『雪女』のヒーローアカデミア   作:鯖ジャム

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第35話 雪女は演習試験に挑むようです その2

「はぁ、はぁ……き、キリがなぁぁぁぁい!!」

 

 制限時間の半分が経過したというアナウンスがされたタイミングで、私は思わず叫んでしまった。

 割と早々に轟師匠と百ちゃんのペアが、それからさらに五分後くらいには緑谷くん・爆殺王くんペアが条件を達成したという放送があって、多少なりとも焦っているというのはある。

 

 だがそれ以前に、エクトプラズム先生の物量攻撃がエグすぎた。

 

「氷雨ちゃんの言う通り、ホントにキリないわね」

「雪柳のおかげで凌ぐことはできているが……」

 

 私たちが立てた正面突破作戦――プランBにおけるフォーメーションは、逃走時とは真逆のものになっている。すなわち、逃走の際には私が殿(しんがり)を勤めたのに対し、戦闘では私が先陣を切っている形だ。

 

 私が【氷衣格闘術】で前衛を張り、常闇くんが中遠距離からそれを援護。さらにその後ろで梅雨ちゃんが常闇くんの隙をカバーするという布陣である。私と梅雨ちゃんの基本的な立ち位置を離すことで、私の個性のせいで気温が低くなって梅雨ちゃんのパフォーマンスを落としてしまうことも予防しているのだ。

 

 そして、今のところ、その作戦は見事にハマっていた。

 まずは何よりも、私の【氷衣格闘術】がエクトプラズム先生の分身相手に通用したことが大きい。

 どうやら分身にもハンデ(おもり)の影響があるようで、分身たちの動きが想像よりもずっと鈍く、また分身相手ゆえに加減をする必要がないため、ほとんど自分の動きだけに集中することができたのだ。

 その上、常闇くんの的確な援護のおかげで不意打ちを心配する必要もなく、もう要するにアレ、真・雪柳無双って感じだった。迫りくるエクトプラズム先生をばったばったとひたすらになぎ倒していくだけの作業だったのである。

 

 ……が、しかし、エクトプラズム先生の分身があまりにも無尽蔵に湧くもんで、流石に爽快感よりも疲労感が勝ってきていた。分身の数は()()に30体ほど――つまり、補充が利かないとは言ってないのだ。

 

 中央と、その他三つの建物は既に回り終えている。次が最後の建物で、おそらくそこに脱出用のゲートがあるはずだ。私たちの運が悪かったというより、エクトプラズム先生に上手く誘導されてしまっていたような感じがする。

 

 そして私たちは今、その最後の建物へと繋がる通路の前にいるのだが、ここにも当然分身たちが待ち構えていた。

 これを順番に倒していては、いよいよ本当に時間が足りなくなってしまいそうだ。

 

「……ぼちぼち、無双乱舞しないとダメですかね」

「雪柳、何を言っている?」

「いえ、なんでもない……こともないんですけど。そろそろ時間も気になりますし、ここは一気に押し切ってしまいましょう。常闇くん、梅雨ちゃん、下がっていてください」

 

 私は地面に降り立ち、【氷衣】に使っていた氷を無数の小さな礫に変えた。

 

「――エクトプラズム先生、もしも御本人がいらっしゃるようでしたら、上手いこと避けてくださいね」

 

 プロヒーロー相手なら万が一もないだろうと思いつつも私は一応忠告して、分身がひしめく通路に向かって右手を掲げる。

 

「【氷礫(ひょうれき)霰弾(さんだん)】」

 

 直後、氷の礫たちが凄まじい速度で一斉に通路の奥へと向かっていき、エクトプラズム先生の分身たちを軒並み蜂の巣にする。分身たちを構成している煙――エクトプラズムが、まるで溶けるように形を失って、やがて跡形もなく消え去った。

 

「……流石だな、雪柳」

「ありがとうございます。でも、もうちょっと待っててくださいね」

 

