ついに100話まで来ました。あまり本編に絡ませないように記念回作りたいですね。
少し時間が遡ります。
我は目を覚ました。
確か、進化していた筈だが……。
そう思いながら手を動かすため神経を集中させる。
手がある。
我に手がある。
今まではあったとしても幻の手だけであった。
青から与えられた、想像だけで創造されていた仮初の腕。
それが今、肩から生えていた。
力任せに拳を作ってみる。
鎧のような黒々とした溶岩がパラパラと崩れ落ちる感触をえた。
ああ、これは間違いなく本物の腕だ。
ただ、重大な問題がある。
というのも腕が生えたことはいいのだがそもそもまともに動けない。
仰向けになった状態から腕の一本動かすことができないのだ。
言うならば、体の周りを土魔法で固められた気分だ。
さてどうするか。
鑑定を発動させてみると、どうやら我の種族名はオリジンマグカルゴであるみたいだ。
そしてステータスは2桁台。
青からも聞いた通り、見事に歪が発動している。
ステータスは一般男性なのに身体が固まった溶岩に覆われているなら流石にそれは動けない。
だが面白いことに魔法は使えるし、中層にいるのにも関わらず寒くなってきた。
これは体温がどんどん上がってきているのか?
身体の周りの溶岩が再び液体へと戻り始めているし、このままなら案外身体が動くようになるのも早いかもしれない。
そもそもこの体温に自身が耐えられるかという問題を考慮しなければだがな。
パキリ。
肘の溶岩が割れる。
ガキリ。
膝の溶岩が砕ける。
パキン。
腰の溶岩が、砕かれ流れる。
手をついて立ち上がり、我は高くなった視界から周囲を見渡す。
目を瞑り頭に神経を集中させる。
『鑑定、三人称』
頭の中に現れたのは、顔以外の身体全体からマグマを垂れ流すあの幻想で見た男の姿そのものだった。
『まあいい、青に連絡しなければ』
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てな訳で私は中層まで転移させられたらしい。
まあ今は空納で作った空間の中に引きこもってるんだけど。
というのもゼルギズの体温があまりにも高すぎる。
今のゼルギズの体温は8000度。だけど5分前に顔を合わせた時には9000度を突破しようとしていて、転移した私すら軽く溶かされかけた。
マジでわけわからん。
身体が一部溶けた後に蒸発する前に逃げ込んだからいいものの、後30秒いれば間違いなくこの世から消えていた。
炎熱無効じゃないと確実に即死するクソギミックと化している。
てかなんで地面溶けないんだよ。
あー炎熱無効だからですねクソが。
本来なら地球溶ける温度なんだけどな。
だってマントルの温度6000度で太陽の表面温度も6000度だし。
軽く超えてきやがった。そりゃ私ですら溶けるに決まってる。
なんなら私以外ならそもそも対応出来ずに蒸発だ。生きてただけいい。
あと、中層でこいつが進化してくれたのも良かった。
逆に中層以外で進化してたら大惨事にも程がある。
ワンチャン地面を溶かし続けてこの星ぶっ壊したんじゃないの?
本当に良かった。
ただ、問題はここからだ。
低くするようには頼んだけど、これからゼルギズの体温はどこまで下がっていく?
最低でも60度くらいまでは下がってもらわないと話にならない。
逆に体温か60度まで下がっていれば表面温度は45度くらいまで下がるし、その温度なら最悪人に触れても火傷にはならなくて済む。
そもそもあくまで私たちや人間と行動するならっていう前提での話で、別に今まで通りの生活をするのならこの体温でもいいんだけどね。
いやそれでも2000度までは下げてもらわんと岩溶けるからダメだ。
溶岩以上の温度のものが動き回るのは流石に想定してない。
とりま頑張れ。
『青はどうするのだ?』
あー確かに。私がここにいてもただ体温下がったいくのを眺めてても時間の無駄だ。だけど来たばっかりにすぐ帰るってのも骨の無駄折り損みたいな感じがして癪。
そもそもこいつに呼ばれなければ来る必要もなかったんだけど。
ーーま、今回に関してはそうでもなかったみたい。
今この瞬間やばいものが感知できた。
よかった、先に気付いて。
「ゼルギズ、今空間を開くから片手突っ込んで」
『我まだ冷えてないが!?』
「いいから。
冷えたら一人で帰って来れるように、転移に登録しといて」
『あ、そういうことか』
私は体が溶けるのも構わずゼルギズに近づいて、近くで空間を開いて手を突っ込ませる。
よし、これでこいつは街の近くの地点には転移できるようになった。
じゃあ、あとは……。
「いってら」
『は?
どこに!?』
ゼルギズを中層の逆側に飛ばして私は体を再生させる。
あーあ、まずいな。
あいつがまた元気になっちゃった。
ゼルギズの体温が高くなり過ぎたこと、近くに眠ってたことが原因だろう。
地面が揺れ始めてマグマが渦を巻き始める。同時に上がっていく中層の温度。
揺れと共に熱せられて赤く光る天井の岩が大量に落ちてきて私を潰そうとしてくる。
だけど私も強くなったし、こんな遅いものなんかには当たらない。
そして、近くの巨大なマグマ溜まりからザバリと現れた巨大なゴジラのような龍に私は拳を握りしめて構えた。
この世界においては体長100mのバケモノで、炎界の王。
逃げれはする。
だけど逃げたらダメな気がする。
これからこの世界でこれ以上のバケモノに挑むことになるんだ。
コイツなんかに逃げたら、私が私として目指す目標と矛盾する気がする。
だから今度はもう昔のようには逃げない。
そちらが本気で来るなら、本気で受け止める。
大地の化身、グラードン。
かかってこい。
正面から叩き潰す。
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「魔王」
「うん。今電脳から連絡来たね。
これからの予定がもう決まってるなら、私たちもそれに向けて動こう。
それまで青の不在に対応しないと」
「人、手助け」
「ーーうん、わかってる。
まずは炊き出しだ」
2人の蜘蛛は今日も、彼女らの街で忙しなく働き始めた。
もう一歩上の神のステージ