《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ 作:如月 霊
『マチルダ、チャーチル!三笠公園内に向けて行ってます!』
先行した三咲車から通信が入った。
「こちら隊長車。了解」
そう短く返しエリは自分の戦車の指揮をとりだす。
「美乃、三笠公園に向かってくれ」
「りょーかい!」
指示を受けた美乃がⅣ号を三笠公園に向けて走り出していった。
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「…!チャーチルだ!」
三笠公園へ向け走っていると前方をチャーチルが横切った。
「美乃!」
「わっかってるわ!」
Ⅳ号もスピードを上げチャーチルを追う―――が、しかし――
「グッ!…な、なんだ⁉」
チャーチルに続いて角を曲がろうとした瞬間、エリが乗るⅣ号が揺れた。衝撃がきた後方を見るとⅣ号は後部装甲に被弾し白旗を上げていた。その先には砲身から硝煙を上げるボロボロのクルセイダー。
「…まさか!」
エリはクルセイダー隊が来た時の事を思い出した。全部が全部フラッグ確認してない!
「クソォ…こちら隊長車!クルセイダー隊残存に撃破された!以後指揮はあぎりに譲渡!任せる!」
『大丈夫ですか〜?』
あぎりから無線が入る。
「なんとかな。チャーチルはポイント――で見たから後はよろしく」
「分かりました〜」
あぎりはそう言って無線を切った。
「やられちゃったねぇ〜」
「そうだなぁ…」
美乃が首の後ろで手を組みつつ言ってきた。
「やられちゃったじゃないですよぉ…」
「撃破しそこねた奴に…ギリッ」
「勝てますかね…」
上から佐智、唯、結香だ。
「勝てると思うがなぁ…あぎりとポルシェティーガー隊は残ってるんだしさ」
「そうですかねぇ…」
結香がそう言いたいのもわかるが…あぎりが部隊率いたら聖グロの数輌くらい大丈夫だろう。ポルシェティーガーが速さで潰す筈だ。
「まぁ、そのうち知らせが来るよ。気長に待とう」
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「…そろそろかな?」
『――聖グロリアーナ女学院、フラッグ車戦闘不能!!よって、鈴鹿総合学園の勝利!!』
エリが撃破されてから十分後、リラックス仕切った車内に無線機から勝利の知らせが入って来た。
「流石あぎりだ。ちゃんとやってくれたな」
エリはそう言ってキューポラを開け、外に出る、
「なんとか勝てた、か…」
装甲板に腰掛けて撃ち抜かれ、黒く焦げた後部装甲板を見てそう言った。
「ま、油断大敵ってやつだね、エリ〜w」
「うっさいよ!美乃!」
操縦手の上のハッチから顔を覗かせた美乃が茶化してくるが、それに言い返す。
「わっかったわ〜」
「ったく…」
そう言う美乃にエリは深くため息をつくのだった。