《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
あれから数時間後、エリとミカの姿は航空科の滑走路に駐機し、今から飛び立たんとする一式陸攻の中にあった。
「今日は急に呼び出しちゃってすまんな!」
「理事、気にせんで下さい!丁度整備終わりだったんで!」
この一式陸攻、その機長を勤める山岡大輔に礼を言う。
「ありがとうな!」
「山岡さん!第二航空隊第一小隊の奴らが飛び立ち始めました!!」
一式陸攻通信手、長目住次郎が無線機のある後ろの隔壁から頭を突きだし叫ぶ。
「よっしゃ!ほな行くで!理事とミカはん!ちゃんとベルトしといてくださいや!」
そう言われミカとエリはイスのベルトを再度確認する。その間に山岡は副機長の沖海美津子に指示を出し離陸準備を整え、エンジンの出力を上げる。エンジンの振動が段々と大きくなるが、隔壁のおかげでいうほどのものではない
「長目!離陸許可来たか!」
「来てます!離陸可能!!」
離陸許可の有無を確認する。
「よし!沖海!離陸するで!」
「分かりました!」
山岡は沖海にも確認を取り機体のブレーキを段々と放し、スロットルを上げ、操縦桿をぐっと前に倒す。機体はゆっくりと進み出し、そのすぐ後にエンジンが轟音を轟かせつつ機体が速度を上げる。そして、すぐに機首が下がり、機体が水平になり操縦桿を戻す。
「70…75…80…85…100!!」
速力が100ノットに達し、操縦桿を引く。すると機体が空に飛び上がった。そのまま機体を高度2000m程に上昇させる。
「第二航空隊第一小隊!本機の回りに着きます!」
住次郎がそう報告する。小窓から外を見ると零戦が一式陸攻の前後左右に陣取り飛行している。
「おぉ…」
「すごいね…」
「後一時間ちょっとぐらいですから理事はミカはんにパラシュートの使い方教えといて下さいよ!」
小窓から外を見ていると山岡にそう頼まれる。
「ん、わかった!」
そう言ってベルトを外し、立ち上がるとパラシュートを持ってきてミカに持たせる。
「これがパラシュートだよ」
「へぇ…これが」
「そ、まぁ、後でも言うけど飛び降りたら五つ数えてこの、肩の輪っかを引っ張る。で、引っ張ったら開くから、パラシュートから垂れてきた奴で操作出来る」
パラシュートに着いている輪っかを指差して説明した。
「こうなってるんだね。分かったよ」
「ん、じゃあ後は継続に着くまで待機だね」
「そうだね、その間はカンテレでも弾いてるよ」
ミカはそう言ってカンテレを持ち出す。
「おっ!ミカはんは楽器を弾けるんでっか?」
山岡が反応してくる。
「弾けますよ。何かリクエストが?」
「うーん…せやな。ミカはんの得意なのを頼めますか?」
「なら…Säkkijärven Polkkaかな?」
ミカがそう提案してくる。そう言えば劇場版でも弾いてましたね。
「ほな、それを頼みますわ!」
そうして一式陸攻の中で演奏が始まり、それは無線機から第一小隊にも中継されて継続高校に着くまでの間に小さな音楽祭となったのだった。