インフィニット・ストラトス ―成層圏を狙い撃つ男は異世界を狙い撃つ― 作:八神刹那
「はあ、はあ、・・・何やってんだ。俺は・・・」
静寂な宇宙空間で彼はスコープから狙いを定めていた。
「でもなぁ、仇をとらなきゃ、俺は、世界と向き合えねえ・・・」
彼のパイロットスーツは先ほどの戦闘で破れかけ、そこから酸素が流れ始めている。時間はもうあまりない。
「だからさぁ・・・」
狙いを定めているMSが彼に気づき、襲いかかる。だが、もう遅い。
「狙い撃つぜえええええぇぇぇ!!!」
彼の声とともに大破したGNキャノンからレーザーが発射された。MSのパイロットはあまりにも突然の攻撃に回避できなかったが機体が破壊されるわずかに間に左手のGNハンドガンを発射。
赤い凶弾がGNキャノン銃口を貫いた。
キャノンが爆発し、彼は宇宙空間に投げ出された。
視界にGN粒子が散っていく。何ともいえない光景だ。
静寂な真っ暗な空間に一筋の光が見える。
彼と同じガンダムマイスターか駆るエクシアだ。
「刹那・・・答は出たのかよ・・・」
爆発したGNキャノンにスパークが走り始める。
彼の視線の先には青く輝いている地球。
彼は右手でピストルをつくり、地球に向けた。
「よぉ、お前ら、満足か?こんな世界で・・・」
エクシアが彼を助けようとするがもう・・・
「俺は、嫌だね」
その言葉と同時にGNキャノンが爆散した。彼はそれに巻き込まれた。
「ロックオーーーン!!!!」
そして、エクシアのパイロット、刹那の声だけが宇宙空間に響き渡った。
だが、刹那にはわからなかった。この瞬間、次元が歪み。彼、ロックオン・ストラトスがその次元の歪みに飲み込まれたことを
「ここは・・・」
ロックオンが目を開けるとそこは何もない真っ白な世界だった。
「おー、起きたか」
声のする方に視線をやると1人の男がいた。
「あんたは?」
「うーん、お前たちの言葉、概念からすると天使。かな?」
ロックオンは男の目を丸くした。ロックオンは何かの宗教を信じているわけじゃないが目の前で自分のことを天使と言った男の服装は天使のそれではない。どちらかと言うと
「その格好はサムライか、何かじゃないのか?」
そう、目の前の男の服装はなぜか、陣羽織に袴なのだ。しかも、刀を差している。誰がみようとサムライである。
「うーん、、まあ、細かいことは気にするな。ソレスタルビーインのガンダムマイスター。ロックオン・ストラトス。いや、本名、ニール・ディランディ」
本名を呼ばれ、身構えるが天使は落ち着けと手で制す。
「いっただろ?俺は天使だって。だからたいていのことは把握している」
「何が望みだ」
「うーん。簡単に言うなら死んだ君を生き返らせたいってことかな」
「死んだ俺を生き返らせるだと」
「簡単に言うならね。詳しくは説明しないよ。世界全体の力学的法則とか絶対指数の法則とか説明するだけでも頭痛くなるから」
ロックオンには天使の言っている言葉が嘘のようには聞こえない。だが、話が見えてこない。
「なぜ俺を生き返らせようとする。俺がソレスタルビーイングのガンダムマイスターだからか?」
「まあな。でも、元いた世界にお前を生き返らせることはできない。そんなことは元天使長である俺でも不可能だ」
「どういう意味だ?」
「意味のいた世界とはまた違う世界。いうなれば平行世界ってとこだね」
「平行世界?なんのためにそこに俺が行く必要がある」
「……世界を救ってほしい。俺は人間が死ぬのは嫌だからな。じゃあ。頼むね」
天使がそう言うとロックオンの体が光に包まれる。
「その世界は滅びようとしている。それを救うためだ。頼むぜ。成層圏を狙い撃つ男」
意識が朦朧とし、天使の声が聞こえなくなる。最後に聞こえたのが
「ちゃんと愛機は用意してある。心配するな」
という言葉だった。そして、ロックオン・ストラトスは異世界へ向けて旅立った。