リィンカーネーションダービー ‐新人トレーナーがんばる‐ 作:烏賊メンコ
フェブラリーステークスの当日。
フェブラリーステークスは東京レース場で行われ、なおかつ第11レースで発走も15時40分と時間的余裕がある。
そのため午前中のうちにウララをトレセン学園で走らせ、昼食をとらせてから東京レース場に向かう予定なのだが――。
『――日本のスマートファルコン、僅差で敗れました! 着差はクビ差! クビ差で世界の強豪相手に2着です!』
ウララがどうしても見たいと言うため、俺は昨晩録画しておいたサウジカップのレース映像を部室で流していた。
ウララは普段の笑顔が嘘のように、真剣な表情でレース映像を見ている。
朝から様々なニュース番組でスマートファルコンがサウジカップで走ったこと、そして2着になったことが伝えられ、日本のウマ娘ファンは沸きに沸いている。
1着こそ逃したものの、世界の強豪相手に2着。それもクビ差という僅差だった。スマートファルコンにとっては敗北だろうが、ウマ娘ファンから見れば十分上出来なレース結果だと思っているのだろう。
ネットの情報を漁ってみれば、スマートファルコンが負けたことを悔しがる声も当然ある。しかし、むしろ大健闘だったと褒め称える声が多かった。
――日本のダート界の覇者はやっぱりすごかった。
――去年のクラシック級で唯一のGⅠ3勝は伊達じゃない。
――海外初挑戦で2着は十分偉業だ。
そんな声がネット上で溢れている。
サウジカップが開催されたサウジアラビアは、日本とは異なる気候にレース環境である。もちろん体を慣らすために事前に現地入りしてはいたが、慣れ親しんだ日本とは全く違う、海外での初レースで2着なのだ。
それも1着賞金1000万ドルと、世界中から強豪が集うレースでの2着である。2着でも賞金が350万ドル。今のレートだと……4億円と少しで、日本の最高賞金を誇るレースであるジャパンカップや有馬記念すら超えている。
ゴールを通過し、2着になったことを悟ったスマートファルコンは一瞬だけ顔から感情の一切が消え失せ――すぐさまそれが錯覚だったかのように苦笑を浮かべていた。
そして1着になったウマ娘の勝利を祝うように抱き着き、笑顔を浮かべている。そんなスマートファルコンの笑顔に、1着になったウマ娘も笑顔で抱き返していた。
「そっか……ファル子ちゃん、負けちゃったんだ」
ぽつりとウララが呟く。その言葉に何か返そうとしたが、ウララの表情を見た俺はウララの頭にポンと手を置く。
「世界は広いな」
「うん……ファル子ちゃんでも負けちゃうような相手がいるんだね……」
サウジカップが日本で開催されたレースだったなら、おそらくは勝っていただろう。それでも慣れない環境、初めての海外のレースで2着は俺としても十分偉業だと思うんだが。
それも16人中2着だ。サウジカップのレースとしての格付け自体はGⅠどころか重賞ですらないが、その高額な賞金から出走しているウマ娘は各国のダートレースでGⅠを獲得しているような子ばかりである。
つまり、日本でたとえるなら出走メンバーが全員ウララやエルコンドルパサー、オグリキャップやタイキシャトルクラスのダートが得意なウマ娘ばっかりってことだ。その上、1着で1000万ドル……日本円にすれば10億円以上の大金がもらえるとなると、気合いも十分だろう。
(スマートファルコンも気合いは十分に見えたけど……いや、まさかな……)
そんなことを考えつつ、俺はウララの頭を撫でる。スマートファルコンが敗北したことに関して思うところがあるようだが、落ち込む様子はない。むしろ、ぶるりと体を震わせてテレビに映ったウイニングライブを眺めている。
ウララは小さく拳を握り締めながら、ウイニングライブで踊るスマートファルコンを眺めていた。
午後になり、ウララ達を連れて東京レース場に到着した俺は、普段とは異なる雰囲気を感じ取って眉を寄せていた。
