今回は求聞口授みたいな形式で。
────こんにちは。
「はーい、こんにちは〜」
────この度、姉妹達に「父上について」色々質問させて頂きます。また、恐らく一言一句違わず新聞に掲載すると思いますので、ご了承下さい。
「はいはーい、りょーかい」
────それでは早速質問に移りますね。姉上、あなたは我々15人姉弟の中では極度のファザコンで通っていますが、あなたはどうしてそんなに父上が好きなのですか?
「えー、どうして?好きだから好きなんじゃない?だって私の推しだし?」
────えぇと、少し具体的にお願いします。
「んー……だって、鈴仙と違って甘えやすいし……。多分、そういうのが由来なんじゃないかな」
────甘えやすい、成程。確かに私も、甘えるとするなら母上より父上を選ぶかもしれないです。何故でしょう、異性だから……ですかね。
「そうなんじゃないかな?あと、私達を全肯定してくれるのが大きいと思う。よっぽどやらかさなきゃ多少やらかしても庇ってくれるし」
────何と言うか、姉上って急に核心を突いた答えを出しますよね。その「全肯定」が子供達には虫に対する甘い蜜のように効いているのでは……?
「だと思うよ〜。永遠亭じゃあ、エスカルゴが飴、鈴仙が鞭……みたいな役割だからね。他の家庭でも、飴と鞭で分けたらエスカルゴが飴になるでしょ?」
────確かに!そう考えると、簡単には反例が見つかりませんね……?
「これからあちこちに行くんでしょ?もしも反例が見付かったら後で教えてね」
────分かりました!インタビューへのご協力ありがとうございましたっ!
◆
────という事で姉上、博麗神社での父上及び姉上から見た父上について、質問させて頂きます。まず、父上をどう思っていますか?
「……質問の意図が分からないんだけど。それって、恋愛的に好きかどうか……って事?」
────え?
「?」
────いえ、普通に「娘から見た父親」という体なので、恋愛的だとかそういうのは全く想定すらしてなかったもので……。
「あ。……そりゃ、そうだね。忘れて」
────は、はぁ。それでどうなんでしょうか、姉上から見ての父上は。
「父親としてはまともじゃないよね。普通に考えて毎日毎日別な家庭で寝泊まりなんて……。明らかに、普通ではない。でも、別にいいって思ってるよ」
────それはどうしてです?
「もうそんな生活が当たり前になっちゃってるし、今更どうこうしようとしてもねぇ。他人から見たら変でも、私達からしたら普通になってるからね」
────確かに、父上がローテーションで各地に泊まるのが普通になっていますね。かく言う私も、こんな生活に疑問を抱いた事もあるにはありますが今では違和感のいの字すら無いです。
「そんなモンなんだよ、きっとね。お父さんもよく言ってるけど『慣れって怖いね』ってヤツだね」
────ああ……成程。因みにですが、両親を飴と鞭に分けたら、どのようになりますか?
「そりゃお父さんが飴、お母さんが鞭だよ」
────聞くまでもなかったですね。
「うん。このままじゃ、霊魔までお父さん大好きになっちゃうんじゃない?」
────霊魔
「ほ、ほら、巫月お姉ちゃんとかさ?」
────ああ、やはり。いやしかし、仮に霊魔が父上が大好きとなったらどうなるんでしょうね?
「流石のお父さんでも断るでしょ。断るの苦手って話だけど、ここ最近は、割とちゃんと自分の意見を伝えてるっぽいし。押しに弱いの治ったらいよいよお父さんの欠点もほぼ無くなるね」
────嬉しそう、ですね?
「嬉しいよ。私もお父さんが好き。あと、いつかは勝たなきゃいけない存在だからね」
────え?好き?
「……巫月お姉ちゃんとは別の意味だよ」
────で、ですよねー……姉上、父上についてはかなりボロクソに言ってましたもんね。
「……うん。そー、だね……うん」
────どうされました?
