『雪女』のヒーローアカデミア   作:鯖ジャム

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第62話 決戦! 雪女vs全裸男 その1

 

 そして三日後、緑谷くんの謹慎が明けたタイミングで、案の定相澤先生から一年生のヒーローインターンが許可されたことが伝えられた。

 

 もっとも、まったくの無条件とまでは行かず、インターン生の受け入れ実績が豊富なヒーロー事務所に限ってインターン先として認める、とのこと。

 雄英の教師たちは「やめとけ」という反応が大多数で、一方そのような方針では強いヒーローが育たないとの意見もあり、間を取った結果がこれだったそうだ。

 

 何はともあれ、私たちのヒーローインターン参加が正式に決定したということで、インターンに関する説明もやはり正式におこなわれることになって。

 

 ()()が私たちの前に現れたのも、どうやらその一環であるらしい。

 

「――紹介しよう。彼らは通称〝ビッグ3(スリー)〟。現在、雄英高校ヒーロー科に在籍している生徒の中でトップに君臨している三年生三人だ。今日は、彼らから直接ヒーローインターンでの体験談を語ってもらう」

 

 相澤先生に促されて1年A組の教室に入ってきた、三人の生徒たち。

 

 先頭を歩く一人はなかなか身長がある上に体格もガッチリしていて、見るからに身体を鍛え上げているのがわかった。ばっちり固めた金髪と言い、なんとなくオールマイトを連想してしまったのは私だけはないと思う。顔は似ても似つかないくらいに個性的だが。

 

 続く一人はなんとも美人な女子生徒で、パーマをかけているのか天然のくせ毛なのか、うねうねとねじれた水色の長い髪に思わず目を惹かれた。先頭の金髪男と同様に表情や立ち振る舞いには余裕が感じられるものの、それ以外の点から実力を推し量るのは難しい。

 

 最後の一人は少しぼさついた黒髪の男子生徒で、とりあえず姿勢と目つきが悪かった。水色髪の女子と比較できるくらいに線も細い……が、なんとなく威圧感のある雰囲気は漂っていて、別に弱そうには見えない。

 

 ……まぁ要するに、見た目だけでは何もわからないということだ。強いて言うなら金髪の人はガタイがいいのでちょっと強そうに思えるくらいである。

「じゃ、手短に自己紹介よろしいか? 天喰(あまじき)から」

 

 彼らが教壇の上に並んで私たちに正面から向き直ったところで、横に捌けていた相澤先生がそう促した。

 

 すると、最後に入ってきた黒髪の男子生徒がぴくりと反応して、鋭い三白眼を突然見開く。

 私は特に何も感じなかったが、どうもみんなはその迫力にあてられたようで、教室全体に謎の緊張が走っていた。

 

 ……しかし。

 

「──ダメだ、波動さん、ミリオ」

 

 満を持して口を開いた黒髪の男子生徒──おそらく天喰という名前の彼の声は。

 

「ジャガイモだと思って臨んでも……頭部以外が人間のままで依然として人間にしか見えない……どうしたら……言葉が、出てこない……っ!」

 

 ……哀れなくらいに、震えていた。

 

 私の記憶が確かであれば自己紹介を頼まれただけのはずだが、いったい何が彼をそんなに追い詰めているのだろうか。

 しまいに彼は私たちに背を向けて、はっきり「帰りたい」とまで宣ったのであった。

 

「──あ、ねぇ聞いて天喰くん! そういうのノミの心臓って言うんだって! ね! 天喰くん人間なのにね! 不思議!」

 

 そして、フォローに見せかけた……いや、見せかけてもいないただの追い討ちを放ったのが隣のねじねじ水色ヘアーな女子生徒。

 彼女はまったく悪気のなさそうな様子でニコニコしながら続ける。

 

「彼はノミの天喰(あまじき)(たまき)、それで私が波動ねじれ。今日はヒーローインターンについてみんなにお話しして欲しいと頼まれて来ました! ――ねぇねぇところでそこの君、なんでマスクをしてるの? 風邪? オシャレ?」

