転移オリ主はエンキの使者のようです   作:アノロン在住の銀騎士

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投稿が遅れて申し訳ありません。
5月病になりまして、ありとあらゆる事に対してやる気が無くなりまして。
現在リハビリがてらちまちま小説書いとります。
気長に待っててくだち!



第4話 あったかいものどうぞ

霧中である。

濃い霧である。

広い空間が濃霧で包まれていたのだ。

周りには誰もいない。

筈だが、霧のせいで気配すら感じられなかった。

 

「おかしい。俺は、ツヴァイウィングのライブ会場で魔力切れを起こしてはず」

 

流水(るみ)はそう、独りごちる。

が、変化はない。

仕方ないので、適当に歩き回る事にした。

そうして歩いていると、人影が近付いてきた。

人影が近付くにつれ、霧が晴れていく。

人影は青い髪に青い服を着ていた。

その人影は、月に居るエンキの遺志であった。

 

「エンキ……?」

 

だが、そのエンキはどこかエンキの遺志と雰囲気が違っている。

 

「繧九∩縲∵ー励r縺、縺代m」

 

そして、エンキの口から紡がれたのは雑音であった。

 

「エンキ、どうしたのじゃ? 言語プログラムバグったか?」

「繝輔ぅ繝シ繝阪′迢吶o繧後※縺?k」

 

エンキの言葉を、流水は理解できなかった。

だが、エンキの顔からは冷や汗が流れている。

必死で、何かを伝えようとしているのだ。

霧が、濃くなってくる。

 

「エンキ! わからぬ! なにを伝えたいのじゃ!?」

「フィ繝シ繝阪r螳医▲縺ヲ縺上l」

「フィ……? フィーネか? フィーネならキチンと説得出来たのじゃ! 安心するのじゃ」

 

流水の言葉を、エンキは首を振って遮る。

 

「繧キ繧ァ繝?繝サ繝上?蟄舌?√く繝ウ繧ー繝シ繧呈ュ「繧√m」

「え、なんじゃて? 端的に言ってほしいのじゃ」

 

霧でエンキの姿が見えなくなる。

それでも、最後に言葉は届いていた。

流水はその言葉を聞いていた。

 

She无・Hあ(シェム・ハ)

 

 

 

 

 

 

「目覚めると、見知らぬ天井だった。のじゃ」

 

ぱっちり、と流水は目を覚まし、セルフ説明した。

事実、流水は見知らぬ部屋にいた。

清潔なベッドに寝かされていたのだ。

腕からは点滴のチューブが伸びている。

 

「病院……?」

 

と、流水は結論付ける。

が、しかし。

 

「ナースコールがないのじゃ……」

 

枕元を探しても、ベッドと壁の隙間を探してもナースコールが無かった。

 

「う〜〜〜ん。どうしたもんか」

 

誰か来るのを待つか。

ナースステーションに行くか。

流水は悩む。

 

「う〜〜〜、あ。月に帰れば良いのじゃ!」

 

流水はエンキの遺志から渡されていたテレポートクリスタルの事を思い出していた。

あれは何度も使える。

それを使って一旦月に帰ろうと言うのだ。

 

「そういえば、エンキが夢に出てきたのじゃな」

 

夢の中のエンキに思いを馳せる流水。

夢のエンキは、言葉が雑音に塗れていた。

 

「マルドゥークのエンキとは違うエンキなのか……?」

 

すなわちオリジナルエンキ。

先史文明にて地球にやって来た上位者。

人を守る為に命を賭して統一言語を封じた神。

その神が、夢を通じて流水の夢に語りかけたのか。

 

「フィーネと、シェム・ハと言ってたな」

 

流水は、夢の中のエンキの言葉の意味を考える。

 

「……うーん、わからん」

 

流水には言葉の意味はわからなかった。

愛する者であるフィーネと。

自身の敵であるシェム・ハ。

その二人を同時に口にする、その意味が……。

 

「フィーネをシェム・ハから守れ、とか?」

 

まあいいや、と流水は思考を切り替えた。

気を取り直して、テレポートクリスタルを取り出そうとするが……。

 

「無い……」

 

テレポートクリスタルが無かった。

首からペンダントめいて提げていたのであるが、そのペンダント自体が無かった。

ポケットを漁っても無かった。

ベッドの上を探しても無かった。

ベッドの隣のラックを見ても無かった。

どこにも、テレポートクリスタルが無かった。

というか、一緒に持ってきたはずの財布も無かった。

 

