インフィニット・ストラトス ―成層圏を狙い撃つ男は異世界を狙い撃つ― 作:八神刹那
あの事件から一週間後。IS学園、入学式の日。
ロックオンはIS学園の職員室にいた。
(コイツは辛いな‥‥‥)
職員室の空気に彼はそう思ってしまう。こんな経験、CB時代にはなかったことだ。その空気はまさに針のむしろ。周りの教師(全員女性)の視線がいたい。その原因は
「私は機械に特化した魔法少女だからね」
と微笑みながら言っていた紫髪の女性を思い出す。内心では魔法少女という年齢ではないと思っているのは内緒だ。
「ストラトス先生。そろそろ移動しますよ」
と言うのはロックオンが副担任を務めることになった一年一組の担任である織斑千冬だ。
「了解だ」
ロックオンは立ち上がり、千冬について行く。
IS学園に来る前にラーナから事前にISに関する知識や学園のことを教えてもらい、だいたいのことは頭に入っている。
千冬の後について行くと教室の前で立ち止まる。なぜか、教室空騒ぎ声のような物が聞こえる。
「さっきも話したように学園であなたは教師としての立場と生徒としての立場、その両方があるのを忘れないように」
「わかっている。ISに関係する授業はちゃんと受けるさ」
ロックオンがこの学園にある間の条件一つが彼が生徒と教師。両方の立場をすることであった。
(まあ、俺の年だと生徒には慣れないもんな)
そんなことを思いながらなぜか騒がしい教室を見つめる。
「なんで、こんなに騒がしいんだ?」
ロックオンが尋ねると
「入ればわかる」
といって千冬が教室へはいる。ロックオンも後に続くと、
「貴様は挨拶もろくにできんのか」
千冬が持っていた出席簿でクラス唯一の男子生徒を叩いた。
(それは痛いだろ)
ロックオンがそんなことを思っていると
「げぇ! 関羽!」
「誰が三国志の英雄だ。バカ者」
再び、出席簿が少年の脳天を直撃する。
(彼が織斑一夏か)
ロックオンはあらかじめ、教えられた情報を思い出す。ブリュンヒルド織斑千冬の弟であり、世界で初めて、男でISを動かした少年。
2人がやりとりを終えると、クラス全員の視線がロックオンに集中する。
「あの、先生。あの人は?」
「ん。ああ。彼は‥‥‥」
「俺はロックオン・ストラトス。ここで教師と生徒をするものだ」
ロックオンが簡単に自己紹介をする。
(なんだ、この何ともいえない感じは)
なぜか、嫌な予感がする。だから、 ロックオンはとっさに耳を塞いだ。その瞬間ーーーー
『キャアアアアァァァァーーーーーー!!』
ソニックブームが教室を駆け抜けた。
(うおっ!?)
予想もできないほどの女子の声量に引いてしまう。
「イケメン!」「かっこいい!」「生まれて良かった!」
黄色い声援がすんごいことになっている。
「しかも男子が2人で!」「憧れの千冬さまも!」「このクラス最高!」
人間はここまでテンションが急上昇するものなのだろうか。この声援がクラスの長によって鎮圧されるまでいろいろあったと言うのは言うまでもない。
その制圧後。授業が開始された。内容はISの基礎的な内容なのだか、
(絶対にわかってないな)
ロックオンもISの授業ということでせいとに混じって授業を受けているのだが、約一名ばかり顔が青ざめている。
「織斑くん。なにか、わからないところがありますか?」
副担人の真耶が聞くと、
「全部わかりません」
涙目だった。
「織斑。入学前に渡された参考書はどうした?」
千冬が聞くと一夏は、
「古い電話帳と間違えて、廃品回収に出しちゃいました」
その瞬間、千冬の持っている出席簿(革製で硬い)のが火を吹いた。
「ストラトス先生。このバカに基本的な知識を教えてあげてください」
「了解だ。そういうことには慣れているからな」
ロックオンはCBの時の仲間のことを思い出していた。