前回がタキオンだったから…というわけじゃないですが、今回はカフェ回です。(でもまだそこまでキャラつかめてない気がする。それなりにカフェのサポカのイベント見ているのに…。)
最近、雨の日にはブラックコーヒーを飲むようにしてるんですが、コンビニのコーヒーって値段に対してのクオリティが高くてついつい頼んじゃいますね。(隙自語)
「はぁ…、疲れた。さっさと今日の書類でもまとめるかな。」
ガチャ
「あ…。」
とある用事で理事長室に行っていた俺がトレーナールームにて目撃したのは、備え付けの鏡の前でウェイトレスの格好をしている担当バの姿だった。
「……。」
「……あの、すいません。」
「いや、こちらこそすまん。」
気まずい空気が部屋の中に流れる。
鏡の前に立つカフェは、黒基調のエプロンドレスを身に纏っている。普段から黒基調の私服や勝負服を着ている彼女らしいチョイスでありつつ、胸元やエプロンの白がなんとも…。いやいや、なんでこの場所で彼女があんな格好をしているのか。
暫くの沈黙ののち、カフェが口を開く。
「あの…。とりあえず、訳を話させていただけますか…?」
最近俺が仕事に付きっ切りで毎日お疲れであることに気が付いたため、何か自分にできることはないかと『お友達』と話し合うことに。そこで、トレーナーに彼女の得意なコーヒーの差し入れをしたらどうかという話になり、『じゃあ、形からしっかりと…』ということで某A.D氏から衣装を借りて、ついさっきこちらで着替えてちゃんと着用できているかを確認しているときに俺が帰ってきた。
以上、彼女が語ったここまでの一部始終だ。
「…なるほどな。」
「最近のあなたは働きすぎかと思います。私のためとはいえあまり無茶をなさるのは…、やめてください。」
どうやら、俺がここ数日根を詰めていたことを心配されていたようだ。自分がした無茶で担当バにまで心配をかけていてはトレーナーとしては三流と言わざるを得ない。
「すまなかった。俺が倒れちゃ本末転倒だよな。カフェの言う通り、今日ぐらいはしっかりと休むことにするよ。」
俺がそういうと、カフェの顔がパッと明るくなる。彼女にあまり心配をかけないようにこれから頑張ろうと決意を固めた。
…のだが、カフェは何やら満足していない様子で。おずおずと口を開いた。
「あの、せっかく着替えたのですし、コーヒーを1杯どうでしょうか…?」
突然の提案。
確かに喉は乾いているし、最近はカフェのコーヒーも飲んでいなかった。こちらとしては願ったりかなったりの提案。
「ん?ああ、じゃあ貰おうかな。」
返事を聞いたカフェは嬉々として流しの方へと向かう。流し台の下からやかんを取り出した彼女は、ふたを開けて蛇口から水を注ぐと、そのままコンロにかけて火を着けた。
そのまま彼女は、戸棚からコーヒーミルと豆の入った缶を取り出し、しっかりと計って豆をを挽き始める。
彼女がよく入り浸っていた1年前、俺の誕生日にプレゼントされたコーヒーミル。結果的に俺じゃなくてカフェの方がよく使っているわけなんだが、俺がコーヒーに興味を持つ良いきっかけになった思い出の品だ。
それにしても、手早い準備に流れるような作業の手際。まるでバリスタのような彼女の動きは、来ている衣装も相まって見ていて飽きないものだ。
挽かれたコーヒーの香りが部屋中に広がる。香ばしい香りの中に、ほのかに甘い香りがする。この香りに、俺はちょっとした覚えがあった。
「ん…?これって、かなり前に買ったあれか?」
「…ええ、そうです。あなたと二人でのんびりするときに飲もうって言っていた豆です。」
受け答えしながら、慣れた手つきで戸棚からマグカップを二つ取り出す。去年のクリスマスに買ったそのマグカップは、デフォルメされたお化けのデザインを気に入り、俺の分も合わせて色違いで二つ、互いにクリスマスプレゼントとして贈りあったものだ。それ以来トレーナールームでカフェがコーヒーを飲むときは決まってそのカップで飲んでいた。
