バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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141 取引と腹黒

次の日、私はサリエーラ国のレストランにいた。

いや、確かに私が帰ってきたことは確かにいいことだ。本当は毎日祝杯をあげていたいけれど、それ以上にやらなければいけないことがある。

だから今日は会う約束をしたわけだ。

そして時間通りに来たその存在を一瞥し、ジト目を向ける。

 

「おい、ポティマス。

 今回は平和的な議論をするために来ているんだからな。

 ちゃんと呼んだら来てくれたのは嬉しいが、先のケレンのようなことはしないぞ。

 人の迷惑になる」

「お前がそれをしてこないならばこちらもしないさ」

 

私の目の前に現れた鎧を着た機械の男、ポティマス。

ケレン領のソフィアの家を燃やし、領主たちを殺害したクズである。星もめっちゃ壊すし超クズ。

突然変異クズ。

うーむ、初っ端からこんなことを言うあたりやっぱり信用できん。

とは言っても変にポティマスを刺激したくはないんだよなぁ……。

人質として機能しうる教室の生徒たちが2、3人すでに拉致されているし、私自身勘付かれたくないことはある。

うん、ビジネスなんだ、ゆっくりやろう。

 

私と奴は、ゆっくり話し始めた。

 

 

 

 

「というわけで、あんたには星の作成の役に立って欲しいわけだ」

「別に構わんが……、一旦持ち帰らせて貰うぞ。

 早急に貴様が話したいことであったとしても、私がお前の言い分を完全に信じるには敵対しすぎているからな」

 

ああ、この澄まし顔殴りたい。

ところどころで青筋を立てるところはあったが、とりあえずこちらの筋は通したし、奴も了承したらしい。

私の主張はこうだ。

 

今、私は大量の蜘蛛を抱えており、それをシステムを利用して増やし続けることでMAエネルギーの増幅を行い続けている。ちなみにこれはサリエルのMAエネルギーを消費はしているわけだが、99・9%以上はアルセウスのエネルギーから拝借しているから蜘蛛全体でのサリエルエネルギーの消費量は変わっていない。アルセウスマジ感謝。

ともかく、それによって私自身が運用できるエネルギーは自身の肉体も含めてすでに星十数個分に達している。

そこまではいい、だがここからが問題だ。

私はその大量のエネルギーを持ってこそいるが、運用、つまり加工するための設備を持っていない。

というか、この星についての根本的な知識が足りていない。

エネルギーを加工するための設備や場所がなく、それに地球以外の仕組みを一から理解した上で作るのは手間がかかる。

だからポティマスの設備を勝手に使わせてもらおうということなのだ。

いいじゃろ、だってこいつのところめっちゃ装備整ってるんだもん。

 

 

「で、私を神にした上で星をやるって、マジで言ってるのか?」

「マジだよマジ、大マジ。

 あと神にするのは手伝いだけだかんな」

 

 

その代わりに私が報酬として提示した条件は、ポティマスを神にした上で作った星を一つくれてやるということ。

そして私がMAエネルギーを押し固めて作った『神化の石』を渡し、それでポティマスがうまく神になれたらその後に星を渡すということで同意した。

ま、色々思うことはあるけど、そもそもこいつ神になること最終目的だし、なっちゃったらどうなるのか見てみたい。

神同士のしがらみとかヤバいところで意志なく生きてけんのかね、まあそこは勝手にやってもらおう。

 

 

「……というかお前、私はケレン領で火を放ったんだぞ。

 それからまだ1年ちょっとしか経ってないのにマジで何を考えているのだ。

 人の心とかないのか」

 

猜疑心見え見えの視線を受け、私もため息を吐く。

人の心、こいつよりは持ってるんだろうけどねぇ……、じゃないと白とかに愛されないだろ。

 

「もう終わっちゃったことだし。

 私、普通にあんたのことは恨んでるんだけど、私の思考回路はどうしても今現在が優先されちゃう感じなんだよね。

 あと、親切心で言っておくと別に神がゴールじゃないから。

 神になったらもう幸せになれるって思ってんなら引き下がる方がいいよ。

 人間の方が、今のお前ならエルフの方がよっぽど向いている」

 

私の発言に癪なところがあったのか一瞬目つきを鋭くしたが、コーヒーを飲んでポティマスは向き直った。

こいつ、ロボットのくせにコーヒーなんて飲めるんだな。おもしれー男。

 

