バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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132 神々の会合

「では、神々の会合を始めさせていただきます。

 司会はこのボク、キラ・ドルトンヘイアが担当いたします」

 

 

椅子へどかされたゼルギズをよそ目に会議は始まった。

先ほどのキラのふざけた雰囲気は完全に他所で、この会議が真面目なものであるということを無理矢理にでも理解させられる。

アルセウス——私が普通に話していた青年がそうだったらしいけど、最高神である彼さえも目を瞑って無言で何かを考えている。

 

 

「まず最初に、本日はお忙しいところ生誕顕現祭にお集まりいただきありがとうございます。

 一名欠席者がおりますが、開始準備が整いましたので早速始めさせていただきます。

 まずはお集まりいただいた皆さんの紹介を私も含めてさせてもらいます。

 

 

 ”全なる神”ゴッド・オブ・オールアルセウス。

 アルセウスの従者として、”反転龍神”リベリオンギラティナ。

 ”独善の災害”サンクチュアリ及び”最終の神”アンカーD。

 ”退廃の守護者”クライストレンジギュリエディストディエス。

 ギュリエディストディエスの従者として、”無名”ノーネームアリエル、ポティマス・ハァイフェナス。

 ”辺境の暴走龍”グラウンド・ゼロゼルギズ・フェクトガキア。

 ”全生命体共存管理者”コズミックソウルラバーキラ・ドルトンヘイア。

 そして、本日の主役、“新生神“ニューボーン白。

 

 なお、"夢現世魔星"アストラルドリーム青はまだお見えになっていませんが、いずれ来るかもしれないのでその時のため余った席は残しておきます」

 

 

仰々しい二つ名と共に出席者の名前が読み上げられていく。

てか新生神が白ってことは、まさか白ちゃん、神になったのか?

本当に神になれることなんてあるのか!?

となると消去法でまさかあの瞳孔4つあった人が白ちゃん?

 

 

いやでも確かにそうかもしれない。

瞳孔の数や髪の色こそ違えどそれ以外の部分はあまりアラクネのときと変わらないし、全然面影は残っている。

となると白ちゃんより青ちゃんが心配だ。

髪の色的に身体はあれから白ちゃんとくっついてる感じだけど、ちゃんと出てこれるのだろうか。

というかそもそも精神は無事?

身体奪われたせいで一緒にやられてない?

青らしさが全くないから不安でしょうがないんだけど。

 

 

 

そして、名前を呼ばれて反応する彼ら。

片目を開いたり、軽く会釈したり、固まってたりと色々だ。

ゼルギズですら落ち着いてんのに、ギュリエは固まるな不安になる。

 

 

「次に今回の発議者であるD様、なぜこの会を開いたのか、そしてこの会での目標はなにか、発表お願いいたします」

「では。

 発議した理由は単純明快、私の管理する星で生まれた個体が神まで成り上がったからです。

 そして今回の会議で決めたいことは、宇宙における彼女の立ち位置を定めること、ゼルギズと青に対する処遇、退廃の星のこれからについて、この3つです。

 参加者の皆様、把握の程をお願いします」

「うん?我についても?」

「はいそうです」

「——ええ、マジか」

 

 

そう発表を終え、立ち上がっていたDは座る。

おそらく私が生きている星は退廃の星なんだろうし、私が1番気になるのはそれだろうか。

いや、最初と2つ目もおそらく私の身内の話なんだし全部重要だ。

あとゼルギズちょっと自重しろそんなリラックス会議してるわけでもないんだよ。

 

 

「D様、ありがとうございました。

 では先ほど言ってくださった議題その1、白の宇宙内立ち位置を決めたいと思います。

 はい、ボクの司会は終わり!

 ここからは自由な会話、発言、行動OK!

 神同士の殺し合いだけ少し控えてくれればいいよ!

 議題からは逸れないで欲しいけど!」

 

 

うん?

え、これからそんな雑に会議始める?

リラックス結局するんかい、今までの厳格な雰囲気どこへ行ったよ。

まあいいけどさ。

私も楽だし落ち着くし。

あとなにがあっても暴力反対。

私神じゃないから殺されても文句言えないのかも。

 

 

「まー、じゃとりあえず先言っとくけどキラありがとう。

 あとこれからは書記頼む」

「わかってるわかってる。

 あとボク書記だけど普通に口挟むからね?」

「知ってる。

 知ってる上で呼び出してるからいつも通りやってくれ」

「オッケー。

 じゃあやるよー。

 飲み物取ってくるけどなにか飲みたいものある?」

「我コーラ。あと出来ればポテチ」

「おけ、じゃあ白は?」

「カルピス」

「おけまるー!じゃ!」

 

 

そう言って謎に開かれた歪みから消えたキラ。

なんだ、アイツ。

でもとりあえずあの黄色い髪の子が白ちゃんであることは確認した、それが今の時点でわかったのは本当にラッキーだ。

 

 

ただマズい。

アルセウスがいるとはいえここには青がやばい邪神と言い張っていたDがいる。

そんな彼女がどう動くかはわからないし、ならば私はあまり動かない方が良いだろう。

あとどういう過程があったかは知らないけれど、神になったばかりの白ちゃんも本調子じゃないに決まってる。

 

 

「白、神としての振る舞いは覚えましたか?