 まだ、仕事は終わりじゃない。飛ばした氷の礫を回収しつつ、私は通路に満ちた〝冷気〟を支配、操作する。

 

 冷気の支配と操作についても、ここ最近、私が取り組んでいる課題の一つである。が、これには【氷衣格闘術】の習得以上に難儀しているのが現状だ。

 試験開始からこれまでも、実は梅雨ちゃんの方に冷気がいかないように適宜操作を行っていたのだが、正直あんまり上手くいってない。なんというか、冷気の操作はそれなり以上の集中力を割いてもぼんやりとしか行えないため、分身たちが絶え間なくやってくるような状況ではまったくままならなかったのだ。

 

 しかし、それも今なら問題ない。エクトプラズム先生の分身は流石にノータイムで復活してくるわけではないようなので、たった今、おそらく30体近くを一掃したばかりであることから、しばらくは分身の存在を気にしなくていい。

 それに、この通路のような限定された空間であれば支配した冷気の把握もしやすいし、とりあえず通路の奥へと動かしてしまえばいいので楽ちんだ。

 

「――梅雨ちゃん、寒さは平気ですか? 一応、冷気は逃がせるだけ逃がしたんですが」

「少し眠くなってきちゃったけど、なんとか大丈夫よ」

「エクトプラズム先生と会う前に万全にしておきましょう。常闇くんも冷えてますよね? ちょっと、近くに来てください」

「ああ、しかし何を?」

「気休めにしかならないかもしれませんが、これです」

 

 私は左の袖を軽く捲った後、義手の手首から手の甲にかけてを右手で掴み、ぐりっと内側へ捻る。

 すると、義手の装甲部分が継ぎ目に沿って自動で開放されていき、中から熱気が放出され始めた。

 

「あら、暖かい……ヒーターかしら?」

「まぁ、そんなところですね。仕組み的には排熱機構といった方が正確らしいんですけど、とにかく要救助者の身体を暖めるのに使えるかなと思いまして」

 

 職場体験直後のあの日以来、雄英高校校舎一階の開発工房に足繁く通って、サポート科1年H組の発目明さんと共に改良してきたこの義手。

 そりゃあもう筆舌に尽くしがたいような紆余曲折があって、結局、現段階で正式採用されたギミックはこの排熱兼ヒーター機能と、手首内側からせり出してくるフラッシュライト――だけである。

 

 ……いやうん、本当は私だって、もっといろいろカッコいい武器とか仕込みたかったんだよ。ナイフとか銃とか、そういうのをさ。

 でも、考えれば考えるほど、そんな凶器を仕込むメリットが何にもないのだ。

 そもそも、私の個性は汎用性が高いから、別に戦闘手段を武器に頼る必要がない。や、もちろん相性次第で個性が使いづらい、ないしは完全に封じられるようなことはあるだろうけど、銃火器やナイフだって一朝一夕で扱えるようになるものじゃない。仮に追々武器を使った戦闘方法を学ぶにしても、今すぐ義手に仕込む理由がまったくないのだ。

 というかむしろ、下手にあれこれギミックを仕込んで耐久力が下がることの方が致命的で、私は防御の手段が乏しいからこの義手は貴重な防具でもあるのだ。

 

 ただもちろん、別にこれが最終形態というわけではない。発目さんはこれじゃつまらないと不満そうにしていたし、たぶん今後もいろいろ試すことになると思う……あぁ……でもなぁ……最近爆発音を間近で聞きすぎて耳が遠くなってきてる気がするんだよな……。

 

 ……まぁ、ともかくそんなわけで、今のところはこういう無難な形で落ち着いているのである。

 

 が、しかし、だ。

 

「――常闇くん、どうです? 機能としては地味ですけど、めっちゃかっこよくないですか?」

 

 私が再び義手の手首を捻ると、放熱のために開いていた装甲たちがぱたぱたと閉じていく。一斉にではなく、手首に近い方から順番に。

 

「……ああ、最高に格好良い……!」

 

