魔族は、この世界では5歳になったら学校に入学することになる。
人間は10歳らしい。
そう。
それはそう。
それはいいんだけど……。
やっば。
すっかりユリウスについて見るの忘れてました!
「オイオイオイオイ」
「なかーまだよ、電脳。
あんたも見れる権限持ってるんだし」
私は、今絶賛魔王城の中の客室にいる。
他のみんなも別室でくつろぎ始めてることだし、私も電脳を出してごろごろしてた。
それで勇者ユリウスくんについて思い出したわけだ。
「でー、今の状況は……、と」
あらー。
真言教が死んだも同然だから、今は女神教と真言教の両方に板挟みにされた傭兵みたいになってるー。
かわいそー。
しょうがないよね、あの戦争には勝ったはいいものの私が為替介入しちゃったし。
真言教はあれから死んだも同然だ。
ヤドリぎって頑張ってるけど。
ワロタ。
で、結構大きくなったじゃん。
戦争時は子供だったのに、もう青年感出しちゃってるよ。
襲いたい。
と、ともかく。
まだ言うほどやばい状態にはなってない……よね。
蜘蛛持ってるし。
「あー、蜘蛛を持たせてる時点でこっちはスパイを送り込んでると同義だ。
今はポケモンとして活用してもらってるがな」
じゃ、平気ってことよね。
「だな」
よっしゃ!
これで私も自由だ!
「これから5年、どうすん?」
わー!!!ニートだぁ!!!
「で、私のところに来たというわけか。
お前ら、最近私のことを軽視してないか?」
「ん?ああうん、おもちゃだと思ってる。
弱いし、便利だし」
「はぁ……」
いつもと同じようにポティマスの用意した重力室の中で、私は蜘蛛を増やして押し固める。
可哀想に、我が娘たちよ。
星の礎になってくれ。
「そもそもだ。
星ってそんなに簡単には作れないだろう?
なんでそれをしている。
足掻きか?」
「出来るんだよ、それが」
「栗まんじゅう理論な」
「はぁ?」
ポティマスが、顎を落とし機械の体で呆れ顔をする。
昔よりも表情のレパートリーが増えてる気がするな。私が煽ったからだろうか。
「俺が説明する。
栗まんじゅう理論は、2倍に物質を増やし続けた時、それは恐ろしく増殖を加速させるということだ。
ドラえもんのバイバインから来てる。わかるか?」
「指数関数的に増加すると言えばいいのにな」
だまらっしゃいノンデリロボ。
好きなんだよこの言い方。
「まあそれはわかる。
馬鹿げてるな、貴様」
「いいだろ、これが私の能力だぜ」
そう。
2倍に増える物質なんて、エネルギー保存から考えても存在しない。
そんなものがあれば世界はエネルギー問題で悩まないし、実際この星の事態にはならない。
それが、できちゃったんですねー。
「嘘つけ」
「え、え、あ、なんのことかなー」
やべー。
こいつ思ったより頭良かったー。
バチュルの増殖に関してはアルセウスからエネルギー引き出してるだけなんだよねー。
私自身の肉体の構築については自分の体内でエネルギーを作り出すことが出来てるから夢の星だし夢の神なんだけど、バチュルの増殖に関してはあまりにもエネルギー消費量が多すぎるからアルセウスにくれくれしてもらっちゃった!
アルセウスも面白いの見せてくれるの?OK!って言ってくれたし。
「ま、貴様が星の夢であるということは貴様自身には星と同等の価値があるんだろうな。
神が奪い合う星と同等の」
思ったより知識あるしこっちのこと読み取ってくるなこいつ。
想像以上に頭いい。
結構これ将来の戦いも面倒臭いことになるかも。
「どうした」
「どうもしないですよー」
蜘蛛を作って、さらにおにぎりのようにぎゅっと圧縮する。
そしたら、濁ったダイヤモンドみたいな固体ができた。
うん、いいね。
「話を戻すぞ。
蜘蛛は卵を五つ産め、五分後に孵化する。
それは生まれた瞬間からな。
これがずっと出来るんだ。オーケー?」
「それがおかしいと言っている。
エネルギーの出所はどこなんだ」
「あんたが神になったら教えるよ」
「続けろ」
眉間に皺を寄せながら、ポティマスは言う。
しゃあないね、神様になれるかの権利は私が握ってるんだから!