「なあ、昨晩のサウジカップ見た?」
「見た見た。すごかったよな、スマートファルコン」
「海外初挑戦で2着……それもサウジカップで2着だもんな」
今日のレースではなく、昨晩のサウジカップについて言葉を交わすウマ娘ファンが多い。今日の東京レース場でのメインレースがダートのフェブラリーステークスということもあり、ダートを走るウマ娘を応援する者が多いからだろう。
まあ、フェブラリーステークスが始まるまでまだ時間があるし、仕方ないと言えば仕方ない。そう思いながら雑談するウマ娘ファンの後ろを通り過ぎようとしたら、その内の一人が何かに気付いたように目を見開いた。
「あっ、ハルウララだ!」
「えっ!? 嘘!? どこどこっ!?」
「本当だ! うわ、可愛い! ライスシャワーとキングヘイローもいるし……すいません、写真撮っても良いですか?」
そう言いつつスマホを向けてくるウマ娘ファンの姿に、俺は苦笑する。
「これからレースなんで、一枚だけですよ? ウララもいいか?」
「うんっ! もっちろん! はい、ちーず!」
ウララは傍にいたライスに抱き着き、笑顔でピースサインを向ける。キングはそんなウララに苦笑しつつも隣に立つと、スマホに視線を向けた。
「あ、おに……トレーナーさんも一緒に並んでください!」
「え? なんで?」
思わず素で反応する俺。こういうのってウマ娘だけで撮るもんじゃないの? いや、一緒にっていうのなら別に良いけど……。
俺がキングの隣に立つと、パシャリ、という音がスマホから鳴る。そして写真を確認したウマ娘ファンは満面の笑みを浮かべた。
「やった! ありがとうございました!」
「この写真1枚撮れただけでもレース場に来た甲斐がありましたよ!」
「待ち受けにしますね! あ、ウマッターとかには上げないんで!」
どうやら不特定多数が閲覧できるウマッターなどにアップするつもりはないらしい。ネットリテラシーが高いようで何よりである。
しかしこうやって写真を撮らせると、すぐさま移動しないと俺も俺もとウマ娘ファンが集まってきてしまう。そのためすぐに移動すると、風に乗って声が聞こえてきた。
「そういえばさ……昨晩のサウジカップ、ハルウララが出てたらどうなってたんだろうな?」
「1800メートルだしさすがにきついんじゃないか? ハルウララならなんか勝ちそうな気もするけど」
「でもたしかに、ハルウララが走るところは見たかったかな……あの子なら勝ってくれそうだし、もしも負けるとしても全力で応援しちゃうわ」
そんな、ウララを評価する声が聞こえてきて俺は思わず足を止める。しかし振り返ることはせず、そのままウララを控室に送り届け――控室にウララが入る直前で、俺はウララの頭に手を乗せた。
「ウララ」
「うん」
「今、俺達の
「レースだよ」
その返答に迷いはない。それを確認した俺は、ウララの頭をひと撫でしてその場を離れるのだった。
『春が近づきつつある東京レース場です。これから始まるのは第11レース、ダート1600メートルのGⅠ、フェブラリーステークス。出走するウマ娘はフルゲート16人。バ場状態は良の発表です』
『本日のメインレースのフェブラリーステークスですが、普段ならダートのレースということで観客の数が少なくなるのですが……昨晩のサウジカップの影響か、なんとダートレースとしては珍しいことに超満員ですね』
ファンファーレが鳴り響き、実況と解説の男性がそんな話をする。それを聞いた俺は、観客席の最前列から背後を振り返った。
(たしかに……東京レース場の収容人数がでかいってのもあるけど、いつもと比べると観客が多いな)
東京レース場の収容人数は約20万人。これが芝のGⅠなら満員も珍しくないが、GⅠとはいえダートのレースで満員というのは俺もあまり聞かない。レース場の収容人数の関係もあるが、去年の秋のJBCシリーズの時でさえここまでの熱気はなかった。
