リィンカーネーションダービー ‐新人トレーナーがんばる‐ 作:烏賊メンコ
同期が育てているウマ娘――ユイイツムニがGⅠで初勝利を収める。
その報せはすぐさまメッセージアプリで共有された。というか、中にはヴィクトリアマイルにウマ娘を出したもののユイイツムニに敗れた同期もいたし、俺は日曜日に行われるGⅠレースということもあって部室のテレビで見ていた。
桐生院さん、俺に続き、同世代のトレーナーから3人目のGⅠトレーナーの誕生である。それも黄金世代の一人として有名なミークを破っての勝利だ。
「やったあああああああぁぁぁっ! わたしのユイイツムニは最強おおおおおぉっ!」
で、何故か同期本人から電話がかかってきてそんなことを叫ばれた。耳の鼓膜が痛いっ!
「あっ、やばっ、ごめん間違えたわ」
そして電話が切られた。誰と間違えたんだろう……多分、親御さんか彼氏かにかけようとしてうっかり間違えたんじゃなかろうか。
ユイイツムニは逃げウマ娘である。マイル1600メートルをスタートから猛ダッシュで逃げ、そして最終直線で上がってきたミークに差し切られることなく逃げ切ったのだ。
その着差はクビ差だったが、勝ちは勝ちである。ゴールを駆け抜けた直後は勢い的にミークの方が先に進んでいたため、ユイイツムニも自分が勝ったと思わなかったようだ。
しかし周囲の反応や実況や解説の言葉、そして着順掲示板に自身の番号が表示された瞬間、ユイイツムニはその場に泣き崩れた。嬉し泣きで、だ。
GⅠレースでの勝利というのは、それほどまでに重たいものなのだ。もちろんGⅡ以下のレースで勝って嬉しくない、なんてことはないけど、やはりGⅠでの勝利は格別である。
ライスが5勝、キングが3勝、ウララが2勝してくれているけど、GⅠで勝つと今でも震えるほどに嬉しいし夜に寝付けないほど興奮するのだ。
体の底から震えて、頭のてっぺんから爪先までブルブルと震えが走って、膝はガクガクになって。それがGⅠでの勝利の喜びであり、感動なのだ。
「ユイイツムニが唯一無二の結果を残した……うーん、GⅠ1勝だと唯一無二って言うのは厳しいか……?」
そんなことを呟きつつ、俺は部室の扉を開けて外を確認する。うん、シンボリルドルフはいないな。
少なくとも同期にとっては初めてのGⅠで、唯一無二の感動を得られたとは思う。俺も今でもGⅠでウララ達が勝つと嬉しいって考えたけど、やっぱり初めてのGⅠ勝利は格別だったしな……。
俺にとっての初のGⅠ勝利といえば一昨年にライスが有馬記念で勝った時になるんだろうけど……一から育てたウマ娘がってなると、去年のウララのJBCスプリントになるのかな。
何はともあれ、めでたいことに変わりはない。これは飲み会……いや、宴会だな。自分のところのウマ娘が重賞で勝った奴が奢ってるけど、俺もキングが春の天皇賞で勝ったし、俺が企画しても問題はあるまい。あとは後輩達も捕まえて、新人達も誘うか。
勝った奴はお祝い、負けた奴は残念会だ。そう思って直近で集まりやすい日付を決め、メッセージアプリで同期に後輩に新人を誘い、終業後に商店街の行きつけのお店で宴会を始めた――んだが。
「ぐやじいでずっ! わだじのミーグがっ!」
「今回は私の勝ちー! イエーイ!」
乾杯したら桐生院さんがビールを一気飲みして、ユイイツムニのトレーナーに絡んでいくという珍しい光景があった。いやうん、マジで珍しいわ。あんな桐生院さん、初めて見たかもしれん。
「GⅠトレーナーになるの、先を越されたかぁ……」
「マイルは適性がなぁ……こっちは中距離や長距離でこの変態相手にしなきゃならんってのが……」
「誰が変態か」
