《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
「知らない天井…」
エリは目覚めるとそう呟いた。ベットに横になっていたエリは病院なのだと分かったがここがどこかが分からなかった。
「零戦に乗って…飛んでたらグラマンに…痛ッつ…包帯…」
状況を理解しようと頭を回すが頭痛が走り頭に手をやる。包帯だ、最後の記憶では目の前に迫る計器盤があったのだ。あの後回収されて、病院で巻かれていても不思議ではない。「目が覚めたのか」─!?
「─だれ…だ?………西住…まほ?」
ドアの横には黒森峰戦車道隊長、西住まほが立っていた。まほは此方に近づき、ベット横のイスに腰かけた。
「ほぉ?私の事を知っているんだな」
「…はい」
まほの言葉にそう答える。そうだ。知らない訳がない。原作での軍神西住みほの姉で黒森峰の隊長だ。
「自分は…一体…」
「逸見エリ、君はどこから来たんだ?」
まほが質問てきた。
「…どこ、とは?」
少し間が開きつつそれに聞き返す。
「君が眠っている間にあの零戦内にあった鞄の中を改めさせてもらった。君の制服の生徒手帳には存在しない学校名が書かれていた。尚且つ君自身の戸籍すら存在が確認出来なかったそうだ」
「…そうですか」
「では、改めて聞くが――君はどこから来たんだ?」
まほはそう言い放つ。まぁ、戸籍が無いのも学園艦が無いのも不思議ではない。元々エリは別軸のゲーム内にいたキャラクターだ。この世界の人間では無いのだ。
「─突飛な話ですが…多分、自分はパラレルワールド的な所から迷い混んできたのかと思います」
「パラレルワールド?」
パラレルワールドならゲーム世界とも言えよう。
「…そうでも無いと自分がここにいる説明がつきませんからね」
「…そうか」
─ならと続ける。
「…なら、君のいた世界とやらを教えてくれないか?」
まほは元の世界での事を聞きたいらしい。
「自分がいた世界…ですか?」
「そうだ」
「普通嘘かと疑う筈なんですけど…そうですね…自分は学園艦で戦車隊と航空隊を兼任してました」
「戦車隊?戦車道の事か?」
まほは戦車隊に引っ掛かったらしい。
「その認識でいいと思います」
「君は戦車道で何に乗っていたんだ?」
「戦車道では…Ⅳ号で車長を」
鈴総でのエリの乗車はⅣ号(大洗仕様の魔改造で規定ギリギリのやーつ)だった。ん?理由か?原作がな?(みぽりん最強じゃん?)まぁ、他にも乗れるがな!(ティーガーⅡとか)
「そうか…」
そこまで掘り下げるとまほは思案顔になったがしばらくして顔を上げ、此方を向き言い放つ。
「…逸見エリ、君はこの学園艦で戦車道をしてみる気はないか?」
ドキリとした。そんな事を言われるとは思っていなかったのだ。
「…この学園艦で戦車道、を?西住にそんな権力があるの?それに自分は男ですよ」
エリはそう言ってまほに問う。
「なに、君が戦車道で成績を見せてくれれば黒森峰や西住流も断れんし男子でも少ないが戦車道をしている人達もいるから問題ない」
「…だけど自分は鈴総に…「わかってる、君の学園艦が来たら戻れるように取り計らおう」…わかった」
そう言われたら断れんよ。…
「だけど…自分は無一文です」
「大丈夫だ。あの零戦のデータで数百万程度直ぐに作れるし補助金なんかも出る。それに、君には興味が湧いたんだ」
まほはそう言うと立ち上がり、病室の扉まで歩いていくと不意に立ち止まり振り返った。
「逸見エリ、君の怪我は頭の切り傷だけのようだ。試験の日付等は追って伝える。それまでは機甲科の旧部室棟の一室を使えるように言っておこう…ではな」
そう言い病室を出ていった。
「…やさしいな」