バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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会議編、閉幕。



134 軽々しく進む会議、その結末。

「2つ目、次は青とゼルギズの処遇についてだけど、今2人ともそもそもどういう存在なの?

 下等生物っていう設定なのに全然神以上のエネルギー持ってるみたいだし、青に至っては地球の原生生物たちと取引までやってるよね?

 私、というか神たちの認識として惑星間移動ができる存在を神以外のなにかにしてるのもわけわかんないしさ」

「ここはD、あんたじゃなくて私が答えるんで構わないか?」

「もちろん。あなたが責任もって答えて下さい」

「ん〜。我も特に青と機構変わらんしお前が答えていいぞ。なんか思うところあったら口を挟むかもしれんが」

「そう、ありがとう」

 

正直さっきのイライラが収まったわけじゃないけど、この話はちゃんと答えなきゃダメそう。なにより、キラがウザいと言えど神々の情報源を担っている星羅族に私の好きな情報を流せるって考えればとってもお得だ。いくら特異的と言えど、新米の私の影響力はたかが知れてるしね。

 

「私とゼルギズは、身体の仕組みさえ整えれば別にシステムの補助無しでも生きれる。宇宙空間における耐性もあるし。だけどまだ星の準備も出来てないし神になる気はない。神になりたいと思ったらまたキラには連絡するからその時に神の間で広めてね」

「どうやって神になれるのになってないように抑えてるかを聞いても?」

「無理やりシステムとエネルギーを組み合わせてあの星でないと少し身体のバランス壊れるように作ってるの。ちなみにゼルギズもそう」

「ふーん、詳しくは聞かないけどそれ聞けただけでもありがたいね。Dちゃんいるのにそこら辺の事情に踏み込むのは申し訳なかったかな?」

「我が言うのもなんだが、謝るのならそんなことはすんなよ」

 

いやゼルギズ、コイツは謝るつもりでわざとなりふり構わず暴走してるんだからな?謝ってるのもただの口だけでそれさえやればなんでもしていいっていうゴミみたいな認識だぞ?というか謝ってるのはもはや儀式でしかないだろ、クッソ考えるだけでろくな女じゃない。

 

「まあねー。

 で、2人ともどのタイミングで神になるのとか考えてる?

 また白みたいな生誕顕現祭とかやるから出来るだけ知っておきたいんだよね。

 神様も一応予定合わせ必要だし君は特異体だから結構な人が顕現祭に参加したいと思うんだよ」

 

うーん、どうするか。これ言っちゃっていいんだろうか。いやいずれ言わなきゃだし先言っといたほうがいいのか?

今後の予定普通にとんでもないんだよ。特にやばいのはDにキレられそうってこと。あの星の資源一部借りなきゃだしなによりいずれ歯向かうであろう神に塩を送ってくれるかって問題。

かといって今言わないで後回しにするのもそれ相応にやばい。いざギリギリになってあんなやばいこと言い出したら今度はDだけじゃなくキラにもボコボコにされる気がする。となると、他の神様に知られちゃっても今言ってしまったほうがいいかもしれない。

よし言おう、言わないよりさっさと言ってしまったほうがいい。どうせアルセウスがいるんだからDは今私を殺さないはずだし。

 

「自立するのはとりあえず星作ってからにしようかな。一個作って、そこを私の星にして、ちゃんとあらかじめ星一つを獲得してから神化するつもり。

 ゼルギズもそうだよね?」

「まあそうだが……それ言ってよかったのか?

 星なんてもの作ったら利権争いになると思うが」

「だからあえて今言ったんだよ。

 人を仲裁すること、知識を得ることが最高の生き甲斐である星羅族のトップの目の前で」

 

それを聞いたキラ・ドルトンヘイア、Dは無言で固まっている。

そして腕組みしながら再び目を瞑るアルセウス。

ギュリエは最初から固まってるから別として、みなそれぞれになにか思惑があるんだろう。

 

「ぷっ、ははっ、君ほんとサイコーだね。

 白の命を守るための防御機構となったり、そんなことしてると思ったら急に星作るとか言い出しちゃってさ。

 訳わからなすぎてサイコー。

 Dちゃんが君のことに熱中してる理由、分かった気がするよ。

 ふふ、はは、笑っちゃう」

 

うーわ。

マジで私Dに熱中されてるの?