そして俺はというと、先日春の天皇賞でぶつかった同期と酒を飲んでいた。
「ところで、レースで転んだインペリアルタリスは大丈夫だったのか?」
「おう。ちょっと打撲があったぐらいで、もうピンピンしてる。そっちのキングヘイローは?」
「目に泥が直撃して完治するのに5日近くかかったわ……」
切り傷とか骨折ならともかく、目に雑菌が入って炎症を起こされると俺じゃあどうにもならん。処方された点眼薬をきちんと用法用量を守って使用しているかチェックするぐらいだけど、キングはそのあたりきっちりしてるから問題もなかった。
眼帯も取れたし、毎日右目を確認していたけど視力なんかにも影響はなかった。それは病院でも確認済みで、やっと普通のトレーニングを再開できる。
「キングヘイロー、これでGⅠ3勝かよ……というか勝ったのが短距離にマイルに長距離って……」
「次は中距離のGⅠを勝てば全距離でのGⅠ制覇だな」
「そんな目標を掲げてるお前が変態じゃなければなんて言うんだっての……」
同期は呆れたように言うが、不意に表情を引き締めたかと思うと視線を向けてくる。
「と、そうだ……飲み会中に悪いんだけど、相談に乗ってくれないか?」
「ん? どした? 金の相談か?」
金の貸し借りは人間関係が悲惨なことになりかねないから、なるべくしたくない。半分冗談でそう話を振ると、同期は遠い目をした。
「借りなきゃいけないほど金に困ってねえよ……というか、トレセン学園って給料高いし、使う暇がなく貯まっていくし……」
「わかる。で、相談って?」
同期も重賞で勝ったり、GⅠで入着したりと金に困っているわけじゃないだろう。そう思っての冗談だったが、同期も金を使う暇がないらしい。俺と一緒で担当ウマ娘の育成が趣味って奴ばっかりだからね、仕方ないね。
「今年度スカウトした子達も俺のところのトレーニングに馴染んできたし、そろそろチーム設立の申請をしようと思うんだけど……チームって実際どうなんだ? 運営きつい?」
「んー……最初はきついけど、慣れたらそれほどでもない……かな?」
話をしている同期は担当ウマ娘が6人……今年2人、去年2人、一昨年2人と毎年2人ずつスカウトしている。短距離からマイルが得意そうな子、中距離から長距離が得意そうな子をスカウトして、レースがかぶらないようにしながら育成しているのだ。
6人いればチームを設立する最低人数を満たしているし、同期は重賞も勝っている。担当ウマ娘の勝利数は全員足せば20勝近いし、申請したら特に問題なく通るだろうな、ってのが俺の見立てだ。
「部室がもらえるし、トレセン学園から割り振られる金も大きくなるし、設備の優先使用権ももらえるし……メリット大きいぞ」
「だよなぁ……でも使う金が増えるとその分、手続きがなぁ……いや、うちの子達のトレーニングが更にはかどると思えば、そのぐらいは良いんだけどさ……」
そうやって話をしていると、俺の左隣で酒を飲んでいた同期も話に加わってくる。
「うちは5人だけど、実績がちょいとなぁ……申請したらいけると思うか?」
「余裕じゃないか? むしろトレセン学園から見たら、早くチーム作ってくれって思われてるパターンだと思うんだけど」
もう一人の同期はシニア級2人、クラシック級1人、今年2人の新入生をスカウトしている。で、シニア級の子達が2人で4勝ずつの合計8勝、クラシック級の子が3勝と、二桁勝利しているトレーナーだ。
新入生はメイクデビューがまだ先だからなんとも言えないけど、他の子は3人ともオープン戦で勝っている。
重賞でこそ勝ってないものの、オープン戦では勝っているから大丈夫じゃないかなって俺は思った。というか、聞いた方が早くない?