戸棚の中からさらに取り出したのは、コーヒーポットとドリッパー。これは元々彼女の私物であったが、去年の秋口に彼女から置かせてほしいと言われたこともあってこの部屋の一角にマグと一緒にまとめられている。
豆を挽き終わったタイミングでやかんの口からけたたましく沸騰が告げられる。今時このタイプのやかんというのも珍しいものだ。このトレーナールームに初めて入室した日からあったものなので、おそらく受け継がれてきた品なのだろう。
「ん…。ふぁ~…。」
伸びをしつつ、あくびを一つ。
少しリラックスしすぎたようで、眠気がだんだんと忍び寄ってくる。パソコンのデスクトップに映る時刻は午後8時半。いつもならここでエナジードリンクを1本キメて書類を作っているところだが、今日はカフェの進言で休むと決めているので、エナジードリンクは仮眠室の冷蔵庫の中だ。
(ああ…、やばい、もう眠気が…)
コーヒーがドリッパーに入るたび、瞼が下がって来る。一杯、二杯、三杯入れたところで目が完全に閉じ切った。
このまま眠気に身を任してしまいそうになっていた、その時。
少しづつ薄れてきていた俺の意識を目覚めさせたのは、カフェの入れたあのコーヒーの香りだった。
慌てて目を開けて香りの方向を見れば、こちらにコップを持ってきてくれたカフェがいた。
ホカホカと湯気の立ったカップからは先ほどの豆の香りが色濃く漂ってくる。どうやら若干濃いめに入れてくれていたようだ。
「随分、お疲れのようですね…。」
微笑む彼女は静かにコーヒーをこちらに差しだしてくる。
「はは…。悪い、確かにだいぶ疲れが溜まってるみたいだ。」
そう言ってカフェの手からコーヒーを受け取ろうとした時。
ふと、いい考えが浮かんだ。
「そうだ、向こうの方で一緒に飲まないか?」
いきなりの提案。
ほかのトレーナーや来客をもてなす用のソファとテーブルがトレーナールームには備え付けられている。もうこんな時間なので来客もないだろうということで、そこで一緒に寛ごうという話だ。
カフェは少し考えて、微笑みつつ了承した。
「ほう…」
「ふう…。やっぱり、このブレンドはおいしいですね…」
「このブレンドってのもあるが、それ以上にカフェの淹れ方が上手なんだと思うぞ。」
「ふふ…。ありがとうございます…。」
カフェと二人並んでコーヒーを味わいつつ、他愛ない会話を楽しむ。こんな時間を過ごすのは何か月ぶりだろうか。
次のGⅠレース、年末最後に待ち受ける一大レースである有マ記念に向けて、俺は練習メニューの改善や出場書類の提出に。カフェはトレーニングやウマ合わせ、あるいは友達との交流で忙しく、ここまでリラックスした時間を取ることは出来ていなかった。
ここまでの三年間、挫折も、感動も、様々な経験をしてきた彼女だ。本番でも間違いない走りで1位に輝いてくれる。そう信じている。
その為にも、あと1か月。俺の愛バを輝かせるために俺ができることをするしかない。そのために、何をするべきか。
少しづつ黒い思考の海に沈んでいこうとする俺は、シャツの裾を引っ張られて意識を引き戻された。
横のカフェはむくれた顔をしつつ、
「今日はもう、お仕事のことを考えるのはダメです…。」
どうやら顔にまで出ていたらしく、眉間をつんつんとつつかれながらそういわれた。
…確かに、カフェの言うとおりだ。今日くらいは難しいことを考えないのもありだろう。
そう思って、コーヒーをすする。ほう、と一息つけば、先ほどまで考えていたことはどこかへと行ってしまう。それは、コーヒーの効能なのか。それとも、隣にいる彼女のおかげだろうか。
ふと横を見ると、彼女と目が合う。息ぴったりのタイミングに、二人でふふっ、と笑いあう。
まあ、どちらでもいいことだ。大事なのは…、そう。この緩やかなひと時を二人で過ごすことなのだから。
というわけで、なんか不思議な文章になりました。カフェのまんまるおめめに少しずつ惹かれていっている気がする…。ああ、カフェの淹れたコーヒー飲みてぇなぁ…。
誤字脱字の報告等、バシバシお願いします。
次回は…予定では青いあの子になるはず。その前に何か思いついたら