キラは机バンバン叩くほど大笑いしてるけど、本当に勘弁してほしい。

猫に捕捉された猫じゃらしの気持ちわかるか?

ほんとキツいぞマジで。

 

「でも星作るなんておおそれたこと、まだ自分の星も持ってない神様が出来るかな。

 Dちゃんだって星の破壊はできても1からの作成はできないだろうし……。

 アルセウス、Dちゃんそこらへんどう思う?」

「私も出来るかわからないですね。

 あなたの言う通り、星の破壊は問題なく出来ますが生成したことはないです。

 ま、生成するほうが破壊するのより全然難しいと思いますが」

「だよねー。

 アルセウスはどう思う、星作るってことについてさ」

「いやー、ワレも呆れるほど長く過ごしてるけど、星も自分で持ってないような奴が星作んのは聞いたことないぞ?例外的に神を大量に引き連れてたやつが作ったことはあるが、あいつ自身とんでもなく長く生きてるから結局神としてのランクはバカ高いからなー。

 まあ極論言っちゃえば新米で自分の星ほしいから作りますっていうやべーやつは見たことがない。でもやってみればいいと思うぞ、お前の生態上理屈では出来ると思うし作ってる過程見て見てみたいからワレはO K。

 ってそんな感じでワレはいいと思ってるんだけどキラ、お前はどう判断する?」

「えーと、最高神サマ?

 あなたがそこまで推してる相手を私が拒否しろと?

 そんなこと出来るわけないじゃないですか、やだなー」

「いやでも他の神様とのやり取りで結構ワレの言うことディスったり否定したりしない?

 お前そこらへん権力に屈しないやつじゃん、なんなら権力アンチなんじゃないかとも思ってるんだが」

「いやいやそんなことー、ある、かも?」

 

うーむ、やっぱり他の神様でも初心者で星作るようなやばいやつはいないのか、そりゃそうだ。私がたまたま考えついただけで普通の神様そんな訳わからんこと思いつかないと思うしできないと思うんよ。あいにく出来るだけの生態と発想、それに原生生物に手出ししないっていうDの盟約が全て生きて成立する。

ただアルセウスが一瞬で思いついたのは悔しい、私が一年かけて構想してきたものなのに。

同時に出来るだろうっていう太鼓判を押してもらったのはこれ以上ない幸運と言えるけどさ。

 

あとアルセウスとキラすっごい仲良くない?

最高神相手にこんな軽口叩けるの、いくら顕現祭と言っても尻込みしない?

それはキラの立場からなのかそれともプライベートな仲なのか、わからないけどすごいな彼女。

 

「ともかく、ともかく!

 ボクとしても星作っていいと思ってるよ。

 ただもちろん他の星の軌道めちゃくちゃにするような位置に作ったり、他の星を侵略するための拠点にするとかならもちろんアウトだけど。実際星は増えたほうが最悪君が亡くなった後でも資源が増えるから大歓迎なんだ。

 なのにたく、あのクソヤロー共はなんでもかんでもボクのやることにケチつけるからマジでイライラする。

 自分たちが星獲得出来なかったりとかの負け惜しみでどうせまたなんか言ってくるんだろうなー。

 ごめんごめん、だからオールオッケー!一部のわからず屋の神は私が説得するからさ、君はなんも気にせず星作っちゃえ!」

 

怖っ!?

あれ、今一瞬とんでもならない量の闇のオーラが出たぞ?

え、マジでキラってそんなにやばい神?

