週刊っ!英雄追跡譚・蒼穹新聞   作:エスカルゴ・スカーレット

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10週目:子供達にインタビュー③

 ────という訳で、今回は「紅魔の姉妹編」をやっていこうと思います。まずは八女、ここあからインタビューしたいと思います。

 

「あのー……私、十女です」

 

 ────あれっ?

 

「私達は生まれつき成体ですから。魔力体なので。なのでレイチェル様の方が姉に当たります」

 

 ────あっっっ!失礼しました!

 

「あと私、ここあじゃなくてシガレットです」

 

 ────ええええええっっ!?

 

「サイドテールが私シガレットで、ツインテールがここあです……」

 

 ────す、すみません、髪の束の本数かと……。ツインがここあ、サイドがシガレット、と。

 

「よく間違われますし、気にしていませんけどね」

 

 ────すみません、自分の妹達だというのに、こんなミスをするなんて……すみませんでした……。

 

「いえいえ」

 

 

 ◆

 

 

 ────ええと、八女のレイチェル、で間違いはありませんか?

 

「無いわよっ!」

 

 ────ありがとうございます、では早速ですがインタビューを始めたいと思います。できるだけ、簡潔に答えて下さいね。

 

「はーいっ!」

 

 ────レイチェルは、父上が好きですか?

 

「好きよ!目ん玉焼き、いっぱい食べていいよって言ってくれるから!」

 

 ────レミリアさんもレイチェルには甘々だと聞き及んでいますが?

 

「うん……。お母様も同じくらい優しいんだけどね、目ん玉焼きに関しては『食べ過ぎは良くない』って言うから……そこだけは、チェ〜ッ!って感じ〜」

 

 ────レミリアさんが正しいと思いますが……。うぅむ、それは、父上がどうしてそんな判断をしたのか、気になりますね。

 

「そーかな?でも、お父様も『お菓子やジュースは少しだけにしなさい』って言うの。でもね、それは別にいいのよ。私にとっては、目ん玉焼きが至高の食べ物だから……!」

 

 ────そこまで目玉焼きに固執する人は初めて見ましたよ。あの料理のどこが、そこまであなたを虜にするのでしょう?

 

「分かんない。プリプリの白身、トロトロの黄身、固めだとしてもお醤油と混ぜれば白米のお供に抜群だし、何より合う調味料が多すぎる事、くらいしか思い付かないや。だってねだってね、凄いんだよ?お醤油でしょ?お塩でしょ?塩胡椒でも合うのに、ケチャップも合う。粗挽き胡椒も悪くないわっ!!あとそこにお母様や咲夜、お父様、私の血のどれか一種類でもトッピングすれば、もう最高なのっ♡」

 

 ────分かりました、分かりました。あなたの目玉焼きのラブさ加減はよく分かりました。そんな大好きなのであれば、父上も折れるでしょうね……。では、次の質問です。

 

「うんうん!」

 

 ────あなたの能力って、何でしたっけ?私、あなたの能力については把握していない気がするのですが。

 

「あー、そうだっけ。んー……口で説明するよりも、実際に見せた方が良い気がする……」

 

 ────それでお願いします。

 

「じゃあこれ!」

 

 ────石?それ、どこから持ってきたんです?

 

「まぁまぁ細かい事は抜きにして。さ、お姉様っ、これを私に向かって投げて!」

 

 ────えっ?

 

「必要な事だから。大丈夫、早く早く!」

 

 ────わ、分かりました……やぁっ!……へ?

 

「ね?当たらなかったでしょ?」

 

 ────当たらなかったというか……石が、身体をすり抜けました……よね?何ですか、これは?

 

「トンネル効果……って知ってる?」

 

 ────ええ、物理学の勉強をしていた時に少し齧りましたよ。量子力学の範囲ですよね。ですが、そんなのはほぼ机上の空論のはずですが……。

 

「机上の空論だよ。でも確実に有り得なくはない。天文学的確率だけど、私はその『確率』を操れる。100%、もしくは0%じゃないなら、私の能力の範疇だから。これが《確率を操る程度の能力》!」

 

 ────恐ろしい。トンネル効果を実現させる、なんて……どれだけ小さい確率なのやら。では、もし私とあなたが確率を操作した上で戦ったとしたら、どちらが勝利するでしょうか?

