《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
エリカside
大会は私達が勝った。だけど事故から結局エリは戻ってこなかった。何十人、何百人規模の探索に乗り出そうとも結局見つかったのはエリが履いていた靴と帽子、双眼鏡だけだったのだ。
しかし、それも事故から一週間程で捜索が打ち切られ無慈悲にもエリは事故死と判断された。
「何でエリの捜索が打ち切りになるんですか!」
西住隊長からその知らせが告げられた時、私達は隊長に詰めよった。大会の直前まで普通に談笑していた相手が急に行方不明になって死んだと言われて納得が出来るかと。
「私だってエリが死んだとは思いたくない…エリを黒森峰で戦車道に誘ったのは私だ。だが…あの氾濫しかけた川に流されて生きていられるものか…」
隊長は涙を浮かべていた。自身が信頼していた人間が死んだのだと言われて納得していないのは隊長も同じようだった。
「エリの葬儀は明後日、西住流本家にて執り行う。皆、エリを…見送ってやれ…」
隊長はそれから明後日まで訓練は休みだと言って隊長室に戻って行った。それから私は寮に帰ると枕を濡らして泣いた。自身の双子のように思っていたし同じ中等部で副隊長として信頼し合ってもいた。そんな存在だったのだ。だけど、私よりもみほの方が参ってしまっていた。
「私のせいで…私のせいでエリさんは…」
そうボソボソと呟き続けている。
「みほのせいじゃ無いわ。あれは…天候が悪かったのよ」
みほをそう宥めるが、みほは更に自分を責めてしまう。
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<2日後>
2日後、西住流本家でエリの葬儀が西住流家元が喪主をしつつ執り行われた。西住流家元や西住隊長、黒森峰からは私を含めた機甲科全員が参列した。葬儀は形式的な物だった。エリの亡骸がない棺にエリの遺品と花を入れて焼く。ただそれだけだ。エリがいない、こんな葬儀になんの意味があるのか…皆泣いていた。私だって泣いた。だけどそれでエリは帰っては来ない。
「西住隊長、何故エリの葬儀を西住流が…?」
私は葬儀が終わった後隊長にそう問いかけた。
「エリカ、それはな。せめてもの罪滅ぼしだ。エリを黒森峰に入れ、戦車道をさせたのは私だ。なら、エリを送り出すのも私の役目だからな…」
「私は、先に行く。早く帰るんだぞ」
隊長はそう言って立ち去ろうとするが私はそれを呼び止めた。
「エリの!エリの、お墓は…」
「…エリの墓は西住流の屋敷に置く事になる」
「それではな…」
そう言って隊長は立ち去ってしまった。それから、みほが引きこもりだしてしまった。エリの死はみほを戦車道から遠ざかせる。
「みほまで…なんで、私の前から…」
結局、みほは転校した。戦車道が無い学校に。私は、一人になってしまった。仲の良い友達はいる。だけど、親友が一瞬でいなくなってしまった私はそれでも戦車道を続けた。いつか、エリが生きていたとしても誇れるように戦車道を続けていくつもりだ。
エリカsideout