神同士の仲介役って時点でとんでもない神だけどさ、ぱっと見そうは見えないんだよ。

うーわ、高校生くらいの男子か女子かわからないようなかわいい子が訳わからんドス黒いオーラ出したの怖すぎるよ。

ほんとに見た目はかわいいかわいい美少女?美青年?なのにさ。

 

仲介役ってことは、いろんな恨みを買いながら生きてるんだろうな。

変な神が今日の私みたいに要求して断られることも全然あるだろうから、アンチが生まれてしまうこともわかる。

変な嫌がらせとかされそうだし、族の盟主ってこともあるし私が予想してるより全然キツい人生を送ってるのかもしれない。

 

「じゃあ二つ目の議題については青がいずれ星作るまでは原生生物としてDちゃんが管理ってことでいいね?

 もちろんアルセウスの取り決め、原生生物に干渉しないっていうのももちろんそのまま維持。

 いいね、Dちゃんも」

「はい、大丈夫です」

 

「よーし、じゃあ最後の議題、退廃の星のこれからについてだけど。

 Dちゃんなに企んでる?」

 

は?

空気が一瞬にして凍ったような気がする。

え、え?企んでるってどういうことだ。

あの星に住んでる私ですらなにもわからないんだけど、ほんとにどういうこと?

笑顔で言うキラがただただ怖い。

 

「別に何も企んでいませんが」

「いやいやボクを舐めちゃダメだよ?

 冷静に考えておかしいじゃん、だってDちゃんあの星に興味なかったのに急にこれからを変えたいとか、なにを企んでるのかねぇー?

 アルセウスとの約束、まさか変えて欲しいとか?」

「——あなたはさすがですね」

「もー、それは無理だよ無理。

 ポケモンのキャパシティが多分予想超えちゃったんでしょ?

 まさかエネルギー最大クラスまで回復すると思ってなかったもんねー。

 そこら辺は青が独立してからやりなよ」

「わかりました」

 

えーと、ヤバいでーす!神になった瞬間即狩られそうでーす!

元々星作ったらそれ防衛しなきゃいけないのにマジヤバいでーす!

星守る前に自己防衛しないと死にそうでーす!

 

「じゃ三つ目の議題も解決したってことにして、とりあえずこの生誕顕現祭は終わりかな?

 あとなにか言いたい人いる?」

「ワレにひとつ」

「なにー?アルセウス」

 

アルセウスは軽く手を挙げる。

なんだなんだ最高神。とりあえず話は終わったはずだけど。

彼はこちらを向いて、その挙げた手でそのままサムズアップした。

 

「Good luck!」

 

彼は叫んだ。

次の瞬間、天地がひっくり返る。

そして遥か下に見える巨大円盤。

え、あの円盤が全然ちっさく見える!魔法も使えない!どっから落ちてる!?

 

私は神に、神社会全てに喧嘩を売った。

星を作るということは星を資源として石油のように奪い合う神たちに餌を与えるということ。神初心者の私はそれを持ったまま、神の暴力、智力、権力に全て歯向かわなければいけない。

これは宣戦布告だ。

だけれど負けない、全て破壊し尽くすだけだ。

これは欲張りな私の、私のために戦う下剋上だ。

 

 

そんな決意を固めながら、訳わからない空間で、訳わからない重力を受けながら私たちは風を切って落ちていく。

 

 

———————————

 

 

 

「ほらほらみんな帰った。

 キラも早く帰れ、神たちに今日の話の起承転結話さなきゃいけないんだろ」

「そうだねー、ボクも帰らなきゃ。

 アルセウス、今日の会議ちなみにどうだった?」

「お前、流石だな。

 嘘つきまくりでワレ引いたわ」

「あちゃー、結局アルセウスには全部バレちゃってるか。

 まあ知りたいこと知れたしボクは帰るね」

 

 

暗くなった空間の中、アルセウス1人だけが取り残された。

 

 

「誰も死なないよう敢えてすぐに帰した。生き残れ、若人よ。

 世界を変えてみろ、若人よ」

 

 

最高神で、最高の邪神は、薄ら笑いを浮かべた。





嘘と真のグラデーション⭐︎
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