 

 女子生徒――波動ねじれさんはさくっと自己紹介をしたかと思えば、そのまま流れるように一番前の席に座っている障子くんに質問を投げかけた。

 障子くんは突然のことに少し驚きつつも、律儀に答えようとしていたのだが……。

 

「――あ、後ろの方にいる彼は轟くんだよね! ね!? なんでそんなところ火傷したの?」

「っ!? そ、それは――」

「そっちの彼女は芦戸さんだよね! その角折れちゃったら生えてくるの? 動くの!? 峰田くんのそのボールみたいなのは髪の毛? 散髪はどうしてるの!? 蛙吹さんはぁアマガエル? ヒキガエルじゃないよね──どの子もみーんな気になるとこばっかり! 不思議!」

 

 この、質問攻めである。

 しかもこちらの回答を待たず、本当に攻めの一辺倒。不思議不思議と言っているけれど彼女自身が一番の不思議ちゃんだった。

 

 無邪気な幼稚園児みたいに振る舞う波動さんにみんなそれぞれ和んでいたり困惑していたりで、私はどちらかと言えば後者であったが、教室内で一人だけあきらかに機嫌が悪くなってきている人がいた。

 

「……君たち、合理性に欠くね?」

「イ、イレイザーへッド! 安心して下さい!! 大トリは俺! なんだよね!! ──ってことで!」

 

 凄い顔をし始めていた相澤先生だったがこれを金髪の男子が宥め、その勢いのままずいっと一歩前に出る。

 

「前途ォ──ッ!?」

「「「…………?」」」

「──多難―ッ! つってね!! よォーし掴みは大失敗だ!!」

 

 HAHAHA! と豪快に笑う金髪男子。ゼント・タナンってなんだ。英語? 人名? まぁ掴みが大失敗って部分だけはわかる。

 

 ……若干、雲行きが怪しくなってきたように思えた。

 癖の強い弱いとヒーローとしての良し悪しとは関係ないだろうが、こんな自己紹介からの流れでインターンの話をされたところでどこまで信用していいものやら。

 

 他のみんなはそこまで思っていないかもしれないが、しかし胡散臭く感じている雰囲気は否めなかった。

 

「……まぁ、何が何やらって顔してるよね。必修ってわけでもないヒーローインターンの説明に突如現れた俺たち三年生……そりゃわけもないよね」

 

 金髪男子は真顔でそんなことを言ってるが、私たちが何が何やらという顔になっているのは彼らの自己紹介のクオリティが原因の九割である。

 

「一年次からの仮免取得……だよね。フム。今年の一年生って、すっごく元気だよね……そうだねぇ、何やらスベり倒してしまったし──」

 

 金髪男子はさらに続けた後、誰にともなく頷いた。

 

「──とりあえず君たちみんな! まとめて俺と戦ってみようか!」

 

 ……何がとりあえずなのか全然わからないが、とりあえずそういうことになった。

 

 

※ ※ ※

 

 

 場所は変わって体育館γ(ガンマ)、通称TDLである。

 

 体操服に着替えた私たちA組はひとかたまりになって、同じく体操服に着替えた金髪男子──通形ミリオさんと向かい合っていた。

 

「あの……マジでやるんすか?」

「うん! 当然マジだよね! イレイザーヘッドの許可も出たし!」

 

 瀬呂くんがおずおずと声をかけるが、柔軟体操をしている通形さんは見るからにやる気満々であった。

 

「……ミリオ、やっぱりやめておいた方がいい。形式的に『こうこうこういう感じでとても有意義です』と語るだけで十分だ……みんながみんな上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」

「あ、聞いて、知ってる! 昔、挫折してヒーロー諦めちゃって、問題起こしちゃった子がいたんだって! 知ってた!? 大変だよねぇ通形、ちゃんとそこ考えとかないと辛いよ? これは辛いよー?」

