アルセウスやりたい。
わたしは死んで、蜘蛛になった。よくわからん世界のよくわからん場所に転生して、何回もよくわからん方法で死にかけた。
そこまではいい――よくないけど、よしとしよう。でもどうして、どうして、どうして、
「青のスキルはそんなに強いんだよ!」
「――知らん」
マジでなんでそんなに差が開いた?
パッと考えてみてもステータスは高くないし、いや高いけど。それもスキルのせいだし。
単純にスキルの強さが違う。
もともとの生物種としての能力が違うのか?
こんな世界に来てまで種族ゲーなのこれ?わたしが青とサヤより全然弱いとしても、マザーがいるからわかりきったことは言えないけど。
あー、もうわからん。考えてるとエネルギー使うわ。
ナメクジは相変わらず多いし、邪魔だし。もともとの数がバグなんじゃないかってくらい多いんだよ!あとたまに群れるのまじでやめろ。
触れるとダメージ受けるギミック感あるの最悪では?
マグマで十分だよ、そんなん!
「暑いわぁ」
「今に始まったことではないでしょ」
「」
サヤはもう全く反応してくれないし。なんなの?わたし、青のために歩いてんですが?
「子供たちは?」
「相変わらず育ってる。バケモンだけど」
青がいうには、生態系の空白というものがあるらしい。例えば恐竜が絶滅したときには、陸地と海が空いたからそこに哺乳類が増えた。
それと同じように、この世界の寄生という概念の空白に子供たちを入れているとか。
知らんけど!
「タツノオトシゴいる?」
「いないな」
「――」
おいサヤ反応しろ。はぁー。
サヤもサヤだ。青みたいなバケモノスキルをもってるわけじゃないけど、ステータスがバケモンだから結局強い。
本人に戦う気がないからしょうがないけど、そうじゃなかったらわたしたちがいなくても敵なんか殲滅してくれるだろう。
あれ、わたしいらない子?うーんまあいいや。
コミュニケーションを円滑にするって方向で役に立てば!
てかサヤ働け。
お前歩いてるだけだろ。
「青、今は子供たちになんて伝えてるの?」
「別に常に伝えてるわけじゃないぞ。卵産むときは、誇りも何もくそくらえだからとりあえず逃げまくって生き残れって教えてるけど」
その結果大量に生き残ってるんだよ、超ステータスの虫どもがさぁ
。これ、溶岩地帯抜けて上層来たら無双するんじゃないか?
あーだからバケモン共はイヤだわぁ。
ま、生き残れるからいいけどさ。
「寄生様様だな」
「マジでそうなんだよなぁ」
「流石にマザーに気づかれそうだけど」
「「「あれ?」」」
これって、まさかマズイ?
「ちょっと、考える」
「いや、まって。まだマザーが寄生に気づいていない可能性がある!今はマザーからとりあえず引き剥がす?」
「いざというときの兵は捨てたくない。
HPはたぶん2000超えてるんだし!」
「私は今の生活考えると寄生中の方が楽だったけど――そういう問題ではなさそうね」
マザーはサヤより圧倒的にでかいし、強いはず。
いざ戦いとなったら絶対に勝てない。
というか、そもそも戦いにならない。
「バレたらヤバい?」
「いや、だって――、あ」
「まあとりあえず、大丈夫なんじゃないかしら」
「は?」
「私も、たぶん宿主にはバレていたし。ステータスが追い抜かしちゃったし抹殺したけどね」
「たしかに平気だったわ」
わけがわからん。あと、青の勝手に考えてわかったみたいな顔がもっと腹立つ。
「私たちだってバカじゃないわ。殺すつもりでHP吸収はしないわよ」
「それで?」
「白、アイツが言ってたじゃん。えーと、誰だっけ……。あ、イルナが言ってたじゃん。別に大丈夫だろうって」
「誰だよイルナ」
「下層でグレーターの上にいたヤツ。「念話」で話してたんだけど、白は繋いでなかったっけ」
「あ、いたかもしれん。つないでないけどね。で、それがなんで平気なの?」
「簡潔にいうと、アイツが吸収してて、寄生主のLV上がっててもバレないらしい」
「そのグレーター鈍感すぎね?」
「いや、鑑定ないと自分の状況もわかんないじゃん。あと、今まで寄生っていう概念がなかったから気づかれていないんでしょ」
「そうだね。あとバレたとしてもステータス上がってるわけだしいい虫って判断するかも」
「まあ、だから結果的に寛容なんじゃないか?別に損する訳じゃないんだし」
「そうか。じゃ、兵たちにはどんどん育ってもらちゃおう!」
「他の魔物も育っちゃうけどな」
「「それは言わないお約束!」」
案外、私たちは息が合うのかもしれない。
「あ、タツノオトシゴ!」
「えっ、どこ!?」
タツノオトシゴは美味しくないけど、まずくはないから許容範囲。
本当はもっと美味しいものを食べたいけど、まあ異世界だからしょうがない。
でもやっぱ食べたい。
「あ、レベル上がった」
「こっちもだ」
「「共生」、便利だねぇ」
「そうだねぇ」
「サヤは?」
「出かけていったよ」
「そう」
たまにサヤは一人で出かけていくけど、本人いわく一人で修行したいとのこと。まあ別にいいや。いつも戦力になってるわけじゃないし。
毒魔法を自分にかけてっと……。
「あれ、改めて考えたら自分で自分に攻撃魔法をかけ続けるって馬鹿なんか?」
「馬鹿なんじゃね?てかヤバい奴だと思われそう」
「でもアンタもかけてんじゃん」
「発案お前」
「うっせえわ。てかアンタが採用してる時点でいいじゃん」
いいもん。役にたってるもん。見ろこの電気耐性と毒耐性。レベル上がってるし、絶対役にたってるし。
「あれ、マグマック捕まえてみれば?エサもあるし」
「エサっていうか自分の食糧な。てか食べてもSPしか回復しないだろ。マグマックに使うのはマグマに耐えられるHPだぞ」
「そうだったわ。じゃあそれ死にスキルじゃん」
「いいもん。別に「電脳」あるからいいもん」
「そういえば、どうやって「電脳」手に入れたの?」
「なんか、愚痴ってたら追加されてた」
「本当?」
「マジ」
「神様、なんかくれ。すごい力」
「反応ないんだが?」
「知らん。
運じゃね?頑張れ」
「すごいスキル持ってる奴はよゆーだな」
「もうこれ話すのやめよ」
「そーだね」
タツノオトシゴを食べたら、休憩。
また、歩いて上層の方ーー。
地鳴りがする。後ろの方からか。これは、ヤバい予感がする。
なんか巨大ななにかがぶつかってるみたいな……。
「サヤの方からか……。あ、ヤバい」
見えたのは、巨大な赤い身体とデカい口。ヒレとかがついてるから魚なのか?
