《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
大洗side
「西住殿!鈴鹿総合の戦車が来ましたよ!」
試合当日──戦車格納庫の前で戦車を並べ、整列していると優花里が校舎の横の道を通って一列で走ってきた鈴鹿総合の戦車を見て叫んだ。
「ポルシェティーガーにパンターG型…」
「Ⅳ突までいます!」
鈴鹿総合の戦車達は綺麗な列で校内に入ると、みほ達の前で信地旋回して止まった。
「すごい戦車達ですね…」
鈴鹿総合の戦車のエンジンが止まり、車中から鈴鹿総合の隊員達が順に降りてきて各戦車の前に整列する。そして、フラッグのついたポルシェティーガーから最後に銀髪の生徒が降り立った。
「─エリさん!!」
大洗sideout
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「エリさん!!」
「ぉお!?み、みほ。久しぶり」
戦車から降りるなりみほに抱きつかれました。なんかエリカに続いて…?
「…何で連絡くれなかったんですか?」
少々頬を膨らせ、みほがエリに話しかける。
「携帯水没してな…けど、黒森峰と西住流本家には行ったぞ?」
「お母さん…言ってほしかったのに…」
みほがコノアイダデンワデオシエテクレナカッタノニ…なんて呟いております。黒い、黒いぞみほ?!
「み、みほ?試合な?今から試合」
「…へ?し、試合?あわわッ!?す、すみません!」
エリに指摘され、みほが自身の戦車に戻っていく。スゲーデジャブ?すると、後から大洗の桃が前に出てきた。
「えー、ゴホン…本日は、急な申し込みにも関わらず、試合を受けていただき、感謝する」
「構いませんよ」
エリは形式的な返事をする。
「それにしても…こ、個性の出てる戦車達ですね」
相手の戦車を順々に見てそう言った。
所々塗装の剥がれている金色の38tと赤青黄色に塗られた三突、掠れた文字でバレー部復活と書かれた八九式にまともなⅣ号にチヌ…ゑ?
「(え、M3リーがいない!?)」
「何か…?」
いきなり顔をしかめたエリに桃が質問してきた。
「い、いえ、以前にうちから諜報を飛ばした時にはM3が居たので…」
「M3ですか…実はM3は見つかったには見つかったのですが劣化が酷く、先の聖グロリアーナとの試合で大破して修理が間に合わず修理中です」
えぇ…自動車部修理出来てたじゃん。それでもって、どんだけ酷く壊れたんだよ…
※両砲塔変形、両砲身交換、変速機・エンジンブロー、変速機・エンジン載せ換え───後、大洗の資金不足☆ミ──あ、ちゃんと乗員は無事だよ?なんでか?敵前逃亡って知ってる?
「は、はぁ…」
その後すぐ向かい合って整列している両校生徒の前に審判員を勤める連盟の審判員が出てくる。
「それではこれより、鈴鹿総合学園VS大洗女子学園の試合を始める。一同、礼!」
「「「「「「よろしくお願いしまーす!!」」」」」」
両校生徒が一斉に頭を下げる。それから両校生徒達は自身の戦車に乗り込んで行く。