 

 しかし一方、天喰さんと波動さんは割とこの手合わせに反対しているようだった。

 

 天喰さんはなんというかそもそも考え方がネガティブそうなので発言がネガティブなのもわかるが、波動さんものほほんとシビアなことを言ってきた。

 

 彼らの言葉をどこまで真に受けていいのかわからないが……ただ、捉え方によっては私たちを見くびっているとも思える言葉であり、実際にそれで火が付いた様子の面々はいた。

 

「待ってください……我々は、ハンデありとは言えプロとも戦っている。そして、(ヴィラン)との戦いも経験しています」

「そんな心配されるほど、俺らザコに見えますかね……?」

 

 常闇くんと切島くんが率先して反論したが、天喰さんと波動さんは何も言わず、代わりに柔軟を終えた通形さんが前に出ながら口を開いた。

 

「まぁ、うん。いつ、どこからでもかかってきていいよね」

 

 ……それがつまり、切島くんへの問いの答えなのだろう。

 

 1年A組19人。仮免を持っていない轟くんと謹慎中の爆豪くんを除いたメンバー、vs通形さん一人。

 

 この構図で、しかも通形さんの勝利は確定事項。

 それだけの実力差がある、ということなのだろう。

 

「──さぁさぁ、一番手は誰かな?」

「おれが──!」

「僕、いきます!!」

「──って緑谷!? お前かよ意外だな!?」

 

 切島くんが腕まくりをしながら勇み立って前に出ようとしたところに、緑谷くんが堂々と割って入った。

 

 すると、通形さんはやたらと嬉しそうに笑う。

 

「ははっ、問題児くん! いいね君、やっぱり元気あるなぁ!」

「──っしゃあ! まぁしょうがねぇから一番槍は緑谷に任せるけど! 先輩! そんじゃあせっかくのご厚意ですんで、ご指導のほどォ──」

 

「「「よろしくお願いしまーっす!!!」」」

 

 声を揃えたA組一同――。

 

 

 ──そして直後、通形さんの体操服が()()()

 

 

 

「──いや、()()()()()?」

 

 集団の真ん中あたりに立っていた私は、思わずそう呟く。

 

 後ろの方で何やら響香ちゃんの叫び声が聞こえたことで少々途切れたが、私は通形さんが体操をしている時点から彼の一挙一動に注意を払い続けていた。

 

 それは単純に、通形さんの個性を見極めるためだった。

 通形さんはよく鍛えていて、体格に恵まれている。が、結局何が一番の脅威かと言えば、彼の未知なる個性だろう。

 あわよくばウォーミングアップでチラリとでも見せてくれないかなんて考えていたのだが、さすがにそんなに甘くなかった。

 

 ただ、それまで淡々と通形さんを観察していたおかげで、私は通形さんが個性を発動するその瞬間を冷静に、正確に視認することができていたのだ。

 

 ――他方、状況は当然動き出していた。緑谷くんが宣言通りに一番槍として特攻したのである。

 しかしその結果と言えば、放った一撃……どころか、緑谷くん自身が通形さんを()()()()()だけだった。

 

 私はこの時点で通形さんの個性を『すり抜け』と断定した。

 細かい理屈や仕組みは置いておいて、とにかくこちらの攻撃はまともに当たらないものとして考えるように切り替えたのである。

 

 そうして続く私たちの二手目、余所見をした通形さんに対して青山くんのビームや三奈ちゃんの酸、瀬呂くんのテープといった個性での攻撃が襲い掛かったが、やはりこれもすり抜ける。

 

「──ダメだ」

 

 それから、危険を感じ取った。

 

 皆の攻撃、特に青山くんのビームによって通方さんの背後にあったコンクリートの山が破壊されて土煙が広がり、通形さんの姿を視認できなくなったのだ。

 

