バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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生きろ。




血1 嫌なやつ

どうしてこうなったんだか。

メラゾフィスに抱かれながら考えているけど、一向にわからない。

女神こと青にすっごい私は嫌われているし。

 

『あー、テメー。

 いろいろ気になってるようだからオレ様が教えてやろうか?』

 

この声は電脳だ。

人の心に勝手に侵入してきて。

この人も性格は良くない。

服はくれたけど。

 

 

『なに?』

『お前は異世界で前世と同じ生活をし過ぎたんだよ。

 コッチは毎日恐竜に食われかけて腕千切ってたのに。

 まー、理解はできるがな』

 

……。

で、でも。

今のまま暮らしていれば問題なく生きていけただろう。私が吸血鬼であっても、なんとかなったはずだ。

 

 

『お前を過度に傷つけ、無駄に傷つける青にはオレ様が釘を刺しておく。

 そこらへんは心配するな』

『は。

 なんであなたに。

 なんで、あなたが勝手にいろいろ決めてるんですか!』

 

 

私が間違っているのだろう。

彼の言葉通り、幸せな生活を異世界でしてはいけなかったのだろう。

けれど、けれど。

否定しなければ、私が消えたくなってしまう。

 

 

『あなたたちが、来なければ……。

 こんなことは起きなかったんじゃないの……か』

『……チッ。

 それに関して完全否定は出来ねーよ。

 だが同時に、それを罪にするならテメーも同罪だ。

 世界唯一の真祖の吸血鬼・ソフィア。

 テメーは世界最高のご馳走だ』

『……っ』

 

何もいえない。

コイツの言葉通り私は弱い。

それでいて、吸血鬼。

だから狙われることに否定は出来ない。

でも。

 

『街が栄えなければ……!』

『エルフが襲って来なかったのか?

 アイツらはどっちにしろ来たと思うがな。

 テメーだけを狙いに、屋敷だけを襲って』

『……』

 

 

完敗だ。

何も言い返せない。

どちらにしろ、私の親は死ぬ運命だったのか?

私のせいで。

私が産まれてしまったせいで。

 

 

『ハァ……。

 めんどくせぇ。

 心、切り替えていけよ』

『は、はぁ?』

 

な、何を言っているんだ?

めんどくさい?

この私の、両親を失った悲しみを?

私が生きていることを後悔しているのを?

馬鹿にしてるのか?

あのモヤシ野郎。

 

ふざけるな。

怒りではらわたが煮え繰り返りそうだ。

本当に馬鹿にしてるのか?

だけどソイツは私の怒りに構わず話し始めた。

勝手に。けれど丁寧に。

 

 

 

『じゃあ罪じゃねぇ、只の真実を教えてやる。

 耳かっぽじって聞いておけ。

 テメーのせいで失われた命は300。

 対して、テメーのおかげで救われた命は20000だ。

 で、それでも懺悔するのか?

 視野狭窄吸血鬼サマ』

 

 

『は?』

 

どういうこと?

私のおかげで救われた命が20000?

何をでたらめ言っているんだ、コイツ。

なにを。

 

 

『なにか質問は?』

『その20000っていうのはなに?

 まさかだけど、私が吸血鬼という資源として利用されることで作れるエネルギー?』

『いや違うに決まって……、現在進行系でゼルギズを無虚空間の中で熱エネルギー源として使ってるから否定し辛ぇ……。

 とりまそんなんじゃねぇ、安心しろ』

 

 

え、本当に使われている人がいるみたいだ。

とんでもない。

てか本当にエネルギーになりうるの?

怖い。

 

 

『お前が救ってきた20000という功績の命は、この街に青を住まわせたことで生まれたもんだ。

 もちろんテメーがいなくても青は他の街に住み込んだだろーが、街はここまでデカくならねえ。

 結果的に、この街に住み込んだことで合計20000の命が生まれ、救われたんだ』

『な……』

 

 

 

いや、それでも気になることはある。

青は私のことを嫌っている。

事実私はアイツに内臓から痛めつけられた。

だから、私がいなくても青はこの街に住み込んだんじゃないのか。

 

 

『私がいるのと青がいるのに関係はあるの?』

『あるが。

 一応言うがお前青に特別視されてるしな。

 基本人の名前覚えないやつが、お前の名前覚えてやがったんだぞ。

 異世界人として気にかけてたんだよ』

『でも私さっき内臓やられたんだよ』

『地球で生まれ落ちたクラスメートとして、嫌ってるからだろ』

『えっ』

『住み着いた件については、そもそも街が近かったから住み着いたのもあるし、領主が優しかったから住み着いたのもあるかもな。

 だが。

 確実にテメーも理由の一つだ。』

 

 

そうなのか。

こんな暮らしをしてた私を、毎日腕千切って生きてきた人が許して仲間と見ているのか。

ああ。

 

ああ、何が正しいのかわからない。

私が悪かったのか?

 

 

『ま、アイツは過去引きずってるがテメーには引きずってもらいたかねぇよ。

 これからのことを考えろ。

 もうなにも失わせたくないなら、強くなれ。

 白くれーにはな』

 

 

白……か。

私にとってはアイツの方が怖いかもしれない。

化け物感は青よりあるし。

蜘蛛が普通に歩いてるこの街で言うことではないと思うけど。

身体生えてるから普通の蜘蛛より怖い。

てか、青も一応蜘蛛なのか。

化け物しかいない。

困った、私も吸血鬼という化け物だ。

強さは比較にならないが。

 

 

『でも、あんなに強い化け物に……』

『成れるだろ、若いんだし。

 てか今の白よりフツーに強くなるんじゃね、頑張れば』

『ほんとに?』

『ああ、オレ様の計算だとなるぞ』

『そう……』

 

 

電脳の計算だと、大丈夫らしい。

本当に大丈夫なのかな。

だけど、電脳がまた言ってるみたいに、ポジティブにならなきゃ。

電脳の計算なら大丈夫なんだから。

 

 

ーーん!?

待って!?

 

 

『てか、あんた実際はなんなの!?

 さっきからフツーに話してたけど!

 存在として!』

『うお、ビックリした!』

 

いやおかしい。

今まで話してきたことから考えると青と電脳は違う存在だ。

てなると、この人はどこから出てきた?

怖すぎる。

 

 

『じゃあご丁寧にもう一度言っといてやる。

 オレ様は電脳、青の別人格だ』

『別人格?』

『二重人格っていう理解でいい。

 てかそんなもんだ』

 

 

その割には意識がすごいはっきりしてたり、計算凄かったり、一緒にいたりしてるけど。

私にはわからない話なのだろうか。

 

 

『強くなれば、いずれわかる。

 あ、あとオレ様と青は普通に仲良いからな。

 心配すんなよ』

 

 

それは見るだけでわかるからいい。

でもまた強くなればか。

なにをするにも周りの人は、弱いから、強いからと言う。

この世界だと強くならないとなにもわからない。

なんか悔しいし、ズルい。

 

 

『とりま勝手に強くなれ』

『言われなくても』

 

 

強さが、自由が、知識が。

悔しい、ズルい、妬ましい。

嫉妬する。

 

だから、強くならなきゃ。

私が世界を知るために。

満足して生きるために。





強くなれ。

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