「何でもない」
────えぇと……それでは、博麗神社の大まかなスケジュールを教えて頂けますか?父上が居る日のパターンで教えてください。
「えーっ。……えと、お父さんが居る日?お父さんが居る日は朝はお父さんが作るか私達が作るかの二択だから、前日決めておいた方がご飯を作って、もう一方が机を拭いたりとか準備するの」
────ほうほう。
「でもお父さんとお母さんは朝から……スる事もあるから、そういう時は放っておいて3人だけで朝食を食べるね」
────朝からですか。父上らしい……。
「片付けは作った方がやる。その後は勉強と修行。3人がローテーションで、1人か2人ずつ、境内でお父さんと弾幕ごっことかするの。勉強する方は、お母さんがお父さんの作った資料を使って目の前で問題解いたり。私の場合は神学もそこそこやるね。あと、祈祷とかの巫女に必要な技術も、更に詳しく教わってるよ」
────ふむふむ、姉上は神学まで……覚える事が沢山あるのですね。
「まーね。でも、それで強くなれるなら頑張るだけだよ」
────そういう所は父上に似てますね。
「そ、そう?……あー、あと、勉強や修行が終われば今みたいに掃除タイム。今日は私が境内で、霊魔と霊麗は屋内だよ」
────とすると、今日の勉強や修行は終わり……という事になりますよね?
「そうだよ?」
────失礼ですが勉強時間も修行時間も極めて短いのでは?姉上も霊麗も、どうやってその強さを保っているのです?いや、成長させているのです?
「そこはまぁ…………自主練だよね」
────あー。
「勉強したくないから、お父さんが居ない時以外は勉強は決められた量しかしない。つまんないしね」
────父上が居る時は自主勉もすると。
「さっき言った通り、お父さんが居る時でも勉強の担当はお母さん。だから、お父さんの隙を見て少し教えてもらうようにしてる」
────父上を嫌ってるんですよね?嫌いな人に教えを乞う事ができるなんて、流石は姉上ですね。私なら絶対に嫌です。永遠亭に行って賢者さん達に頭を下げて教えてもらうかもしれません。
「いやー……別に、嫌いったってそういう、人として嫌いだとかそうじゃないし、そこまで嫌いでもないからね。それに説明は分かりやすいし」
────ではどこを嫌っていたのです?
「……分かんない。ただ、反抗期だったんだと思う。自分でもどうしてあそこまでお父さんをボロクソに言ったのか、もう、分からないの」
────成程、分かりました。では話を戻して、スケジュール教えて下さい。修行、勉強の次です。
「昼ご飯。これは、お母さんか私達の二択だけど、テキトーに作って食べる。午後はずっと自由時間。午前にできなかった事をするも良し、他にも仕事があるなら午後にやる、とかね」
────そう考えてみると、午前に詰め込みすぎなのでは?
「そうだよ。まとまった時間を作る為にわざとそうスケジュールを組んでるの。と言っても、超厳密に組んでるワケじゃないけどね」
────あぁ、姉上達は読書が好きですからね……それも関係してるんですよね?
「察しがいいじゃん。そうだよ、読書はできるだけ一気にしたいからね」
────成程〜……それが強さの秘訣、ですかね。で、夜は寝るだけですもんね?真似してみようかと思います。できる所まで。
「真似しても強くなれるかは穹次第、だけどね」
────いつかは、15人姉弟の中の3位より高い順位が欲しいですけどねぇ……。少なくとも今以上に順位を上げるには姉上のどちらかを倒さなくては、というとんでもない課題があるのですよね……。
「私かお姉ちゃんを倒すのは難しいよー、穹のその超スピードでもね。私でさえ苦戦するんだし。てか最近勝ててないし。引き分けばっかり」
────ひえっ、何て2人でしょう……。恐ろしいです。えーと、では、姉上へはこれでお終いです。ありがとうございました。
「うん。霊麗達は中だから、勝手に入っていいよ」
────次は弦月姫の居る紅魔館へ向かいます。家庭ごとよりは年齢順に書きたいので。
「あ、そうなんだ。分かったよ。じゃ、いつ来ても大丈夫なように備えさせとくね」
────ありがとうございます。
◆
────お時間頂きありがとうございます。少しだけですので、全て答えて頂けると嬉しいです。
「分かりました」
────ではまずですね、父上との近況を教えて頂きたいのですが。
「近況、ですか。お父様……そう、ですね……。これは言って良いのかしら……口止めされてないし大丈夫だと思うけど……」
────え?何かあったんですか?
「……お父様がですね、最近になって幾つかの魔法を覚えたようなのですが、それで、私がその実験台になったと言いますか」
────父上が娘を実験台に?そんなの前代未聞なんですけど!?