 何をしてくるかわからない。

 予備動作を見ることができないのは、今の時点であまりにも致命的だ。

 

 通形さんは多対一で私たちを圧倒するつもりでいる。天喰さんも波動さんもそれを信じて疑っていない。

 つまり、それができるだけの何かが、彼にはあるはずなのだ。

 

 最も安全な行動を取らなければいけない。

 

 私はそう判断して、【氷衣】で空中に退避することを選んだ。

 

「──いないぞ!!」

「はっはぁーっ! まずは遠距離持ちだよね!」

 

 それは、誰かが叫んだ通り、まるでワープのようだった。

 

 自然と集団の後ろに陣取っていた遠距離攻撃可能な個性を持つ面々。

 その背後に、全裸の通形さんは突然現れたのだ。

 

 ……なぜ全裸? と私が考えたのも束の間、それから十秒もしないうちに、A組の後衛たちは全員が地面に倒れ伏していた。

 

「――おまえら、良い機会だからしっかり揉んでもらえ。そいつ、通形ミリオは俺の知る限り最もナンバーワンに近い男だ。プロを、含めてな」

 

 そして、相澤先生はなぜそれを先に言わないのか……いや、わかっていたところであれじゃあほとんど対処のしようもなかっただろうけど。

 

「ふぅー、一人、すんごい反応で逃げられちゃったけど……」

「…………」

 

 通形さんはいつの間にか手に持っていたズボンを穿きながら空中に浮く私を一瞥して、それから地上に残っている近接組に顔を向けた。

 

 ……どうやら、私に攻める気がないことを見抜かれたらしい。それとも、対空攻撃の手段を持っていなくて諦めたのか。

 

「クソっ、何したのかさっぱりわかんねぇ!」

「すり抜けるだけでもちょー強いのにワープとか……! それってもう無敵じゃないですかぁ!」

「よせやい!」

 

 へへっ、と自慢げに鼻の下を擦る通形さん。

 これがまったく嫌味に思えないほど遺憾なくその強さを見せつけられていた。

 

「――何か、からくりがあると思うよ!」

 

 しかし、ここで緑谷くんが声を上げた。残ったA組の面々がすでにお手上げとでも言いたげな雰囲気の中で、一人だけ。

 

「『すり抜け』の応用でワープしてるのか『ワープ』の応用ですり抜けてるのか……どっちにしろ直接攻撃されてるわけだから、カウンター狙いでいけばこっちも触れられる瞬間があるはず……! 何してるかわからなくてもわかってる範囲から仮説立てて、とにかく勝ち筋を探っていこう!」

 

 そりゃそうするしかない。わざわざ言うまでもないだろう、と私は思った。

 しかし、A組のみんなにとっては違ったらしく、緑谷くんの言葉のおかげで戦意が蘇ってきたようだった。

 

 ……まぁ、だからと言って、戦意の一つや二つでどうにかなるような相手ではなさそうなのだが。

 

「探れるものなら、探ってみなよ!」

 

 通形さんの踏み出した一歩が今度は地面をすり抜けたかと思えば、彼はせっかく穿きなおしたズボンをまた置き去りにして地面の中へと潜行していく。

 

 そして次の瞬間、いったいどういう原理なのか、残ったA組メンバーたちの背後の地面からやっぱり全裸の通形さんが勢いよく飛び出してきた。

 

「――っ!」

「! へぇ!」

 

 これに、またもや一人だけ反応してみせたのが緑谷くんだった。

 

 緑谷くんは目を向けるよりも先に、自分の背後へと蹴りを放っていた。

 音か気配か振動か――もしくは、予測? それこそどんなからくりなのかわからないが、緑谷くんの蹴りはドンピシャのタイミングで通方さんの顔面を捉えていた。

 

 ――が。

 

「――だが必殺!! ブラインド目潰し!!」

「うっ!?」

 