 指南書が頭の中に送られたはずです」

「はい。覚えてます」

 

 

白ちゃん、警戒しながらDと話してる。

本当に神になったばっかりなのかな。

私が下手な行動したらこりゃ無理だ。

 

 

「おい、アリエル。

 とにかく気をつけろ。

 いくら原生生物を害さないという契りがあれど、最高神2人は面白いとなれば簡単に舵を切るはずだ。

 だからそんな状況にするな。

 私とゼルギズ、白の3人がかりではDへの時間稼ぎすら出来ない」

「わかってる」

「だがいちばんの問題はそうじゃない。

 1番君を殺す可能性が高いのは——」

 

 

「はい、ゼルギズはコーラとポテチ、白はカルピス!

 特にゼルギズ、あんたポテチまで要求したんだし会議ではがんばれ!」

「良くも悪くもボチボチやる、期待するな」

「もー、しょうがないなー、君は。

 あとポティマスくんとアリエルちゃんも会議に頑張って参加してね!」

「わかっている」

「は、はい」

 

 

空間転移してきたキラを見てギュリエは口を閉ざす。

そして、その言葉を聞いたのか聞いてないのか、快活に私たちに話しかけてくるキラ。

え、そうなのか?

本当にそうなの?

こんな心象のいい彼女が?

 

 

「じゃ、白の処遇についてだけどさー、まずなんか言いたい人はいる?」

「じゃあ、私が。

 私の星で生まれたのですし、私が管理下に置きたいと思っています。

 アルセウスもよろしいですね?」

「もちろん。

 ワレがここで口を出す権利はない。

 なんか文句があるなら白くらいだろう」

「白、いいですか?」

 

 

一気にトントン拍子で決まっていく。

早い早い、ついていけない。

あと白ちゃん神になったばっかりなのに拒否権あるの?

平気?

 

そんな私の心配を他所に、白ちゃんはゆっくりと目を閉じて、開ける。

そして深呼吸をしてから、ただ一つ言った。

 

 

「条件がひとつある。

 わたしだけで無く青の安全も確保して」

「それは出来ません。

 あなた、わかって言っていますね?

 青が現状況で生きているのかすらわからないのに。

 彼女の危険性についてはあなたも知っていると思いますが念のため。

 

 

 あんな化け物に付き合ってたら、あなた死にますよ?」

「うん、死ぬと思う。

 わかってるから、わたしは最期まで一緒にいたい。

 今だってわたしと青はくっついてるんだし、青の方もなにも言うことはないはず」

「そうですか。

 なら今の私の話もなかったことにしましょう。

 最悪、気変わりして私の傘の下に入りたくなった時には考えてあげます」

「ありがとうございます」

 

 

白ちゃんが、今までにないほどの長いセリフを吐いた。

しかもその会話は、お互いがしっかりと理解しているものだ。

事実、強い神様であるDの管理下に置かれた方が安全だろうし、彼女もそれについては理解している。

DもDで、青の危険性について十分に理解していて、青まで一緒に管理下に置くことを断った。

それはいずれ自身にいずれ攻撃してくるであろう青に、手札を知られないようにということだろう。

これで、お互いが青という境界のもとで対立関係にあるということを互いに理解してしまったはずだ。

 

 

「うーん、じゃ。なんかよくわからなくなっちゃったけど、白はDにはつかないってことね?

 そしたら白は1匹狼になっちゃうよ?

 青なんて良くも悪くも生まれたての生き物がまだ生きてる証拠なんてないんだから。

 星を丸々一つ破壊できるエネルギーを瞬間的に食らっちゃったんだし」

 

 

ん?

私はキラの言葉に首を傾げ、隣にいるポティマスを見る。

思った通りポティマスもポティマスで顔を真っ青にしていた。

おもしろ、青が星にエネルギー補充したおかげで惑星ごと飛ばせるものだったのか。

ポティマスふざけてたら星ごと死んだんじゃん。

 

 

「はい。

 それでいい。青は生きているから」

「ふーん、ボクですらわからないのにね。

 まあならいいんじゃないかな?

 誰も反対の人は居ないんだし、そうしようか!

 ん、いないよね?」

 

 

白ちゃんの言葉に、苦い面をしながらも何も言わないギュリエ。

他の人は特に思うことはないみたいだけど、うーん。

青ちゃんが生きてないっていう証拠は無い以上私も彼女を引き止めることは出来なさそうだ。

なにより私も青ちゃんが生きていると信じたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、白の話はこれで終わりか。

 じゃあ次の議題の青とゼルギズの処遇についてだけどさ。

 ひとつ気になることあるから、まずお二人さん死んでくれない?

 ポティマスくんとアリエルちゃん」

 

こちらに向けて満面の笑みを浮かべるキラだけど、その口から飛び出した衝撃的な言葉で私は思わず固まる。

え、おい待て。

死ね、だと?

 

え?

え、ホントにどういうこと?




高評価、感想お願いします。


ちなみに今回の二つ名のなかには、キラが個人的に調べてつけたものでこの宇宙では普遍的に呼ばれていないものもあります(ゼルギズとか誰も知らないだろうし)
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