「やっべ」

 

流水の顔から、冷や汗が滝のように流れる。

テレポートクリスタルが無いと、月に帰れない。

フィーネを月に連れて行けない。

 

「ライブ会場で落としたか……? 」

 

戦闘中にライブ会場に落とした可能性を考慮しだす流水。

頭を抱えた。

 

「警察かなんかが、落とし物として預かってくれてると、嬉しいが……」

「いえ、あのペンダントと財布ならこちらで預かってますよ」

 

突如、部屋の陰から声。

保志総一朗に似ている声だ。

スーツを着た男。

 

「アイエエエ!? オバケ!!」

「いえ、忍者です」

「ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

 

流水はパニックになる。

忍者が落ち着かせた。

 

「す、すまぬ。リアルニンジャは初めて見た……いや、ザントマンも忍者の格好しとったけど」

「彼はまた、別の里の忍びですから」

 

流水を落ち着かせると、忍者は自己紹介した。

 

「僕は緒川慎次です」

「……ここは二課か」

 

忍者の素性が二課職員である慎次である事を知ると、自らが二課に囚われた事を悟る流水である。

 

「さすが、転移者ですね。僕達のことをご存知でしたか」

「まぁの。……で、俺をどうするつもりだ」

「お話を、聞かせてください」

 

慎次は流水を立たせると、その手にゴツい手錠を掛けた。

 

「今しばらく辛抱を。規則ですから」

「で、どこに連れていくのじゃ?」

「検査と、診察です」

 

慎次は流水を立たせると、別室に案内した。

MRIや血液検査などを受けさせられる。

そして、診察室にて二課のお抱え医師から問診を受けた。

問診が終わると、二課のお抱え医師が流水の腕から点滴を抜いた。

 

「3分間押さえといてくださいね」

 

と、傷口に丸いテープを貼る。

慎次が流水のテープを押える。

そして、三分後。

 

「で、この後は?」

「二課内のとある一室です。……そこで、話を聞かせてもらいますよ」

 

取り調べが始まる。

流水は口を開いた。

 

「……カツ丼は出るか?」

「残念ながら、取り調べ室ではないので出ませんよ」

「のじゃぁ〜……」

 

流水はがっかりした。

兎にも角にも、流水は慎次に連れられて、二課内部を歩く。

いつの間にやら、黒服二人が後ろに着いていた。

 

「警戒しとるの」

「ええ。転移者は皆、聖遺物を持っていますから」

「らしいの。俺持ってないけど」

「テレポートクリスタルは、聖遺物でしょう?」

「いや、アレ作ってもらったから、ただの異端技術の代物じゃよ」

「……そうですか」

「こっちも聞いてよいか?」

「なんでしょう?」

「立花響ちゃんは、生きてる?」

 

流水の言葉に、慎次は答えた。

 

「ええ。ここではなく、民間の病院に入院してますが」

「そうか、良かった」 

 

流水は胸をなでおろした。

もしものことが無いように、慎重に響の身体を操っていたのが流水である。

それでも、不安であった。

無事の確認を取るまで、安心できなかった。

 

「あれから、何日経ったのじゃ?」

「一週間です」

「よぉ寝たの、俺」

「ええ、こちらで診察したら過労でしたよ」

「ま、頑張ったからのぉ」

 

そうこう話している内に、ある扉の前にたどり着く。

扉に手をかける慎次。

 

「この先です」

「おっかないのじゃぁ〜」

「安心してください、形式的なものですから」

「警察だの公安だの、捜査関係の【形式的】ほど信用ならんものは無いのじゃぁ〜」

 

流水の抗議を無視して慎次は扉を開けた。

 

パァンパァン、と銃声。いやさパーティークラッカーの音。

 

『熱烈歓迎! 泉流水さま』

『ようこそ2課へ!!』

 

の吊り看板。

 

「ようこそッ! 人類守護の砦、特異災害対策機動部二課へッ!」

 

と、赤いシャツの偉丈夫。

 

「俺はここの責任者を務める、司令の風鳴弦十郎だ」

 

憲法に抵触しかねない強さのOTONA、風鳴弦十郎である。

その後ろにはクラッカーを構えた黒服たちと、青い制服を着た二課職員たち。

そしてリディアンの制服を着た天羽奏と風鳴翼。

白衣を着た櫻井了子。

 

