グラードン……陸を広げたとされるでかいゴジラ。見るだけで神話に出てくるやべーやつだとわかるだけの神々しさはある。
高評価、感想お願いします。
「ただいま」
私が帰ってくるとともに、あんぐりと口を開けるアリエルと白。
なんか文句でもあるのか。
「ねぇ、一応聞いておくけどグラードンはどうしたの?」
「一撃で仕留めた。まずは基本的なインフラを回復させよう」
2人ともめちゃくちゃ困惑している。そりゃそうだ。
数日間でも戦いそうなテンションでメッセージを送ったのに5分で潰してきたんだから。
正直私も自分で出しておいたメッセージには従いたくない。
私の思いには反するものだから。私の根本からのアイデンティティを揺るがすものだから。
でもしょうがない。決めたから。
この街のためだ。
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「青様。事情はお聞きしました。
領主様は、亡くなられたのですよね」
「ああ。私が助けに来れた時点で既に絶命していたよ。
遅れてすまなかった」
仕事が一度落ち着いてやっと彼らの元へ来れた。
開口一番にこんなことを言うのは絶対に良くないけど死んでしまったのは紛れもない事実なんだ。
静かに顔を押さえて嗚咽するメラゾフィスをじっと見据える。
おそらくだけど彼は私が来る前から散々領主の死については聞かされているはず。
それなのに私のこの宣告でここまで涙を流している。
良くも悪くも私さえいればどうにかなるのかもしれないとでも思えていたのかもな。
それでも彼は一言も文句を口にしない。
私でも遅れたこととかには言うと思うけどな。
まだ神化はしてないけれど、伝説的には私が神だから?
確かにそれもなくはないだろう。
けれど、彼は明らかに自身の弱さを一つの理由としている。
自身が弱いからこの惨事が起きてしまったとも思っている。
なかなか覚悟決まってるし、そう思ってくれてるならありがたい。
元来精神崩壊しそうなのによく自分を惨事の原因に出来るものだ。
「とりあえず街が再建する目処が立てば私たちはこの街を出る。
強制はしないけど、あなたたちにも出てもらえると嬉しいな。
質問はある?」
あーあ、泣き止んだ勢いのまま真っ赤な目を見開いて固まってら。
そりゃそうだよ。
治安もいいこの街を捨ててどっか行けとこの街の神様が言っていて、同時に神様も出ていくと宣言してるんだから。
びっくりしない方がおかしい。
けれど、あいにくこちらにも考えていることがある。
「この街が壊された原因は私たちにある。
君が抱えているソフィアにもだ。
残念ながら、私たちがこの街に来ずソフィアが生まれて居なければこんな襲撃など来ることもなかった。
無論、この街の輝きを見ればわかるようにそんなこと誰も望んじゃいないだろうけどね」
なんだかんだ、街が狙われた理由はそれだ。
転生者が3人もいて、そのうちの2人が世界で1匹の固有種と来た。
しかも今の今までは魔王という強大な存在はおらずポティマスにとっては最高戦力である私たちですら龍の最高峰とギリギリでタイマンできるかという認識だっただろう(実際は龍3体くらいならまとめて倒せると思うけど)。
そりゃ狙われる。
「ーー青様はでは、この街をどうするのですか?」
「君の望んだ答えかはわからないが、ちゃんと守っていくよ。街を防護するためのパペット種、さらにその進化系なんかも現在進行形で思案中だ。肝心なのは私たちがいつでも助けに行けるという形を作りながら同時に自立させていくこと。ただの軍隊程度で傾く治安のままじゃ、いつか餌にされる。
なあに、現時点でこの街の財力は国内トップだ。どんな外部にとってもすぐに下手に操れるような存在じゃない」
「ーーでは、なぜお嬢様も外へ?」
「まだ詳しく話すつもりはまだないが、君が自覚しているように彼女は吸血鬼。
しかも他人にまで感染させられる高度なもの。
しょうがないが誰から見てもソフィアは厄ネタだ。だから街を出て行くべきだと言っている」
「つまりこの街を守るために、ですか」
「最初からそうだと言っているけど?
ともかく、そろそろ私の友達2人も仕事を終えてここに来るはず。その時話そうじゃないか」
私は白い糸で作ったハンモックを勝手に部屋の中に吊るし、その中で眠りに落ちる。
残念なことに私がしていた最悪の想定が的中してしまった。もう事態は進んで、後戻りは出来ない。今は眠りについている、彼女をどう説得しようか。
あーあ。
悪夢は収束する。
私の思っていた通りに臆病者は厄を見る。
嗚呼、世界はなんと残酷で、なんと感動的で、なんと美しいものであろうか。
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ガチャリ。
アリエルと白がいっしょに入ってきた。
万里眼で覗いてみると、グタグタにバテているみたいだ。
かわいそうに。
起き上がって労る気持ちで見つめていたら白に睨まれた。
いいじゃないか、みんな仕事は終わったんだから。
これから第二の仕事っぽいものは始まるけどさ。
「青、仕事早い。ホワイ?」
「眷属達に一部頼んでたから。
あとメラゾフィスに軽く説明したからさ、それでイーブンにしてくれない?」
不満げに私のことを見てくる2人を無視しながら、立ち上がって肩を揺らして寝ているメラゾフィスを起こす。
椅子に座りながら寝てるとはなかなかの漢だ。嫌いじゃない。
「やぁ。これからはソフィアにも聞いて欲しい話だから、とりあえず起こそうか」
『”握唱”』
「かはっ」
服の上から胸に触れ、外道魔法で臓器に触れた感触を再現して叩き起こす。
臓器に触れるっていうのいろんな異世界ものであったから正直再現できるのはテンション上がってるんだよね。
「ごほっ、がほ」
おお、咳き込んでる。
まだ一歳なのに咳嗽ができるとは。
尿を漏らしてはいるけど吸血鬼として人よりは肉体が強化されてるのかな?
「青様。
ーーおやめください」
見るとソフィアを抱いていたメラゾフィスが鋭い目で私の目を見つめていた。
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はーぁ。個人的にはソフィア大嫌いなんだけど彼は好きだから免じて許してやろう。
ま、白のソフィアに対する食い物を見るような目も弱まったし漏らさせたのも良かったことには良かったでしょ。
『おいお前、だから言い過ぎには気をつけろよ。
あとオレ様は忙しいからあんま見れねえけど、とりまこっち連れてきていいぜ。
クソエルフが見てたら困るしな』
ああ、そうか。
一応やっといたほうがいいね。
「そういえばみんな、ここだとこれからのことを話すのに不備があるかもしれない。
だから移動するね」
「は?ちょっーー」
『”無虚空間”』
アリエルの言葉が終わる前に、部屋全体を暗闇が埋め尽くした。
空納をかっこよく言うために考え続けた結果、生まれた言葉『無虚空間』