ああ、夢を独占するのは気持ちが良い!
「となると、万有引力ガン無視して体積だけ考えれば7時間でこの宇宙は埋まる。
わかるな」
「あ?
あー。
あーーーーー」
理解したようだ。
5倍の指数関数はそれだけ恐ろしい。
怖いよね、数学。
「ま、それは空想だな。
実際は蜘蛛同士が惹かれあってどんどん固まっていく。
だから星になって、それからも質量が増えるのならやがてそれはブラックホールになる。
ただ、今回の件に関しては蜘蛛が死んだら増えないから適用されないな」
「言っとくが、その数学の理論を少なくとも現実に適用できる時点で狂っているのだからな?」
努力、未来、ビューティフルスターよ。
私は星だ。
「理解した。
蜘蛛を増やして固めて、を繰り返して星を作るのか。
だが、どれだけの時間がかかる?
そしてそれは、星と言えるのか?」
「マジでいいとこつくなお前、頭はいいよなマジで。
研究者として」
「続けろ」
もう一個濁ったダイヤモンドを作って、さっきのやつの上に乗せる。
雪だるま見たいのができた。
「俺もそれは疑問視していた。
星といえど、それは神が言っている星なのか?資源足り得る星なのか?と。
だけど、足り得る。
神が排泄するエネルギーのゴミ、うんこを利用して星が生まれればいい。
そうすれば星はうんこから育ち、いずれ酸素や養分を自動的に吐き出し始める。
その酸素や養分がMAエネルギーだ。
そして、青のうんこ、蜘蛛たちからできる星はいずれその能力を獲得する。
ならば星となる」
「なぜそれがわかる?
ゴミのまま他の星に養分にされるかもしれないし、肥料が植物になるのではないのだぞ?」
ポティマスは顎に手を当てて考えていた。
彼自身、過去何千年と調べてたどり着かなかった境地なのだから、気になるのだろう。
けれど彼はその結果を欲しがっている。ならば、教えてやろう。
「流れだ」
「は?」
「なぜか、この宇宙のうんこはいずれ植物になった。
種という過程を吹っ飛ばして、肥料から、直接栄養を吐き出す植物となった。
それが公式だ」
「はぁー。
そういうことか。
そこは摂理を信じろということだな。そして神の技だ」
こいつめっちゃすんなり理解しやがった。
わかるけど、そういうことなんだろうけど、不快だな。
こいつがわかってるの。
「今知ってる部分については、ここが科学の最終地点、神の仕業ということだ。
その先は知らない、だから神を信じるのがいい。
科学者は神を信じる、本物の神を」
そういうことだろ、研究馬鹿共。
そこが、神の力で、肥料が植物になるってことか。
わからないから今は神の御技、その先を解明するのはとりあえず後ってことね。
私はそれを賢いと思う。
「で、どのくらいで星はできる?」
「1ヶ月に一個あたりまで量産したいけど、まだ一年でやっと一個めができる辺りだからね。
いずれ一個はあげるけど、ちゃんと管理するんだよ、あんたの星を」
「わかっている」
私の声に、ポティマスはため息を吐いた。
そして肩を上げて、やれやれと鼻で笑う。
ごめんねー、私がその神で。
私が私ですらできると思えなかったできる御技が、世界をまるっきし変えていく。
呆れるなら呆れろ、私が神だ。
そして世界。
必死についてこい。
高評価、感想お願いします。
星づくり。