「あ、ドーモ、泉流水です。……え? 歓迎? え? え?」

 

流水は困惑した。

これから厳しい取り調べが始まるものと思っていたのだ。

拍子抜けである。

 

「だから言ったじゃないですか、【形式的】なものだって」

 

慎次が笑う。

 

「忍者は性格悪いのじゃぁ〜!」

 

流水は肩を落とした。

その間に黒服が手早く流水の手錠を外した。

 

「んで、転移者のワシを歓迎する理由はなんじゃ? 転移者は二課と敵対しとるはずじゃろ?」

 

緊張の緩和から一人称が【俺】から【ワシ】に変わる流水。

のじゃロリ化が加速!

狂気!

 

「ああ。ほとんどの転移者はな」

 

弦十郎はそんな流水に椅子を勧める。

流水は素直に座った。

女性職員が、皿に乗せたケーキを渡す。

ショートケーキだ。

流水はひとくち食べた。

甘くて美味しかった。

 

「だが、君は一週間前のライブ会場で、奏や翼を助けた」

「成り行きじゃ。……それでも、一万人死なせてしもうたがな」

「確かにな。だが、君が居なければ奏も死んでいた。ありがとう」

 

弦十郎は頭を下げた。

 

「あたしからも礼を言わせてくれ。助けてくれてありがとうな」

「私からも。奏を助けてくれてありがとう」

 

ツヴァイウィングの二人も礼を言う。

 

「ええんじゃ。ええんじゃ。成り行きじゃ成り行き。頭を上げて欲しいのじゃぁ〜」

 

流水は赤面した。

頭を下げられて礼を言われた経験が少ないので照れたのだ。

 

「じゃが! それだけじゃないじゃろ、ワシを信用した理由!」

「ああ」

 

弦十郎が答えた。

 

「そこに居る【フィーネ】から話を聞いた」

「……ゲロったんか」

 

流水の視線を真っ向から受け止めた了子。

その顔には若干の怒り。

 

「流水くんが悪いのよ? ライブ前に堂々と呼び出すから! そこから芋蔓式よ!」

「……あー」

 

流水のせいであった。

流水がライブ前にコンタクトを取った了子。

突如としてライブ会場に現れ、シンフォギア装者の危機を救った謎の転移者の正体を知っている唯一の人間であった。

 

「いや、普通にミーハーな奴がシンフォギア作った博士に会いに来た、とか嘘言っても良かったじゃろ」

 

流水は了子が嘘をつかなかった事を疑問に思った。

 

「……私も最初はそう思ったわよ。でもね」

 

了子は衝撃の言葉を口にした。

 

「ライブ当日、私の隠れ家も襲撃されたわ」

「は?」

「……雪音クリスが攫われたのよ」

「……そこから手繰られたか」

 

了子は静かに頷いた。

雪音クリス。

イチイバルの適合者であり、シンフォギア人気投票一位の少女。

ライブ前日にバルベルデから帰国したものの、フィーネに攫われている。

その、雪音クリスが更に攫われたのである。

 

「その隠れ家に複数の転移者が襲撃しているのを、隠れ家の防犯カメラが捉えていた」

 

と、弦十郎。

 

「その隠れ家を利用していたのが、了子くんだという事も確認し、取り調べを行った」

「で、ゲロったのじゃな」

 

了子は静かに頷いた。

流水は気付いた。

自然な形であるが、了子の周りに黒服が配置されている事を。

……いざという時には、拘束か殺害するのであろう。

 

「逃げればよかったではないか?」

「……あなたを置いて? あのお方に繋がる、あなたを?」

 

了子、否、フィーネにとって、流水は今まで恋い焦がれてきたエンキに繋がる唯一の人間である。

その人間を、むざむざ諦める事は出来なかったのだ。

 

「……あなたは私に月の破壊をやめろ、と言いに来た。私が信じないかもしれないのに。それでも、伝えに来た」

「テレポートクリスタル見せたら信じると確信してたのじゃ」

「それでも、よ。転移者であるあなたは私がどんな人間か、どんな事をやってきたか知ってるはず」

「日米股に掛けてシッチャカメッチャカしとったな」

 