 常闇くんの語彙力が死んでいた。

 やっぱり、彼ならわかってくれると思っていた。

 

 常闇くんはこう、どちらかというと黒魔術とか、そういう系の……まぁ中二病患者なのだが、しかし男として生まれた以上、こういうメカメカしいギミックに心惹かれないわけがない。

 この義手が完成したのが先週の半ばくらいで、発目さんとパワーローダー先生以外の前で装着したのは今日が初めてのことだ。そして当然ギミックも初お披露目だったわけだが、そのオーディエンスが常闇くんだったのはきっと運命だ。たぶん男子なら割とみんな感動してくれると思うけど、やはり常闇くんはその筆頭だったと思う。

 

「常闇ちゃん、氷雨ちゃん。よくわからないけれど、のんびりお喋りしてる時間はもうないわ」

「っと、そうですね、すみません……行きましょう」

「あ、ああ……」

 

 密かな興奮を共有していた私と常闇くんだったが、首を傾げた梅雨ちゃんに促されて気を取り直した。常闇くんの熱い視線を感じるのは絶対に気のせいじゃない。

 

 ともかく、私は集めておいた氷を再び身に纏い、通路を先導していった。

 

 

     ※ ※ ※

 

 

 ――そして。

 

「二人とも」

「ええ、見えたわね。おそらくエクトプラズム先生御本人と、脱出用のゲート」

「やはり待ち構えていたな」

 

 あっという間に通路を抜け、私たちは建物の三階部分に出る。

 吹き抜けから一階の広場を見下ろすと、やけにファンシーなデザインのゲートとその前に佇むエクトプラズム先生の姿があった。

 

 当然と言うべきかエクトプラズム先生はこちらに気が付いているようで、私たちのことを見上げていた。

 まだ分身が出せないのか、それともあえて出していないのか。

 なんにせよ、馬鹿正直に真正面から突っ込んでいい相手ではないので、様子見も兼ねて回り込もうと私たちは動き出したのだが――。

 

「――えっ、いやちょっ……!」

 

 エクトプラズム先生が口から大量の煙のようなもの――エクトプラズムを吐き出し始めたかと思えば、見る見るうちに巨大な分身が生成された。

 

 しかも、その分身がさっそく大口を開いて、私たちを食らわんと迫ってきたのだ。

 

「梅雨ちゃん! 常闇くん!」

「くっ、行け雪柳! おまえだけでも――!」

 

 私は反射的に常闇くんの指示に従った。【氷衣】による急加速で、巨大な分身の攻撃範囲からギリギリで退避する。

 

 しかしその後、私が身を翻した時には、既に梅雨ちゃんと常闇くんは足場ごと分身へと呑み込まれてしまっていた。

 

「クソっ!」

 

 崩落していく足場から飛び立ち、私はすぐさま自身の周囲に大きめの氷柱を生成していく。

 それらを一気に分身へと撃ち込むが、当たった瞬間からあきらかに勢いが死んで、まるで沼にでも沈んでいくように取り込まれてしまった。今までの分身があっさりと消えていったのがウソのようだ。

 

「〝強制収容・ジャイアントバイツ〟――数ハ出セナクナルガ、我ガ視認デキレバコノ一体デ事足リル……ガ、マサカ避ケラレルトハナ」

 

 エクトプラズム先生の呟きがやけにはっきりと聞こえてきて、私は思わず歯噛みしながら顔を向ける。対する先生もまた、私のことを真っすぐに見据えていた。

 

「トハ言エ、ソノ分身ニ生半可ナ攻撃ハ通ジヌ。分身ノ解除ハ実質我ノ意思デノミ……サァ、ドウスル?」

 

 そして、そんな言葉と同時に、梅雨ちゃんと常闇くんがズズズと分身の表面へ浮かび上がってきた。

 二人は完全に四肢を拘束されており、到底自力では抜け出せそうにない。それに、今しがた行った攻撃の手応えからして、私の方からなんとかするのも難しそうだ。

 