 通形さんはこれまでと同じように難なく緑谷くんの攻撃を透かして、しかもそのまま緑谷くんの目に向かって指を突き刺そうとした。

 緑谷くんはおそらく反射的に目を閉じてしまい、その致命的な隙を通方さんに狩られる結果となった。通形さんは下半身を地面にすり抜けさせ、行き場を失った蹴りの勢いで空中に浮いていた緑谷くんの懐に潜り込んで強烈な腹パンを食らわせたのである。

 

「ほとんどがそうやってカウンターを画策するよね。ならば当然それを狩る訓練! するさ!!」

「――なっ、緑谷くん!?」

 

 上空にいた私は一部始終を目撃したが、地上にいたみんなはそうはいかない。

 みんながようやく緑谷くんの方に振り向いたころには既に通形さんは地面に潜行しており、もはや私が注意を促す暇もなく全員が全員同じように腹パンで沈められていった。

 

「……攻撃無効、防御不可、瞬間移動……本当に、強い」

 

 散々腹パンする姿を見てわかったが、通形さんがガードを無視して腹パンをしている。

 みんな防御が間に合っていないわけではなく、ただ、咄嗟に腕などで防御姿勢をとっても通形さんはその腕をすり抜けてみぞおちに拳をねじ込んでいたのである。

 

 戦闘が始まってから、トータルで一分も経ってない。というか、戦闘と呼べるような瞬間が合計で何秒あっただろうか。

 なんだか私が一人だけ逃げてみんなを見捨てたみたいな構図になってる気もするが、私が【氷衣】を使ってからだってほぼ一瞬だ。援護どころか声をかける暇すらなかった。

 

 さすがにいたたまれない気持ちで腹パンに呻くみんなを見下ろしていると、全裸のまま仁王立ちしている通形さんと目が合う。

 

「――おーい、君もそろそろ降りてきたらどうかな!? それとも、何もせずに降参するかい!?」

「……いえ」

 

 私はゆっくりと降下して仲間たちの屍の合間に降り立ち、ある程度の距離を取って通形さんと向かい合った。

 

「君、雪柳さんだよね! 随分とじっくり俺のこと観察してたみたいだけど、何かわかったかい?」

「……どうでしょうね。でもまぁ、降参はしませんよ……ちなみにこれ、私もあなたを腹パンでノックアウトしないとダメなんでしょうか」

「む、そう言われると確かに君たちの勝利条件を決めてなかったね。それじゃあ、俺に一発でも攻撃を当てられたら、君の勝ちってことでいいよ!」

「…………」

「おっと、気を悪くしないでくれよ! 別に君や、君たちを侮ってるわけじゃあない。でも、ここまでくればわかるよね。ただ単に、君たちと俺との間にはそれだけの実力差があるってだけなんだよね!」

「……えぇ、まぁ。この状況を見たら反論はできませんね」

「うん……あとね、俺から言うのはアレなんだけど、あんまりチラチラ見られると恥ずかしいんだよね!」

「……? あぁ、ち〇ちんですか? 恥ずかしがらなくても、十分立派だと思いますが」

「褒めるのはもっとやめてほしいな!?」

 

 通形さんはさんざっぱら縦横無尽に動き回り、それに伴って通形さんの通形さんをずっとブラブラさせていたのだから嫌でも目に付く。こうして面と向かい合って話していてもそのご様子がつい気になってしまうのはもはや不可抗力だろう。

 まぁ今は手で隠しているから見えないけど……というか、そのくらい待ってあげるからズボンを穿いてくれないだろうか、

 

「……ま、通形さんのち〇ちんはどうでもいいです」

 

 私はため息を吐きながら両手を広げて、蹲るA組のみんなをそれぞれ適当に発生させた雪で持ち上げて体育館の端っこに移動させる。

 

「それじゃあまぁ、やりましょうか」

 

 ――そして、広げた両手で勢いよく柏手を打ち、それと同時にみんなを移動させるために発生させていたすべての雪で通形さんを叩き潰した。

 

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