解説の男性の言う通り、昨晩のサウジカップの影響が大きいのだろう。テレビでスマートファルコンの走りを見て、生でウマ娘のレースを見たくなったウマ娘ファンが大勢駆け付けたんだと思う。
それぐらい、スマートファルコンが成し遂げたサウジカップで2着というのは快挙なのだ。だが、
『3枠5番、ハルウララ。1番人気です』
『今のダート界はスマートファルコンだけではありません。去年のチャンピオンズカップでは3着になりましたが、ダート界にはこのウマ娘が……ハルウララがいますからね』
そんな解説の男性の言葉を裏付けるように、観客席からは大きな……スタート前とは思えないほどに大きな大歓声が上がった。
フェブラリーステークスのスタート位置は左回りで第2コーナーの出口付近につながる、芝の直線になる。観客席からは距離があるが、そんなものは関係ないといわんばかりに放たれた大歓声にゲート傍にいたウマ娘達がそれぞれ耳や尻尾をピンと立たせているのが見えた。
だが、ウララはライスやキングのレースに同行することもあり、超満員の観客が放つ大歓声には慣れている。普段は観客席で聞くその大歓声に、遠目にもウララの表情が輝くのが見えた。
『おおっとハルウララ、満面の笑みを浮かべて観客席に向かって手を振っています』
『あの笑顔が良いんですよねぇ……でも……客……声が……』
嬉しそうな笑顔を浮かべ、ゲートに入る前にその場でぴょんぴょんと跳ねながら観客席へ手を振るウララ。そんなウララの行動に、観客席のボルテージが一気に上がっていく。
「あうぅ……お、お兄さま? 今日はなんか、声援がすごい……ね?」
「耳が痛くなるわ……」
ライスもキングもウマ耳をぺたんと前に倒しながら、苦笑するように言う。たしかにこの大声援はすごい。というか、俺も耳が痛い。
(……ん?)
遠目にウララの笑顔を眺めていた俺だったが、ふと気になることがあった。それはウララではなく、他のウマ娘に関してである。
(ずいぶんとまあ、ガチガチになってるけど……大丈夫か?)
普段と比べると、何倍にもなる観客。そしてそんな大量の観客から放たれる大歓声。それは一人ひとり紹介されてゲートインが進む度に、ウララ程ではないが
その結果、既に何度かGⅠレースを経験しているはずのウマ娘ですら、表情に緊張の色があった。中には胸に手を当て、必死に呼吸を整えている子すらいる。落ち着かないようにウマ耳を頻繁に動かす子もいた。
(ウララは……問題ない、か)
俺はウララを見るが、ウララは落ち着いている。というか、普段のレース通りゲートに入ると表情が引き締まり、スタートの時を今か今かと待っているようだった。
サウジカップのレース映像を見せた時はスマートファルコンを意識していたみたいだけど、スマートファルコンはここにはいない。あるのはコースとレース、そして1600メートル先にあるゴールだけである。
スマートファルコン以外のライバルを軽んじているわけではない。ウララもレースに集中しているものの、しっかりと意識しているだろう。
だが、集中すると同時に、ウララはこうも思っているんじゃないだろうか。
20万を超える人々が見守る中でのレース。それはきっと、ワクワクするんじゃないか、と。レースに対するワクワクとする気持ち。それはウララの中で根底にある、あの子の土台みたいなものだ。
そしてそれ以上に、今のウララにはスマートファルコンに勝ちたい、
全てのウマ娘がゲートに入り、普段より時間がかかるものの徐々に観客達が静かになっていく。この東京レース場に集まった20万もの人々の視線が一斉にゲートへと注がれ、東京レース場に沈黙が満ち――ゲートが開いた。
『各ウマ娘、一斉にスタートを切りました。しかしこれは……』
『バラバラとしたスタートになりましたね』
バタン、という音ともにゲートが開いたが、出遅れたウマ娘が数人いた。おそらくは普段と違う……いや、違い過ぎる環境で出遅れてしまったのだろう。