 

「私と穹お姉様は…………ふふ、そこまで大きな差は無いと思うよ?だから、確率を操れば……どちらかの勝利を確定できるね♪……私、かも?」

 

 ────言っておきますが、私は、レイチェルに負けるつもりはありません。何故なら私の方がまだ戦闘の経験があるからです。

 

「だね。他のお姉様達とも戦ってきたんだろうし、何より妖怪の山に住んでるんだもんね。……でもね?その、これまでの経験を覆せるのが『確率』だよ。私の能力なら……ね」

 

 ────では勝負しましょうか。

 

「いいよぉっ!ゾクゾクしてきた!」

 

 

 ◆

 

 

 ────予定を変更しまして、折角双子なので、一緒のインタビューとさせて頂きました。

 

「「宜しくお願いします!」」

 

 ────えぇと、まずは……九女のここあですね。お時間ありがとうございます。早速ですが────どうしました?

 

「あっ……その、穹お姉様、ケガだらけなので……。大丈夫ですか……?」

 

 ────レイチェルに負けました。戦闘訓練等は怠っていません。記者として、強さも必要不可欠。それなのに……。流石の一言に尽きますね。

 

「レイチェル様は妹様と戦闘訓練をしてますから……仕方ありません。本人達はそれを『遊び』と称しているのが尚更怖いんですけどね」

 

「あの2人が暴れると、私達2人の結界じゃ絶対に防げないんです。お母様が来てもダメで、結局は、パチュリー様に頼る事に……」

 

「そもそも図書館で暴れないでほしいっていうのが本音ですけどね」

 

 ────レイチェルの強さは能力だけじゃない。成程、基礎も大事とはこの事ですか。……では、気を取り直して。遅くなりましたが、まずここあさんへ質問していきたいと思います。

 

「は、はいっ!」

 

 ────何故2人は少し複雑な見分け方を周囲にさせているのでしょうか?通常、上……兄や姉の方が

「1」を象るはず。人里で言うなら、兄が一郎、弟が二郎みたいな名前にするとか、見た目でも更に分かりやすいよう区別するはずです。それなのに、何故2人は姉がツインテール、妹がサイドテールにしているのです?責めている訳ではありませんが、少し気になってしまいます。

 

「あはは……すみません……。私達も、最初は明確に区別しようと思ったんですけど、似合うなぁ……って思ったのがこの髪型なんです。シガーもそうで……」

 

 ────シガー?

 

「シガレットの愛称です。レイチェル様はレーテ、シガレットはシガーですね」

 

 ────成程成程。では、2人の普段の仕事は、一体何をされているんです?

 

「図書館の整理ですね。書籍が多すぎて、やってもやっても終わらなくって……掃除も含めて毎日15時間労働くらいはしてるんじゃないかな……と。ここあも同じ仕事をしてます。たまに、パチュリー様の身辺整理もしてますね」

 

 ────ひぇええええっ!?これがブラック……!天狗社会くらいブラックじゃないですかね……!?

 

「「そちらもそちらで大変みたいですね……。お察しします、お姉様……」」

 

 ────私はまだ子供ですので、ある程度は自由なのですけどね……三脚で部下を殴るのが当たり前な世界ですから、こちらは……トホホです……。

 

「三脚で……!?」

 

「部下を殴る……!?」

 

「「ホワイトで良かった〜!!ねーっ!! 」」

 

 ────15時間労働は果たしてホワイトと言えるのでしょうか……?まぁ、あなた方がそれでいいならそれでもいいのですが。

 

「お姉様も頑張って下さいね……!」

 

「応援してますっ!」

 

 ────ありがとうございます……。それでは次の質問に移ります。2人と関わりの深い兄弟や姉妹は居たりしますか?紅魔館在住の子を除いて、です。

 

「んー……居ないですねぇ」

 

「そもそも、弦月姫お姉様ともレイチェル様とも、関わり深いかと言われると全然ですし……」

 

 ────そうなのですか?

 

「さっきも言いましたけど、妹様とレイチェル様が図書館で戦う際は応急的なバリアを張る程度です。レイチェル様は、お母様……レミリアお嬢様との仲もかなり良好ですからかなりの頻度で一緒に居ます」

 

「なので姉妹で話す機会がそもそも無いっていうか何というか……。レイチェル様が1人でこの図書館に来ても、読書の邪魔になるので、話し掛けられないというのがオチです」

 

 ────あらら……。

 

「身分の違いが引き起こす悲しき運命です……身分の違い故に、ガッツリ話し掛けられませんから……」

 

「よよよ……。って感じですねー……」

 

「当主様の友人の部下の娘と、当主様の娘……。幾ら何でも、身分違いが凄すぎるのでは?」

 

 ────差が出るのも頷けてしまいますね。ただレイチェルは身分の差なんかは考えていないように見えますが?

