バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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この世全てを、狙い撃て。




96 世界を喰い尽くせ

疲れた。

今回初めてライブをやってみたけど、圧倒的に想像以上の精神的疲労が来てる。

なんのかんのアリエルとゼルギズのせいだ。

確かにリハもやってて私が舐めてたのはあったけど、ゼルギズとか急にアリエルに触れてるし、アリエルもアリエルで少し疑ってかかってくるし。

幻夢とか外道魔法とかすごい使った。

 

 

しかも最後のイキリ様よ。

私が最後にイキリたかったのはあるけどハキハキ喋るんじゃなかった。

緊張での精神的ダメージで魂削られるわこんなもん。

あーもう疲れた。

 

 

私は、肉体の主導権を電脳に引き渡し、そのまま意識を奥底へと埋めた。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

あー、ドサッて急に身体が倒れたから魔王だいぶびっくりしてるじゃねーか。

オレ様は倒れた状態から起き上がりゼルギズの報酬についての説明を手短にする。

青はめちゃくちゃ雑にアイツを扱うが、なんだかんだ細かいことをこなしてくれる存在だから実は結構大事な存在だ。

そのくせオレ様たちがオリジンにまできて人化してから、一度も正式には報酬をあげていない気がする。

そろそろあげねぇといろんなところが軋み出す。

 

「ねえ、青は?」

「今の娯楽で疲れてぶっ倒れてる。ま、とりあえず白のところに行こうじゃねぇか。まずはアンタとの和解に成功したこと言わなきゃ本当の戦争は終結しねぇ」

「場所わかってるの?」

「ああ、もちろん」

 

オレ様はアリエルの手を取り、転移で空間を跳んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

あん!?

なんかギュリギュリからもらった地龍食べてたらピュンって青と魔王転移してきたんだけど!?

まだ体未成長だし、ステータス2桁出しで無理だろこりゃ!

何しにきた!?

 

 

うん?

魔王、戦って感じの雰囲気じゃなくただわたしのことじっと見てるだけ?

スキルもあんまり発動してないしさっきみたいな臨戦態勢でもない。

これはなんか交渉したのか、青。

 

 

「白、電脳だ。

 魔王と和平を結んだ。落ち着いて食え」

「青は?」

『疲れてるけど生きてるよ。

 ハッピーバースデーエブリワン』

 

青大丈夫かこれ。

なんか寝ぼけてるし。

 

「青も疲れてるだけでダメージ受けてねぇから問題ない。

 そういやお前進化出来るみてーだからした方がいいんじゃね?」

 

なんかこいつ、横柄になってない?

進化出来ること教えてくれたのは感謝だけどさ。

 

あれ?

えー、えー、あ、進化か!

わたし、ついにアラクネまでなれるってこと!?

ついに!!

待望の!!

アラクネ!?

 

 

騒いでる私の目の端に呆れてるやつが2人見えたけど、無視だ無視!

まずはこの進化を確定させてやる!

進化!

 

 

《個体ザナ・ホロワがアラクネに進化します》

体の中でミシミシという音が響き始めるのを感じる。

それに伴ってか少しずつ大きくなり始める身体。

てかこれめちゃくちゃ変な気持ち。

痛覚無効があるから痛くはないし気持ち悪いってわけでもないんだけど、なんか変な感じなんだよ。

くすぐったいってわけでもないけど、なんかムカムカするってわけでもないし。

でもお腹の中で何かが確実に蠢いている。

進化の時はこんなのが毎回起きていたのだろうか。

 

 

 

だんだんメシメシという音がメキメキという音に変わり始めた。

これマジで平気か?

頭の上らへんがむずむずしてるし、重さ増してきた気もするしどうなってんのホントこれ。

うわ絶対なんか生えてきてる。

あ、てかこれアラクネだから胴体なのか多分。

知らんけど。

 

あれ?

待ってやば。

進化に体が追いついてないのか末端が崩れ始めた。

私のステータスが全然回復してないのに無理やり進化しちゃったからか。

まずい、地龍食わないと。

 

ガツガツと必死に地龍を口の中にかき込む。

それに伴ってか少し回復するけど、緩めた瞬間にまた低下する。

やばい、これ一瞬でもやめたら死んじゃうやつだ。

 

 

 

頭にあった意識がなぜか上の方にも運ばれていく。

いや、元の頭の方にも意識はあるから二つに分かれてるのか。

並列意思の時からそうだったけど同じ体の違う場所にあるのには違和感がある。

 

でも食わなきゃ。食わなきゃ死んでまう。

あー、進化ミスった!