『最初に飛び出したのは1番ソードラマティック。続いて4番ハートシーザーが続きます。更に続いて14番ショーティショット、7番クンバカルナ、5番ハルウララ、12番オンステージレビュ、13番ゴールドシュシュ、16番ミニデイジー』
その証拠に、というべきか。差しを得意とするウララが先行集団の中に潜り込んでいる。ウララが飛び出し過ぎたわけではない。他のウマ娘が遅れてしまったのだ。
『続いて2番アクアレイク、8番マリンシーガル、10番ミニロータス。そこから僅かに離れて2番人気の6番スレーイン、9番ローカルストリーム、そして出遅れた3番インサイトキャッチ、11番プリスティンソング、15番ドラグーンスピアがシンガリ付近』
完全に出遅れたのが3人。その影響か、チャンピオンズカップでウララに勝ったスレーインが追い込みウマ娘だというのに差しウマ娘のような位置にいる。
普段と違う位置で走るというのは、案外難しい。ウララのように他の戦法を得意とするウマ娘と常日頃併走し、その動きをわかっていれば話は別だろうけど……。
『向こう正面をウマ娘達が駆けていきます。残り1000を通過して先頭は変わらず1番ソードラマティック。もうじき第3コーナーへと突入していきます』
『東京レース場は起伏が激しいコースですが、高低差は最大でも2メートルと少しです。この起伏を利用してどう仕掛けるかがポイントですね』
向こう正面を駆け、第3コーナーを目指すウララ達を見ながら俺は腕組みをする。そしてウララの動きを見た俺は思わず苦笑した。
(そうだよなぁ……やっぱり、どんなに目の前のレースに集中しても意識はしちまうよな)
ウララの動きは、明らかに逃げウマ娘を差しに行く動きだった。差しという戦法は元々そういった傾向にあるが、ウララの動きには
『ウマ娘達が第3コーナーを抜けて第4コーナーへと突入していきます。先頭は変わらず1番ソードラマティック――だがきたっ! 残り800を切って5番ハルウララが前へと上がってきました!』
『仕掛けるには少し早い気がしますが、まだ半分、もう半分……どちらでしょうね?』
ウララが動く。まだ最終直線にも入っていないというのに、徐々にギアを上げ始めている。
フェブラリーステークスの1600メートルはユニコーンステークスと同じ距離だ。そして、開催するレース場も同じだ。異なるのはバ場状態ぐらいで、ユニコーンステークスの時が稍重だったことを思えば良バ場の今日はタイムが伸びにくいかもしれない。
だが、今のウララは燃えている。スマートファルコンがいないからこそ、逆に燃えている。
スマートファルコンが何を思ってサウジカップに挑んだのかはわからない。賞金目的か、それとも世界の強豪ウマ娘相手に戦いたくなったのか、定かではない。
仮に後者であるのなら……日本のウマ娘では相手にならないと思ったのなら。ウララにとって
(黙ってはいられんよなぁ、ウララ)
おそらく、あくまで俺の勘ではあるが。スマートファルコンはウララを意識していないわけではない。意識した上でサウジカップに挑んだと思う。
ただしそれが何を思ってのことなのかはわからない。
スマートファルコンがウララに負けたユニコーンステークスと同じ場所、同じ距離のレースではなく、サウジカップを選んだ理由。ウララに
『さあきたっ! 上がってきたぞハルウララ! 最終直線残り400メートル! 必死に逃げるソードラマティックの背後についた! ソードラマティックは逃げ切れるか!?』
『あのハルウララ相手に残り400メートルはきついでしょうね。最終直線、しかも上り坂です。
ウララの瞳が輝く。残り400メートルの直線。その先にあるゴールを、あるいは更にその先すら見据えて、ウララの両足に力が入った。
『だが背後から上がってきているウマ娘がいる! 6番スレーインが! チャンピオンズカップの時のように後方から速度を上げて突っ込んでくる! 更に16番のミニデイジーも先団を抜け出して駆けていく!』