『たづなさん、同期で5人以上担当ウマ娘がいるやつがチームを設立したいと言ってるんですが』
『書類に必要事項を記入して、明日提出してくださいね。待っています』
メッセージアプリでたづなさんにメッセージを送ると、1分と経たない内に返信があった。実績とか書いてないのに返信が早い。
「大丈夫だって。待っていますだって」
「逃げ道を塞ぐのやめろぉっ! ……でも良い機会か」
「じゃあチーム作るかぁ」
元々チームを設立しようと思っていたからか、背中を押されると判断が早い。というか、他人に相談する時って大体自分の中で結論が決まってたりするしなぁ。あとはどうしたいかを吐き出して、背中を押されたら決断を下す、なんてパターンが多い。
中には純粋に相談したいって人もいるだろうけど、同期はそうじゃなかった。うん……同期は。
「先輩……相談、乗ってもらえますか……」
俺が同期と盛り上がっていると、深刻そうな顔をした後輩君が近寄ってくる。なんか飲み会の度に相談されてる気がするけど、可愛い後輩の頼みだ。
ちなみにこの後輩君は以前担当ウマ娘との付き合い方に関して相談してきた子である。今のクラシック級で唯一ナリタブライアンの対抗バになりそうなウマ娘を育てている子だ。
「ナリタブライアンに勝てないんですけど、どうすれば……」
だからか、相談もナリタブライアンに関してだった。ナリタブライアンとレースでぶつかると毎回2着になっていることから、対抗策を模索しているらしい。
「うちのクレイ、長距離が苦手だから菊花賞だと厳しいですし、日本ダービーでどうにか勝たせてやりたいんですけど……」
後輩君のウマ娘、名前をクレイジーインラブと言う。去年は成績が伸び悩んでいたものの、今年に入ってからはGⅢのきさらぎ賞、GⅡの弥生賞で勝った子だ。
ただし、ナリタブライアンには勝てていない。後輩君が育てているクレイジーインラブは生粋のマイラーで、あとは短距離と中距離が走れるものの長距離はとことん苦手ってタイプだ。
俺のキングみたいに生粋のスプリンターだけど全距離の適性があって、トゥインクルシリーズ最長GⅠに勝つなんて子もいるけど、これは割と珍事である。トゥインクルシリーズ最短GⅠでも勝ってるし、本当に珍事だ。
「以前先輩にもらったアドバイス通り、クレイとはかなり打ち解けたんです。たまに距離感おかしくないかな、なんて思う時もありますけど、以前と比べると熱心にトレーニングに励んでくれますし、重賞でも勝つようになりましたし……でも、ナリタブライアンに勝てるイメージが湧かないんですよね」
「うーん……ナリタブライアンは中距離と長距離が得意そうだもんな。さすがに距離適性の差は埋めにくいものがあるけど……」
並のウマ娘が相手なら多少距離適性に差があってもどうにかなるだろうけど、ナリタブライアンが相手となるとかなり厳しいだろう。それでも可能性がゼロとは言わないし、俺なら言いたくない。
長距離が苦手ってことは、最初からクラシック三冠は諦めているのか。しかしそれでも自分の愛バなら、なんて思いながら挑んだのか。
そんなことを考えていると、話を聞いていた俺の同期が苦笑しながら口を挟んでくる。
「てか、トレーナー1年目の時点で担当ウマ娘がGⅡやGⅢに勝ってるだけで十分おかしいからな? あのチームリギルの期待のホープとやり合えてる時点でおかしいからな? そこの変態は除くけど」
「だから誰が変態だ」
後輩君、今は2年目になったけどきさらぎ賞や弥生賞を勝った時はまだトレーナー生活1年目なんだよな……昨年度の人事評価、良かったんだろうな。
俺の場合はライスっていう、本来新人トレーナーが育成を引き継ぐのはおかしい実績のウマ娘から逆スカウトされたからトレーナー生活1年目でGⅠ勝利、チーム設立ってなっただけだし……。
