産業革命へ
「みなさん、今夜も集まっていただきありがとうございます。
昼の業務で疲れている方は結構ですから、元気な方だけ会議に参加してください」
「先に休ませているので問題ありません」
「感謝します。
では話していきましょう」
深夜。再び皆が眠り込んでから。
教会でいつも会議に使われる部屋で長机の端に座り私は話し始める。
これからのこの国の政治についてと、女神教についてだ。
ダスティンとかいうめんどくさい奴のためにも先に対処できるだけの国力を蓄えておきたい。
また戦争仕掛けてきたらたまったもんじゃないしね。
「まず最初に、先の戦争での和平ってどうなってますか?」
「会議日程は決定しているがまだその段階だ。
詳しくは外交官同士で話すことになるけども、奴らはケレン領を割譲してくるよう行ってくるだろうな。
あんな栄えた街だ、こちら側も簡単に引く気はない」
「情報ありがとう」
こう言うのは私の右隣にいるサリエーラ国の王であるソルジアさん。
中世の王という立場でありながら、お飾りの王ではなくてそれなりに政治はわかっている。
特にこれといった専門分野はないけど、全てのことを最低限知っている感じだ。
正直話がわかる人で助かった。
教皇が顔をしかめてるあたり、彼の口調に関しては思うことあるみたい。
別にわざわざ丁寧語で話してくれなくても私は別にいいけど。
てか一部の他の人も顔しかめてるな?
こいつらまさかだけど戦争に負けたと思ってないのか?
そりゃ勝手に仕掛けられて勝手に殴られまくって制圧されたらそりゃキレるの納得だけどさ。
残念ながら、負けちゃってるから諦めて欲しい。
すまんな。
「よし、じゃあこうしましょう。
外交官みんなで賠償金の方向へ持ってってください。
確かに最終的な戦況は圧倒的に不利でしたが、完全に責められるほどの完敗ではありません。
その隙を利用して、金銭面での工面を目指しましょう。
経済面なら私が表に出ればどうとでもなります」
「表に出るということにしなさったのですか?」
「色々考えたけど結局メリットが大きすぎるのでそういうことにしました。
暗殺とかがもしもあったとしても私の肉体であれば無傷ですから安心して出れますしね」
教皇さん私の言葉一言一句覚えてらっしゃる。
優秀。
有能な方は多ければ多いほど助かるからね。
これからもどんどん頼っていくからよろしく。
「あー、あと一応私もその会議参加しますね」
「「え?」」
いや外交官ら、あんたらも別に私とはずっと喋ってるやろうがい。
なんなら今個人的なこと聞いてもいいんだぞ?
好きな食べ物とか。
「いかんせん長く封印されていたものですので、私が行っても知識的には外交で有利にはできないでしょう。
ですが私が存在していることに意味があると思いますし、なにより邪魔はしません。
神が復活し、それが身近に自由に動くこと。
これを世界に伝える場面としてはこれ以上の場所は無いはずです」
「外務大臣頼んだぞ」
「りょ、了解しました」
王様えらーい。
外務大臣くんも頑張ってね!
女神教とサリエーラ国が孤立していたあたり大丈夫か不安になってきたけど!
「うん、よし。
教皇さんは明日、街中に私が復活したことを通告できる?」
「明日でしょうか?
ううむ、可能ですが混乱が望まれますね……。
国が大敗を決した直後ですし、復活が遅いということで信仰心にブレを生む人もいそうですが……。
けれど蜘蛛が戦場に大量に現れたことに疑問を呈している人もより多い。
それも考慮すると、確かに通達してしまった方が楽かもしれません」
「信仰心は大丈夫なの?」
「なにを今更。
あなたが蘇ったんですから、そんなものは一瞬でV字回復しますよ」
穏やかな笑顔で笑う教皇さん。
優しそー。
元気に頑張ってくれ。
私も応援するからさ。
「ですが、どう民衆に伝えるか。
街の中でクイーン種の蜘蛛を解放するというのも大きな混乱を生みますよね?
ソルジア王、新聞などをすることは出来ます?
号外などでも構いませんが」
「俺も実はそうしたいが、いかんせん貴族が反発する。
奴らが基本印刷系の税は払っているからな。
戦争終結の時ですら号外として出さなかったのに、神復活の時に号外を出せば十分反発しうる」
「貴方、神ですよ。
戦争と神のどちらが重要かわからないのですか?」
「戦争で人は死ぬが神降臨で人は死なねぇよ」
「ま、まずは言い争うのやめましょう」
王様も王様で正論で刺しまくってくる。
とりあえずは私がうまく公表すればいいんでしょう?
それについてなんだし。
「公表の件についてですが、私が守護獣を市民一人一人に配布します。
貴族に対して区別をつけなければいけないというのならば、私が生み出した最高品質の糸の束も一緒に彼らには渡すということで折り合いをつけましょう。
神の糸を渡すという条件付きであれば、どんな貴族でさえも印刷程度で文句は言わないでしょう」
「そうだな、あいつらは良くも悪くも黙ると思うぞ」
「教皇さんもそれで大丈夫ですか?」
「大丈夫ですが一人一匹で貴方こそ大丈夫なのですか?」
「問題ないですよ」
不安そうな顔をする教皇と満足げな顔をした王様。
そうか、普通10万匹の蜘蛛を配るだなんて無理だもんね。
だが出来る、私ならね!
「もう10万匹はいるから明日の朝までに5000万匹までには増やしておきます。
そのうちの20万匹持っていきますよ。
大きさは5センチメートルくらいなのでご心配なく」
「ーー無理はしないでくださいね」
「それは大丈夫。
だから神が蘇ったことだけ記事を作っておいて。
朝までには糸を作るから」
「ですので、糸のために少し解散しますね。
お願いします」
「「えっ」」
「王、頑張りましょう」
「ああ、政教分離なんて馬鹿げたことを考えていたがやめにするか」
転移の瞬間に聞こえた声。
どうやら二人も少し和解しようとしているみたい。
私の働きかけで不仲なのを変えられたら良いけど、どうくるかな。
だが、私は私のために働く。
エルロー大迷宮へと、私は飛び降りる。
世界に平和を