高評価、感想お願いします。
今回は主人公の内面が出ているので少し重い話です。
「えっと、そこにいる黒い鎧の人は?」
後ろから聞こえるソフィアの声。
お、赤ちゃんである彼女が起きたってことはもう朝だ。
となるとギュリとアリエルは解放してあげるべきか。
「じゃ、朝までありがとう!
いろいろ聞けたし、もう帰っていいよ」
ギュリを縛っていた糸をスルスルと剥がす。
いやー、本当に色々聞けた。
昔一緒にお酒を飲んだ時には聞けなかったこともたくさん。
正直これからの予定を立てる上でめちゃくちゃ役に立つ。
「たく……。
貴様は、あれとは違って狡猾に世界を崩していくのだろうな。
貴様の夢、目的は私の夢そのものでもあるし許すがあまり馬鹿げた行為はやめてほしい。
我々は貴様が思っているより脆い存在なんだ」
「そうかもしれないね。
けれど、私がこれから相手取るやつ相手にそれは通じない。
君たちが天地をひっくり返しても勝てないのなら、天地をひっくり返したら勝てるかもしれない私が天地をひっくり返すしかない。
最悪の最悪、そんな天地がひっくり返るようなことが起きたら、サリエルに守ってもらって」
「彼女は私が守る。
あと、貴様には祈ることしかせんぞ」
「うん、多分足手纏いだからそれでおけ」
そんなことを話していたらブゥンと音を立ててギュリが帰っていった。
うーん、最後怒らせたか?
正直な話、私の成長も踏まえたら多分足手纏いになる。
だからと言って、私の手の届かないところでは働いてもらうつもりではあるけど。
『てか電脳、もう無虚空間じゃないところでしゃべったけど大丈夫だよね。
Dには全部聞こえてるけど』
『まー、平気だろ。
詳しい作戦までは言ってねーんだし。
基本的にオレ様らはギュリから情報もらっただけで、こっちの情報はほとんど開示してない』
うん、確かに。
今日はいろんなことを聞いたけど、私たちからはほとんど話してない。
あくまで情報収集だった。
何より、私をDは攻撃できないはずだしね。
この星の生物である私に。
--3時間前。
「原生生物への攻撃禁止?」
「ああ。
私がポティマスに攻撃をすることができない直接の理由だ。
これはDと私、ついでにサリエルにも課された共通の掟。
破れば、D直々に処罰されるだろう」
淡々とギュリは説明してるけど、その内容はなかなかのゴミシステム。
Dが罰すると言う時点でDに課せられた掟にはなってないんだよなぁ……。
まじでギュリとサリエルだけに課せられた命令でしかない。
『ま、それは2年くらい前の話なんじゃねーの?
今は違う』
ん?
電脳、なんでそんなに自信あるのよ。
あくまで仮説をそこまで大真面目に話せるのすごいな。
「ああ、さすがだ。
今はアルセウスという上位存在が現れたことでそのパワーバランスが大きく変化した。
言うなれば、アルセウスも含む4人でその掟を結ぶことになったためにDも罰せられることになったのだ。
それで迂闊にDも貴様に手を出せなくなっている」
しかもあってると。
まあそんな確信がなければそんな暴走できないしね。
こんな面白生物、自由に触っていいんならすぐにDに支配されたと思う。
「おい電脳、貴様まさか故意に神になってないのか?
それだけの体内エネルギーがあればすぐに神にでもなれるはず。
なんならなりたくなくても無理矢理神に変化させられる。
それでも神になってないということは」
『そりゃそうだ。
神になるということは、Dと同格になるということ。
ぱっと考えりゃあ同格になりゃいいと思うかもしれねーが、テメーのこき使われ方見てそれは思わねぇよ。
同格という建前の中で虐められるだけだ』
「やはり、貴様は違うな……」
ねえ、ギュリがうなだれてる。
電脳の思考回路凄すぎてギュリが落ち込んでるって。
正直同情するから!
もう少しなんというか、その手心というか。
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さてと。
今日は部屋の中にでも篭ろうか。
明日違う星に行くことを考えると準備してしまいたい。
やりたいことも、聞きたいことも色々あるし。
聞きたいことってなんだろう。
あ、やばい。止まらない。
疑問が。
何故。
なぜ。
どうして。
なぜ、Dは私をこの世界へと送り出した?
なぜ、アルセウスは私をこの世界へ送り出した?
なぜ。なぜ。なぜ?
なぜ、白は生み出された?
なぜ、私は性別を変えられた?
なぜ、私はこの性別を受け入れた?
なぜ、私は。
なぜ、私は人を思いやれる。
なぜ、私は今更、人のことを考えられる。
もう起きてしまったものは戻らない。
失ったものは返らない。
なぜ、私は、今きちんと挨拶ができる。
なぜ、私は、今きちんと黙ることができる。
なぜ、私は、今きちんと人の目を見れる。
なぜ、なぜ?
獣だった私をなぜ選んだ、アルセウス。
クソ邪神が。
一番死ぬことを認めていたはずの私が。
一番空白の私が。
空っぽの化け物の私が。
愛を、知ろうとしなかった私が。
なぜ、ポケモンとして選ばれた。
なぜに、こんな存在として生きることを許した。
こんな。
お互い支え合わなければいけないところに二人を飛び込ませて。
愛を。感じさせて。
飢えた獣のプライドを殺して、無理矢理にでも餌を与えて。
楽しかったか、クソガキ。
まあいいや。
今は何もわからないけど、やがて全てがわかる。
なぜ、なぜ、なぜ。
そのすべての秘密が、若葉姫色の家にある。
人として生きる邪神のもとに。
待ってろクソ邪神ども。
私はテメーらのために生きてんじゃねぇ。
私は私、ただ一人のために生きる完全無欠な生命体だ。
全ての愛を私に向けさせて、全部貪り尽くしてやる。
その私に向けるかわいいかわいい感情を、残酷な心と叶わぬ願いで蹂躙してやる。
待っていろ、下等生物ども。
テメーら食い殺してやるから。
天然素材のバケモノを、止めてみやがれ。
《条件を満たしました。称号『無虚』を獲得しました》
《称号『無虚』の効果を改変、魔術を作成します》