先頭まであと僅かというところで、後方のウマ娘達も一気に加速を始めた。そこにはチャンピオンズカップで敗れたスレーインの姿もある――が。
『ハルウララがとうとう先頭に躍り出た! 先頭はハルウララ! しかし後方からスレーインが飛んでくる! 追い込みウマ娘の本領発揮か!? スレーインがハルウララを捉え……』
『これは……』
『捉え切れない! 捉え切れない!? ハルウララ、更に伸びた! 追い上げたスレーインとの距離が縮まらない! なんだこの末脚は!? ハルウララが、ロングスパートから更に伸びた!?』
ウララが駆ける姿を応援しつつも、俺はふと、ぽつりと呟いてしまう。
「惜しいな……」
最近、どうにも巡り合わせが良くないな、と感じる。
このフェブラリーステークスで、ウララとスマートファルコンが走るところを見たかった。1600メートルという距離で、マイルのレースの中では今のウララが最も力を発揮できるこの
『ハルウララ、そのまま先頭でゴール! 貫禄の! 圧巻の走りを見せつけた! 2番手のスレーインに3バ身つけて勝利しました!』
今日この時、この環境ならきっと、ウララはスマートファルコンに勝っていただろうから。
『着順が確定いたしました。1着5番、ハルウララ。2着6番、3バ身差でスレーイン。3着16番、1バ身差でミニデイジー。4着2番、ハナ差でアクアレイク。5着10番、クビ差でミニロータス』
『これでハルウララがGⅠ2勝目を挙げましたか……今年のシニア級のGⅠ一番乗りはハルウララですね。さすがにレコードは出ていないようですが……』
先頭でゴールを駆け抜けたウララは、自分が1着でゴールを通過したことを確認するとプルプルと体を震わせる。そして笑顔で胸を張ったかと思うと、ピースサインを空へと突き上げた。
GⅠ2勝目を誇るそのポーズに、観客達が一斉に沸き上がる。ライスがよくやり、キングも受け継いだポーズだ。ウララはそれを真似したのかもしれないが、すぐに満面の笑みを浮かべ、その場で両手を突き上げてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
全身で喜びを表現するそんなウララの姿に、観客からは大きな声援と拍手が飛ぶのだった。
そして、その直後。コースから引き上げてウイニングライブの準備をするべく控室に向かうウララに、俺は声をかけていた。
「お疲れ、ウララ」
「あっ、トレーナー!」
俺が声をかけると、ウララは笑顔で駆け寄ってくる。そしてそのまま飛び込んでくる、と思いきや、何を思ったのかその直前でウララは足を止めた。そして、真剣な表情を浮かべて俺を見上げてくる。
「ねえ、トレーナー」
「うん? どうした?」
レースで勝った直後とは思えない、真剣さを宿した声と表情だった。それを確認した俺は首を傾げる。
「今日のレース……ファル子ちゃんが出てたら、わたし、勝てたのかな?」
だけど、続いた言葉に俺は思わず苦笑してしまった。やはりというべきか、ウララも同じことを考えていたんだなぁ、なんて思ってしまう。
「スマートファルコンがいたらここまですんなりは勝てなかっただろうな……でも、今日のウララなら勝ってたさ」
負け越している分の借りが返せず、残念だ。俺が心底から残念に思ってそう言うと、ウララはくすりと微笑んだ。普段のウララと比べて、どこか大人びた笑顔である。
「そっか……よーし! ウイニングライブもがんばるぞー!」
だが、すぐに普段通りのウララに戻った。そんなウララに転ばないよう声をかけ、俺は内心だけで呟く。
(巡り合わせ、か……)
先ほども思ったことだが、どうにも
それが何かはわからないが……。
(スマートファルコンに借りを返すのは帝王賞までおあずけか……いや、帝王賞がある6月後半まで、4ヶ月は長い。間に1戦か2戦、挟みたいところだな)
そこでぶつかることもあるだろう。
俺は、そう思った。