「うわ、青やっぱり弱いですね。
なんでまたこのゲームで対戦しようって言ったんですか」
「パーティーゲームで◯リオパーティー持ってないんだからみんなでやるにはこれしかないだろ」
「オラオラオラ、ぶっとばせ……、ええ……、お前ら強くね?」
「いやアルセウス様が色々ガン無視で戦っているのが弱いだけかと。
と言うか青より弱いんですか、何してるんです?」
「その言い草は酷くないか」
私たちは、日本に帰ってスマ◯ラで遊んでいる。
元来ちゃんとした理由で話に来たんだけれど、Dがやりましょうと言ってきたから仕方がなかった。
その後にアルセウスや冥土も乱入してきたのでもう無茶苦茶である。
てかアルセウス、一番フルボッコにされてるんだけどあんたはそれでいいのか。
「お、死んだ。
本当に心の広いやつは音MADや反応集にされても楽しめるやつだぞ。
これくらいで腹が立つと思うなよ」
吹っ飛ばされてやられた後、ドヤ顔でそんなことを言ってくるアルセウス。
なんだこの人、私の気持ちを読み取ってきた。コワー。
そもそも最高神、お前人間のこと虫さんとか蟻さんとしか思ってないだろ。
だからそれされてもキレないんだよ。普通キレんだよ。
「おーす。
あれ、みんな集まってんじゃん。
どしたの、空間歪めるつもり?」
ついでに勝手なことを口走りながら転移窓から侵入してくるキラ。
そう言いながら、思いっきり入ってきてる。
心配するならあんたもやめろよ、マジで空間歪んじゃうだろ。
「で、どうして来たんです?」
「一通りゲームをやって、それでこれか……。
はーぁ。まあいいけどさ……」
冥土に肩を揉んでもらいながら、私は考える。
なんかこの世界だと私より俺成分が強くなっている気がする。
男性として生きていた地球だからだろうか。
それともこいつらにキレているからだろうか。
電脳とはこの世界でも分割して存在してるんだけどな。
「ポケモンが、やばいっす」
「マジで?どんな感じでやばい?」
「エグい増えてる、星の生命体他のやつ全部消えるんじゃねってほど」
「「マジか」」
キラとDがビビっている。
こえー、ポケモンこえー。
ちょっと盛ってはいるけど、いずれ消えるほどには増えているはずだから嘘ではないんだよなぁ。
アルセウスはそれを聞いてただ一度目を細めた。
「おそらくだが、人間自体には危害加えないと思っているんだが……。
文明は破壊するかもだけど」
「それはダメだろ、ちょっと減らしたりしちゃダメ?」
「うーん、ダメ」
やっぱダメか。
アルセウスが望んでいるのはポケモンの増加とそれに伴う人間とかの生活環境の変化とかの観察、それだから本当はおそらく私ですら抹消したいのかもしれない。
私の存在もイレギュラーな管理者なわけだし。
「そうは言っても、お前の存在も大事だからな。
ただ、なんでお前あの星にあんな気をかけるん?
別に良くね、あの星」
「私もそう思いますけどね」
マッサージチェアの上で、Dがくつろぎながら言ってくる。
アルセウスに追随してくるのなんかムカつくな。
「私もあの星で生きてなきゃそうは思わなかったけど、あの星での知り合いが増えすぎたんだよ……。
私のために死んだような人もいるし。
せめてその人たちの命はなんとかしないともったいないでしょ。
あと……」
「……」
冥土の方に私が振り向くても、冥土は涼しい顔をしていた。
でも、事実だ。
「私がなんか、やらなきゃって気分になったんだよ。
責任としてね」
「ふーん。
そうなんですか。私にはわからない感情です。
別にあなた自身が死ななければいいですが」
まだ、だな。
まだバレていないなら、言うべきではない。
まだこれは、放つべき刃ではない。
「ともかく、我はお前のことを大切にしたいし、Dもキラもお前のことを大切にしたいとは思っている。
だけど、あの星を大事にしたいとは思っていない。
お前は、我々にとっての"夢現世魔星"なんだ」
「ーー知ってるよ」
私は神々のとっての夢のエネルギーだ。
だから殺せないし、その価値は計り知れない。
だからこそ、私は戦争を仕掛けられる。
「で、どうするんですかー。
これからどーせ私と戦争するんでしょう?
