仮面ライダーエグゼイド異伝 パラドックス・ゲーム   作:たんぺい

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序章

-私が、既に神に匹敵する才能である事は言うまでもない事だ-

 

プロトマイティガシャット、その中に潜む『神の才能』。

壇黎斗、壇コーポレーションの元社長にして仮面ライダーゲンムとして神の才能を元に戦ったゲームクリエイターは一人考える。

 

この発想は、決して自惚れではない。

彼はあらゆるジャンルのゲームを開発し、あらゆる可能性を開拓し、時に試練を与え時に恵みを与える者。

ゲームクリエイターという側面を飛び越えた時代を超越する寵児。

かつては自らを『神』と定義した彼は、まさにその名に相応しい存在とも言える。

 

「だが、私はあくまでもクリエイターなのだ。

創作のアイデアと刺激、それらは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

料理人の出す皿は食べる者が居て初めて成り立つように、大工が建てた宮殿は住まう王が居てこそ荘厳なように。

ゲームとはプレイヤーありきでこそ、だ。私は神に匹敵し、或いは凌駕する才覚はあれど私の人生における『主役』は決して私ではない。

私自身では私のゲームを真に輝かせる事は出来ないのだ」

 

黎斗は、最近になってこう人生観を結論づけている。

少なくとも、自分の限界というものを思い知らされていた。

 

きっかけはマイティノベルXの事件の顛末だ。

あの件に関しては仮面ライダークロニクルの版権や管理権を父親の正宗に奪われた時に匹敵するぐらいには黎斗は本気で怒っていた数少ない事件でもあり、クリエイターとしての矜持をある種曲げて送り出したゲームでもある。

『仮面ライダークロニクル』ですら本来はクリアできる設計としてクロノスを用意し、その発展版でもある『ゾンビクロニクル』にはクリア報酬まで用意した彼らしく無い意地の悪いゲーム。

その発端となったのは、ある種の医師連中の裏切り…というよりは不甲斐なさか、それが宝生永夢をハメ殺す為だけに生まれたような攻略不可能なゲーム『マイティノベルX』を世に出したきっかけでもあった。

 

だが、結果的に天才ゲーマーたる永夢はクリアしてみせた。

クリアフラグを無から生み出す様なガシャットすら創造し、自らが創り上げたゲームをノーコンテニュー…否、コンティニューしてでも攻略してみせた手際は黎斗をいたく感動すらさせた。

そして…同時に襲いかかったのは自らへの失望だ。

 

最強である『ムテキゲーマー』に匹敵する筈の、レベル10億という途方も無い『ゴッドマキシマムゲーマー』を以てしてもプレイヤーとしては黎斗は2度も敗北している。

一度目は正宗の執念を借りた九条貴利矢に、二度目は先述の通りマイティノベルの事件においての宝生永夢に。

()()()()()()()()()、敗北自体もゲームクリエイターの糧になる。

むしろ欠陥の指摘であり、彼からしたら敗北はいわば痛みを伴うバグ取り作業だ。

 

だが…それ以上の問題がある。

彼等は、黎斗とは違い人の身であり続けようとする。

それこそが黎斗を苦しませ悲しませ、絶望的にさせる唯一無二の相違点だろう。

ムテキに匹敵するパワーとレベルを持つ強敵すら討ち滅ぼすゲーマーとしての才能が…『確実に失なわれる』、それがゲーム業界への途轍もない損失である、黎斗はそれに気付くのに時間がかからなかった。

 

例えば老化や怪我や病気による衰弱は誰にも免れない、或いはそれこそ明日には暴走するバイクや車に撥ねられて命を落とすかもしれない。

バグスターウイルスと化している黎斗とは違い、コンティニューや再ロードできない生身の人間の身体である事に拘る彼等はいつか必ずそうなる。

それが、それこそが悠久の時を生きる神の才能にどれだけの痛みを与えるか常人には計り知れない。

 

 

「…故に、私は完成させたのだ…!」

 

そう言って黎斗が右手に掲げるガシャットには、『バグスター・コレクションズ』というタイトルが書かれている。

そして、薄汚くヴェーハハハハッ!という高笑いだけが、プロトマイティアクションXのデータ内に響き渡るのである…

 

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