「……あれ? その理屈でいうと、トレーナー生活1年目で重賞獲ってGⅠも勝った桐生院さんも変態か?」
「あの人は桐生院だから変態じゃないな」
「どういうことだってばよ……」
桐生院さんはトレーナーの名門出身だから、1年目からGⅠで勝ってもおかしくないって認識だったのか……ちなみにその桐生院さんはといえば、ユイイツムニのトレーナーにヘッドロックをくらって必死にタップしている。楽しそうでなによりだ。
「担当ウマ娘にGⅠ2勝させて重賞も色々勝たせてる葵ちゃんが悔しい? わたしゃもっと悔しかったわっ!」
「あああああギブですっ! ギブアップですっ!」
うん、楽しそうでなによりだ。桐生院さんも同性の同期とは打ち解けてるし、ヘッドロックされてるのになんだかんだで嬉しそうだ。
「しかしナリタブライアン相手にどうすれば勝てるか、か……正直、今のままじゃ厳しいだろうな」
俺は桐生院さん達から視線を外し、後輩君との話に戻る。
「これが半年後、一年後の勝負ならまだしも、日本ダービーまで1ヶ月もないぞ? それまでにできることがあるとすれば……ナリタブライアン以上のウマ娘とレースでもする、とか?」
「えっ?」
後輩君がぎょっとした顔で俺を見てくる。将来のナリタブライアンならいざ知らず、今のナリタブライアンならうちのライスやキングの方が上だ。状況的にあり得ないけど、ダートで勝負できるならウララもナリタブライアンに勝てると思う。
ナリタブライアンの才能は本物だ。でも、今はまだクラシック級で頭角を現し始めた状態である。
あとはミークとかユイイツムニとかのGⅠウマ娘、他にも同期のGⅠに出ているウマ娘も交えて模擬レースでもやれば良い経験になるんじゃなかろうか。
「集まって模擬レースするのが難しくても、併走だけでも頼んでみるのはどうだ? GⅠに出るウマ娘同士、お互いに良い刺激になるだろ」
まあ、それだけで勝てれば苦労はしないだろう。それでも、格上と競い合う経験っていうのは非常に大きい。
「とりあえず俺のところに顔を出すなら、GⅠ6勝ウマ娘とGⅠ3勝ウマ娘が併走で可愛がってくれるぞ」
「相撲的な意味で
後輩君のウマ娘も皐月賞で2着だし、併走させるならライスやキングに良い刺激を与えてくれそうなんだけどな。
「たしかに先輩のところのライスシャワーやキングヘイローなら、ナリタブライアン以上でしょうけど……うちのウマ娘が自信なくしそうですね……」
そう言って後輩君が迷う素振りを見せるが、同期が軽く笑う。
「安心しろ。うちの子はジュニア級の頃にライスシャワーと模擬レースしたことがあるけど、当時は折れるどころか憧れるぐらいレベルが違ったから。自信をなくす以前の問題だぞ。今なら……調子が良くて中距離のレースならなんとかワンチャン……ある?」
「俺のライスは長距離なら絶対負けねえ」
「だから中距離でって言ってんだろうがよぉっ!」
俺のライスは長距離なら最強なんだっ! なんてガッツポーズしながら宣言すると、同期に首を絞められた。そしてわちゃわちゃとやってると、後輩君は真剣な表情で何かを考え込んでいる。
「……俺、明日から先輩方のところを回って併走を頼み込んでみます。クレイの……あの子のためにできることなら、なんでもしてやりたいですから」
そう言って拳を握り締める後輩君に、俺も同期も、微笑ましいものを見るように目を細めるのだった。
さて、そんなこんなで時折後輩の一部が自分のところのウマ娘を引き連れて、俺や同期に勝負を挑みに来ることが増えた。
それをうちのチームで受けて立つのはライスだ。GⅠ6勝ウマ娘でのお出迎えである。これには後輩と担当ウマ娘も大喜びだった。
後輩の担当ウマ娘は現在クラシック級で、ライスと比べれば実力と実績で大きく劣る。だが、ライスに相手をさせるのは相手だけでなくこちらにも大きな利点があってのことだ。
