思いもよらない形で聞かされたナナシの話にアリスは無言の圧を無意識にラヴィに送っていた。
ラヴィ)あ、あの...怖いんだけど、僕何かしたかい?
アリス)いいえ何も?それよりも先程の話の続きは...?
ラヴィ)...わかったよ、もう。せっかちだねぇ。そう思わないかい、シズルお姉さん?
シズル)正直な所は、そうだね。でも、ナナシ君は知らない仲じゃないから、あの子がどんな風に生きたのか知りたいかな。
リノ)わ、私もそうですよ〜!
ラヴィ)そっかぁ...先輩は本当に素敵な人だったんだね。私も鼻が高いよ。僕にとって、誰よりも大切な人だったから...
アリス)!?それは一体っどういう意味ですの!??
動揺するアリスを尻目にラヴィの話は続いた。
---過去---
虚)その人達をっ...がふっ、どうする気だ。
ラヴィ)...(吐血しているな。今にも力尽きそうな人間なのに、凄まじい威圧感だ。気を抜けばやられかねないか?)僕は、月面基地ムーンフェイズ部隊の...っ新参者。ラヴィ・バニットだ。我ら月の勢力拡大のために、その人間達を頂く。
虚)...やらせないが?
ラヴィ)そうか、ならば...
最速で人間の目の前に立ち、心臓めがけ兎刃...僕の愛刀だ。を突き刺そうとした、が...気付けば僕の身体は地面に転がされていた。
ラヴィ)...!?
虚)俺のっ...げほごほっ...!動きに着いてこられないってんなら、降参した方が無難だと思うぜ?
ラヴィ)!!舐めるな、下人!
今度は背後に回り、脳天に突き刺そうとするも。兎刃を逆立ちでもするかのように蹴り上げられてしまう。
ラヴィ)しまっ...!!
言い終わる間も無く、胸元に触れられ吹き飛ばされる。
ラヴィ)ーーーーっ!!!?
10メートル以上も転がる自分に驚愕し、次にそれを死に体でやってのけるその人間に強い興味を抱いた。否...
抱いてしまった。呆然としているラヴィに対してしかし止めを刺さない虚。
虚)この短剣...良い武器だな。ごほっ...ほら。ちゃんと受け取れ。
ラヴィ)?えっ、おっととっ...ふぅ。じゃない!な、何の真似だ、下人風情が月人に...!
虚)精々抵抗しないと、大変な目に遭っちまうんじゃないか、な。後ろ見てみろよ。
ラヴィ)何っ...?...!?あ、あれは。
ムーンフェイズのエリート部隊、当時の私より遥か格上...今の私よりも一つ上手の殲滅部隊だった。
エリート)所詮は兎人。この程度の役割もこなせないとは。使えない駒を持ってしまって、女王陛下もさぞ悲しんでおられよう...せめて陛下の耳にこの失態が届かぬよう、ここで粛清するのが優しさでしょうなぁ...!
エリート達は月光銃を構え、私を狙っていた。一斉に斉射され、ナナシという人間も私も手も足も出ないまま倒されてしまった。今にして思えばあの時アストライア大陸の人間を拐ってこれなくて本当に良かったのだと思えた。
エリート)ふむ?まだ、二人とも息があるようですねぇ...ふぅむ。
顎に手を当て何事か思案するエリート部隊達。それを最後に私の意識は途絶えた。
三十七話でした!過去篇は...話数稼ぎと言いますかなんと言いますか。ストーリーの配分って難しいですね...