《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
翌日、エリは戦車隊の練習が終わってからいつもの倉庫に来ていた。
「蜜柑いるかな」
蜜柑がいるのかと倉庫に顔を出す。すると倉庫に入ってきたエリに気がついた整備科の霞川信が声をかけてきた。
「あれ?理事?どうかしましたか?」
「ああ、信か。蜜柑っている?」
ちょうどいいと蜜柑はどこかと聞いた。
「岡島整備科主任ですか?主任ならあそこの管理室兼仮眠室でグースカ寝てますよ。」
「あいつゥ…ああ、ありがと。蜜柑叩き起こしてくるわ」
蜜柑は倉庫の端に建てられた管理室兼仮眠室で寝ているらしく、エリは頭に手を軽く当てて蜜柑を起こしに行こうと倉庫の奥に入る。
「あ、理事!」
しかし、そこで信に呼び止められた。
「んぁ?どうした?」
「管理室の扉の前にハリセンがあるんでそれ使ってください」
いや、何で管理室前にハリセンなんてあるんだよ…
「あ、ああ…って何でハリセンなんてあるんだ…?」
「そりゃあ…グースカカースカ寝てるんですもん。帰る前に叩き起こしてるんですよ」
「えぇ…んなことあるのかよ…ま、まぁいいや。起こしてくるわ」
そう言っているうちに管理室の前に着くと扉の横の壁に普通にかかってた。ハリセンが。
「えぇ…マジであったよ…」
軽く引きつつ管理室の中を覗くと蜜柑がソファーの上で作業着のまま今にも落ちそうな毛布をかぶりつつ眠っていた。
「スースースー」
「…サッサと起きんかい!!」スパコーン!
「イッタァー!!」ガザc!
横になって寝ていた蜜柑の頭にハリセンがヒットし、蜜柑は飛び起き床に転げ落ちた。蜜柑の頭からギャグ漫画のように煙が上がっている。
「な、なにするのさ!エリ!」
「目が覚めたか~?み・か・ん?」ゴゴゴゴ
叩き起こされ、涙目ながらエリに抗議するもエリの気迫に押されてしまう。
「アッ、ハイ!」
「寝すぎるなよ…ったく、で?研三ってのは?」
軽い小言で済まし、用意が出来た研三とやらのことを聞いた。
「ンン!ああ、研三ね。着いてきて、見せるわ」
そう言って蜜柑は床から立ち上がり、管理室の奥の扉を開け、部屋の電気をつける。すると部屋の中に1機の航空機が現れた。───研三だ。
「おお~!」
そう言って研三の近くに行き、周りを見て回る。
「液冷X型エンジン3350馬力、それに2段のスーパーチャージャーとターボチャージャー付きで4370馬力は出るよ」
「4370も出るのか!?」
4370馬力っていうとアメリカ軍機のP-51マスタングやF-8Fベアキャットのレース仕様並みなんだが…
「速力にすると試算だけど830km/hくらいは出ると思うよ」
「えぇ…戦車道連盟のでも689km/hくらいなんだけど…」
戦車道連盟にも研三はある。だけどこんな化け物性能なんかじゃない!!
「そりゃあ…二号機の設計予定をベースに作ったからねー。それにうちには8軸マシニングとか変態技師とかいるからさ~それくらい出るよね~」
「えぇ…うちの整備科って何者の集まりなんやねん…」
うちの工廠ってのもあるだろうけど…
「あ、エリ!これ乗ってみる?試験しなきゃなんだけどさー」
蜜柑に二号機に乗ってみるかと問われる。
「う~ん…乗ってみるかなぁ…」
「よし!なら善は急げだ!ささっ!早く着替えて来てよ!」
そう言って俺にそこらへんにあった飛行服をひっ掴み、押し付けてきた。
「う、うん、わかったよ」
返事をし、エリは倉庫内にある更衣室に向かっていった。