「了解した、話は以上なら帰らせて貰う。

 後日連絡をする。その時が返答だ。

 設備が整ったら実験は許可するが、お前の安全性については全く考慮しないからな」

「おけ、その代わりに星はちゃんと守ってよ、あんたもエルフの里は破壊したくないでしょ。

 過ごしにくくなるだろうし」

「把握した」

 

 

コーヒーを飲み干しポティマスは立ち上がってその場から転移する。

当たり前のように代金は全部こっち持ち、さすがのクズだ。

ま、私もそこまで奴と親しい仲にはなりたくないし、こんくらいの関係がいいね。

何かを守ろうとしない限り神になるのは毒でしかないのにそれ知らないお花畑な頭でよかった。

 

そんなことを思いながら私は一人ティーカップの紅茶を飲み干し、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Gフリート事件から、2年が経過した。

ソフィアはもうだいぶ大きくなって、かと言ってまだ小学校にも入らないような年齢だけど、もう下位の竜なら倒すことのできる強さになった。

でも白はまだやっと糸が指から出せるようになった程度で、身体能力はやっと一般の成人男性くらい。

電脳のスパルタ込みでこれなんだから、本当にシステム無しの魔術を一から習うとなると難しいみたいだ。

というのも白は急に神にならざるを得なかったから一から魔術を習い始めているためだ。

私は今魔術を使うのにシステムを利用して使ってる、つまり補助輪付きで三輪車からバイクに乗り換えたみたいな感じなんだけれど、白は三輪車から一気にバイクに乗り換えてるようなもの。

となると当然私より習得に時間はかかるし、最初は三輪車で出来てたことも出来なくなる。

ま、普通がそうで私が異常なんだけど。

 

ただ、白の場合はそんなこと以上に大変なことがあった。

それはDもといそれの化けていた若葉姫色の肉体が虚弱体質すぎたこと。

だから成人男性くらいの運動能力獲得できたのも白と電脳の血の滲むような相当な努力があってこそだ。そうは言っても魔力を使うための頭脳にも疲れが出るからずっとそのパフォーマンスができるというわけでもないが。

 

ついでに国際情勢の話をしよう。

面白いことに、聖アレイウス国はこの2年間耐え抜いた。

マジでこれはすごいと思う、女神教が拡大してる間、領土を半分くらい減らしながらもギリ真言教の総本山として生き残ったからね。

そこまでして耐えているのを見たから、つい最近手助けするために蜘蛛を追加で送り込んじゃった!てへぺろ!

ってことで、おそらくもう滅びないはずだ。そもそもここ一年はいろんな国がほとんど戦争終わらせちゃったし、なにより裕福である国の国民が戦争したいなんて長時間思ってはいられない。

だからもう後半ほとんどアレイウスは戦争してたってよりかはちまちまちょっかい出されてたって感じだった。アレイウスからしたら勘弁してくれって感じだったけど。ダスティンめっちゃ焦ってたし。

 

ちなみに、アレイウス以外の真言教の国は滅びるか改宗して生き延びている。改宗の時点で滅びてなくても名前だけ変わってない感はすごいけど、正直どっちでもいい。別に魔力の消費を人間が抑えようが抑えなかろうがMAエネルギーは増えるし。勝手にしてくれって感じだ。

 

そして、つい最近やっとポティマスが研究設備を整備してくれて、私は星の制作に取り掛かることができた。

具体的にいうと、超巨大超強固なシェルターを作ってくれたのだ。ポティマスの技術を集結してくれているおかげで、MAエネルギーの圧縮のための熱も外に漏れ出ない。ちなみに3つ目である。今までの2つは星に対する被害とかの欠陥ありまくりで電脳を挟んで抗議しまくったら壊された。抗議するの分かりきってるのに作るの馬鹿なん?

 

 

本当にこの二年間で色々なことがあった。

けれどもうすぐそれも一区切りつく。

私たちは、ついにレングザンド帝国北西部、魔族領国境付近まで辿り着いたのだ。

山を登れば魔族領、国境を超えます!旅の目的地です!

 

 

 

 

 

 

買い物とかで転移、50回はしてるんだけどねー……。

ソフィアの育成のためにずっと黙ってたけど、言ったら魔王にも殺されそうだわー……。

一人、私は街道の端でへへっと苦笑いをした。





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