 

10分くらいかかっただろうか。

生えてきた胴体の構築はお構いなくメキメキと進んで、ついに終了した。

私にとっては無限の時間に感じられたけれど。

 

 

《進化が完了しました》

《種族アラクネになりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》

 

 

わたしはついに、アラクネとなった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

キョロキョロと周りを見渡す。

どうやら体が蜘蛛の頭から生えたおかげで、だいぶ視界が高くなったみたい。

しかも首を動かすだけで見渡せるあたり、人間の上半身がすごい便利だ。

 

 

 

魔王も興味深そうにわたしのことを物色してるし、青に至っては蜘蛛の側の背中に乗っている。

は?なんで乗ってるのこいつ。

電脳だったよな今身体の主要権握ってるの。

 

「私がきた!

 真面目な話すると白がアラクネになるのに見てないなんて私失格じゃん」

 

どうやら電脳から身体の所有権を青に移行させたらしい。

疲れてたらしいけど、回復したの?

 

「あと私精神的に疲れてただけで肉体的にとかMP的に疲れてたわけじゃないから大丈夫だよ」

 

 

なんで当たり前のように思考読み取ってるの?

青にそんなスキルなかったよね。

うーむ、私が気づかない間に青も少しずつ成長していたのかな。

そこに気づくことができなかったのがちょっと悔しい。

 

「人の体に進化してるから白が思ってるより顔に出てるんだよ。

 蜘蛛の時よりも顔が動くし、感情がわかりやすい」

 

あー、そういうこと?

それなら少しだけ納得。

確かにこのわたしですら青が人になってから感情わかるようになったし、もともと色々見てたっぽい青がわたしの気持ちわかるようになるのも割と納得な気がする。

 

 

でも思いっきり体は女みたいだなー、胸あるし。

ワンチャン性別雄だったりするのかなとか思ってたけど普通に体が雌だ。

青も雄から雌になってるあたり蜘蛛になった時点で雌になる強制力が働いてる?

卵も産むんだし。

 

私が雌ということは。

とりあえず服着なきゃまずいんじゃね?

流石に変な称号とか手に入ることはないと思うけど、人の体になったくせに全裸のまま過ごすとか猿と変わらんし人である意味がない。

よーし、服を作ろう。

 

 

指先から真っ白な糸を出して簡単な服を作る。

まあ細かいことは家でやればいいから下着だけ作っとこう。

お、結構サクサク作れるじゃん便利。

やっぱり人の指があると物を掴めるから文明開化だねぇ。

 

 

パキャ。

パキャキャ。

 

うん?

わたしの周りにあるたくさんの卵が孵化し始めた。

魔王から逃げる移動用の卵とか非常食用の卵が。

私が進化したから孵化が早くなったのかな?

 

 

パクッ。

えっ、青が背中から飛び降りて1匹食ってそっぽ向いた。

こっわ。

コイツら生まれた時からヒヨコ大のサイズある蜘蛛なんだけど?

 

 

しかも食う時に明らかに口が広がってたし。

何この生き物。

もう人と見た目同じだし、背中から蜘蛛の足見たいな腕とか生えることあるし。

質量保存の法則無視して身体から大量に金属出したりもするしコイツ本当になんなん?

てか、コイツってまさかだけど、もう神なのか?

肉体なんて今さらどうでもいいんだろうし。

絶対とりあってくれないから聞かないけど。

 

 

とりあえず私の娘たちにはご飯をあげとこう。

わたしは優しいんでね!

空納からモンスターの死体を20匹くらい出してぽいぽいと放る。

これくらいあればしばらくは生きていれるでしょ。

 

 

 

 

 

パン!

モンスターを配り終えた私に、突然青が手を叩いてニヤリと笑う。

状況を飲み込めない私と魔王にはお構いなく、青は歯を尖らせて目を輝かせる。

 

「私たちの街の領主さん宅に希少金属レアメタルが出た!喰いに行こう!」

 

 

は?

希少金属って、まさかだけど、あの施設にあったみたいな兵器?

じゃ、じゃああの吸血っ子は?

 

 

無事?





和解、覚醒、自由。
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