 

「「レイチェル様が考えてなくても私達が考えるんですーっ!畏れ多いにも程がありますよ!!」」

 

 ────な、成程……。では、次の質問です。男の兄弟が居ますが、彼らについてどう思いますか?

 

「妖舞お兄様と、霊魔くんですよね!私は断然妖舞お兄様推しです〜っ!弦月姫お姉様に何回も何回も負けてるのに、それでも折れない強さ!バカなのか負けず嫌いなのか分からないですけど、それでも、やっぱり推さずにいられませんっ!」

 

「ここあは相変わらずね〜。私はやっぱり霊魔くんですねっ、あんなに可愛い男の子、漫画の中でさえ見た事ないですもんっ!!何ですか、あのぷにぷにほっぺ!お父様が女子のほっぺが大好きになるのも頷けますよ、霊魔くんのほっぺ触ったら!!」

 

 ────キレイに分かれましたね。双子ですが、好みとかは変わるんですね。

 

「ええ!双子とはいえ、所詮は別個人ですから!」

 

「見た目が一緒だからって、精神性まで一緒だとは限らないですからっ!」

 

 ────成程成程。ところで、現在、咲夜さんは男の子を妊娠中との事ですが、2人はどんな男の子だと予想しますか?

 

「妖舞お兄様はちょっぴり妖夢さんに似てて、でもお父様にも似てなくもなくって……ちょっとキリッとしてなくもない……」

 

「霊魔くんはお父様に似てて、可愛い……」

 

「「と、すると………………メイド長に似て、クールな男の子とかっ!?」」

 

 ────おぉう……ハモリが凄い。そういう所は、双子って感じがしてイイですね。

 

「「えっへへ〜♪」」

 

 ────それにしても、クールな男の子ですか。イイですねその予想は。これまでの兄弟とは、少しパターンが違いますもんね。ただ、咲夜さんは少し天然さんですし、そのせいか弦月姫にも軽くドジな要素があります。次の子は、一体どうなる事やら。少なくとも、普通(・・)の子にはならないでしょうね。

 

「楽しみ〜♡」

 

「もし霊魔くんみたいなカワイイ系だったら、毎日誘惑しちゃうかも……♡」

 

「キリッと系だったら私が襲うから♡」

 

「はいはい、それならいいよー」

 

 ────いや、あのですね、弟を襲うというその選択肢がまず理解不能なのですが。

 

「この前、妖舞お兄様と霊魔くん襲いましたよ〜」

 

 ────!?

 

「霊魔くんにはすぐ逃げられました!妖舞お兄様はタジタジになってましたけど、逃げましたねぇ……。巨乳好きパワー、恐るべしです……」

 

 ────そういう問題なんですかね……。

 

「そういう問題ですよ?なので、次は巨乳モードで妖舞お兄様を誘惑しちゃいます♡」

 

「いつかは霊魔くんをペロリと頂きたいです♡」

 

「折角、魔力体って肉体で生まれたんだもんね〜。血の繋がりが無いから、近親相姦すらも楽しめる。中々レアだよね、私達!」

 

「うんうんっ!」

 

 ────それでは最後の質問です。2人の得意な魔法は何ですか?

 

「無属性の魔法なら大抵は使えますよ。体力回復、修復、エトセトラ……」

 

「得意って……何だろ?ここあ、ある?」

 

「無いね。シガーも無いでしょ?」

 

「うん。でも魔氷礫凍結華(マヒャデドス)なら得意、かなぁ?」

 

「あ、多分」

 

 ────その、まひゃでどす?とは?

 

「巨大な氷塊をドバーッと降らせてから、氷の礫をバキャーッと散らす魔法です!」

 

「氷属性の魔法で、有効範囲がかなり広いんです!時間は短いですけどね!」

 

「お父様が外界に居た頃にプレイしていたゲームに出てくる呪文が名前の由来です!」

 

 ────成程、面白いですね。他にもそういった呪文があるのですか?

 

「幾つかありますよ!見たいモノがあればどうぞ!折角ですし、披露してもイイですよ♪」

 

 ────ではマヒャデドスをお願いします。

 

「「はーいっ!!」」

 

 

 ◆

 

 

「ふぅ、かなり撮りましたね……。まさかフィルムが切れるとは思いませんでした。ただこれでは、新聞ではなく写真集になるのでは……?選ぶのも一人では骨が折れますし……写真選びは、あの2人にちょっと手伝ってもらいますか。うん、それがいいですね」

 

 ここあとシガレットの魔法の写真、目に見えない速度で移動して撮ったインタビュー対象達の写真を見て、穹は少々悪い顔で笑っていた。

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