現実忙しくて緋色の鳥のほうが書けそうにないので寝れないときとかに浮かんだネタを吐き出していこうと思います。
というわけで今回はモルモットのお話です。
「ゴホッ!ゴホッ!」
目を覚ました体を包む倦怠感、額に手を当てれば驚くほどの熱。
体温計で測ってみると、38.5゚Cの表記が。つまりは…
「風邪ひいちゃったか…。」
力なくつぶやき、あたりを見回す。当然だが、トレーナールームの仮眠室に人はいない。
「これじゃタキオンに笑われるな…。」
常日頃から食生活や睡眠についてとやかく言っていたにもかかわらず、当の本人がこの体たらくでは笑われても仕方がない。
思い当たる点ならある。昨日行った雨の中の重バ場トレーニングと、その後にずぶ濡れの体を拭いたりせずにタキオンの世話やデータの打ち込みをして、風呂に入る間もなく床についたせいだろう。
思えば、ここ数日タキオンの為にと働きずくめだった。彼女が自らの足についてを打ち明けてくれたことに嬉しくなったというのもあるだろう。ちょっと前に同僚が過労で倒れていたというのに、自分の健康管理を怠っていたのは流石にバ鹿としか言えない。
ふと、枕元の時計に目をやる。午前9時30分、そろそろタキオンも起き出してくる頃合いだろう。
とりあえずタキオンに現状を伝えようと、怠い体に鞭を打って起き上がろうとした。その時だった。
コンコン
仮眠室のドアがノックされた。
「おーい。トレーナー君、生きてるかい?お粥を作ってきたんだ、入るよ。」
タキオンの声とともに、ドアが開いた。そこには、おかゆの入っているであろう器をお盆に載せ、白衣に身を包んだ我が担当バが笑顔で立っていた。
「来てみてびっくりしたよ。今日の集合時間が1時間早くなったと言っていたから眠気をこらえて来てみれば、君がウンウン魘されながら熱を出しているなんてね。」
「ははは…。ごめんな。おかゆ、美味しかったよ。」
「うんうん、それは何よりだ。味覚に障害等もないようだね。」
ベッドに腰掛けておかゆを平らげた俺は、タキオンと談笑していた。
どうやら、タキオンは熱を出した俺を見つけるなり、たづなさんに連絡してくれていたそうだ。そして、俺でも食べられそうなものを作ろうと寮のキッチンにたまたまいたナリタタイシンにおかゆの作り方を聞いて作ってきたのだとか。
「後で、タイシンにもお礼しておかないとな」
「うむ。…ところで、モルモット君。」
そう言ってポケットをゴソゴソと漁り始めるタキオン。取り出したのは…青色の液体の入った小瓶だ。
「ここに、今の君にぴったりな薬があるんだが…。」
「…つまり、風邪薬?」
その問いに対し首を縦に振る彼女は、そのまま口を開いた。
「これは、数日前の研究中に副次的に生成されたものでね。一昨日少々風邪気味であったデジタルくんに渡してみたのだが、効き目は見事なものだった。投薬後10分で不快感や倦怠感といったものが消失したとデジタルくんが訴えていたからね。既存の風邪薬を遥かに超える薬効があると思われる。」
確かに、聞いた感じは素晴らしい薬品だろう。しかし、タキオンの口から重要なことがまだ聞けていない。
「なるほど…。それで、副作用は?」
そう俺が口にすると、彼女は目を輝かせた。
「そう、そこだとも!今回の薬はまだ目立った副作用といったものが見つかっていないんだよ!」
ズイッ、とこちらに顔を近づけて熱弁するタキオン。そのまま彼女は、顔を離し小瓶をこちらに差し出した。
「…と言っても、まだデジタル君のみのデータなのでね。人に対してはどういった副作用が起きるかは未知の段階だ。というわけで…、モルモット君、飲み給え。」
そう言ってこちらの手の中に小瓶を渡してくる。
小瓶のラベルには、『風邪薬』としか書かれていない。正直彼女の薬品を飲むことにもう抵抗感とかはないので、蓋を開けて一息に煽る。
甘い。この前間違えて飲んでしまったタキオンの紅茶ほどではないが、それでも相当の甘さがある液体だ。
「…君、もう少し疑いとかそういうものを持ったほうがいいんじゃないか?」
タキオンからジトッとした目線を受けつつ、小瓶を返却する。タキオンは一つ咳払いをしていつもの表情に戻り、
「では、10分後にまたここに来ることにするよ。それまではゆっくりと休み給え。」
そう言って食器と小瓶を持って部屋を出ていった。
それを見た俺は、言われたとおりにもう一眠りしようと目を閉じ、そのまま意識を手放したのだった。
「……くん、トレーナーくん!起きたまえ!」
ゆさゆさと体が揺らされ、横からはいつもより大きな声でタキオンの声が聞こえる。薄目を開けて時計を確認すれば、寝入った時間からすでに30分が経っていた。
身体から倦怠感は取れている。たしかに風邪薬の効能は素晴らしいものだった。
目を開けて起き上がる。ベットサイドには、俺のことを見つめて焦った表情をするタキオンの姿。
「ああ、トレーナーくん、起きたんだね。早速で悪いが、この手鏡を見てもらっていいかな?」
「何タキオン、何かあった……?」
声を出して、気がつく。俺の声はこんなに高くはないはずだ。
残っていた眠気が急に覚めていくのを感じる。震える手でタキオンから手鏡を受け取る。覗き込んだその中に映っていた姿は、
「う、ウマ娘…?」
「…ああ、そのとおりだ。どうやら、薬の副作用はこれだったようだね。」
美しい芦毛の長髪。ハヤヒデやマックイーンというよりも、その白さはオグリキャップを思わせる。
整った顔立ちに、切れ長の目。
目線を下に向ければ、そこにはタキオンと同じくらいのサイズの山が。
頬をつねってこれが夢でないことを確認した俺は叫んだ。
「どういうことだよぉぉぉぉ!?」
というわけでね、よくあるネタですがタキオン印のとんでもメディスンです。
もしかしたらこのあとにレースの快感に墜ちたトレーナーとかも書くかもしれないですし、書かないかもしれません