今年度になってサポート科に転入したライスにウララとキング以外のウマ娘と併走させ、その改善点を見つけさせたり、アドバイスを送らせたりと、ライスの
後輩は担当ウマ娘がGⅠ6勝ウマ娘と併走できる。ライスは後輩の担当ウマ娘と併走することで実際に問題点などをチェックできる。座学だけでなく実技でもライスを勉強させるということで、Win-Winの関係と言えるだろう。
サポート科に転入してほんの1ヶ月ちょっとしか経っていないため、ライスもまだまだ勉強し始めたばかりの素人だ。しかしライス自身の競技者としての経験、それと俺の育成方法をその体で体験してきたとあって、俺がトレーナー養成校に入った時と比べると飲み込みが良い。そこに実地でウマ娘の知識を叩きこめば、大きく伸びる。
ライスは努力家だし、勉強も得意だし、俺が使ってた参考書をプレゼントしたら常に持ち歩くぐらい気に入ってくれて、暇があれば読んでいるほどだ。
いくら競技者としての経験があるといっても、人生2周目かつ中学卒業まで必死こいて勉強していた俺より明らかに飲み込みが早いのは……ま、まあ、可愛い妹だし、別にへこむ必要はないな、うん……うん? うん……何かおかしな気がしたけど、何もおかしくなかったわ。
とにかく、後輩の担当ウマ娘との併走はこちらにとって……主にライスにとって、色々と助かることだった。
「お兄さま、今日併走したクレイちゃんについてなんだけど、ライスね、こういうトレーニングをさせたら良いんじゃないかって……」
トレーニング終了後、制服に着替えたライスが部室に残って俺に話を振ってくる。長期療養から復帰して、トレーニングの強度も徐々に上げていってるからきついだろうにそんな素振りは見せない。
疲れてはいても、充実した疲れで精神的にはまだ余裕があるって感じだ。うーん……若いっていいなぁ……って、俺も肉体的には全然若かったわ。
ちなみに、ウララとキングも部室にいる。寮に帰るかと思いきや、ライスが残ると聞いて二人も残っているのだ。
「んにゅ……」
「ふふ……ウララさんったら……」
なお、ウララはおねむな様子である。ソファーに座ったキングのふとももを枕にして、体を丸くして目を瞑っている。キングはキングでそんなウララの頭を優しく撫でており、ウララは心底安らいだ顔でリラックスしていた。
「キングちゃん、ウララちゃんと一緒に寮に帰った方がいいんじゃ……」
そんなウララの様子に、ライスは少しだけ心配そうに尋ねる。
ウララは帝王賞に向けて、キングは宝塚記念に向けて徹底的に鍛えているが、スタミナの差からウララの方がダウンするのが早くなってきた。
(ウララはトレーニングの強度的にこの辺りが限界か……キングはもう一段階きつくしてもいいな)
ウララとキングの様子から俺がそう判断していると、キングはライスに向けて何やら微笑んでいる。
「もう少しウララさんを休ませてから帰るわ。私としても、トレーナーとライス先輩の話に興味があるもの」
「……そう、なの?」
「ええ。だって、私のトレーニングにも活かせそうじゃない? このキングが更に強くなるには、トレーニングの内容も更なるレベルアップが必要だと思っているわ」
そう言って俺に流し目を向けてくるキング。うん、やっぱりもう一段階トレーニングをきつくしても良さそうだな。
ただ、トレセン学園の設備にも限度がある。そこを工夫で補いつつ、飽きさせないようにしつつ、少しでも効率的に鍛えるようにする。
それを考えるのが難しいところだけど、トレーナーとしての腕の見せ所だし、楽しい部分でもあった。
6月末のレースまで、ウララとキングを可能な限り鍛えていく。そして勝たせることを目標に、俺は毎日を過ごしていくのだった。