「実験台とはいえ、戦闘用ではなくて常用する類の魔法です。なので問題は無いですよ」
────では何故、言って良いかどうかを悩んでいたのです?
「私ではなくお父様の魔法の事ですから、娘の私が勝手に話して良いものかと……。実験台が必要な程の魔法なのかと思われても困りますから、ほんの少し付け加えさせて頂きました」
────成程。それでは、その魔法の内容を教えて頂けますか?
「……それは〜……ちょっと私の口からは何とも……。お父様に聞いてみては如何でしょう?」
────私の新聞は父上には内密にしています。なので絶対に言えません。
「そういえばそうでした、すみません」
────いえいえ。言い方を変えて探るやり方もあるにはありますから。では、何か、父上について思う所とかはあったりしますか?
「……最近、私に構ってくれる回数というか、頻度が落ちた気がするんです。お母様の方ばかりで……」
────咲夜さんは妊娠中です。そろそろお腹も脹れてきていますよね?心配になるのは仕方ないと思いますよ。私が父上の立場でも、そうします。
「そう、ですけど……寂しいものは、寂しいんです。仕方ないという事も分かっています。それに、私はこう見えても副メイド長ですから、いつもいつも、お父様に甘える訳にはいきません……」
────責任感の強い妹で、私は嬉しいですよ。大丈夫です、父上はそうやって頑張る弦月姫の事も見ています。折を見て癒して下さるでしょう。
「そうだと……嬉しいですっ……♪」
────次に生まれるのは男の子ですか?女の子ですか?もうそこら辺は判明しているのですか?
「ええ、何と男の子だそうですっ!私に、100%血が繋がった弟が……っ!ふふっ、今から楽しみです!」
────おめでたいですね。もしかして紅魔館の執事候補だったりするのですか?父上が住み込みで紅魔館で働いていた際、臨時とはいえ父上が執事を勤めていたと聞いていますが……。
「私の時はお母様が育休でした。なので、お父様がお母様の代わりに執事としてメイド長の仕事を全部行った、と聞いています。しかし今は私がいます。お父様の手を煩わせる事はありません」
────では、その子が成長しても、執事という役職は設置しない、という事でしょうか?
「これまでの流れから察すると、執事はあくまでも臨時の役職という扱いに思えます。なので、流れに則るのであれば、設置はしないと思いますが……」
────が?
「とはいえ、お父様とは違って常駐しますからね。もしかしたら、執事という役職が与えられるかも……しれませんね。私の予想でしかありませんが……」
────もしも執事でないなら、庭師や小間使いなどの雑用担当、という事になるでしょうからね。庭師は、美鈴さんと弦月姫の2人で担当しているのですよね?だとしたら後は小間使いしかない……?
「だと思います。そういう面から見ても、恐らく、執事という役職を設置するだろう、と予想します」
────いやはや、素晴らしいですね。紅魔館が更に賑やかになるんですから。きっと毎日が楽しくなるでしょうね。
「そう……だと良いんですけどね」
────何か懸念でも?
「お母様の出産が近付くという事は、早鬼さんも、という事です。早鬼さんは出産されたら元の世界に帰るという話でしたから、それが寂しくて……」
────父上の子となれば成長は早いはず。少し成長するまで紅魔館に留めておくというのは?
「お父様は、そう提案したそうなんです。ですが、成長が早いのであれば、尚更早めに向こうの環境に慣れさせるのがいい……と」
────ああ……確かにそれはそうですよね。
「あまりにもその通りですから、お父様としても、それ以上はもう、何も言えず……。結局、早鬼さんを引き止める事はできませんでした」
────弦月姫は寂しがり屋さんですから、少し傷心になってしまうかもしれませんね。
「……否定はできません。大変な時などは、あの人の明るさに助けられた事が何度もありましたから……」
────寂しいのなら、父上に、その旨を素直に伝えてみて下さい。きっと、心ゆくまで甘えさせてもらえるでしょう。
「そう、ですね。ありがとうございます……。でも、すみません。人生相談みたいになってしまって」
────いえいえ、これも姉としての務めです。最後に、父上と咲夜さんを飴と鞭に分けるとしたらどうなりますかね?
「それはもう、お父様が飴、お母様が鞭ですね」
────ああ、やはりそうなりますよね。ご協力ありがとうございました!次週に続くッ!!
「誰に言ってるんですか!?」