「何たる万能個性だ、エクトプラズム……!」

「俺もダヨォ」

 

 常闇くんが悔しそうに零し、彼の個性である黒影(ダークシャドウ)くんの抗議も力がない。

 

 ここに来て、かなりまずい状況に陥ってしまった。

 私は顔をしかめながら二人に近づいて、小さな声で話しかける。

 

「……二人とも、カフスは取り出せそうですか?」

 

 試験の開始前に二つ渡されていたハンドカフスは、梅雨ちゃんと常闇くんが一つずつ所持していた。改めての確認になるが、このカフスをエクトプラズム先生にかけるか、ゲートをくぐることが試験クリアの条件とされている。

 ここまで一番前に出ていた私がカフスを持っていなかったのは、【氷衣格闘術】をやるのに精一杯で余裕がないだろうというのと、エクトプラズム先生の意表を突くためだったのだが……。

 

「……ごめんなさい氷雨ちゃん、私の分は取り出せそうにないわ」

「俺の方は……囚われた拍子に紛失してしまったようだ。この分身に取り込まれたか、瓦礫の下敷きだろう。すまない……」

「そう、ですか……結果論ですけど、完全に裏目に出てしまいましたね。探す時間もありませんし、もう、私が脱出するしか――」

「――いいえ氷雨ちゃん、ちょっと待ってちょうだい。……常闇ちゃん、一つだけ確認したいことがあるの。今、この場所から、黒影(ダークシャドウ)ちゃんにゲートをくぐらせることはできるかしら?」

「射程距離だけで言えば可能だが、プロヒーロー相手に正面突破が可能かは不明だ。雪柳と協力すれば、あるいは出し抜くこともできようが……」

「なら……ねぇ氷雨ちゃん、私に考えがあるわ。少し、耳を貸してちょうだい」

 

 梅雨ちゃんが拘束された手でちょいちょいと手招きをしてきたので、私は彼女の口元に耳を寄せる。

 

「……氷雨ちゃん、無理にゲートへ向かわなくていいわ。ただ、エクトプラズム先生の注意をうんと引きつけて欲しいの」

「それは、どうして……?」

「詳しく説明していると怪しまれてしまうわ。でもお願いよ、私と常闇ちゃん、黒影(ダークシャドウ)ちゃんを信じて。三人で、勝ちましょう」

「……ええ、わかりました」

 

 まっすぐ見つめてくる梅雨ちゃんに対し、私はしかと頷いてみせた。

 

 ふぅ、と息を一つ吐いて、腹を括る。 

 

「――じゃ、行ってきます」

 

 言うや否や、私は手元にいくつかの氷の塊を生成してエクトプラズム先生に放ちつつ、一直線にゲートへと向かった。

 が、その程度の牽制で見逃してもらえるはずもなく、先生は氷塊たちを文字通り一蹴して、次の瞬間には私の進路に立ち塞がる。

 

 そして、両脚が義足とは思えないような、あるいは義足だからこその鋭い蹴りを容赦なく繰り出してきた。

 

「ぐっ……!」

「甘ク見ラレタモノダナ。タトエ重リヲ付ケテイヨウトモ、ソノ程度ノ速度ヲ逃ス我デハナイ」

 

 私は咄嗟に義手で蹴りを受け、あえて吹き飛ばされることでダメージの緩和を図った。義手に纏っていた氷は当然砕かれ、残った胴体と両脚、右腕だけの四部位の氷を操作してなんとか体勢を立て直す……が、ゲートからは遠ざかる形となってしまった。

 

 梅雨ちゃんには無理にゲートへ向かわなくていいと言われたが、エクトプラズム先生の注意を最大限に引くなら、結局のところゲートへ向かう意思を見せるのが一番簡単で確実だ。

 

 そして、向かう()()なんてするつもりはない。

 やるからには本気で、徹底的にやる。

 

