ですね」
笹崎岬。中等部の教師で雪菜と凪沙の担任教師であり、武術と仙術を高いレベルまで極め”
担当の教師からの急な放送に驚く二人は互いに顔を見詰あい疑問を浮べる。だが、呼ばれた以上は行かねばならなく、浅葱と凪沙の2人と別れ古城と共に南宮那月が居るであろう教員室に雪菜は向う。
古城と共に南宮那月の教員室の前に到着して扉を開けると見慣れた人物が居た。
昨日も会った
それともう1人、白く輝く髪に宝石のサファイヤを思わせる瞳。雪菜と同じ中等部でその不思議な雰囲気と美少女っぷりから聖女と呼ばれている少女。
名は叶瀬夏音。アルディギア前国王の隠し子であり、嘗て義父から
「
「はい。雪菜ちゃん」
「うむ。空隙の魔女から聞いておったが……本当に古城が子供に成っておったはわ」
「ニーナさんも居たのですね」
夏音の胸に人形ぐらいの大きさの褐色肌の女性が抱っこされていた。
ニーナ・アデラード。270年以上前の時代に生きていた錬金術師の女性。
「あっカナセ、ニーナ!」
2人の姿を確認した古城は近付く。っで、古城はニーナを抱っこすると言い出したので夏音は渡す。
最初は上手く抱っこ出来ずに不安定だったがコツが掴み安定する。
「これ古城。上手く抱えんか」
「おっおもい……」
「我はそこまで重くないわ!」
女性に体重関係の話題は
遊ばれて目を回すニーナに気が気でない雪菜。すると、那月が空間制御魔法で瞬間に現れる。
「来ていたか転校生」
「お早うございます南宮先生」
「ああ、ソファーに座れ転校生。アスタルテ、私に紅茶を頼む」
「
「あの、南宮先生。今日は……?」
「今回は暁に付いて話がある」
雪菜は何故呼ばれたのか訊こうと那月に問う。
呼んだ理由を言って、アスタルテに淹れられた紅茶を一口含み話を切り出す。
「私なりに色々と今回の件に付いて考えた。何故、暁が子供になったのか……昨日の襲撃を垣間見て目的は暁の弱体化、或は無力化ことだったのだろう」
「弱体化……それは何故でしょう?」
「第四真祖の抹殺……または別の目的か」
互いに子供になった古城に付いて色々と思考を廻らす。
すると、2人に挟んだテーブルの上にニーナが這い上がってきた。
「ニーナさん」
「テーブルの上に立つな」
「仕方なかろう。今の我の身丈ではソファーには這い上がれんしの……。さて、先程の古城に付いての話じゃが、そもそも神の呪いと言わしめている吸血鬼を覆すほどの呪術など存在するのか? あったとしても、その呪術を発動する為の膨大な魔力など何処から掻き集めたのか」
ニーナの言葉に二人は聞き、確かだと思う。
例え失われた秘術が存在したとして術は術だ、魔力が無ければ術は発動しないし足りなくとも発動しない。
それに、それだけの魔力が動けは雪菜も那月もニーナも気付かない訳がない。
「昨日、アスタルテたちを襲った魔力物体の魔力残留を調べたがこれと言って良い結果は出なかった。かなり遠くから遠隔操作していたようだ、証拠も何もない」
「私も昨日の襲撃に警戒してマンションに呪術及び人物感知の術式を張り巡らせましたが……何一つ感知はしませんでした」
「……八方塞だの。完全に後手に回っとる」
三人は互いに頭を傾げて悩む。
真祖の呪いを覆し子供にした方法。何故、古城を子供にしたのか。何が目的なのか。どうすれば古城を元に戻せるのか。考えなければならない事が多く悩んでいると夏音と古城の2人の笑い声が部屋に木霊す。
「それは弄ってはだめでした」
「これもダメなの?」
「はい」
「じゃっ、こっち!」
「「「…………」」」
三人の横目に遊ぶ古城。
真面目に事を考えているのに当の古城は我関せずな姿に溜息がつく。
「真面目に考えているのが馬鹿らしく思ってくるな」
「今の古城は子供なのだし仕方ないのではないのか?」
「あはは」
空笑いして誤魔化す雪菜。
すると予鈴が校内に響く。
「……今は打つ手がない。管理公社の情報が出るまで暁を守れよ」
「勿論です。私は古城の監視役ですから」
夏音を出したのに会話させる場面がない!
今回は古城の状態の打破はどうすればいいのかを話し合うパートでした。
もう少し夏音と古城の話を入れたかったんですが、別の場所にしようと思います。
夏音、アスタルテ、この2人は会話文が書きにくいキャラで難しいです。
法則性はあるとは思うんですけどね。それを会話文に変換させるのが大変、それでも書きたいですけどね。
後、ラ・フォリアを出したい。でも、出す場面が思いつかない。
上手く工夫して出さないと……。ラ・フォリアが好きな方はもう少しお待ちを、絶対に出させます。