”反転龍神”ギラティナ。
”独善の災害”及び”最終の神”D。
”退廃の守護者”ギュリエディストディエス。
”無名”アリエル、ポティマス・ハァイフェナス。
”辺境の暴走龍”ゼルギズ・フェクトガキア。
”全生命体共存管理者”キラ・ドルトンヘイア。
“新生神“白。
"夢現世魔星"青。
はぁ?
我はキラの言葉を聞いて、思わず持っていたコーラを落とすところだった。
元来神がその他を殺すことはなんの問題にもならない。そしてキラが人殺しを好む殺人狂なら納得も出来る。
だが真っ当に考えてキラがそうであるようには見えないし、なによりそうならこの場で最も中立を保っているアルセウスが呼び出しはしないだろう。
なのになんで急に殺害を仄めかせた?
本当に殺したいのならただ不意を打てば殺せるのではないか。
だから先に宣言したのには確実になにか思惑がある。奴が気になることがあると言っていたことがおそらくそれそのものだろう。
だがこの場でそんな思考は時間の無駄だ。
守れれば生き残る、守れなければ死ぬ、それだけ。
我は今この瞬間の我の役割を全うするため不敵に笑うキラの前に立ちはだかる。
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とてもまずい事態になった。
アリエルがキラに殺害予告を受けている。
だがどうする。
キラがアリエルを殺すとなっても私には触れることすら出来ないだろう。
本気のデコピンを受けたら受けた部位が消滅してしまうほどの力量差があるのだ、止められるわけがない。
だが止めなければアリエルが死ぬ、どうするか。私は頭の中をフル回転させじっと考える。
そこで唯一微かに思い浮かべたのはまだ私が生まれたばかりの時の記憶。まだあの星に訪れるずっと前のことだ。
私は宇宙の辺境で生まれた龍だが、星羅族について軽く聞いたことはある。
それはなぜ彼らが生殖をするかということ、なぜ彼らが神の中でも仲介役という異質な役割を担っているかについてだ。そしてその理由はただ一つ。
彼らは不老ではあるが不死ではない。彼らのことを多くの神はDのような不老不死であると勘違いしているがそれは間違いである。
彼らは素晴らしい記憶能力を対価に、不老不死だった自分たちを不老のみにした。
まあ、結局そもそもの戦闘力が高すぎて基本死なないんだが。
それでも宇宙を作る存在や惑星や神を複数従える超高位存在は彼らが死ぬことを知っている、という軽い噂話だった。
まさか今この瞬間にそれを思い出すこととなるとは。
だが、今の記憶からわかったことは少なくとも私は勝てないということだけだろう。
じゃあ諦めるのか。
4000年間共に過ごしてきた友人を見殺しにするのか。
それは出来ない。ただ唯一ラッキーなことに、神同士で命を奪うことだけはこの場でキラ自身が禁止している。
だから私に出来ることはひとつだけ。
そのちっぽけな取り決めを信じ自らの身体をもってアリエルを守り切るだけだ。
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えっと、ヤバいです。
なんか急に魔王が殺されるって話になって、ギュリギュリとゼルギズがすぐに魔王を守るように動いた。
それはわかる。わかるしうれしくてたまらんのだけど。
わたしは残念ながらなにも出来ない。いやなにもしようがない。
なぜなら、たとえ立ち上がってもつんのめって転んでしまうと思われるほど立ち上がり方も足の使い方もわからないからだ。
この部屋に来れたのだって、繭の中で眠っていたようになっていたところをDの力で助けられたからだ。
しかもわたしは大量のエネルギーを取り込んで神になったとはいえ、今の身体能力は一般人以下しかない。まあ魔力の動かし方がわからないからDによればそれはそうらしいんだけど。
だから動きたくても動けなくて、精々顔の向きを変えることだけで限界。
そんな中常人では目にも捉えられないであろうやり取りに介入するなんてのは無理。
わたしは今までの経験があるからどう彼らが動いてるかなんとなくわかるけど地球人が今彼らを見たらワープしたようにしか見えないと思う。そんなところに地球人以下の肉体強度の私が割り込めるわけないだろ。
だけど、願うだけ願って動かないのは性に合わない。でもそれ以上に身体がまったく動かない。
クッソ、思考だけ回って焦ったい。
ごめん魔王。
わたしは願うことしかできないけれど、お願いだから生きてくれ。
「ごめんね2人とも。
アリエルちゃんとポティマスくんを殺さないとボクの気になることがわからないんだ。
お願いだから。私自身は君らを殺したくない」
「黒龍、アリエルを頼む。我がやる。
なぜだ。なぜ、殺さなければならない?
それがわからない限り我らはアリエルを引き渡さない。アリエルの隣にいるポティマスならいくらでも殺していいがな」
「ふーん、ポティマスくんが君らにとっては苦手な子で、アリエルちゃんが大切な子ね?ありがとう、これは今後の役に立つ」
「なんだ今後の役に立つとは。
これは白の生誕顕現祭とやらではないのか、神同士で険悪になってどうする?