まずい。このままだと巨体で潰される。素早さは負けてるし。
「ごめんなさい、まずい!逃げ切れなかったわ!」
まてまてまてまて思ったよりデカかった!サヤ、マジでヤバいヤツ連れてきやがった。ふざけんな、戦わないのに敵は連れてくんのか。こいつは流石に格が違うし、本来なら手を出したらいけない、ほんとうに強いボスだ。
でも、後ろからきたってことは、いつかは追いつかれたかもしれないし。どっちにしろ遭遇したもしれないから、サヤは悪くないかも。
そもそもどこから現れた?さっき通った分岐路からきたのか?
考えてる暇はない!
「――ッアイツか。タイプの変化もあるのか?マジか、白行くぞ。サヤ2人乗せてくれ、足にする!」
「わかったわ!」
「あーー青、ポケモンか!?もう、いくっきゃないし、やってやるよ!」
「青、「共生」!「電脳」!お願い!」
「オッケー!!「電脳」!「念話」を使用してこちらの鑑定結果を全員に報告!」
【鑑定結果を通知します。
『フレイムギャラドス Lv28
HP:1428/1432(緑)
MP:1064/1088(青)
SP:2081/2285(黄)
:2087/2189(赤)
ステータス
平均攻撃能力:1895
平均防御能力:1457
平均魔法能力:1183
平均抵抗能力:1716
平均速度能力:1486
「火竜LV8」「逆鱗LV2」「地動波動LV3」「HP自動回復LV2」「MP回復速度LV1」「MP消費緩和LV1」「SP回復速度LV6」「SP消費緩和LV6」「火炎攻撃LV5」「火炎強化LV3」「炎噛LV6」「竜巻LV4」「炎柱LV1」「破壊強化LV6」「打撃強化LV4」「命中LV10」「回避LV10」「確率補正LV8」「気配感知LV4」「危険感知LV7」「高速遊泳LV7」「飽食LV3」「打撃耐性LV6」「炎熱無効」「身命LV1」「瞬発LV8」「持久LV9」「剛力LV1」「堅牢LV1」「術師LV4」「護法LV4」「疾走LV5」「強化産卵Lv10」「小型化Lv10」「禁忌Lv1」
スキルポイント:8500
称号 「悪食」「血縁喰ライ」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「無慈悲」』】
なんだこのステータス。見た目通りバケモンだ。
えっと、取り敢えず。今パッと見てヤバそうなのは、逆鱗、地動波動、炎柱……。
てか、多いな!どうする。もうサヤはターゲットにされてるし、それに乗ってるわたしたちはもちろん攻撃対象だ。
サヤは幸いスピードで勝ってるけど、SPが多分負けてる。すると、逃げきれなかったら死ななきゃいけなくなる。
わたしたちの素早さが圧倒的に負けてることを考えると、わたしたちはサヤにずっと乗ってなきゃいけないし。
やっぱ戦うしかないか。パッと見て20mはあるんだよね。わたしたちと竜の間もちょうど20mくらい。
次の瞬間、竜の身体はマグマから飛び出した。
「跳ぶ!!」
くっ!危ない!サヤから手を離すところだった!
ドンッと爆発のような音が鳴り響き、わたしたちは一瞬宙に放り投げられる。
「白、無事か!?」
「青は!?」
「無事!」
すぐにサヤに糸を伸ばして接着。
ただのなんの特徴もない、ただの突進なのに地震みたいに地面が揺れた。壁の岩はガラガラ崩れ落ちてるし、触れたらそこの部位丸々綺麗になくなるかもしれない。
でもまともに当たったら死ぬな。掠るだけでも動けなくなるかもしれない。
青と同じオリジンでもなくてこんなにつよいのか。オリジンだとどうなっちゃうんだ?
待て!
「あぶな!」
火の玉撃ってきた。
サヤはかろうじて避けたけど、大きすぎる。それこそサヤと同じぐらい。
わたしも下手に手を離したら即死するかもしれない。
後ろの壁が火の玉の直撃でパラパラと崩れる。
うん、火力は十分だ。
即死できる。
竜がこちらを向き直り、動きを止める。様子を伺ってるのか?
距離感はさっきと同じくらい。だけど、壁が崩れて少し穴が開いた。
このままだと、中層の一部が崩落するかもしれない。そしたら、岩につぶされてわたしたちは死ぬ。
竜は1体。わたしたちは3人。
さて、どう殺るか。