EPiSODE ALiCE   作:ALiCiA_5728

2 / 2
第一話「少女」

 

――緊急警報発令、アークスシップ一番艦「フェオ」市街地にて、多数のダーカー出現反応。アークス各員は至急出撃し、これを殲滅してください。繰り返します――

 

街を包み込むいつもと変わらない空が、警告とともに赤く塗り替えられていく。

 

 

「今日、この場所でダーカー出現ですか...」

 

少女は怪訝そうな顔をしながら、赤く染まった空を見る。

 

「文句を垂れていても、ダーカーは消えてくれませんよ。襲われている住民もいるのですから、急がないと」

 

「えぇわかっています、クーナ先輩は避難してください。貴女の無事を知って落ち着く方も少なくないのですから。私はこのまま現場へ向かいます」

 

空よりも深く美しい赤色の瞳を持つ少女は、微笑みながらクーナの方を見る。

 

「...はぁ、貴女の目には敵いませんね。わかりました。ですが、くれぐれも無茶はしないでくださいね。応援が駆けつけるまで、決して深追いはしないように。それから――」

 

「はいはい、わかっていますよー、では行ってきます。」

 

少女はいたずらっぽく微笑みながら、被害の出た現場へと走り去っていった。

 

「全く、少しは落ち着いて欲しいのですが...行ってらっしゃい、アリス...いや、イム」

 

 

赤い瞳の少女、イム=アウフトラークは、ビルの上を飛び越えながら呟く。

 

「全く、段々保護者みたいな事言うようになったなぁ...誰に似たんだか」

「さて、状況は大体見えましたね。よし、あそこから行きましょうか。」

 

移動の合間にダーカーの出たポイントと被害状況を『目視』したイムは、最短ルートで現場へと向かう

 

「あぁいけない、グレンは今ジグおじさんに預けてたんだった...まぁいいわ、代わりにくれたコートサーベルで対処しましょう。」

 

ビル群を飛び越えながら手馴れた動きで指を動かすと、喪服から黒と青を基調とした戦闘服へと変わる。

 

「先輩のくれたシランスリート、ぴっちりしていてムズムズするわね...でもオドが落ち着いている...この服ちょっといいかも....っ!いけない!!」

 

微笑んでいた顔を強ばらせたイムは、直ぐにコートサーベルを装備し、すぐさま居合の構えをする。

 

プレディカーダが幼い男の子に迫っていた。

 

イムが全身に力を込め、急加速をし突撃する。

 

「唯式・紅蓮鉄閃!!」

 

左手に力を込め、神速で切り抜ける。

炎を纏いながら地面へと着地し、少年の前にいたプレディカーダが、燃えながら真っ二つになる。

 

「怪我はありませんか?」

 

血切りをしながら納刀し、振り返りながら少年に微笑む。

 

「あ、あの...お母さんが...」

「母親が...あそこか、まだ息があるようですね。任せてください、直ぐに助けますから。よく頑張りました、いい子ですね。あの陰に隠れて、少し待っていてください。直ぐに貴方のお母さんを助けてきますから。」

「わかった」

「うん、偉い子です!お姉さんに任せてください!」

 

「私は――アークスですから!」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。