祝う会なんだろう、会議の根本の意味すら揺らいでしまうぞ?」
「——うん、そう。
確かに祝う会だよ。でもさ、祝う会っていう名目じゃないと人集まらないでしょ?」
「チッ、罠に嵌められたか。
相手自身が法律だとこんなにダルイものなのだな。
我も後学になった、感謝する」
やっばい。
わたしにも全然キラの思惑がわからない。
今はゼルギズの言葉でなんとか止まってたけど交渉が決裂してしまった。
しかもアイツは急にポティマスのことを無視してわたしたちが守ろうとしている魔王だけを見据えている。
なんかキラ、底が見えなすぎて気味が悪い。
「念のため、無限空間を作っとくか。
上手くボクの知りたいこと調べられたら、お二人さんも生き残れるんじゃないかな?」
そんな言葉と同時に円卓の真ん中が空きその中に全員が移動していた。
そしてなぜか、水平線のように円卓が私たちの遥か遠くを囲っている。
空間をここまで簡単に捻じ曲げるなんてこんな技術、青でも使っているのを見たことがない。
「じゃあ調べさせてね?
跳躍弾、フリード2。
この弾神様には当たっても傷つかない制約あるから安心していいよ。
原生生物相手には確殺だけど」
彼女はそう言うと同時に手を銃の形にしてバンと言い放つ。
その人差し指から放たれた白く輝くエネルギー弾は、叫んだゼルギズの鎧に当たりまさに横に重力があるように放物線を描いて跳ね返る。
そしてその銃弾の向かう先は魔王で——違う、わたしだ!
なぜかこの弾、わたしの手の甲に向かってる。
え、なんで?
わからんわからん、でもなんでだよ撃つのミスったの!?
わたしは弾が当たるのをじっと見ていた。
身体能力的に動けはしないけど、見続けるくらいなら出来る。
だけどその弾は着弾するであろう瞬間に透明になったのか、わたしには全くの痛みもなく消えた。
ええ、なんだったんだこれ。
「思ったよりゼルギズくん動くの速くてミスっちゃった、次は当てる。
」
笑顔でキラはそう言いながら今度は両手でババンと一弾ずつ放ってくる。
その2弾はゼルギズに当たって、1弾は魔王へ、そして遅れてもう1弾はわたしの方へ飛ぶ。
ヤバい、わたしはともかく魔王がヤバい。
ゼルギズも、ギュリエも思考はできるけど動けない弾速。
というかなんで誰ひとり動けない、変な空間にでもされてるのか!?
ヤバい!
もう弾は魔王に迫っている!
魔王に当たる!
だけど再び、魔王に当たる前に弾は消滅する。
わたしがキラのわけの分からない行動に頭を悩ませながら額に銃弾を受けようと力を込めて目を閉じたその時だった。
「あ、今度のは神でも死ぬやつだから」
キラのぶっきらぼうな声がスローモーションになった世界の中頭に響く。
その声に思わず目を開けたけれども銃弾が止まるわけはない。
ヤバいヤバいと心も焦るけれども、身体は動かない。
ヤバい、死ぬ。
無理だこれ終わったかもしれん。
全く解決策が見当たらない。
諦めようとした瞬間のことだ。
わたしの頭が何かに叩かれたかのように下に弾かれる。
そして銃弾は、わたしの頭の上を通り過ぎた。
わたしは思わず、反射的に顔を上げる。
だけど目の前には誰もいなくて後ろから肩を叩かれた。
そしてわたしが振り向いた先には案の定彼女がいた。
「白、大丈夫!?」
わたしを救ってくれた人、いつもと変わらぬ青がそこに立っていた。
———————
「お前は、その格好はああ、キラ・ドルトンヘイアか。
ふざけるな」
私は怒りに怒っている。
ああ、怒っている。
だって私が力尽きてる間に白を殺そうとしていたのだから。
ふざけるな、そんなもの私が許すわけがないだろう。
舐め腐りやがって、私の守護パワーを。
「ごめんねー、どうしてもボク知りたいことあったからさ。
でも君が今出てきて完全にわかった、だから大丈夫。今の話はなかったことにして会議の続きしようか」
はぁ?なにとぼけた言ってんだコイツ。
大丈夫かどうかは私が決めるんであって、コイツに決める権利は無いんだが?
なんなら白のこの身体が死んでたら私も死んでたかもしれないんだぞ、心中なら2人でやるから2人とも他殺しようとかマジでふざけんな。
「まあな、ふざけた話だ。
だが会議は続行すべきだとワレは思う。
神社会は腐っても実力主義社会だし、強きものこそ有利になりやすい。まして相手は存在が法の星羅族だぞ、そこを忘れるな」
「ああアルセウス、今は体裁上は生誕顕現祭か、理解した。
わかった、今回はなにもなかったこととして手を打とう」
「ありがとう。
君が許してくれて、嬉しいよ」
キラの言葉を無視して、どかっと椅子に腰掛け足を机の上に乗せる。ああ腹が立つ、私が力量差の分からない馬鹿なら怒りで飛びかかっていた。
「白、大丈夫だった?
怪我はない?」
「うん、大丈夫」
ふーん、なら許してやる。
かすり傷でもついたなら話は別だった。
「はい、じゃあ青も加わったことだし、会議再開!
みんないいね!」
戻った空間の中、三者三様の様相を呈しながら会議は再開された。
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この作品のこれからについての重要なアンケートがあるのでお答えいただけると幸いです。
この小説について1話からリメイクして書き直したいと思っております。詳しくは筆者の活動報告をご確認ください。ですが、それをするにおいてアンケートをしたいことがあるのでお答えしていただけると幸いです。今書いている「バチュルですが、なにか?」をどうするかについてです。 リメイクするとしても、1日1話を目安に投稿しようと考えております。
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1話から書き直してもらって構わない。
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この小説を続けてほしい。