二課の情報をF.I.S.を横流し。

神獣鏡の為に発掘チーム皆殺し。

でっかいビーム砲で月の破壊を目論む。

エトセトラエトセトラ。

控えめに言って死刑確定である。

 

「それでも、伝えに来てくれた。それが、弦十郎くんがあなたを信じた理由よ」

「そういう事だ」

 

弦十郎は頷いた。

 

「危険を承知で了子くんに会いに来たこと、翼と奏を助けに来たこと。君は信用に足る人間だと判断した」

「それで歓迎?」

「ああ」

 

女性職員がケーキのおかわりを持ってくる。

レアチーズケーキだ。

それと、温かいコーヒー。

 

「あったかいものどうぞ」

「あったかいものどうも」

 

女性職員は友里あおいであったようだ。

流水は恒例の返しをした。

 

「美味い。それで、ワシに何を求める?」

 

流水は弦十郎に問うた。

二課と弦十郎は何を流水に求めたのかと。

 

「力を、貸してほしい。俺たちの世界が転移者にとってアニメだと言うのは知ってるが、この世界がこれからどうなるかは知らないんだ」

 

二課はこの世界が、転移者にとってアニメの世界に酷似している事は知っている。

しかし、詳細なストーリー、これからどうなるかは知らないのであった。

 

「え? 他の転移者は? 二課に協力したがる奴はいっぱいおるじゃろ」

「……俺たちも、何度も協力的な転移者にコンタクトを取ろうとしたが、その度にその転移者は殺されてきた」

「殺された? ……敵対しとる奴らか」

「ああ、【ルーラー】と名乗る転移者たちによってな」

 

ルーラー。

この世界のシナリオを守る為に行動する転移者たちの組織である。

 

「狗神やザントマンも?」

「あぁ。彼らもルーラーだ」

「ルーラー。統治者か支配者、はたまた裁定者気取りなのじゃな」

 

もぐもぐとレアチーズケーキを食べながら流水。

 

「クリスちゃんを攫ったのもそいつら?」

「ああ」

 

弦十郎が頷く。

フィーネが行動を起こさない為に、フィーネの代わりにクリスを利用して行動を起こすつもりなのだ。

シナリオを守る為に。

 

「誰の為の統治者なのやら」

 

流水はコーヒーを飲んだ。

 

「協力するのは構わないのじゃぁ〜」

「本当かッ!?」

「その代わりッ!」

 

喜ぶ弦十郎と、人差し指を立てて止める流水。

 

「一つ頼みがあるのじゃぁ〜!」

「頼み?」

 

流水の頼み。

それは流水が地球に降りてきた、元々の目的である。

 

「フィーネの身柄、こちらで預からせて欲しいのじゃぁ〜!」




○シェム・ハ
だいたいコイツが悪い。
でも最後は先達として、人類の母として見守る結論に達したから許すよ……。
XDUのシェムシェム☆パニックは神イベントだったよ。

○緒川慎次
リアルニンジャ。
飛騨忍群出身の二課のエージェント。
そしてツヴァイウィングのマネージャー。
有能。
二次創作では翼さんとカップリングされてる。
主と従者のカップリングはね、いつの時代も人気なのね。

○風鳴弦十郎
二課の司令。
憲法に抵触する可能性があるほどのカラテを誇る。
シンフォギアの大概のボスキャラに勝てる可能性が高いが、ボスキャラはたいていノイズやアルカノイズを使ってくるので戦場に出られない。
弦十郎→装者→ノイズの三すくみなのだ。

○雪音クリス
謎の女に攫われた次の日に謎の組織に攫われた不運な少女。
人気投票一位の少女でもあり、カワイイ。

○あったかいものどうぞ
シンフォギアを代表するセリフの一つ。
元々はワイルドアームズというゲームに出てきたけど、作者はやったこと無い。
リメイクかなんかで配信されないかしら?

○ルーラー
統治者、支配者の意味の名を持つ転移者たちの組織。
世界のシナリオを守るのが目的。
なぜ守るのかって?
そりゃ○○○○を○○させて○○010101111001011010───

○調めし
まさかのシンフォギアコミカライズにして、まさかの調ちゃん主人公マンガ。
世界観はまさかの敵キャラ全員生存の【衛宮さんちの今日のごはん】形式。まあその方が色んな人物出せるし是非もないよネ!
第一話面白かった。単行本発売されたら買おうと思った(KONAMI)
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