私も楽しみにしてるんですから、変なことをして興醒めさせないでくださいよ〜」
肩を組んでくるDを振り払い、私はしかめ面をする。
想定外だった。
くそぅ、想定外だった。
まさかDが酒で酔うとは。
ちなみにアルセウスとキラはあの後帰っている。
なんか、無礼講じゃろ、楽しめって言って帰って行った。
今頃はギラティナたちと楽しい楽しい()団欒をしているのだろう。
「D、これわざわざアルコールに対する耐性をシャットダウンしてやってるんですよ。
本来は酔いません。
なんだかんだ青と話せたのは楽しかったんでしょう」
「とは言っても、高校生美少女が酩酊してダル絡みしてくるの事案すぎでしょ。
警察に行ったらあんたが唯一年齢的に成人に見えるから多分あんたが仕込んだ案件だよ」
「女3人組ですよ、平気……」
「あんた、私にやられたこと忘れたんか」
「あー、ダメですね、これ。
絶対外部に知られちゃダメですよ」
「どうしたんですか冥土ー。
何隠してます?」
「地球の問題です」
「そうですかー」
うーん、さっさと寝てくれここまで来たら。
日本酒飲みまくって金かかってんだろ、そのお金どっから出てるんだ。
あ、そうだ。
「盗撮していい?」
「やめてください!」
うーむダメみたい。
Dがはっちゃめっちゃしてるの珍しいから撮っておきたかったんだけどなぁ。
「あっちの星では平気なんですか?」
「別に平気だよ。
あんたも見れてるでしょ。
まさか、私にとってのちゃんとが、あなたにとってのちゃんとじゃないからダメなの?」
「いや、そういうわけでは……」
力尽きたDをベッドへと送り込んだのち、私と冥土は夕ご飯の後片付けをしていた。
DもDでめっちゃ酒癖が悪かったな、これギュリエくらいなら酔ってる状態で勝手に殺せそう。
私もビビってる部分は正直ありました。
皿の音がかちゃかちゃ鳴り、私はそれらを運ぶ。
運ばれてきた皿を冥土が洗う。
なんてことない、姉妹のごく普通の日常のような光景に普通の人なら見えるのかもしれない。
実際は二人ともほぼ神なんだが。
「私にとってのちゃんとは、私にとってのちゃんとだ。
それは誰の所有物でもない」
「ーーそういえば、電脳とは意識を合成しないんです?
今しても、別に離せるのでしょう?
地球にいるくらい、素の昔に戻ってもいいと思いますが」
「私は昔の自分が嫌いなんだよ、わざわざ戻るくらいなら不完全でも分裂して存在し続けるさ」
「ーーそうですか」
それは私がもう教えたはずなんだがな。
覚え込ませたと思うんだけど。
当の本人は理解してなかったのか、残念。
「私の存在の本質にある、全ては信じればなんとかなる、は私と言う存在を変質させるための自ら生み出した考え方だ。
逆にいえば、私は過去の自分を全く大事には思っていない。
でも、それは運命だった。
誰のせいでもない」
「……」
冥土が黙りきってしまった。
別にいじめるつもりではなかったんだけれど、結果的にそうなってしまった形だ。
申し訳ない。
「ともかく、皿洗ってお風呂入ったら私帰るから。
またこっちにくることがあればDの方に連絡する。いい?」
「わかりました。
別にいいですが……。なんでもありません」
「ーーそんなもんだよ、この世界」
確かに、私の人生は全て信じればなんとかなってきた人生だった。
けれどそれは、過去の自分を殺したことで成り立ってきた現実だ。
けれど、後悔はない。
「お風呂入ってくる」
リビングのドアが閉じる音と、食器が洗われて重ねられる音だけが、冥土だけが残されたリビングに響いていた。
過去。
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