《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─   作:如月 霊

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第拾九話 銀、水面の底へ

それからちょっとすると車内に浸水し始めた。エリが茜達を見ると全員がこちらをジッと見ていた。

 

「全員砲塔へ入って。こっちならまだ浸水しきるまで時間があるから!」

 

「「「は、はい!」」」

 

茜達が全員砲塔内に入ったのを確認してからエリは再び下を見た。するとそこは膝下程だったのがもう自身がそこに立つなら太ももの高さ程はあろうかと言う程水位が上がっていた。

 

「後ろのハッチを押し開けるよ!いくよ!3・2・1!!」

 

「「「「「あ、開かない!?」」」」」

 

砲塔後ろのハッチを押し開けようとするがあまりの固さにびくともしない。

 

「水圧で押されてるのか!?」

 

 

 

 

「た、助かるんですか?」

 

七海がそう弱音を吐き、それをエリが一喝する。

 

「情けない事を言わない!助かるんだよ!!絶対!!」

 

「は、はい」

 

とは言うものの、七海が吐いた弱音は皆一様に感じていたものだ。だが、諦めてしまわないように声に出さなかったのだ。それからエリは一息つこうと言って砲塔内の壁に寄りかかる。

 

「この試合、どうなるかなぁ…」

 

「勝ちますよ!私達は黒森峰ですよ!」

 

真耶がエリの呟きに答えた。

 

「ああ、勝つでしょ。だけど、そこに皆がいないと意味が無いんだよ?」

 

「それは…」

 

真耶が言いどよんだ。

 

「私は車長として皆を陸に上げないとな…」

 

「それはエリもだよ?エリも含めた皆で生き残るんだよ」

 

茜がエリにそう言った。

 

「ん?…そうだね。…所で、みんな泳げるよね?」

 

「泳げるよー」

 

「泳げます」

 

「泳げますよ」

 

「泳げるよ」

 

よかった、皆泳げるんだな。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

そうこうしている間に水位がどんどん上がってきて遂には胸上辺りまで入ってきた。そしてよし、ハッチを押し開けるぞ!となった所で掛け声をする。

 

「3・2・1!!そらッ!!」

 

するとやっとの事でハッチが開いた。ハッチが開いた途端に大量の水が押し寄せてきた。

 

「グッ…!行け行け行けッ!!」

 

そう叫び茜達を外へ外へと脱出させる。

 

「全員行ったな。よし、スゥ…!」

 

皆が脱出してから最後にエリがハッチから外へと逃げる。

 

(…!あ、足が!?)グ,グム…

 

しかし、脱出してから水面に向かおうとして急に、右足を引かれるような感覚に陥った。

 

(な、なにもいない…い、息が…)ブクブクブク

 

右足をなんとか目を開き見てみるがそこにはなにもいなかった。息がもたないと手足をバタつかせるが右足は動かず、尚且つ上には行かず下に下に向かい続ける。

 

(い、息が…ボファ!!…」

 

(皐月…みほ……エリ…カ……────

 

 

そうしているうちにエリの息が続かなくなり、息を吹き出した。エリは薄くなる意識の中でそう思いつつも意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザーザーザー

 

ザーザーザー

 

「エ、エリは!?」

 

試合中止が宣言された後、エリカは事故現場に着くとそう叫んだ。そこへみほが歩み寄ってきた。

 

「エリは…エリは助かったの!?」

 

「エリさんは……」フルフル

 

みほは若干涙目になりながら首を振る。エリカは自分の顔から血の気が引いたのを感じた。

 

「嘘…嘘よ…エリ……」

 

エリカは川辺に膝を落とし、ただただ居なくなった友の名前を呟くのであった。

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