 私は地面に降り立ち、自身の周囲に次々と透明な氷を生成していく。一ヶ月前に比べれば生成速度も、同時に生成できる数も随分と増えた。

 

 拳大の無色透明な氷を、ざっと五十は用意する。

 

「ホウ、コレハ……」

「――まぁ、いわゆるオールレンジ攻撃ってやつです。凌げますか? エクトプラズム先生」

 

 私は創り出した透明な氷を操作し、エクトプラズム先生を完全に包囲した。

 先生の立っている位置を中心とした三次元の空間に()を想像して、それをなぞるように氷を動かす。速度はそのまま威力に直結するからそれなり以上に速く、しかし間違っても人間に致命傷を与えないような加減――これらを、一つ一つの氷塊に対し、それぞれ意識する。全神経を集中させて、ようやく成り立たせることができる攻撃だ。

 

 だが、そうするだけの甲斐はあった。

 氷が透明であることによるそもそもの視認性の悪さ、そして私が意図的に死角を突くように、さらにはタイミングも程よくずらして氷を襲い掛からせていくことでエクトプラズム先生を翻弄し、その場に釘付けにすることができていた。

 

「……これだけ、やれば……!」

 

 梅雨ちゃんたちから意識を逸らすのも、おそらくこれで十二分だろう。

 最後のダメ押しとして私はオールレンジ攻撃の手を緩め、即座に義手へと氷を纏わせる。そして、あわよくばゲートをくぐってしまおうと、【氷衣】による高速移動でエクトプラズム先生の脇を一気に駆け抜けようとした。

 

 ……が、やはり。

 

「――見事ナ攻撃ダ、何発カ貰ッテシマッタ……ガ、シカシ、ソノ移動方法トノ両立ハ不可能デアルヨウダナ。実ニ惜シイ」

「いやいやっ、切り替え早過ぎっ――うぐぅっ!」

 

 エクトプラズム先生の重たい蹴りを、今度はほとんどまともに食らってしまった。ギリギリで右腕で防御しようしたものの、その腕ごと脇腹の辺りを蹴られ、右腕の氷と帯に纏っていた氷とが砕け散ってしまった。残った三つの部位の氷だけでは姿勢の制御もままならず、私は思い切り吹き飛ばされて地面の上を転がる羽目になった。

 

「うっ……くぅ……」

 

 上手く受け身も取れなかったため、身体中が痛かった。それに、エクトプラズム先生の蹴りをがっつり受け止めてしまった右腕がめちゃくちゃ痛くて動かせない。これ、骨にヒビとか入ってるのでは……。

 

「――雪柳! 援護する! 今のうちにゲートへ!!」

 

 私がふらふらしながら無理やり立ち上がったところで、常闇くんの大きな声が聞こえた。

 顔を上げれば、黒影(ダークシャドウ)くんが拳を振りかぶってエクトプラズム先生へと距離を詰めつつあった。

 

 しかし、私はもはや咄嗟に動けるだけの状態になかった。

 右腕の痛みがひどくて【氷衣】は使えそうになく、走り出すのも正直厳しい。

 

 エクトプラズム先生にもそれがわかったのか、一度ちらりと視線を向けてきただけで、黒影(ダークシャドウ)くんへの対応を優先することにしたようだ。

 

「――トリャアアアアア!」

 

 黒影(ダークシャドウ)くんの拳を、エクトプラズム先生はやっぱり蹴りでいなしにかかった。黒影(ダークシャドウ)くんの膂力は相当なものだが、それでも先生に敵うほどではないはずだ。

 

 黒影(ダークシャドウ)くんが、常闇くんが先生の気を引いてくれている間に、なんとかしてゲートへ向かわなければ――と、そう考えたのだが。

 

「――え、あれ?」

「――ナル程、雪柳ヘノ指示ハ ()()() ダッタカ」

 

 黒影(ダークシャドウ)くんの攻撃を受け止めたエクトプラズム先生の左脚には、勝利条件たるカフスがしっかりとかけられていた。

 




 

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